どうも、ほにゃらら sp.です。
今回のテーマは金魚の繁殖について。
金魚の産卵は簡単ではありませんが、手順を守ればそう難しいものでもありません。
卵から金魚を育ててみるのも、また貴重な体験となるでしょう。
なお、金魚は1回の産卵で約1000~5000個ほど卵を産むといわれています。
それらすべてがふ化し、成魚まで育つわけではありませんが、向き合う覚悟と準備は必要です。
概要
金魚の繁殖は基本的に春に行われます。
繁殖には前年の秋~冬にかけて、いかにコンディションを整えておくかが最も重要です。
春になったらコンディションが整ったペアを合流させます。
オスがメスを追いかけていれば成功です。
上手くいけば翌朝には水草などの産卵床に産卵しています。
産み付けられた卵は約1~2週間ほどでふ化します。
泳ぎ始めるようになったら、ブラインシュリンプの幼生をふ化させて与えましょう。
ここまでが基本的な繁殖の概要となります。
それでは、以下でそれぞれの詳しい手順を紹介します。
前年の準備
金魚の繁殖は、前年の仕込みが成否を分けると言っても過言ではありません。
狙って繁殖させる場合は、繁殖させたい前年の10月頃が勝負です。
オスとメスを分けよう
金魚は生まれた翌年(2歳魚)から繁殖できます。
ただし、質の良い子を数多く採りたい場合は3~4歳魚を親に使うのがベストです。
それ以上高齢の魚を使うと、逆に産卵数が少なくなることもあります。
秋になったら繁殖させたい親魚を別々の水槽に分けて飼育し、たっぷりエサを与えましょう。
また、たくさんエサを与える分、水換えの頻度も多めにします。
水温が完全に下がりきるまでに、いかに大きく育てるかが重要です。
冬眠を経験させよう
できる限り大きく育て体力を付けさせたら、次は冬眠を経験させましょう。
冬眠を経験していない魚は、産卵成功率が低いといわれています。
ヒーターで加温して飼育した場合、失敗に終わる可能性が高いといわれています。
このため、繁殖を狙う場合はヒーターは使用しないほうが良いでしょう。
水温が10℃近くになったら冬眠の時期です。
エサを与えるのをやめ、その翌々日に水をいつもより多めに換えましょう。
水槽やトロ舟の壁面にコケが生えている場合は、多少見栄えが悪くてもそのままにしておきましょう。
そのまま翌年3月まで、冬眠させます。
春になったら
春になって水温が上昇してくると、金魚は冬眠から目覚めます。
目安として、水温18℃前後で完全に目覚め、産卵の準備が整ってきます。
産卵から目覚めたら、エサをたっぷりと与えましょう。
親魚の成熟を確認しよう
前年にエサをたっぷり与え十分に成熟していれば、冬眠から目覚めてエサをしばらく与えているとメス親のお腹が大きくなってきます。
この中には卵がたくさん詰まっており、これが「抱卵」している状態です。
一方でオスは顔の周りと胸ビレに白いニキビ状の突起がたくさん現れます。
これは「追星」と呼ばれる成熟のサインです。
メス親の抱卵とオス親の追星が確認できれば、産卵は高確率で成功します。
親魚を合流させよう
追星が確認できるオスと、卵を持ってお腹がふっくらしてきたメスがそろったら、準備完了です。
トロ舟、卵を付着させる産卵床(水草やシュロ、人工水草など)、エアレーションを用意します。
エアレーションには「投げ込み式フィルター」は採用せず、「スポンジフィルター」または「エアーストーン」を採用してください。
水温が15~20℃ぐらいになったら、別々に飼育していた親を合流させます。
春になってから合流させることで、産卵成功率が高まります。
オスがメスを追い掛け回していれば、成功確率は高いです。
産卵は主に朝方に行われます。
一度に約1000~5000個もの卵を産むといわれており、その多産っぷりにはおどろきです。
産卵に成功したら
産卵に成功すると産卵床に卵が付着しています。
親はそのままにしておくと卵を食べてしまいますので、トロ舟から隔離しましょう。
また、産卵後の水は産卵行動により汚れています。
全体の2/3程度、水換えを行いましょう。
産卵後の親は体力を消耗しているため、それぞれ別々の水槽で0.5%塩水浴で養生させるとベストです。
卵は水温にもよりますが1~2週間程度でふ化します。
目安として、水温20℃では1週間程度でふ化するでしょう。
それ以上水温が高ければより早く、低ければより遅くふ化します。
この性質を利用すれば、水温をヒーターなどでコントロールすることにより、ふ化のタイミングを調節することも可能です。
稚魚の育て方
稚魚はふ化後、2~3日はお腹にある「ヨークサック」と呼ばれる養分を吸収して育ちます。
エサはこの「ヨークサック」の吸収が完了し、泳ぎ始めてから与えましょう。
最初に与えるエサとしては、ブラインシュリンプの幼生をふ化して与えるのがおすすめです。
成長してきたら冷凍ブラインシュリンプやミジンコを与え、成長に合わせて冷凍赤虫やイトメ、人工飼料に切り替えると良いでしょう。
▼こちらも参考
稚魚の色の変化
多くの品種ではトラ禿げの時期までは黒く、この時期にだんだんと黒が抜けてきて本来の赤や白などの発色が現れ始めます。
品種によっては、この色変わりの時期が遅く、成魚になってから赤くなるものもいます。
選別について
ふ化した魚を100%全て育て切ることは不可能
仮に1000個産卵して、その半分がふ化したとしても500匹です。
数百匹にも及ぶ稚魚を一般家庭で全て育てることは、事実上不可能と言っても過言ではありません。
また、全ての稚魚が理想とする形質を持ち合わせるわけではありません。
したがって、できるだけ理想に近い子を残して育てていく、「選別」という作業が必要となります。
金魚を繁殖させる以上は、この「選別」という作業を避けて通ることはできません。
選別基準は品種によってそれぞれ異なりますが、多くの品種に共通する基準は次の通りです。
色がまだ出ていない稚魚(針子、青子)のうちは、体形を重視します。
稚魚の時点で明らかに奇形が見られる個体は育てても長生きできない可能性が高く、早いうちにハネます。
尾の開きが悪い個体や、逆に開きすぎている個体もハネる対象です。
他の個体に比べ明らかに小さく、成長に遅れが見られる個体もハネる対象です。
細かい選別基準は品種によって異なりますので、各品種が理想とする形質に合わせてハネましょう。
品評会について
一部の品種では各地に「品評会」が存在します。
「品評会」とは、どれだけ理想の魚に近づけたかを競うコンテストのようなものです。
品評会では一般的に品種や会ごとに理想とされる魚の色や形が決められており、それにどれだけ近い魚に仕上げられるかを競います。
金魚飼育を趣味としている方の中には、この品評会での上位入賞を目指して金魚の繁殖に取り組み、切磋琢磨している方もいます。
もし興味があれば、調べてみるのも良いでしょう。
遺伝について
金魚を繁殖させる楽しみの一つに、異なる品種を交配して自分だけの特徴を持った魚を作出することが挙げられます。
ここでは、特に異品種間で交配させた場合の形質の遺伝について解説します。
体色の遺伝
金魚の赤い色彩は潜性です。
野生型はフナのような黒っぽい体色で、この色彩が顕性です。
異なる体色の金魚を交配すると、F1は基本的にフナのような黒っぽい体色となります。
なお金魚の遺伝に関しては、グッピーほど明らかになっているわけではなく、不明点も多いです。
形状の遺伝
形状の遺伝に関しては、おそらく一遺伝子による制御ではなく、複数の遺伝子により制御されているのではないかと考えられる形質が多く、はっきりとしたことはわかっていません。
肉瘤の有無、それの発達具合、尾ヒレの形状や長さ、開き具合などは非常に数多くの遺伝子により制御されている可能性が高いのではないか、と推測されます。
らんちゅうの背ビレの欠損にも数多くの遺伝子によって制御されている可能性があり、背ビレを持つ品種と交配させた後に背ビレの痕跡をなくすのは、何世代にもわたって交配させていく必要があるといわれています。
遺伝様式が分かっている表現の例としては、出目金の特徴である出目の表現は一遺伝で制御される潜性の表現であることが知られています。
長い年月を要する品種改良
金魚の品種改良は大変興味深いものですが、不明点も多く、また世代交代には長い年月がかかります。
世代交代に2~3年かかるので、F2を得て交配可能になるまでには約6~9年かかります。
このため金魚の品種改良にチャレンジする際は、じっくりと腰を据えた長期計画で考える必要があるといえるでしょう。
金魚の繁殖 まとめ
金魚は古来から日本で観賞魚として維持されてきた観賞魚であり、その繁殖はとても奥深いものです。
気に入った品種を系統維持し、理想の色形を追い求めるもよし、新品種を生み出してみるもよし。
また、品評会への出品に挑戦してみるのも良いかもしれません。
ぜひ、思い思いの方向性で、金魚の繁殖と向き合ってみてくださいね。
▼こちらも参考
コメント