使い分けよう メダカの産卵床 

メダカ
メダカ活用テクニック育成テクニック

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するのはメダカの産卵床について。

ひと口に産卵床といっても、実は大きく分けて3タイプあります。
メダカを産卵させる場合でも、その規模や目的はさまざまでしょう。

ここで紹介するそれぞれの産卵床の特性を把握して、ぜひ目的に応じて使い分けたいところですね。

メダカを繁殖させる場合、
産卵床は欠かせません。
浮草・水草

自然感・見栄え重視!

人工産卵床

繁殖効率重視!

シュロ繊維

コスト面重視!

今回はこの3種の主な使い分けについて、解説を進めようと思います。

浮草・水草

生きている浮草・水草そのものです。
基本的に浮草系、または有茎草がメダカの産卵床として用いられます。
自然下の生態に最も近い産卵を観察できます。

浮草であれば根の部分、有茎草であれば茎の部分がメダカにとって良い産卵場所となります。

「低水温に耐えられる」こと、「柔らかく卵を産み付けやすい形状をしている」こと、「丈夫で枯れにくい」ことの3点を満たすものが、良い産卵床になる水草の条件です。

メリット&デメリット

メリット
  • 自然な雰囲気で見栄えが良い
  • 水質浄化能力がある
  • 育成条件が良いと増殖する
デメリット
  • 卵の回収効率はやや悪い
  • 育成条件が悪いと枯れてしまう
  • 勝手に殖えすぎる場合もある

浮草や水草を産卵床に用いるのは「見栄え」や「自然な雰囲気」を重視する場合でしょう。
また、上手に育成できればどんどん増えていきます。

最も自然の状態に近い形での産卵を楽しめるので、自然派最重視の方にオススメ。
水中の不要な栄養分を吸収して育つので、水質浄化能力を持つ点もうれしいところです。

一方で、水草は生きているので育成条件が悪いと枯れてしまうことがあります。
逆に思わぬ形で勝手に殖えすぎてしまう場合もあります。

卵の回収効率を優先したい場合は、株によって根の勢いも変わるため卵の確認がしづらいです。
また、産み付けてくれないこともあります。

自然に任せる形で繁殖させたい場合にはおすすめできますが、効率良く数多くの採卵を行いたい場合には不向きです。


オススメの浮草・水草
ホテイソウ
アマゾンフロッグビット

浮草

カボンバ
マツモ

有茎草

ホテイソウは花も楽しめます

見栄え重視なら、花が楽しめるホテイソウは非常にオススメ
古くから親しまれている浮草で、安価で入手しやすい点も魅力です。
根もしっかりとして太く、メダカが産卵しやすい形状をしています。
葉が大振りなので、日差しを遮るほどよい影ができる点も◎。

一方で、低温に弱く屋外では冬前に枯れてしまう点は留意事項です。
1シーズンだけ楽しむなら、おすすめできます。

マツモは水質浄化能力が
抜群に高いです。

採卵効率重視なら、マツモが特にオススメです。
水質浄化能力が高い上、草自体が産卵しやすい形状をしています。

こちらは耐寒性があり、シーズンをまたいでも楽しめます。
光量もそれほど要求しないため、屋外でも屋内でも簡単に育成ができます。
繁殖効率を重視するのであれば、非常に有効な選択肢です。

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先に挙げたおすすめ4種に比べると、産卵効率の観点では劣る点があります。
しかし葉の形などに個性が見られ、自然観の演出に有効なラインナップです。

サンショウモ
  • サンショウモ系
    (サンショウモ、オオサンショウモ、サルビニア・ククラータ)
    • いずれもサンショウモの仲間の浮草です。
      ホテイソウやフロッグビットに比べると産み付けやすさは劣りますが、十分使えます。数を増やしたいならオオサンショウモ、小型鉢ではサンショウモがおススメです。ククラータはその中間です。
ヒグロリーザ・アリスタータ
  • ヒグロリーザ・アリスタータ
    • 笹のような葉が特徴的なイネ科の浮草です。
      株のサイズの割に根のサイズが控えめなので、卵の付着効率という観点ではホテイソウやフロッグビットにやや劣ります。
      独特な形状の葉を楽しむ場合に良いでしょう。
ネグロウォーターファン
  • ネグロウォーターファン
    • 三角形の葉を持つ浮草です。
      根がメダカの産卵に適しますが成長が早く、著しく大型化します。
      最大で1株60cm以上にまで育つので、メダカの産卵を主目的にする場合は大きくなりすぎる点がやや扱いにくいかもしれません。
アナカリス
  • アナカリス
    • 透き通る緑の葉が美しい有茎草です。
      カボンバやマツモに比べると、卵の付着効率は良くありません。
      強健さではどの植物よりも上回っています。

屋外で殖やす場合

屋外で殖やす場合は「浮草」がおススメです。
育成のしやすさと卵の付着率を考えると、ホテイソウが第一候補といえるでしょう。

根が長くしっかりとしており、数ある浮草の中でも最もメダカが卵を産み付けやすい形状をしています。一方で、ホテイソウは非常に大きく育ちます。

フロッグビットは小型鉢向き

もし小型の水鉢で小規模に楽しみたい場合は、アマゾンフロッグビットなどの小型種を選びましょう。

フロッグビットの根は小さい分、卵を産み付ける効率は良くないものの、小型鉢で楽しむ前提であればちょうど良いサイズです。

耐寒性がありません
日本では1シーズン限りとして
扱われることが多いです。

これらの浮草は耐寒性はありません。
冬になると、屋外管理ではそのまま枯れてしまいます。

翌年も楽しみたい場合は、気温が15℃を下回るようになったら屋内で管理すると良いですが、光量と臭いの関係から維持は意外と難しいです。

比較的安価でよく殖えるため、日本では一年草として扱われることが多いです。

屋内で殖やす場合

屋内で殖やす場合は「有茎草」がおすすめです。
マツモが第一候補といえるでしょう。

浮草を屋内で育てる場合は明るさの強いライトが要求されますが、カボンバやマツモであれば弱い光でも産卵床としては問題なく維持できます。

マツモ
カボンバ

これら2種は耐寒性もあります。
水上の見栄えを重視しなければ、屋外でも楽しめます。

採集品はやめておこう

メダカの産卵床として浮草・水草を用いる場合、野外から採集してきたものの利用はおすすめできません。

理由は、意図しない「害虫の持ち込み」「メダカの卵の持ち込み」のリスクがあるためです。

採集した水草にヤゴなど肉食性水棲昆虫の卵が付着していると、水槽内でかえってメダカが捕食されてしまうリスクがあります。

肉食性の水生昆虫は、メダカにとって天敵です。
最悪の場合、全て捕食されてしまい全滅するリスクがあります。

トンボの幼虫、ヤゴ。
一度侵入を許すと、メダカが全滅しうるほどの脅威です。

また、野生のメダカの卵が付着していた場合、交雑してしまうリスクもあります。

以上2点の理由から、野外品の使用はおすすめできません。
専門店で購入した浮草・水草を使用しましょう。

野生のクロメダカの血が混じってしまうと、
品種としては台無しに
殖えすぎた草の処分方法

メダカの産卵に用いられる浮草や有茎草は成長が早く、時にプラ船や水槽を覆いつくすレベルで殖えてしまうことがあります。
このような場合には適度に間引きましょう。

間引いた草は、乾燥させて燃えるゴミとして処分すると確実です。
余った草は絶対に屋外に捨ててはいけません。



人工産卵床

メダカの産卵専用に作られた産卵床です。

メーカーや製品によって細かい点は異なりますが、メダカが卵を産み付けやすいよう、繊維を束ねた製品が多いです。

製品ごとのばらつきの少なさと卵の回収効率が最大の魅力です。
鑑賞性よりもメダカの繁殖効率を重視したい場合は、最有力な選択肢といえるでしょう。

環境を上手く整えれば、大量産卵も夢ではありません!

メリット&デメリット

メリット
  • 卵の付着・回収効率が最も良い
  • 品質のばらつきが少ない
  • 水カビ防止の薬品が使える
デメリット
  • コストがかかる
  • 見た目に人工感がある
  • 定期的に洗う必要がある

人工産卵床を用いるのは、いかに数多くの卵を採ることに特化する場合でしょう。
とにかく数を増やしたい、品種改良に注力したい場合などに最適な選択肢です。

浮草と違って見た目に自然感が無いので、繁殖効率を最重要視する場合の選択肢となります。
また、産卵床の選択肢の中では割高になることが多いです。
しかし、産卵床自体が比較的安価のため、小規模であれば気にならないと思います。
もし大量に欲しいとなると、コスト面の問題は生じるかもしれません。

基本的に安定生産されているため、水草などの自然物と異なり品質のばらつきが少ない点もメリットです。個体による選好みが起こりにくい点も優れています。

メダカの卵が絡みやすいよう複雑な繊維状の構造を持つ製品が多いですが、長期間使用しているとコケが生えて汚くなることがあります。

汚れてきたら水槽の掃除とは別に、産卵床の掃除も行いましょう。
定期的にきれいに掃除しておくことで、高い卵の回収率が見込めます。


大きく分けて2タイプ

人工繊維型
人工浮草型

一つはシンプルに産卵に適した繊維を束ねた「人工繊維型」です。
こちらは卵の採卵・回収作業効率に特化したタイプで、本格的に繁殖を実践したい方に向いています。

さまざまな形状があります
GEX メダカ元気
卵のお守り産卵床
カミハタ
メダカのうずまき産卵床

浮かせるタイプ

ソネケミファ
メダカの爆産ドーム
キョーリン
きんらん

沈めるタイプ

製品によって形状はさまざまです。
大きく分けると浮かせるタイプと沈めるタイプがあります。
各製品の製品特徴をよく読み、最もマッチしていると思うものを選びましょう。

▼迷う場合は「GEX メダカ元気」シリーズがオススメです。

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もう一つは浮草の形状を模した「人工浮草型」です。
こちらはある程度、見た目も重視したタイプとなっています。

さまざまな人工浮草
ニッソー リトルガーデン
浮き草
ニッソー テーブルアクア
浮かべる癒し苔玉
GEX メダカの産卵草
ホテイアオイ
GEX メダカ水景
メダカのお守り草 ハス

見た目も卵の回収効率も重視したい方にオススメです。

水カビの防止にも
卵に生える水カビの予防に
メチレンブルーが有効

人工産卵床を利用するメリットとして、卵に生える水カビの予防策に薬品を使える点が挙げられます。

具体的には、卵が付着した産卵床を入れた飼育水に、メチレンブルーを少量溶かします。
投入量は、水にほんのり色が付く程度で十分です。

メチレンブルーを添加することで、卵への水カビの発生を抑え、孵化率を高めます。

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シュロ繊維

シュロというヤシ科の植物から取れる天然繊維です。
古くからメダカの繁殖に広く用いられており、昔ながらの産卵床といえるでしょう。

シュロ繊維は安価で大量に手に入り、しかも繰り返し使える点が最大のメリット。
コスト面を重視したい場合に、最有力な選択肢になるでしょう。

メリット&デメリット

メリット
  • 卵の付着効率が良い
  • 卵の回収効率も良い
  • 安価で大量に手に入る
デメリット
  • 効率よく採卵するなら加工が必要
  • 小規模だと余りやすい
  • アク抜きが必要

シュロ繊維の使用は産卵効率に加えてコストも重視したい場合に有力といえる選択肢です。

メダカの繁殖を大規模に行うとなると、管理するプラ舟や水槽が大量に必要になってきます。
浮草や水草では収穫が安定せず、人工産卵床ではコスト面で難があるときに最有力です。

安価で大量に購入できる分、繁殖が小規模だと余りがちです。
目安として10個以上のプラ船や水槽があるときに検討すると良いでしょう。

他の産卵床と大きく異なる点として、「アク抜き」という下準備も必要です。
原理と必要な理由は流木と全く同じですが、そのまま水に漬けてしまうと水質の急変を招くことがあります。

安価ですが、その取り扱い方はあまりお手軽とは言えません。
小規模な繁殖の場合、素直に人工産卵床を採用したほうが便利な場面もあるでしょう。

自分で加工しよう

シュロ繊維は自分で適当なサイズにカットし、加工して使用するのが基本です。

加工例

単純に丸めても良し、棒状や袋状に束ねて輪ゴムや結束バンドなどで固定し、水槽の縁に掛けるのも良いでしょう。

シュロ繊維で作られた製品もあるので、それらも参考になると思います。

もし加工が難しい場合は、そのまま入れるだけでもある程度は産卵が見込めます。

▼加工済みのものもあります

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アク抜き

シュロ繊維は使用の際にあく抜きが必要です。
使用する前に24時間以上水に漬け置き、十分にアクを抜いてください。
この作業により内部に水がしみこみ、沈むようになります。



メダカの産卵床 まとめ

大きく分けて3タイプ
目的や場面で使い分けよう
  • メダカの産卵床は大きく分けて「水草・浮草」「人工産卵床」「シュロ繊維」の3つがあります。
  • 自然感あふれる見栄えを重視する場合は「水草・浮草」が良いでしょう。
    屋外では「浮草」、屋内では「水草」がオススメです。
  • 産卵効率を重視したい場合は「人工産卵床」が良いでしょう。
    とにかく効率よく殖やしたい方にオススメです。
  • 採卵する水槽が多く、コスト面を重視したい場合は「シュロ繊維」が良いでしょう。
    自分で加工とアク抜きが必要ですが、安価でたくさん手に入ります。
投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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