使い分けよう いろいろな吸着材~活性炭/ゼオライト/ケイ酸塩・リン酸塩吸着材~

コケが生えた
コケが生えた水が濁った水が黄ばんだ活用テクニック

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回は「吸着材」について。
水槽内の不純物を吸着するためのアイテムですが、一口に吸着材と言ってもいろいろあります。

そのあたりを掘り下げて説明します。

吸着剤とは

吸着剤とは、水槽内の不純物を吸着除去するためのアイテムです。
化学的ろ過の一種でもあり、ろ材の一種と捉えることもできるでしょう。

基本的に他のろ材同様、フィルター内に入れて使用します。

▼こちらも参考 「化学ろ過」に相当する箇所となります。


吸着材の種類

吸着材は基本的に3種類に大別されます。
種類によってできることが違うので、目的に応じて使い分けましょう。

着色・悪臭吸着
活性炭

水の黄ばみ・濁り
対策

アンモニア吸着
ゼオライト

アンモニア(有害物質)
対策

栄養塩吸着
ケイ酸塩・リン酸塩吸着材

茶ゴケ・緑コケの発生
対策

活性炭

活性炭
(白濁り・黄ばみ吸着材)
効果期間

1~6カ月程度

※使用水槽サイズ、環境によって変動します。

活性炭は白濁りや黄ばみといった、“水への着色”の除去に長けた吸着材です。魚病薬による着色も吸着します。
不快な悪臭を吸着する効果もあります。

ほとんどのフィルターに標準で付属しており、水槽の水を透明に保つ上で欠かせない役割を担ってくれます。

なお勘違いされることが多いのですが、活性炭にアンモニアの吸着除去機能はほとんどない点には注意が必要です。

アンモニアの吸着除去には後述するゼオライトが有効です。

製品によって形状はさまざまですが、どの製品も効果自体は同様です。使用するフィルターの形状や、ろ材に練り込むなど付加された機能などを見て、好みに応じて選ぶと良いでしょう。

ペレット状
ろ材に練り込んだタイプ
こんなときに使おう
  • 流木による黄ばみを解消したいとき
  • 水が白く濁ったとき
  • 水槽から悪臭がするとき
  • 薬浴を終えたとき
流木のアク対策に最適です。
流木による着色の除去にはブラックホール

活性炭であればどの製品でも色素吸着機能を持ちますが、中でも「ブラックホール」は吸着性が強力でよく効くと、古くから評判が良い製品です。

流木を中心としたレイアウトを組む場合は、必需品ともいえるでしょう。

不織布パックに入っているので、ほとんどのフィルターにそのまま投入できます。

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薬品と併用不可

活性炭は魚病薬の有効成分となる色素も吸着します。

したがって、薬浴の際は活性炭を入れたままにしてはいけません。薬浴を行う場合は、あらかじめ活性炭を取り出しておきましょう。

薬浴を終えた後、薬品による色素や薬効の残留分を取り除く目的であれば、大変有効です。

▼こちらも参考

ゼオライト

効果期間

3~6カ月程度

※使用水槽サイズ、環境によって変動します。

ゼオライトはアンモニアの吸着に長けた吸着材です。
硝酸塩や重金属を吸着除去する機能も持ち合わせています。

活性炭に次いで吸着材としては一般的で、ほとんどのフィルターに搭載されています。
というのも、アンモニアは熱帯魚にとって毒性が強いので、もし飼育水中に含まれるようであれば真っ先に除去しなければならないからです。

ゼオライトは比較的安価な上、吸着効果も強いのでさまざまな場面で採用されています。
一方で、吸着量の限界を迎えると吸着効果はなくなるため、こちらも定期的な交換が必要です。

製品に記載の期限を目安に、定期的に交換していくことが水質維持の上で重要です。

こんなときに使おう
  • 生体がたくさん入っているとき
    (過密気味のとき)
  • 水槽を立ち上げたばかりのとき
過密気味の水槽では、標準付属分に加えて追加すると良いです。

ゼオライトの吸着作用は「イオン交換」という性質を利用したものになっています。

アンモニアは水中では「アンモニウムイオン」というイオンの形で存在しており、これに対しゼオライトは「アンモニウムイオン」「カルシウムイオン」「マグネシウムイオン」など水中に含まれる陽イオンを選択的に吸着する特性があります。

この特性を利用して水中のアンモニアの除去に使用されます。
なお除去したアンモニアはなくなるわけではなく、ゼオライト内で保持されます。
そしてゼオライト自体も多孔質であることが多く、硝化バクテリアが定着しやすい構造になっているものも多いです。

吸着したアンモニアに誘引される形で硝化バクテリアが定着すれば、ゼオライト自体がろ材としても活用できます。
ただし、限界まで吸着した状態で長期間放置すると吸着した有害物質を再放出することがあるので注意が必要です。基本的には製品に記載のある期限のタイミングで交換しましょう。

リングろ材などの多孔質な生物ろ材と併用することで、ろ材側にバクテリアの定着を促すことができます。この組み合わせでの使用は大変効果的です。

ゼオライトの再生

アンモニアの吸着限界を迎えたゼオライトは、塩水に漬けることで再生が可能です。
ただし、再生には何度も塩水を交換し、乾燥を確実に行わなければきちんと再生できません。

意外に手間がかかり、確実にアンモニアが抜けたかどうかを目視で確認できないというリスクもあります。
このため、新品に交換したほうが確実といえます。

副次的ですがカルシウムイオンやマグネシウムイオンを吸着する効果もあるため、硬度を若干ながら下げる作用もあります。弱酸性の軟水を好む熱帯魚に有効といえます。

※ゼオライト単体での硬度低下効果は大きくありません。
pHやGHを大きく下げたい場合は専用の調整剤を使用したほうが良いでしょう。
またゼオライト単体での効果は微々たるものであるため、アルカリ性を好む熱帯魚にも問題なく使用できます。

薬品と併用不可

ゼオライトも、魚病薬の有効成分となる色素を吸着します。

したがって、薬浴の際は入れたままにしてはいけません。
薬浴を行う場合は、あらかじめ取り出しておきましょう。

薬浴を終えた後の色素や薬効の残留分を取り除く目的にも使えますが、その目的の場合は活性炭のほうが効果が大きいです。

ケイ酸塩・リン酸塩吸着材

ケイ酸塩・リン酸塩はコケ発生の原因となる物質です。
水中のケイ酸塩が多いと茶ゴケが、リン酸塩が多いと緑ゴケが発生しやすくなります。

これらの吸着剤を添加することで水中に含まれる量を低減させ、コケ発生の原因を減らします。

このタイプの吸着材はふつう、フィルターには標準搭載でないことが多いです。必要であれば、別途追加が基本になります。

効果期間は水道水の原水の成分によって大きく異なります。
お住まいの地域によって長持ちすることもあれば、すぐに効果が切れてしまうこともあります。

試薬を用い測定しつつ、効果が見られなくなったら交換してください。

こんなときに使おう
  • コケの発生に困っているとき
  • コケ取り生体が混泳相性などにより入れられないとき
  • コケの除去に薬品を使えないとき

※リン酸塩は水草の栄養分にもなりますが、そちらも吸着されます。

※コケの量があまりにもひどい場合は、RO水の導入を検討ください。

茶色のコケにはケイ酸塩吸着材を、
緑色のコケにはリン酸塩吸着材を。
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※ケイ酸塩・リン酸塩吸着材は淡水、海水どちらかでし使用できない製品も多いです。
ご購入前に、どちらの水槽に対応する製品となるかはよくご確認ください。

RO水で対策しよう

▼こちらも参考

水道水原水中に含まれるケイ酸塩やリン酸塩の対策には吸着材の導入も効果的ですが、RO水の導入が最も効果的です。

RO浄水器を用いてあらかじめ除去してしまえば、水槽内に持ち込むことがありません。


フィルター機種別 導入方法

投げ込み式フィルターの場合

活性炭、ゼオライトは標準搭載であることが多いです。

原則的に吸着材やろ材の追加はできません。

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外掛け式フィルターの場合

活性炭、ゼオライトは標準搭載であることが多いです。

背面にスペースがあるので、吸着材を追加で投入する場合はそのスペースに投入します。

▼こちらも参考

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上部式フィルターの場合

活性炭はマット状になっていることが多いです。
ゼオライトは製品により付属する場合としない場合があります。

付属していない製品の場合、代わりにリングろ材などの多孔質生物ろ材が付属することが多いです。

上部式フィルター内での
基本的な配置

活性炭(ふつうはマット状)は①のウール下に敷きます。

マット状でない製品の場合は②に入れます。

ゼオライトやリン酸塩、ケイ酸塩吸着材を入れる場合は②に入れます。

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外部式フィルターの場合

活性炭はマット状で入る製品と、ペレット・固形状になっている製品があります。
ゼオライトは製品によって付属する場合としない場合があります。

エーハイム2213の場合の
基本的な配置

吸着材を追加する場合は、元々付属しているろ材のうち生物ろ過に相当するろ材(リングろ材など)の量を減らします。

通水時に物理ろ過を通った後に吸着ろ材を配置し、その次に生物ろ材がくる形で配置すると良いでしょう。

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いろいろな吸着材 まとめ

大きく分けると3種類
  • 活性炭・・・白濁りや黄ばみの吸着に使用 アンモニアはほぼ吸着しない
  • ゼオライト・・・アンモニアの吸着に使用 硬度を下げる効果もある。
  • 栄養塩吸着材・・・コケ発生の対策に使用 対策したいコケの種類により使い分ける。
  • 基本的に魚病薬と併用不可。魚病薬使用後の吸着除去が目的の場合は有効。
  • 限界まで吸着した状態で長期間放置すると、再放出することがある。
    定期的な交換が重要。

物理ろ過や生物ろ過に比べると、吸着材による化学ろ過はやや優先度が落ちます。
しかし、重要な役割の一つであることに変わりはありません。

目的に応じてろ材の内容をいじれるようになると、アクアリストとしてまた一つレベルアップしたといえそうですね。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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