今回ご紹介する水草はリシア。
言わずと知れた、数ある水草の中でもスタンダード中のスタンダード。
水草にハマりこんだマニアでも入り口はここからだったという方も少なくないと思います。
かくいう自分もその一人です。
今回は水草を知っている人から知らない人まで魅了するリシアについて解説していきましょう!
リシアとは
生物学的情報 | |
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名前 | リシア |
別名 | ウキウキゴケ、ウキゴケ、カヅノゴケ |
学名 | Riccia fluitans |
分類 | ウキゴケ科ウキゴケ属 |
分布 | 世界中の水辺 |
育成要件 | |
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主な用途 | 前景~後景 |
水温 | 10~28℃ |
pH | 生存可能:6.0~8.0 適正範囲:6.5~7.5 |
光量 | 30cm水槽:3000lm 60cm水槽:3000lm 90cm水槽:6000lm |
CO2添加 | 必須 |
リシアはウキゴケ科ウキゴケ属の一種で、アクアリウムで流通するものは一般的にfluitansを指します。
明るいライトグリーンとたくさんの気泡をつけた姿は多くの人を魅了してやみません。
アクアリウムでは水中に沈めた姿が有名ですが、自然では水に浮かんだ半水中形で生息していることが多く、完全に水没した姿は湧き水由来の川や水路などで見られます。
和名の由来は、水面に浮いていることが多いことからウキゴケ(浮苔)と呼ばれるようになりました。
また、Y字型の葉状体を鹿の角に見立ててカヅノゴケ(鹿角苔)とも呼ばれます。
Riccia(ウキゴケ)属は陸生種と水生種がおり、日本産水生リシアは従来fluitans1種とされてきましたが、近年の研究で新たに4種に分けられました。
その際に新たな和名としてウキウキゴケと付けられています。
これはウキウキしているコケというわけではなく、「浮きウキゴケ」ということのようです。(なんだか妙に楽しげな響きがあるところはちょっと好きです……)
育て方はそれほど難しくはなく、水質よりも光量とCO2の添加量が重要となります。
※リシア豆知識:Ricciaはリシアの名前ですっかりおなじみですが、ラテン語読みだと実はリッキアと読みます。リシアは英語読みに近い表記なのです。)
リシアの草原レイアウト
リシアのレイアウトといえば、おなじみリシアの草原。
その作り方はチャーム先生が詳しく答えてくれているので、こちらもご覧ください。
チャームで販売中のリシアの仲間たち
一口にリシアと言っても意外とバリエーションがあったりします。
ここではチャームで取り扱いのあるリシアたちを紹介しましょう!
リシア
一般的にリシアの名前で見かけるタイプはこれです。
針金のような細長くひょろっとした葉状体をしていることが多いのですが、環境によっては太短くなったりと姿を変えることもあるようです。
立体的なこんもりとした茂みを作りやすい傾向が強いのも特徴です。
ドワーフリシア
ラージリシア
ノーマルタイプより葉幅が広いリシア。
ふんわりとした柔らかい雰囲気が特徴です。
茂みの作りはドワーフに近く、葉状体があまり間延びせずにフラットな塊を作りやすい傾向があります。
他のタイプと比べると若干バラけやすい面があるため、目の細かいネットに入れたり、ラインを巻き付ける回数を増やすなどしてセットしましょう。
カメルーンリシア
2006年のカメルーン便で入荷したリシア。
ノーマルリシアをそのまま幅広く、ひと回り大きくしたような葉状体をしています。
その特徴からfluitansかそれに近い種と思われます。
枝ぶりの大きい立体的な茂みを作り、ノーマルよりもバラけにくい傾向があることから、微生物や稚エビの住みかとしても使える、多方面で活躍するリシアです。
タイプごとの比較
チャームで取り扱いのあるリシアたちだけでも結構な個性の違いがあります。
各タイプの特徴を比較してみました。
こうして並べると各タイプでかなり個性が違うのがわかりやすいかと思います。
これらの特徴が違うリシアを組み合わせてレイアウトしてみるのもおもしろいですよ!
混ざってしまうと取り分けるのが大変になりますが……。
リシアのタイプ別の特徴を活かしたレイアウトはあまり多く見かけないので、個性的なレイアウトを作りたい方はぜひ使い分けてみてください。
リシアを育てるために必要なアイテム
CO2フルセット
リシアが光り輝く気泡を付ける姿は光合成によるものです。
光合成を促進させるにCO2の添加が欠かせません。
添加なしでもリシアを育てることは自体は可能ですが、気泡を付けた姿を見ることはできません。
酸素の気泡を見るためには必ずCO2を添加しましょう。
CO2は水草にとってエネルギー源となるエサのようなものです。人間で言えば米やパンのようなものですね。
魚も水草もしっかり栄養を摂れなければ健康で美しい姿を見せてはくれません。
水草にとってCO2は「おいしいごはん」であることは忘れないでください。
照明
もうひとつ、光合成に欠かせないものが照明です。
できる限り光が強いものを用意してください。
せっかくCO2添加セットを用意しても照明が暗かったら意味がありません。光合成はCO2と光がそろって反応が進むのです。
酸素の気泡は光合成によって発生する酸素の飽和量が超えることによって現れます。
光が足りなければいつまで経っても気泡が発生しません。
CO2を食材に例えるなら、照明は「食べられるようにする調理器具」のようなものですね。
液肥
リシアは成長も早く肥料分も要求します。
育てていて「なんとなく成長が遅くなったかな?」「色が薄くなってきた?」と感じたら肥料不足になっているかもしれません。
そのときは窒素分を含む水草用液肥を入れましょう。
ただし、入れ過ぎるとコケだらけになって汚くなってしまいます。
特にアオミドロの発生要因にもなりやすいので、使用量には注意してください。
人間で例えるなら液肥は体を作るための肉料理のようなものです。
光合成で体力をつけさせ液肥で体を作らせるイメージを使い方のコツとして覚えてください。
リシアは成長が早く肥料分の吸収量が多い水草ですが、液肥を必要とするのは高光量+高濃度CO2の環境下でリシアの光合成活性が高まっているときに限られます。
光合成環境を整えずに成長が良くないからと液肥を入れてしまうと逆効果(コケまみれ)になってしまいます。リシアが上手く育たない場合は最初に光量とCO2添加量が十分かチェックしましょう。
レイアウトのコツ
リシアの巻き方
リシアはウィローモスなどと違って活着する性質は持っていないので、流木や石などに付けるにはネットやラインで巻き付ける必要があります。
浮き上がらないように間隔を狭くするのが巻き付けるコツです。
あまり強く巻きすぎると葉状体が傷んでしまうので注意しましょう。
ラインで巻き付ける場合はリシアが隙間から浮き上がってしまわないように狭い間隔で巻き付けましょう
ラインやテグスで巻き付けるのはなかなか大変な作業です。
そんなときに使えるのがこのグリーンネット。
固定するのに一工夫必要になりますが、流木や石などデコボコしたものにも使えるので作業がとても楽になります。
グリーンネット使用例
リシアネットを使う
リシアレイアウトに欠かせない便利アイテム。
テグスなどで流木や石に巻いていくのが一般的ですが、ウィローモスなどと比べると巻きづらい面があります。
そこでネットやベースを使ってセットする方法が楽でおすすめです。
巻き直しのタイミング
大きく育ってくると根本に光が届きにくくなり、下部から枯れてリシアが浮き上がります。
リシアの茂みが10cm厚くらいになり、巻いた部分から少しずつほつれはじめたら浮かび上がる前に巻き直しましょう。
リシアネットやリシアベースを使っている場合は、必要分を詰め直すだけで大丈夫です。
リシアは成長が早く、レイアウトを長く楽しむには小まめな巻き直しをする必要があります。
手間を抑えるコツとしてはレイアウトの中核になる大型の親石や流木には巻き付けない使い方をおすすめします。
こういった大きな親石や土止めに使う石、骨組みになる流木には直接巻き付けないようにします。
動かせない石や流木に巻き付けてしまうと、手入れが大変になるどころか最悪レイアウトが崩壊します。巻き付ける素材は必ず「水槽から取り出しやすいサイズ」のものを選びましょう。
リシアを使ったレイアウトを楽しむためのコツのひとつとして
取り出しやすい小型の流木や石などに巻き付けて配置する方法がおすすめです
石組の隙間に差し込んだレイアウト例
リシアの小片対策
リシアと似合う、気泡をつけやすい水草
リシアを使ったレイアウトは単体で使われることが多いですが、気泡をたくさんつける水草と合わせると幻想的な水景を作ることができます。
リシアと似合う水草はたくさんあって紹介しきれませんが
特におすすめしたいのがミズハコベ、バブルモス、ラージパールグラスの3種。
特にミズハコベは自生地で同じ場所に生えていることも多く、見た目の相性は抜群です。
レイアウトに使われることが少ない水草ですが、その繊細な美しさは筆舌に尽くしがたいほど。
ぜひ一度は試してほしい水草です。
他にもたくさんいますので、好みの水草と組み合わせてみましょう!
他にもある!おすすめのリシアレイアウト
リシアを使ったレイアウトは草原以外にもたくさんあります。
その使い方をご紹介しましょう。
(本当はしっかりとしたレイアウトの画像が欲しかったのですが、今から作っていたら間に合わないためイメージ的な紹介です……。)
バルーンや浮島を使ったレイアウト
自分で作る場合はちょっとしたDIYスキルが必要になりますが
アイデア次第で幻想的なレイアウトも作れます。
リシア以外のバルーンや↓のような浮島と組み合わせても面白いレイアウトが作れます
砂や石とあわせた自生地風レイアウト
湧き水の川を再現した自生地風レイアウトにもよく似合うのでおすすめです。
自生地風レイアウトのコツは低床にソイルではなく砂を使うこと。
そして底面を全てリシアで覆うのではなく、
砂を露出させてところどころにリシアの塊を配していくと自生地風の自然感あふれるレイアウトになります。
砂や石との組み合わせによって生まれる、まるで自然の川の中を覗いているような景観をぜひ楽しんでください。
リシア まとめ
今回はリシアについて水草水槽での使い方を主軸に解説してみました。
そのポイントは下記のとおりです。
後記
リシアについて改めて調べ直したところ、一つの記事に収まりきれないボリュームになってしまいプロットをまとめるのに苦心しました……。
リシアの種類、レイアウトの可能性、テラリウムへの応用、そしていわゆる「沈水型」の謎etc……
その深さは「たかがリシア」と侮れないものでした。
今回はその中から「水草水槽におけるリシアの使い方」に主軸を置いてまとめてみましたが、レイアウトの画像が意外と少なかったことに気付いて「リシアの魅力を伝える解説」としては不完全燃焼気味になってしまったと感じています。
この記事を書いていて自分でも久しぶりにリシアのレイアウトを作りたくなってきました。
うん。作ろう、リシアレイアウト。
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