錦鯉の魅力
錦鯉の世界へようこそ。
江戸時代中期から日本で改良が進められ、いわば日本最古の観賞魚とも言える錦鯉。
日本の“国魚”にも指定されており、文化的側面も非常に強い観賞魚です。
錦鯉は海外での需要も高く、日本で生産された錦鯉は世界各地へと輸出されています。
金魚はルーツを辿ると中国生まれですが、錦鯉は日本生まれ。
紅白、大正三色、昭和三色といった多くの品種が作出され、庭や公園などで見られる存在として身近です。
庭に池のあるご家庭では、錦鯉はまさに定番の観賞魚といえるでしょう。
一方で、近年では住宅事情の変化により、庭に池を持つことが難しくなってきました。
このため、近年では水槽での飼育にも注目が集まっています。
水槽で飼育する場合であっても、錦鯉は強健で飼育しやすい観賞魚です。
観賞魚としては寿命も30年前後と非常に長いので、長く付き合うことができるのもメリットです。
その成り立ちはまさに、泳ぐ日本の伝統文化。
家庭で飼える日本の国魚、錦鯉の世界へ、貴方を誘いましょう。
錦鯉とは
分類 | コイ目コイ科 |
学名 | Carassius carpio |
最大体長 | 60cm以上 |
食性 | 雑食 |
水温 | 0~25℃ |
pH | 7.0~7.5程度 |
日本古来から親しまれてきた、観賞用に品種改良されたコイが錦鯉と呼ばれます。
錦鯉は、日本の国魚として親しまれています。
国内で生産される錦鯉の半分以上は新潟県で生産されています。
錦鯉が最初に見つかった新潟県の旧山古志村(現長岡市)は、錦鯉の名産地として知られています。
錦鯉は庭園や公園などでも見られ、日本で育まれた観賞魚としての文化的価値が非常に高い魚です。
近年では海外での需要も高まっており、アジアでも欧米でも高い人気があるようです。
寿命も約30年。
観賞魚としては長寿で、非常に大きく育ちます。
長きにわたって飼育を楽しめるのも、錦鯉の魅力の一つです。
主な錦鯉の種類
御三家
錦鯉の中でも代表的な3品種、「紅白」「大正三色」「昭和三色」をまとめて御三家と呼びます。
紅白
シンプルな紅白柄の品種です。
最も基本的な品種とされ、明治時代にこの品種が登場したことが錦鯉の多様化のはじまりです。
錦鯉は紅白に始まり、紅白に終わるともいわれています。
大正三色
紅白柄に黒が加わり、三色になった品種です。
その名の通り、大正時代に作出された歴史ある品種です。
昭和三色に比べると白さが目立ちます。
地色が白であることが昭和三色との違いです。
昭和三色
大正三色と同様、三色柄の品種です。
大正三色は白の面積が広いのに対し、昭和三色では黒の面積が広くなります。
地色が黒であることが大正三色との違いです。
大正三色とは異なり、口元、胸ビレ、腹の下にまで黒い模様が入ることで区別できます。
写りもの
大胆な黒い斑模様が乗る品種を「写りもの」と呼びます。
黒の地に色が入っているとする表現がふさわしく、赤(緋鯉)なら「緋写り」白なら「白写り」といった具合に呼ばれます。
黒ベースに各色が入るのが「写りもの」です。
黒い鯉に各色が写ったもの、と覚えると良いでしょう。
べっ甲
単色を地色とした体色に、まとまった黒い斑模様が入るものを「べっ甲」と呼びます。
「写りもの」と似ますが、こちらは地の色が黒ではなく各色であることが相違点です。
各色ベースに黒い斑が入るのが「べっ甲」です。
写りものに比べると黒の入り方がやや控えめです。
松葉
全体的に金属光沢のある品種です。
頭・背・胸ビレ・尾ビレに色が乗り、それ以外の部分の鱗が黒く光って見えるのが特徴です。
松葉系は「光り物」と呼ばれるグループの1タイプです。
90年代初頭に話題になった「人面魚」の正体は、この松葉系錦鯉といわれています。
ヒレナガ錦鯉
ヒレの長い錦鯉です。
実はロングフィンタイプの突然変異を固定化したというよくあるパターンではなく、錦鯉とインドネシアのヒレナガゴイの交配により、埼玉県の水産試験場で作出されたという経緯があります。
長く伸びたヒレと、錦鯉譲りの美しい体色をもつ品種です。
錦鯉は基本的に上からの観賞を原則としますが、美しいヒレは横見での観賞価値も高く、水槽飼育にも向いています。
その他の品種
ここで紹介した他にも、錦鯉にはさまざまな魅力的な品種がいます。
お気に入りの品種を探してみましょう。
錦鯉飼育の基本
錦鯉は元来、池での飼育が基本です。
錦鯉は約200年前、江戸時代中期にマゴイの突然変異個体を観賞魚として養殖したものが始まりといわれています。
庭園に泳がせる観賞魚として錦鯉は人気が高く、庭に池がある住宅では錦鯉は好んで泳がせていました。
このため錦鯉本来の性質としては、屋外の広い池での飼育を前提としているところがあります。
しかし、現代の住宅事情では錦鯉を飼える池を持てるような、広い庭付きの住宅は少なくなりました。
このため錦鯉の飼育スタイルも少しずつ変化し、屋内の水槽での飼育が一般的になりつつあります。
このような飼育方法は「盆栽飼育」とも呼ばれます。
盆栽飼育は錦鯉本来の楽しみ方とは異なりますが、それでも錦鯉を水槽で飼いたい!という意見は多く聞かれます。
このため、ここでは水槽飼育を中心に紹介します。
水槽の選択
錦鯉の水槽飼育において、基本的に水槽サイズは大きければ大きいほど良いです。
最終的には90~120cm水槽が望ましくなりますが、体長10cm前後の小さな鯉を飼いはじめる段階では、60cmあれば事足りるでしょう。
フィルター、照明が付いたセットなら、より安心して始めることができますね。
なお、錦鯉の成長に合わせて水槽を買い替える形で計画を立てておく必要はあります。
最終的には90~120cmサイズの水槽を検討してください。
また、錦鯉を水槽で飼育する場合は飛び出し事故も多いです。
若魚でも飛び出すことが多いので、できるだけフタを設置してください。
大きく育つとフタを吹き飛ばしてしまうほどのパワーがあるので、大型個体の場合にはフタに重しを載せておくと良いでしょう。
この点で、上部式フィルターは相性が良いとも言えます。
フィルターの選択
錦鯉は大変強健ですので、どのフィルターを用いても問題ありません。
水を汚しますが環境適応力も強く、多少汚れた水でも平気です。
安価な投げ込み式フィルターを単体で使用するだけでも問題なく飼育できますが、その場合はこまめなメンテナンスが必要です。
性能の良いフィルターを使うほど、水換えなどメンテンナンスの頻度を減らすことができます。
ろ過能力と価格、メンテナンス頻度とのバランスを考えると、上部式フィルターかまたは外部式フィルターが良いでしょう。
投げ込み式フィルターは上級者向け?
投げ込み式フィルターは安価で取り扱いも容易ですが、メンテナンス・水換えのタイミングの判断が難しいです。
水の色やぬめり、匂いなどでタイミングを判断できるのであれば大変優秀ではあるものの、パフォーマンスを最大限に発揮するためには飼育者の経験値が必要です。
はじめて錦鯉を飼育する場合は、上部式フィルターや外部式フィルターを使用したほうが失敗が少ないでしょう。
水槽以外で飼育する場合
水槽以外の容器で飼育する場合は、水作ジャンボやウォータークリーナーなどのフィルターがオススメです。
池だけでなくトロ舟やタライなどでも錦鯉は飼育が可能です。
水槽に比べると屋外での管理になり、水量を多く確保しやすいので、意外と飼育しやすいのもポイントです。
(メンテナンスの頻度は多めが良いです。)
トロ舟やタライで飼育する場合は、出来るだけ大型の容器を選んだ方が良いでしょう。
水質について
水質についてはさほど気にしなくとも問題はありません。
理想を言えば弱酸性環境は好まないため、pHは7.0以上を維持しましょう。
とはいえ錦鯉はゆっくりとした環境の変化には強く、環境になじめば非常に強健です。
一時的であれば、例え水温が35℃になっても耐えることがあります。
反面、急激な環境の変化には弱いです。
朝晩の温度差が激しいと、病気になってしまうことがあります。
底床の選択
大磯などの砂利系底床が良いでしょう。
錦鯉がついばんで濁りの原因になったり、錦鯉に適さない弱酸性に傾ける性質があったりするため、ソイルは不向きです。
目の細かい砂も、メンテナンス性を考えると錦鯉にはあまりおすすめできません。
メンテナンス性を重視する場合は、「何も敷かない」というのも選択肢です。
見た目は殺風景になりますが、フンや食べ残しなどをすぐに発見でき、取り除きやすい点がメリットです。
餌
屋内水槽で錦鯉を飼育する場合、サイズの調節にエサやりは重要です。
錦鯉は、与えるエサの量である程度サイズを調節できます。
欲しがるだけ与えれば錦鯉はすぐに大きくなりますが、そのぶん水槽の買い替えも早まってしまいます。
錦鯉は元来、庭園などの池での飼育を前提としている魚です。
池であればどれだけ大きくしても立派になりますが、水槽飼育では小さいサイズのまま長期間いてくれた方が飼育しやすいでしょう。
もちろん、早く大きく育てたい方は、積極的に与えると良いでしょう。
屋外飼育の場合は、水温が低下し活動が鈍ってきたら、エサの頻度も控えめにしましょう。
水槽飼育用のエサ
「キョーリン 姫ひかり」は錦鯉の水槽飼育専用に開発されたエサです。
「小さな錦鯉を水槽やベランダでずっと飼いたい」というコンセプトのもと、栄養バランスに優れた飼料に仕上がっています。
高品質の色揚げ成分スピルリナを豊富に配合されており、色あせしやすい水槽飼育においても錦鯉の美しさを保ってくれます。
一般飼育用のエサ
錦鯉の餌には「浮上性」と「沈下性」の2タイプがあります。
どちらにもメリット・デメリットがそれぞれあります。
ほとんどの製品のパッケージに記載がありますので、目的に合わせて選びましょう。
浮上性
「浮上性」は水面に浮くタイプです。
錦鯉の水槽飼育では、食べ残しを観察しやすいこちらのタイプがおすすめです。
沈下性
「沈下性」は与えてすぐ水底に沈むタイプです。
錦鯉は本来、底床の中に潜んだ餌を掘り返す習性があります。
底床を敷いており、本来の摂餌スタイルで与えたい場合は沈下性を選ぶと良いでしょう。
製品によってはさらに「色揚げ用」「低水温期用」と記載されているものもあります。
記載のないものは普段使い用と考えてOKです。
- 色揚げ用・・・「アスタキサンチン」や「βカロテン」などを含み、赤い発色を濃くする機能を持たせた餌です。継続的に与えることで、発色をより鮮やかにします。
※赤以外の色を濃くする効果はありません。 - 低水温期用・・・主原料に「小麦胚芽」を多く配合した、消化性を重視したタイプの餌です。
低水温期や病み上がりなどで体力の落ちた魚に向いています。
ヒーターの使用
錦鯉は日本の気候に慣れていますので、基本的に不要です。
しかし、10℃以下になる場合は極端に動きが鈍るため、活動的な姿を見たい場合はヒーターを導入すると良いでしょう。
ヒーターの選び方
温度調節が可能なタイプをおすすめします。
サーモスタット一体型、またはサーモスタットとそれに接続するヒーターをセットで購入すると良いでしょう。
熱帯魚用のオートヒーターは26℃固定式のものが多く、加温するにしても錦鯉にはやや高い温度設定となっています。
錦鯉の場合、加温するのであれば20~24℃の範囲が理想的です。
ダイヤルのついたタイプが扱いやすいでしょう。
万が一病気が出てしまった場合は、28℃近くまで水温を上げる必要のある場面もありますので、この点でも温度調節ができるタイプのヒーターのほうが便利です。
オートヒーターではこの点融通が利きません。
ヒーターカバーについては、あってもなくても構いません。
大きく育てたい場合
水温が高いと代謝が活発になるため、早く大きく育ちやすくなります。
とにかく大きく育てたい!という場合は、ヒーターで加温管理も有効です。
錦鯉の病気
錦鯉は丈夫な観賞魚ですが、病気にかかることもあります。
よくある病気(白点病、尾腐れ病、松かさ病)
多くの病気は熱帯魚と共通ですので、主な病気は下記を参照ください。
白点病、尾腐れ病、松かさ病は金魚がかかりやすい代表的な病気です。
コイヘルペス(KHV)
錦鯉を飼育する方は絶対に知っておく必要のある病気です。
コイヘルペスは春と秋、季節の変わり目に発生しやすいコイ特有の病気です。
ヘルペスウイルスによる感染症であり、コイ以外には感染しません。
なお、一般に流通する錦鯉はすべて検査が行われており、陰性の個体のみ流通しています。
とはいえキャリア(無症状感染個体)である可能性が0ではないので、混泳させる場合には細心の注意が必要です。
特に野外から採集してきた鯉とは絶対に混泳させないでください。
コイヘルペスは、見た目に異常がないまま死に至るのがこの病気の恐ろしい特徴です。
行動がいつもより元気でなくなる、食欲が減退する、体表の粘液分泌が増え白っぽく見える、または泥をかぶったような色になる、などの症状が報告されています。
2023年10月現在、治療法はありません。
この病気は、持続的養殖生産確保法という法律で特定疾病に指定されています。
この病気の存在があるため、飼育しているコイが死亡したり、衰弱したからといって、川や池に捨てたりすることは絶対にしないでください。
錦鯉用語集
錦鯉の飼育において特に使われる主な専門用語をピックアップして紹介します。
御三家・・・「紅白」「大正三色」「昭和三色」の総称です。
墨・・・三色系の柄における黒い発色の部分を指します。
光り物・・・体色に金属光沢が見られる品種を指します。
「山吹黄金」「プラチナ」などの単色のものを「光り無地」、「写りもの」で光沢が入るものを「光写り」、それ以外を「光り模様」と細分化することもあります。
放流は厳禁!
錦鯉は古くから親しみのある観賞魚ということもあり、自然を豊かにする目的で河川に放流されるケースがあります。
しかし、錦鯉はあくまでも観賞魚。絶対に放流してはなりません。
池や水槽などで、逸出なく飼育を楽しむ分には全く問題ありません。
きちんと管理できる目の届く範囲で、末永く錦鯉の飼育を楽しみましょう!
錦鯉は池や水槽で飼育される分には美しい姿で楽しませてくれますが、自然河川などに放流されると在来種の食害を引き起こすことが知られています。
タニシなどの淡水性貝類や、貴重な在来水草への被害は特に深刻といわれています。
皮肉にも大型で長寿なことが災いし、放流された錦鯉は生態系に大きな影響を与える、侵略的な一面がうかがえるのです。
人の管理下を離れ放流された錦鯉は、いわゆる外来種です。
しかも、外来種の中でもとりわけ悪影響が問題視される侵略的外来種になりえるのです。
彩り豊かな錦鯉が河川を泳ぐ姿は、かつては豊かな自然の象徴に見えたかもしれません。
しかしその実、環境中の野生生物に関して様々な悪影響を及ぼしていたことが、近年になって判明しています。
実際のところ、錦鯉の放流は豊かな自然を育むどころか破壊してしまう行為となりえます。
絶対に放流してはなりません。
コメント