中・後景草の選び方

種類解説(水草)
種類解説(水草)

水草を用いて水槽のレイアウトを行う際、水草を植栽する位置によって
「前景草」「中景草」「後景草」と呼び分けます。

今回は「中景草」「後景草」についての解説と、主な種類とそれぞれの特徴を紹介します。
これから水草レイアウトにチャレンジする方には必見の内容です!

この記事を読めば、基本的な中・後景草の種類と、それぞれの特徴、使い方が分かります。

中・後景草とは

中・後景草とは、水草レイアウトにおいて「水槽の半分より後方側への植栽に適した背丈の比較的高い水草」を指します。

このレイアウトを例とした場合、

  

赤枠内に植えられている水草が「中景草」「後景草」です。中・後景草の定義は水槽サイズと水草の大きさで決まります。「前景草以外の水草」は一般的に中・後景草に分類されます。

前・中・後景草はこのようにして分類されます

中・後景草の基本

中景草はレイアウトのバランスをとるために重要
比較的背丈の高い水草を使って水槽内に奥行きを出す
葉の小さい水草を使用し、遠近法で奥行きを出すことも可能

主な中・後景草の種類

一般的な有茎草は上に伸びていきます。水槽サイズに合わせてトリミングすることで高さを変えられるので、どんな水槽でも中・後景草で使えます。今回紹介するのは、トリミングをしても比較的新芽を出しやすく高さが調節しやすい種類です。画像をクリックすると解説にジャンプします。

ロタラ
ルドウィジア
ハイグロフィラ
アンブリア
ポゴステモン・シソ
バリスネリア
クリプトコリネ
シペルス ヘルフェリー
ミクロソリウム
ボルビティス 

ロタラ

育成条件が整うとたくさんの気泡を付ける姿をみせてくれます。

こんもりと茂るように生長する水草です。品種が多く、品種によって葉の形・色・生長のしかたが異なります。環境が適していれば非常に生長が早く、水草レイアウトではよく使われる種類です。

レイアウトによく使われる品種

グリーンロタラ

ロタラsp.ワイナード

ロタラ マクランドラ

特に、葉の細いロタラは高光量で育成すると、上だけでなく横にも伸びます。大きな茂みを作るため、後景層として活躍する場面が多くなります。

ルドウィジア

アカバナ科の水草で、十分な照明とCO2添加を行うことで、鮮やかな赤い姿を楽しめます。
ルドウィジアのような鮮やかな赤色で育成が容易、そして完全水中化する水草は多くなく、貴重な種類といえます。目を引く赤色は水槽内を華やかな印象にするだけでなく、レイアウトのワンポイントとしても優秀。赤くなる品種が多くなりますが、「レペンス・グリーン」のようにさほど赤くならない品種もあります。成長は早く、トリミングを1週間に1回~の頻度で行います。水草としては殖やしやすく、脇芽をトリミングして植え付けて増殖させます。植え付けは4cmほど挿し込む必要があるため、底砂は5cm以上の厚さになるように敷きましょう。

レイアウトによく使われる品種

ルドウィジア セネガレンシス

ルドウィジア オバリス

ルドウィジア レペンス グリーン

ハイグロフィラ

東南アジア原産、キツネノマゴ科の植物です。品種によって葉色・葉の形が異なり、育成難易度もやさしいものから難しいものまでさまざまあります。入門種は丈夫でライトグリーンの葉が美しいポリステルマが良いでしょう。育成条件もうるさくないので、ビギナーの方ポリステルマかハイグロフィラの育成に挑戦してみてはいかがでしょうか。

レイアウトによく使われる品種

ハイグロフィラ ポリステルマ

ハイグロフィラ ピンナティフィダ

ハイグロフィラ トリフロラ

アンブリア

育成が容易かつ繊細な草体を持つ美しい種類で、古くから親しまれている水草です。
高光量下で育成すると新芽部分が鮮やかな黄色~ほんのりとした赤く色づき、大変美しい草体を展開します。CO2の添加は有効ですが間延びしてしまうことが多い為、添加量の調整を行うことがポイントです。育成が容易なため、メダカの産卵床としても使用できます。

レイアウトによく使われる品種

アンブリア

ジャイアントアンブリア

ピンクアンブリア

ポゴステモン・シソ

有茎草では大型になるグループです。草体が大きいので少ない本数でも存在感が出せます。茎が太く浮力が強い種が多いので、抜けてしまわないようにしっかり植え込みましょう。水草が水面近くまで成長した際、適度な長さにカットする「ピンチカット」では、新芽が小さくなって貧相になってしまいがちです。差し戻しを行った方が美しい姿を保ちやすくなります。また、液肥の効果が絶大です。元気がないと感じたら、他の育成条件の様子も見ながら与えるようにしましょう。

レイアウトによく使われる品種

ポゴステモンsp. グリーンフラワー

ポゴステモン デカネンシス

ポゴステモンsp. オクトパス 

バリスネリア

細長いテープ状の葉が特徴的で、背の高いほっそりした草姿が水槽内の後景草としてぴったりです。品種によって葉がねじれていたり、黒いスポットが入ったりとバリーエーションは多岐に渡ります。ちなみに、スクリューバリスネリアは日本にも自生しており「ネジレモ」という別名で知られています。

レイアウトによく使われる品種

スクリューバリスネリア

バリスネリア スピラリス

バリスネリア ナナ

クリプトコリネ

インド・スリランカ・マレーシア・ボルネオ付近に多く生息するサトイモ科の植物で、あまり光が強くない場所を好む陰性水草です。水草レイアウトでは、流木等の影になって他の水草では枯れてしまうような所に使用できます。植え込んだ直後に葉が溶けてなくなってしまうことがあります。「調子を崩してしまった」と勘違いされがちですが、水質に順応するまでの間、葉を落としているだけです。葉の形や色や模様が品種ごとで特徴的なこと、育成環境によって同じ種でも大きく形を変えることから、コレクション要素も高い水草です。埋め込むタイプの固形肥料が非常に有効な種類です。

レイアウトによく使われる品種

クリプトコリネ ウェンティー ブラウン

クリプトコリネ バランサエ

クリプトコリネ レトロスピラリス

ミクロソリウム

ミクロソリウムは水中で生活できるシダの仲間で、丈夫で育成しやすい水草です。 陰性植物のため強い光を必要とせず、アクアリウム初心者の方でも枯らすことなく維持しやすい種類です。活着性があるため、石や流木に巻きつけて使えます。小さな株なら中景草やワンポイントに、大きな株なら後景草やセンタープラントに。オールラウンダーな水草です!

筆者がミクロソリウム巻きに奮闘した記事もありますのでぜひご覧ください。

レイアウトでよく使われる品種

ミクロソリウム セミナロー

ミクロソリウム プテロプス ソードリーフ

ミクロソリウムsp.トライデント

シペルス ヘルフェリー

夏の茂みの雑草を思わせる、明るい緑色が後景に向く草です。テープ状の葉を持つ後景向きの草としてはテネルスのロングリーフや、バリスネリアの仲間がメインですが、それらの種類と比べて色合いが明るく鮮やかです。この葉姿と、明るい緑の葉、そして葉脈の目立つ硬質のしっかりした葉から非常にシャープな印象を与えます。

シペルス ヘルフェリー

ボルビティス

切れ込みの深い透明感のある葉を展開する水生シダです。ミクロソリウム同様、暗褐色の地下茎を伸ばして草体を流木や石に活着することができます。葉は透明、深緑色で有柄、披針形、全裂羽状です。一般的に活着させた期間が長いほど、立派な葉を展開します。環境が整った大型水槽などで長期間維持すると、葉が50cm以上と大型化します。水温が高くなると葉が黒くなる「シダ病」を発症するので注意が必要です。大型の株は密になりすぎると調子を崩しやすいので、株元に水流を当てたり、茎を根元から間引いたりして、水の流れを良くしてあげましょう。

レイアウトによく使われる品種

ボルビティス ヒュディロティ


水草レイアウトによく用いられる中・後景草の紹介は以上です。
栽培してみたくなるお好みの前景草は見つかりましたか?
この記事から見つかりましたら幸いです!


ズバリ、おすすめは?

ここまで様々な中・後景草を紹介しましたが、どの中・後景草も大変魅力的ですよね。
その気持ち、よく分かります。

どれを選べばよいか悩んでしまう という方のために、2つの視点で3種ずつ選んでみました。

独断と偏見で選ぶ3選

ハイグロフィラ ポリステルマ
ミクロソリウム セミナロー
シペルス ヘルフェリー

こちらはもはや「センス」です。中・後景草は品種も含めると膨大な数の種類があります。まずは、ショップの店員さんの説明や通販サイトの説明文をよく読んで、環境に厳しくない物を選んでみてはいかがでしょうか。

育てやすさ重視の3選

ハイグロフィラ ポリステルマ
バリスネリア ナナ
アンブリア

共通点は「環境に左右されずに育つ」というところ。基本的な水草が育つ環境に身を置いてやれば難なく育つ種類を選びました。


以上、中・後景草の選び方を今回はお送りしました!
今回紹介したものはよく使われる人気種だけをピックアップしています。それ以外にも多種多様な水草がアクアリウムには用いられていますので、ぜひこちらも覗いてみてください。

投稿者
T

1997年10月8日生まれ。愛知県出身。アクアリウムは初心者で、ビギナーの心に寄り添った記事を目指しています。自宅でフトアゴヒゲトカゲを飼育(8歳)趣味のオートバイはかれこれ6年目に突入。

ティーよりコーヒーが好き。

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