どうも、ほにゃらら sp.です。
今回ご紹介するのは照明の色から選ぶ、理想的な環境について。
特にアクアリウムの照明として一般的なLEDについて触れたいと思います。
アクアリウム用の照明にさまざまな色(波長)を持つ製品がありますが、明るさや光の色によって理想的となる場面が異なります。
自分が実現したいアクアリウムの目的に応じて最適な照明を選べるようになると、アクアリストとしてレベルアップしたといえるでしょう。
主な光の種類
まず、アクアリウムに用いられる照明を光の色で分けてみます。
大きく分けて4種類あります。
淡水のアクアリウムでは白系、海水のアクアリウムでは青系の照明を採用することが一般的です。
特に水草育成を目的とする場合はふつう、白系を採用します。
迷ったら白でOKです。
演出重視や色揚げなどの特別な目的がある場合は、それ以外の系統の照明を採用することもあります。
白色光(ホワイト)
最も基本的な光です。
一般的な観賞魚の飼育から水草育成にまで利用されます。
淡水のアクアリウムであれば、基本的に白色光を採用します。
水草育成用のライトもこの区分に入りますが、水草の育成には製品によって適不適があります。
人間の目は白い光が一番明るく感じる仕組みとなっているので、とりあえず水槽を明るくしたい、観賞性を高めたいという場合には、白色光を選ぶと良いでしょう。
青色光(ブルー)
海水のアクアリウムでは最も基本的な光で、自然環境の再現やサンゴの育成に有効です。
淡水の水槽ではブルーまたはブルーホワイトの光が使用されることがあります。
淡水ではどちらかといえばブルーホワイトの光を採用することが多く、白色光のみよりも爽やかな雰囲気が演出できます。
一方で、水草の育成にはやや不向きとなる点に注意が必要です。
明るさも、白いライトに比べるとやや暗く感じます。
生体を中心とした、混泳水槽での演出向けの照明といえるでしょう。
淡水魚の場合ではアフリカンシクリッドを飼育する場合によく使われます。
現地の自然環境の再現といった目的で優先度が上がります。
アフリカンシクリッドの好む水質は弱アルカリ性の硬水と、ほとんどの水草が好む水質とは真逆であるため、そもそも水草との併用にはあまり向きません。
赤色光(色揚げ)
赤い光を発するというよりは、魚の赤い発色をより鮮やかに見せる照明です。
色揚げ用ライトとも呼ばれます。
ここでいう色揚げは魚本来の体色が良くなるわけではなく、光によって鮮やかに見せていることを指しています。主にアジアアロワナや赤系ディスカス、高級金魚の飼育で用いられることが多く、見栄え重視で生体の鮮やかさを“盛る”目的であれば最適です。
赤色系の波長を含みますが水草育成用ではないため、総合的な明るさは白色光に比べ暗く感じることが多いです。青色系ライトとは違った演出向けの照明といえるでしょう。
水草の育成が目的の場合には明るさが足りないことが多いです。素直に白色系の水草育成用ライトを使用したほうが良い結果が得られるでしょう。
変色光
複数の光を混ぜた発色ができる製品です。
大きく分けて2タイプあり、「切替型」と「調光型」に分かれます。
切替型
「切替型」は単純に任意の発色に変更、切り替えができるタイプの製品です。
「GEX パワー3」など、単純に白・青・赤などの切り替えが行えるタイプのLEDはこのタイプです。
他にもいわゆるアートアクアリウムなどに見られる、極彩色の発色が行える照明もこのタイプに該当します。
調光型
「調光型」はうって変わって、水草やサンゴの育成に有効な波長をスマホのアプリ等で調光操作ができるタイプの製品です。比較的新しく登場したタイプになります。
従来はタイマー操作による照明のON/OFFでコントロールしていましたが、今やさまざまな波長のチップを搭載しており、チップごとに発光の度合いを調整できる製品もあります。
このタイプの製品は、俗に「フルスペクトル」とも呼ばれます。
時間の移り変わりに合わせて色が変化するように設定できる製品もあり、次世代のスタンダードになっていくかもしれません。
より本格的な水草・サンゴの育成に取り組みたい方は、要注目のタイプといえるでしょう。
光束と色温度
照明の性能を語る上では欠かせない値が「光束」と「色温度」の2点です。
光束は単位lm(ルーメン)で表し、明るさ、色温度は色の暖かみの指標となります。
ルーメンは数字が大きいほど明るく、小さいほど暗くなります。
色温度は単位K(ケルビン)で表し、数字が大きいほど青っぽく、寒色系の色合いになります。
数字が小さいほど赤っぽく、暖色系の色合いになります。
日中の太陽光の色温度が約5000~6000Kです。
アクアリウムではこの色温度だと水景がやや黄ばんで見えるため、8000K前後のものが好まれます。
一般に10000K以下が白色系、15000K程度がブルーホワイト、20000K以上が青色系照明として用いられます。
白色光は人の目には最も明るく感じられるという特性があり、lmが同じで色温度が異なる場合、白に近い光の方がより明るく見えます。色温度そのものは、光の強さとは関係がありません。
なお、観賞魚を飼育する上では、言ってしまえばこの値はさほど関係がありません。
お気に入りの魚が最もよく映える照明を選べばOKです。
水草を育成する上では光束と波長が大変重要で、それを自然な色合いで人の目に映らせるために色温度は重要な役割を果たします。
光束と波長の要求の度合いは水草の種類によって異なります。
水草が要求するスペックを満たさない照明では、うまく育たたないかもしれません。
一般的には光束は60cm水槽(幅60×高さ36cm)で3000lm以上、色温度は6000~8000K程度の光のものが、水草の育成に良い照明とされています。
水槽サイズ | 水草育成に必要な光束の目安(lm) |
30cmキューブ水槽 | 1000lm |
45cm水槽 | 1000lm |
60cm水槽 | 3000lm |
90cm水槽 | 5000lm |
120cm水槽 | 6000lm |
通称:おにぎり こと「アクロ TRIANGLE LED」シリーズは、ちょうど表の条件を満たしています。
水草育成のLEDに迷ったらぜひおすすめできる製品です。
▼こちらも参考 アクロシリーズのラインナップ比較
水草育成に最適な光の波長
水草の育成にあたり、光束と色温度の他にもう一つ押さえておきたいのが光の「波長」です。
光は波長ごとに色を持っており、照明が放つ光がどのような波長で構成されているかは「スペクトル分布」で表されます。分光スペクトル、分光分布ともいいます。
スペクトルとは、光を単色の光成分(赤・青・緑 など)に分け、波長の順に並べたものです。
何の色がどのぐらいの割合で含まれているのかを相対値で表したものとなります。
特に、水草の育成には赤と青の2種類の波長が重要です。
これを踏まえて、次のスペクトル分布を見てみましょう。
まずは450nm付近の青い波長が突出しているのが目に入ります。
しかし多くの観賞魚用照明では、この波長は元々多く含んでいます。
水草育成用に有用とされる照明は、これに加え660nm付近の波長の強化という点で差別化を図ってきます。
TRIANGLE BRIGHT,GROW共に水草育成に適した照明ですが、比較するとGROWでは660nm付近の波長が突出していることが分かるかと思います。
この点が、水草の「成長」を重視した場合に有効となるのです。
両者を比較した場合、単純な明るさだけならばBRIGHTに軍配が上がりますが、水草の育成に対する有効性を見るとGROWに軍配が上がる形になります。
ここで勘違いしてはいけないのが、水草が育つ光=レイアウトとして美しい光 とは限らない点です。
植物の育成のみを考えれば、極端な話660nm付近を極度に強化した赤みの強い照明でも良いのです。
しかしそのような光では、とてもレイアウトとして見るに堪えたものではありません。
水草育成用照明は、水草の成長に適した波長を含みつつ、色温度8000K前後の範囲にある、美しい自然光に近い光を再現しています。
レイアウトのことを考えて作られた照明でこそ、水草レイアウトでは真価を発揮するのです。
ここまで紹介した条件を踏まえると、水草育成に適切な照明の条件は次の通りです。
照明を選ぶときは光束、色温度、スペクトルの3点を確認して選ぶと良いでしょう。
変色系の照明で自分で設定を行うときは、この3点を意識して設定していきましょう。
▼こちらも参考
おまけ 蛍光灯について
今でこそアクアリウムの照明として主流になったLEDですが、2011年以前は「蛍光灯」が主流でした。
LEDの活躍が目覚ましくなったのは2012年頃の話です。
その名残で、2012年以前に作られた解説では蛍光灯●本といった説明がなされていることもよく見られます。
蛍光灯⇔LED換算
蛍光灯(18W) | 1灯 | 2灯 | 3灯 |
LED | 800~1000lm相当 | 1600~2000lm相当 | 2400~3000lm相当 |
蛍光灯1灯あたり、およそ800~1000lm相当と考えてOKです。
ちなみに高光量照明としてメタルハライドランプ(メタハラ)が推奨されていた時代もありましたが、メタハラは1台あたり8000lm(150W)が目安です。
LEDでは育たない?
古くから水草を育てている方の中には、LEDは育たない と考える方も一定数いるでしょう。
事実、蛍光灯が主流だった2012年前後の時代。
LEDが出始めの頃の初期の製品は、まだ研究が十分でなく蛍光灯のほうが水草育成に有利でした。
当時のLEDの技術では、蛍光灯のような十分な光束を確保できなかったのが理由の一つです。
その後研究が進み、技術が進歩して光の質や照射方法が改良され、十分な光束を確保できるようになりました。
その結果、蛍光灯と比べても同等かそれ以上に育てられる製品も多数出てきています。
登場初期のLED照明とは比べ物にならないぐらい進化しています。
「水草育成用」と記載のある照明を用いれば、安心して育成が可能です。
コメント