ホウネンエビやカブトエビ、なぜ乾燥した卵からふ化するの?

コラム
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こんにちは、スズキです。
水槽飼育用のエサには素材、形、状態、目的別……実にさまざまなエサが販売されています。
皆さんもいろいろと試したことがあるのではないでしょうか。

スズキもいろいろなエサを試しましたが、ふとした疑問に出会ったことがあります。
それは、ブラインシュリンプの卵をふ化させたときのこと。
「水中の生き物なのに、なぜ乾燥した卵からふ化するの?」

水中の生き物のはずなのに……

ブラインシュリンプとは正式名称をアルテミアといい、稚魚の育成に欠かせない小型の甲殻類です。成長してもせいぜい1cmほどにしかなりません。

シュリンプというとエビを指しますが、ではブライン何かというと「塩水」という意味です。ブラインシュリンプは塩水湖を中心とした塩水地帯に生息していることからでしょう。アメリカ、中国、ロシア、ベトナムなどが産地として知られ、特にアメリカのグレイトソルトレイクが一大産地として有名です。(ソルトレイクってまんま「塩湖」ですね!)

ブラインシュリンプの卵というと、基本的にはこんな感じで乾燥した卵が販売されています。
何も知らずに見せられたら、ここに生命を感じることは難しいでしょう。種には見えるかもしれません。

先に乾燥した卵をふ化させる方法からいうと、ただの水ではなく塩水が必要です。その理由はもうおわかりでしょう。ブラインシュリンプは塩水地帯に生息する生き物だからです。

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卵が乾燥にたえられる理由

非常に小さな卵はとても厚い殻に覆われ、中に幼生が代謝が停止した状態で入っています。乾いた状態であれば何年も卵の姿で過ごせるようです。
このように長期間にわたって卵の状態を保てるものを「休眠卵(耐久卵)」と呼びます。
休眠卵を産む生き物としてはほかに、ミジンコ、ワムシ、カブトエビ、ホウネンエビが有名です。

ブラインシュリンプの例で話を続けると、ブラインシュリンプは生存に適したストレスのない環境では卵胎生で繁殖するのが通常です(種によって単為生殖、有性生殖と異なります)。
ただし、低温や食糧不足、乾燥など環境が過酷になった場合、繁殖を行える成体そのものがいなくなってしまいます。このままではブラインシュリンプの種としての存在が危機的状況に!

それでも休眠卵なら生存に適した環境になるまで待つことができます。
つまり、休眠卵というスタイルは生き残るための生存戦略にほかならないというわけですね。

ちなみにミジンコの場合、通常はオスの存在なくメスだけでの単為生殖でメスだけを殖やします。
生息環境が悪くなるとオスが生まれるようになり、有性生殖によって耐久卵が作られます。

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田んぼにもいる休眠卵

先に休眠卵を産む生き物の例として、カブトエビやホウネンエビを挙げました。これらは田んぼに暮らす生き物としてもおなじみですね。夏は生き物たちでにぎわった田んぼも冬はさびしげです。生き物たちは一体、どこにいるのでしょうか。

実は、魚たちは水のある場所に避難し、ザリガニなどは穴を掘って過ごします。カブトエビやホウエンエビは田んぼで産卵し、休眠卵として過ごします。

たっぷり水をたたえていた田んぼは稲刈りを迎える秋にはすっかり水がなくなります。
秋以降、カブトエビやホウネンエビは休眠卵の状態で低温、乾燥した時期を乗り切っているのです。
春になって田んぼに水が張られるようになると、ふ化して姿を見せるというわけですね。

休眠卵の不思議を体験できるキットです。

チャームでは、カブトエビの卵そのものの取り扱いもあります。
カブトエビって実はいろいろな種類がいるのをご存じですか?
アルビノや赤い体色といった改良種も作出されているんですよ。
一般のお店ではなかなか見かけることのないアイテムです。ぜひご覧ください。

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まとめ

昭和世代の人は真っ先に大ブームになった飼育キットを思い出したかもしれません。
あの謎の生命体もアルテミアの一種といわれています。

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