アクアリウムにおける大敵、コケ。その除去方法はさまざまありますが、コケの種類も多種多様です。コケの種類に応じて除去方法を変えることでより効果的により早く除去ができます。その方法を学んでみましょう。
コケが発生するメカニズム
コケ発生の原因は汚れの蓄積や水質の不安定さです。水槽に入れている生体の排せつ物や食べ残しをフィルターがうまく分解できていなかったり、水草を育成する上で大切になってくる水槽内での光量・肥料・CO2などの要素のバランスが崩れてしまったりすることが主なコケ発生の原因です。
また、掃除がしっかり行き届いていないとコケが生えやすくなります。食べ残しや汚れはコケにとっては最高の栄養分です。このようにコケ発生にはさまざまな原因がありますが、特にエサに含まれるリン酸は水草だけではなく、コケにとっても栄養分になります。過剰な蓄積には注意しなければなりません。
コケが発生しやすい環境の水槽
以下の水槽がコケが発生しやすい環境の水槽といえます。
水質が安定していない
①立ち上げ初期の水槽
立ち上げたばかりの水槽はバクテリアが定着しておらず、水質が不安定になりがちです。
②リセットなどの大規模な掃除をした直後の水槽
大規模な掃除は、水槽内の環境を大きく変えるため、水質が不安定になりがちです。
③CO2の添加の停止、照明が切れてしまっている水槽
CO2ボンベのガスが空になっていることに気が付かなかったり、停電の影響などで照明が長時間に渡り消灯したりしていると水草の成長が止まってしまいます。その間、水草が栄養であるリン酸を消費しなくなってしまうため、コケが生えやすくなります。
汚れが蓄積しやすい・栄養過多になりがち
①熱帯魚などの生き物が多い水槽
生き物が多いということは、その排せつ物や食べ残しも多くなってきます。掃除が行き届いておらず、ろ過が不十分な環境であれば、汚れとして蓄積していきます。
②CO2無添加で肥料を与えている・光量の強い水槽
「水草がうまく育たない!」と光量を強くしたり液肥を与えたりした結果、逆にコケを発生させてしまう原因になることがあります。水草水槽での強い光量や液肥はCO2の添加が前提です。
CO2を添加していない状態は水中の二酸化炭素が限られるため、水草の光合成量は小さいまま。この状態で強い光量を与えてしまうと、水草は栄養分を消費することなくCO2を必要としないコケの栄養になります。さらに液肥を添加するとほとんどの栄養分がコケの成長に使われてしまいます。
基本的なコケの対策
コケの除去・駆除に入る前に、まずは水槽内の栄養分を水換えによって減らします。同時にプロホースを使ってコケや底床に蓄積したふんなども吸い取ると良いでしょう。あまりにもコケの発生がひどい場合は、水槽の1/3程度の量の水換えを2週間のうちに数回程度行いましょう。
コケの種類
水換えと一緒にコケの種類に合わせた除去を行うと良いです。種類ごとの方法をご紹介します!
まずは、コケの種類と特徴を知っていきましょう。
薄い緑色のコケ
水槽内に栄養分が蓄積すると初期に発生するコケです。水槽を立ち上げ後数週間の間にでるようでれば、バクテリアによってアンモニアが分解され栄養分が発生した証拠になります。
アオミドロ
栄養過多・光量過多が原因で増殖するコケ。1本1本が糸状で、それが寄り集まるとモサッとした見た目のコケになります。成長スピードが速く、大きくなると大変見栄えが悪いです。
藍藻(シアノバクテリア)
色は濃い緑または黒っぽく細菌に近い仲間です。ベタッとした膜のような見た目で悪臭がするのも特徴的です。繁茂する原因は栄養過多、または細菌のエサになる有機物が多量に存在しているためです。汚れのたまりやすい底に生える傾向があります。ソイルを厚く敷いていて、掃除が行き渡っていないとソイル内に発生し非常に厄介です。
黒ヒゲゴケ
名前の通りの黒色で発生地点を中心に放射状に生えるコケです。フンや枯葉などから生成される「リン」を栄養としています。水草のフチや排出口のフチなどに生えやすい傾向があります。除去が困難な上に割とどんな水槽でも生えやすいです。ひどくなると水槽のリセットを余儀なくされることも多く、かなり厄介なコケの一つです。
茶ゴケ
茶ゴケは水道水に含まれる「ケイ素」を養分としており、水道水を使用することで発生しやすくなります。水槽をセットすると一番最初に発生するコケです。発生初期であればこするだけで簡単に除去できます。貝やアルジーイーターなどの生物兵器が有効です。
効果的な除去方法と対策
基本を押さえて水槽を維持していても、どうしてもコケは発生してしまうもの。そんな時は、コケの種類に合った対処法で撃退しましょう。
薄い緑色のコケ
アクアリウムのコケでまず目にするのはガラス面に付く緑色のコケではないでしょうか。熱帯魚の排せつ物や残餌・底床に含まれる栄養・水草に添加する肥料の影響で水槽内の栄養過多になることによって発生します。
ガラス面に発生したものはメラミンスポンジやプラスチック製のスクレーパーでコケを全体的に落とした後、水換え・プロホースで底床掃除を行って対処します。石や流木、水草に発生したコケは生物兵器の力を借りて除去しましょう。また、小学校の算数でおなじみの三角定規でも代用できます。
生物兵器を導入する場合は、こちらの生体がオススメです。
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お掃除生体で解決しよう
水槽全体に対してはヤマトヌマエビが、ガラス面に生えているものはオトシンクルスが食べてくれます。また、メラミンスポンジなどのお掃除用品でこすり落とすことも有効です。
アオミドロ
このコケが発生する原因は主に栄養過多です。まずは水槽内の環境を見直しましょう。観察するポイントは以下の通りです。
①魚の入れすぎ
②エサの与えすぎ
③フィルターの能力・掃除不足
④水換え不足
⑤水草用肥料の与えすぎ
⑥CO2添加なしで強い光量
その上で改善が見られない場合には、使わない歯ブラシでくるくると巻き取った後、水換えと同時にプロホースで吸い出してしまいましょう。
生物兵器を導入する場合は、こちらの生体がオススメです。
藍藻(シアノバクテリア)
これはコケというより、細菌に近い仲間です。流れが悪く有機物がたまりやすい所で発生します。水槽内の環境や周辺設備の見直しを行いましょう。
①細かな粒の低床を厚く敷いていませんか?
細かな粒の低床を厚く敷いていると、嫌気性バクテリアが繁殖しやすい環境ができてしまい、藍藻が発生しやすくなってしまします。
②底床掃除はこまめに行っていますか?
底床掃除を怠っていると細菌のエサとなる有機物がたまってしまい、藍藻の発生する確率が高まってしまいます。
③フィルターはしっかりと稼働していますか?
フィルターがしっかりと稼働しているかどうか確認しましょう。また、この際、ろ材の清掃も行ってしまいましょう。
わずかな破片が残っているだけで再発の可能性があり、吸い出したりアミでって除去するのは困難です。そのため、大量のヤマトヌマエビの導入が効果的です。が、藍藻が発生している水槽では水質が悪化していることが多く、ヤマトヌマエビを入れても死亡してしまうこともあります。ヤマトヌマエビによって完全に藍藻が除去されると水質が改善します。加えて、プロホースで底床掃除を行うと、底床の通水性が改善し、水質も回復します。
こまめな水換えやプロホースで底床を掃除すること、水流の強い所で発生しやすいので強い水流を避けることを心がけましょう。
では、実際に発生してしまったらどうすれば良いのでしょうか?
ガラス面やパイプ部分に発生した場合
水から出して物理的にこすり落とします。この際、黒ヒゲゴケの破片を水槽の水に入れてしまうと、コケが広がってしまうので注意しましょう。
流木や石などの除去しにくい場所に発生した場合
一度素材を取り出し、黒ヒゲゴケが発生した部分に木酢液(木酢酸)を塗布して数分放置した後、よく洗ってから水槽に戻しましょう。しばらくすると、黒ヒゲゴケの色が赤~白っぽく変色します。それを大量のヤマトヌマエビに食べてもらいます。
スポイトなどで直接木酢液を黒ヒゲゴケにかけるのも有効ですが、取り出して塗布するより効果が薄まるのと、木酢液が水質に影響を与えることがあります。黒ヒゲゴケがピンポイントに少量だけ生えている時以外は、木酢液を塗布する方式で行いましょう。
水草に発生した場合
水草に発生した場合は該当部分を切り落としてしまいましょう。古い葉に発生することが多いので、水草への影響も心配ありません。
生物兵器を導入する場合は、こちらの生体がオススメです。
サイアミーズフライングフォックスは若魚の間はコケをよく食べてくれますが、成長とともにコケよりエサをよく食べるようになっていきます。成魚では、12cmほどに成長するので小型水槽では多く入れすぎないよう注意してください。
コケ防止剤・抑制剤のご紹介
液体タイプやフィルターに入れるタイプなど各社からさまざまな製品がリリースされています。簡単に使用でき生体メインの水槽では特に効果的です。
オススメのコケ防止剤・抑制剤ピックアップ
魚にやさしいコケ抑制剤 reset(リセット) 淡水海水両用
天然成分なので、薬品に弱いエビにも安心して使用できます。大型水槽には大容量タイプがオススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?コケの種類ごとの対処法をご紹介しました。主に「水槽内を栄養過多状態にしない」「底床掃除や水換えを怠らない」ことがコケ発生予防の一番の近道といえるでしょう。
もしコケが発生してしまった時は、この記事を読み返して対処の参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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