身近に採集できる淡水魚

その他水生生物
その他その他水生生物

どうも、ほにゃららsp.です。

今回のテーマは身近で採集できる淡水魚について。
いろいろな熱帯魚をショップで購入して飼育を楽しむのも良いものですが、身近にいる淡水魚や水草を採集して楽しむのもまた、趣のあるものです。

アクアリウムにおいて、日本の淡水魚の飼育は通称日淡にったんというジャンルとして確立されています。

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今回の記事では日本国内、特に本州に幅広く分布している種類についてご紹介します。
なお、生き物を採集して飼育する場合、いくつかの注意事項があります。

よく見かける生物で法律上の規制など注意事項がある生物についても、あわせてご紹介します。

よく見られる在来の淡水魚

全国的に広く見られ、捕獲・飼育が共に容易な種をピックアップしました。

オイカワ
カワムツ
ヌマムツ
フナ類
タモロコ
モツゴ
ドジョウ
シマドジョウ
ヨシノボリ類
ウキゴリ
ヌマチチブ
メダカ
(キタノメダカ/ミナミメダカ)

オイカワ

学名:Opsariichthys platypus
Zacco platypus
別名:ハヤ、ハエ、ヤマベ
見つけやすさ:★★★

全国各地の河川に広く生息するコイの仲間です。
春~初夏にかけてオスは頭部が黒、腹部がピンク、各ヒレの全縁が赤、体側は緑色に染まり、尻ビレが大きく伸長します。

この発色は日本産淡水魚の中でも最も美しいとされ、日本産淡水魚の中でも屈指の人気種です。

比較的数も多く、捕獲も容易です。
しかし、飼育には若干のコツが必要です。

活発に泳ぐため、十分なスペースを確保することを意識すると良いでしょう。
狭い水槽で飼育すると、何度も壁に突撃しては弱ってしまうことがあります。

成魚は60cm水槽でもやや狭く、6045~90cm以上での飼育が理想です。
水流も強めを好みます。

婚姻色が表現されたオス個体
漁業権に注意

オイカワは一部の都道府県や地域で、漁業権の対象種となっていることがあります。
採集する場合は地域のルールに反していないか、よくご確認の上採集しましょう。

カワムツ

学名:Nipponocypris temminckii
別名:カワムツB型
見つけやすさ:★★★

オイカワと並び、美しい婚姻色を持つコイの仲間です。
オイカワと同じ川に生息していることも多く、鮮やかな黄色の発色が人気の種です。

オスは背ビレが赤く染まり、胸ビレ、腹ビレ、尻ビレは黄色い発色を見せます。

本種もオイカワ同様活発に泳ぎ回るため、水槽は広いほうが望ましいです。
できるだけ大型水槽で、水流を作って飼育すると良いでしょう。

ヌマムツ

学名:Nipponocypris sieboldii
別名:カワムツA型
見つけやすさ:★★☆

カワムツとよく似たコイの仲間です。
体色などの特徴はほとんどカワムツに準じますが、分かりやすいところでは腹ビレが赤く染まる点で識別できます。

カワムツかヌマムツかを見分けるのは腹ビレの色を確認するのが簡単です。
黄色であればカワムツ、赤であればヌマムツです。

飼育上の基本的な性質はヌマムツに準じます。

フナ類

学名:Carassius sp.
別名:フナ、マブナ、フナメ
見つけやすさ:★★★

日本各地に分布している小型のコイの仲間です。
古くは食材としても利用されてきました。

コイに似ていますが、髭がない点でフナ類であると区別できます。
一方でフナ類のどの種類かについては種数が多く、しかも外見での識別は困難であることも多いです。

背ビレの条数や、エラを開いて鰓耙さいは数を確認しないと判断ができないこともあり、その判別は複雑難解を極めます。

金魚と近縁な関係にあり、飼育に関しては和金型の金魚に準じます。丈夫で飼育しやすい魚です。

現在知られているフナは以下の6種です。

外見や分布域におおよその傾向がありますが、外見のみで確実にこの種であると断定することは困難を極めます。

ギンブナ
キンブナ
  • ギンブナ
    • 日本全国で見られるふつうのフナです。
      実はほとんどがメスであることが知られており、雌性発生でクローン増殖することが知られています。普通種ながら、興味深い生態の持ち主です。

  • キンブナ
    • 東日本を中心に分布する小型のフナです。
      日本のフナ類の中では最も小型で、成長しても15cmほどにしかなりません。
      体高がやや低く、流線型の体型をしています。
  • オオキンブナ
    • 西日本を中心に分布する大型のフナです。
      体色はキンブナに似ますが、最大で40cm程度にまで成長するのが相違点です。
  • ナガブナ
    • 長野県の諏訪湖周辺に分布するフナです。
      全長に対し体高が低く、細長く見えるのでこう呼ばれるようです。
  • ニゴロブナ
    • 琵琶湖固有種のフナです。
      横から見ると顎が角ばっており、口が上を向くことで区別可能とされます。
      滋賀県特産品の鮒寿司は、本種を原材料に作られます。
  • ゲンゴロウブナ
    • 琵琶湖固有種の鮒です。
      体高が高く、円盤型の体型をしているため比較的区別は容易です。
      元々は琵琶湖固有種でしたが、釣りの対象として本種からヘラブナが品種改良により作出され、全国に放流されたものが各地で見られます。

タモロコ

学名:Gnathopogon elongatus
別名:ミゾバエ、スジモロコ
見つけやすさ:★★☆

北海道を除く日本全国に生息する小型のコイの仲間です。
体色は褐色がかった銀白色で、体側中央には太い暗色のラインをもちます。

モツゴに似ますが、モツゴよりもずんぐりとした体形をしています。

飼育に関しては容易です。
エサは選り好みせずに、よく食べます。
性質は温和なので、混泳にも向いています。

元々は愛知県以西の本州、四国が生息域でしたが、放流などにより生息地を広げたようです。
今ではモツゴと同様に河川に中下流域や小沼を代表する種です。
つまるところ、東日本で見つかる個体は外来種(国内外来種)ということになります。

モツゴ

学名:Pseudorasbora parva
別名:クチボソ
見つけやすさ:★★★

クチボソの愛称で古くから親しまれる小型のコイの仲間です。
細身で小さな口を持ち、体色は銀白色で側線に沿って1本の明瞭な黒いラインが入ります。

ただし、縦条は成長につれ薄れて消失するほか、もともとない個体も存在します。

飼育は容易で、水質も特に選好みをほとんどしません。
十分成熟したオス個体は全身が黒っぽくなり、縄張りを主張する様になります。

タモロコにも似ていますが、モツゴには口ひげがなく、タモロコの方が寸胴な体形をしていることで見分けられます。

ドジョウ

学名:Misgurnus anguillicaudatus
別名:マドジョウ
見つけやすさ:★★★

最もふつうのドジョウです。
「マドジョウ」と呼ばれることもあります。

野生下の個体、流通する個体共に、日本在来の「ドジョウ」と外来種の「カラドジョウ」が混在している状態といわれています。
北日本を中心とした一部地域にはさらに「キタドジョウ」という種もいます。

どの種も外見は酷似しており、見た目での判別は困難を極めます。
掃除要員として採用する場合、どの種も働きぶりはどちらも変わりません。

シマドジョウ

学名:Cobitis biwae
見つけやすさ:★★☆

斑点や筋状の模様が特徴的なドジョウです。
日本固有種で河川中~下流域、湖沼などに生息しています。

特徴的な模様の個体差は激しく、個体によってはライン状になる個体もいます。

一般的なドジョウに比べ比較的きれいな水を好み、砂礫底で見られます。
水路やため池などよりも、河川を好む傾向があります。

実は2012年に4種に細分化されており、「シマドジョウ」という標準和名は既に消滅しています。

実は4種いるシマドジョウ

シマドジョウは、2012年に細分化され以下の4種になりました。

  • オオシマドジョウ(typeA):主に瀬戸内海周辺地域に分布
  • ニシシマドジョウ(typeB):主に西日本に分布
  • ヒガシシマドジョウ(typeC):主に東日本に分布
  • トサシマドジョウ(typeD):高知県固有種 ※県条例により販売・捕獲禁止

外見での識別は非常に困難ですが、個体の産地が分かればある程度判定可能です。
高知県では採集が禁止されているトサシマドジョウが分布しますので、シマドジョウ類の採集はしないほうが良いでしょう。

ヨシノボリ類

学名:Rhinogobius sp.
別名:ダボハゼ
見つけやすさ:★★★

日本から東南アジアまで広く生息するハゼの仲間です。
河川に広く生息する小型のハゼとしてなじみ深く、採集、観賞の対象として人気を集めています。

オスは美しい婚姻色を持ち、ユニークな生態など非常に魅力的な種です。

一方で分類は複雑難解であることも知られ、各種を識別する難易度も高めです。
アクアリウムにおいては複数種混在したものをまとめて「ヨシノボリ類」と総称されています。

飼育は容易ですが、ハゼ類共通の性質としてテリトリーを主張するようになると同種他種問わず気の荒い部分を見せるようになります。

また、底砂を掘る点にも注意が必要です。
他魚のヒレを齧ることもあるので、出来れば単独飼育が理想的でしょう。

本州に広域分布するヨシノボリは以下の8種です。
他にも分布域が限られる種などがいます。

アクアリウムにおいて単に「ヨシノボリ」の名で流通する種類は、「カワヨシノボリ」または「トウヨシノボリ」であることが多いようです。

シマヨシノボリ
クロダハゼ
(旧トウヨシノボリ偽橙色型)
  • カワヨシノボリ
    • 西日本に広く分布するヨシノボリです。河川中~上流域ではよく見られます。
      他の種に比べ大きな卵を産むことが知られ、純淡水で繁殖可能です。
      胸ビレの条数で他種と区別でき、17本以下であれば本種です。
      本種の中には少なくとも3タイプが存在することも知られています。
  • トウヨシノボリ(旧名:ヨシノボリ橙色型)
    • 全国的に広く分布するヨシノボリです。特に東日本でよく見られるのは本種です。
      オスの尾ビレの付け根にオレンジ色の斑点が見られることがその名の由来ですが、この斑点を持たない個体もいます。
      複数の隠蔽種が含まれるかもしれないともいわれています。
  • シマヨシノボリ(旧名:ヨシノボリ黄斑型)
    • 全国の沿岸域に広く分布するヨシノボリです。海沿い近くの川ではふつうに見られます。
      頬に赤い迷路状の模様が入ることで、他種と容易に区別できます。
  • オオヨシノボリ(旧名:ヨシノボリ黒色大型)
    • ヨシノボリ類最大種です。最大で10cmを超えます。
      開けた河川の中~上流域を好みます。
      胸ビレと尾ビレの付け根に特徴的な黒斑が入ることで他種と区別できます。
  • ルリヨシノボリ(旧名:ヨシノボリるり型)
    • 急峻な渓流域を好むヨシノボリです。
      国産種ではオオヨシノボリに次いで大きくなります。
      頬に瑠璃色に輝く斑点が入る点で、他種と容易に区別できます。
  • クロヨシノボリ(旧名:ヨシノボリ黒色型)
    • 黒潮の影響を受ける沿岸域に多く見られるヨシノボリです。
      胸ビレ状の三日月状の斑点と、尾ビレの中央部にのみ点列模様が見られるのが特徴です。
      “クロ”とつきますが、必ずしも黒い色をしているとは限りません。
  • クロダハゼ(旧名:トウヨシノボリ偽橙色型)
    • 関東地方の平野部ではごく普通に見られるヨシノボリです。
      強い流れを好まず、流れの緩い河川やため池を好む傾向があります。
      かつてはトウヨシノボリ偽橙色型と呼ばれており、後に細分化されました。
      オスでも背ビレが伸長せず、全体的に丸っこいのが特徴です。
  • シマヒレヨシノボリ(旧名:トウヨシノボリ縞鰭型)
    • 近畿~瀬戸内海周辺地域ではごく普通に見られるヨシノボリです。
      クロダハゼに似た環境を好みます。
      かつてはトウヨシノボリ縞鰭型と呼ばれており、後に細分化されました。
      オスでも背ビレが伸長せず、第二背ビレに縞模様が入り、尾ビレの下部が赤く染まるのが特徴です。

産地と外見的特徴でおおよそ判定は可能ですが、慣れないと区別は難しいです。

ウキゴリ

学名:Gymnogobius urotaenia
見つけやすさ:★★☆

国内に生息するハゼの中では大型になるハゼの仲間です。
中層付近を泳ぐ性質から“浮くゴリ”(ゴリ=ハゼ)と呼ばれます。

褐色の体色に暗色班を持ち背ビレの後端に眼状班を持ち、よく似た他のウキゴリと比べてもこの眼状斑がはっきりしています。

飼育は容易ですが、ヨシノボリ類と同様で縄張り争いをしたり、巣穴を掘ったりします。

ハゼなので攻撃性はありますが、ハゼ科全体で見ると比較的穏やかな部類には入ります。

ヌマチチブ

学名:Tridentigerer brevispinis
別名:チチブ
見つけやすさ:★★★

ずんぐりした体形を持つ、ハゼの仲間です。
河川下流の純淡水域を中心に生息します。
湖などでもよく見られます。
汽水域には本種とよく似た「チチブ」という魚が見られます。

岩や倒木、杭などや礫底など隠れ場所の多い場所を好み、隠れ場所になわばりをつくります。

全体的に黒~黒褐色で、頬を中心に青白い斑点が入ります。
胸ビレの付け根はオレンジに縁どられ、オスは背ビレが伸長します。
比較的大きくなり、人にもよくなつくので、ペットフィッシュ的な付き合いも可能です。

比較的容易に採集できるハゼ科の中では最も攻撃性が高く、混泳には不向きです。
口に入る小魚やエビは積極的に食べてしまいますので、単独飼育がおすすめです。

メダカ

学名:Oryzias latipes(ミナミメダカ)
Oryzias sakaizumii(キタノメダカ)
見つけやすさ:★☆☆

おそらく日本の小魚としては最も有名な魚です。
近年人気の高まりを見せる、改良メダカの原種です。
アクアリウムにおいては”クロメダカ”と呼ばれることもあります。

日本全国の水田や小川でかつては見られましたが、現在では少なくなってしまいました。
自然度の高い地域では、まとまった数が見られることがあります。

環境適応力は非常に高く、飼育は大変容易です。
屋外であれば、フィルターを設置せずとも飼育できます。

一方でメダカはスレに弱く、網で採集した個体はスレにより水槽に持ち込んでも弱ってしまうことも多いです。

採集する際は、うまく網に追い込んで優しく掬うとよいでしょう。

実は2種いる!?ミナミメダカとキタノメダカ

メダカは2013年に「キタノメダカ」と「ミナミメダカ」の2種に細分化されました。

全国的に広く分布しているのは「ミナミメダカ」で、「キタノメダカ」は青森県から兵庫県北部にかけて、日本海側の沿岸域を中心に分布しています。

両者の見た目は非常によく似ていますが、背ビレや尾の付け根の斑点などに微細な違いがみられるようです。

クロメダカでも放流しないで!

改良メダカの放流は絶対にしてはいけない、と近年周知されつつあります。
改良メダカの放流は当然厳禁ですが、仮に採集してきたクロメダカであったとしても、放流してはいけません。

野生のミナミメダカは少なくとも東日本型、山陰型、東瀬戸内型、北部九州型、有明型、薩摩型、大隅型、琉球型の9つのグループに分けられるといわれます。

これら各グループのメダカを外見で区別することはほぼ不可能ですが、遺伝子を確認すると区別できるようです。

例えば帰省先で採集してきたメダカを殖やして、近所の川に放流する……といった行為は、一見メダカの暮らす豊かな川を作ろうとする良い試みであるかのように見えます。
しかし、実際のところは外来遺伝子の移入を引き起こしかねない、環境破壊行為となってしまうのです。

外見上はクロメダカであったとしても、野生のメダカとは異なる遺伝子を持つかもしれません。
絶対に放流はしないでください。

一度飼育を開始したメダカは、放流せずに大事に飼育してください。
もし、採集した具体的な産地が分かっているメダカであれば、放流せずに継代飼育しておくと後々メダカの暮らす環境を守るために役立つことがあります。

それ、本当にメダカですか?

野外でメダカを採集した場合、絶対に一点確認しておきたいことがあります。
そのメダカ、「カダヤシ」と間違えていないでしょうか。

カダヤシはメダカとよく似ている小魚ですが、「特定外来生物」に指定されており、法律により飼育が禁止されています。

知らずに持ち帰った場合でも厳罰の対象となる可能性があります。
採集したメダカを飼育したい場合、本当にメダカかどうかよく確認してから持ち帰りましょう。

カダヤシ
メダカとよく似ていますが、
特定外来生物なので
飼育が禁止されています。

よく見られる外来の淡水魚

全国各地に移入され、比較的広域で見られる種類をピックアップして紹介します。
本州であれば、これらは近所で採集をしていても出会う機会の多い種です。

外来種として野外への定着例があるということは、もしまだ侵入していない地域に広がると、容易に定着してしまう可能性が想定される生物です。
このため、飼育を始めた場合は絶対に放流しないでください。

なお、一部の種は「特定外来生物」という、法律で飼育が禁止されている種もいるので注意が必要です。

法律により飼育が禁じられていない外来種に関しては、飼育は可能です。

特定外来生物とは、日本の農林・水産業に重大な被害を及ぼす可能性があるとして、外来生物法により名指しで飼育が規制されている生物です。

特定外来生物に指定されている生物は野外でもよく見られ、珍しいものではありません。
しかしながら特定外来生物は、採集して持ち帰ってはいけません。
生きたままでの運搬・飼育は原則禁止されており、違反すると厳罰の対象となります。

なお、捕まえたその場でのリリースは、外来生物法上は問題のない行為です。
しかし、都道府県の条例などでリリースも禁止されている場合があるので注意しましょう。
※リリース禁止の地域で対象の特定外来生物捕獲した場合は、その場で捕殺するほかありません。

▼こちらも参考

比較的全国的に見られるのはタイリクバラタナゴです。
タナゴの中では最も見つけやすい種類といえます。

カダヤシ、ブルーギルは全国的に広く見られる一方で、特定外来生物に指定されているため法律により飼育は禁止されています。

特にカダヤシはメダカと間違えやすいので、注意が必要です。

釣りの対象魚として人気のブラックバスも、飼育は禁止されています。

タイリクバラタナゴ
ニジマス
飼育不可
カダヤシ
(特定外来生物)
ブルーギル
(特定外来生物)
ブラックバス
(特定外来生物)

タイリクバラタナゴ

学名:Rhodeus ocellatus ocellatus
別名:タランコ、オカメ
見つけやすさ:★☆☆

中国原産のタナゴです。
全国各地でよく見られ、婚姻色が美しいのでタナゴ類を代表するかのようなポジションにいますが、実は外来種です。

在来のタナゴはどの種も現在では少なくなってしまっており、簡単に見つけることはできなくなってしまいました。
全国的にどこでも広く見られ、見つけやすいタナゴとなると、まず本種が挙げられるでしょう。

繁殖期は長く、4~10月にかけてオスは鮮やかな婚姻色を表現します。
観賞価値が高く、最も入手しやすいタナゴとして古くから人気があります。

ニジマス

学名:Oncorhynchus mykiss
見つけやすさ:★☆☆

北米原産のサケの仲間です。
食用魚でもおなじみで、渓流釣りのターゲットとしても人気者ともいえるでしょう。

エラ蓋から尾柄にかけては朱紅色の縦帯、体には多数の黒点があって美しい色彩を持ちます。

飼育に関しては、マス類なので難易度は高めです。
最大で50cmに育つので、最終的には90cm以上の大型水槽が必要になります。

本種は冷水魚なので、夏等にはクーラー等を使用して水温を18℃以下に保つ必要があります。
また、小魚等も捕食するため混泳は適していません。

最終的には50cm近くに育つので、飼育には相応の計画性が必要です。
渓流の王者といったような風格が魅力です。
漁業権に注意

ニジマスは釣りのターゲットとしても人気であり、漁業権の対象種となっていることも多いです。
採集する場合は地域のルールに反していないか、よく確認の上で採集しましょう。

▼こちらも参考

カダヤシ(特定外来生物につき飼育不可)

学名:Gambusia affinis
見つけやすさ:★★★

北米原産の、メダカによく似た小型魚です。
特定外来生物に指定されているため、飼育は不可能です。

メダカとよく似ているので、間違えて持ち帰ってしまわないように注意が必要です。

都市部近郊の用水路や公園の水辺などでは、メダカよりも本種のほうが多く見受けられるかもしれません。

背ビレの位置や尻ビレの形状がメダカとは大きく異なるので、この点で識別できます。

ブルーギル(特定外来生物につき飼育不可)

学名:Lepomis macrochirus
見つけやすさ:★★★

北米原産の、サンフィッシュ科の魚です。
淡水魚ですが、海にいる魚に近い形をしています。
特定外来生物に指定されているため、飼育は不可能です。

成魚ではエラ蓋の一部が突き出て濃紺色に染まり、この点で他の魚と区別できます。

国産の淡水魚では、強いて言えばオヤニラミが似ているといえるかもしれません。
間違えて持ち帰ってしまわないように、注意が必要です。

手のひらサイズのブルーギル。
まるでシクリッドや、海産魚のような見た目をした淡水魚です。
警戒心が弱く、好奇心が旺盛なので、釣りでもよく釣れます。

ブルーギルは全国各地の河川やため池などでも普通に見られ、特に珍しい魚ではありません。
採集をしていると見かける機会も多い魚種ですが、特定外来生物であるため、活かしたまま移動させてはなりません。

他の魚と間違えて持ち帰ってしまわないよう、注意しましょう。

ブラックバス(特定外来生物につき飼育不可)

学名:Micropterus salmoides salmoides(オオクチバス)
Micropterus dolomieu(コクチバス)
見つけやすさ:★★☆

北米原産の、サンフィッシュ科の魚です。
ルアーフィッシングの対象魚として人気ですが、網を使った採集でも時折採れることがあります。
特定外来生物に指定されているため、飼育は不可能です。

海にいるスズキに近い形をしており、全体的に黄褐色を帯びています。
本種に似た国産の在来種はいませんが、間違えて持ち帰ってしまわないように注意が必要です。


その他の水生生物

アメリカザリガニ
スクミリンゴガイ
(ジャンボタニシ)

アメリカザリガニ

学名:Procambarus clarkii
別名:エビガニ、マッカチン
見つけやすさ:★★★

北米南東部原産のザリガニです。
外来種ですが、全国的に広く見られるのでザリガニといえば本種をイメージする方が多いでしょう。

都市近郊の小川や用水路でも見られ、ザリガニ釣りなどの子供の遊びで知られる非常に身近な甲殻類です。
淡水魚の採集をしていても非常によく見られます。

なんでもよく食べ水の汚れにも強く、飼育しやすい生き物代表的な存在ともいえますが、魚との混泳は不向きです。

飼育時の注意(※2024年1月時点)

アメリカザリガニは2023年6月に「条件付き特定外来生物」に指定されました。
「条件付き」で飼育は可能であり、採集に関しても今まで通りで特に制限はありません。
特定外来生物を特別に飼育する場合は環境省への許可申請が必要ですが、アメリカザリガニの場合は不要です。

ただし、その個体を販売したり、不特定多数の人に配ったり、飼育していた個体を野外に放したりすると厳罰の対象となります。

捕まえたその場でリリースする分には、罰則の対象外です。
一度家に持ち帰ってからリリースすると、捕まえた場所であっても罰則の対象となります。

本種を持ち帰って飼育する場合は、終生飼育しなければならない点に留意しておきましょう。

▼こちらも参考

茶色いザリガニはニホンザリガニ?
アメリカザリガニの子供
広く見られるのはほぼこちら
ニホンザリガニ
北海道・東北の一部地域のみ

アメリカザリガニといえば赤いイメージが強いです。
一方で採集をしていると一回り小さく、茶色い個体も数多く見られます。

これは在来種のニホンザリガニなのかというと……たいていの場合、そうではありません。

アメリカザリガニの子供であることがほとんどでしょう。

ニホンザリガニは東北地方や北海道のごく一部の地域にしか見られず、全国各地に広く見られるような生き物ではありません。

▼こちらも参考

スクミリンゴガイ

学名:Pomacea canaliculata
別名:ジャンボタニシ
見つけやすさ:★★★

田んぼなどでよく見られる、南米原産の巻貝です。
タニシとつくものの、実はタニシとは異なるグループに属します。

比較的大型になり、雑食性で藻類や死肉類などなんでもよく食べます。
水槽内ではコケ取り能力をはじめ高い掃除能力が評価されますが、勢い余ってコケも水草も何でも食べてしまいます。
田んぼでも稲の苗を食害してしまうことが問題視されています。

掃除屋としての能力は確かに高いものの、壁面をよじ登る能力も高く、脱走にも注意が必要で取り扱いの難しい巻貝です。
野外では水田の稲を食害するその性質上、絶対に逃がしてはいけません。

単なるコケ取り要員としての採用はややリスクが高い種です。
よく考えた上で導入しましょう。


身近に採集できる淡水魚 まとめ

身近に見られる淡水魚にも魅力的な種は多くいます!
  • 身近な小川やため池などにも、多種多様な魚が生息しています。
  • 身近な水辺で暮らす魚たちも、水槽で飼育してみると熱帯魚とはまた異なる魅力を見せてくれます。
  • 身近に見られる生物であっても、「特定外来生物」に指定されている一部の魚は法律により飼育が禁止されていますので注意が必要です。
  • 「特定外来生物」は近所の小川、用水路、ため池などにも紛れ込んでいることも多いです。絶対に持ち帰ってはいけません。
    種類の分からない生き物は、持ち帰らないほうが良いでしょう。

▼採集に関してはこちらも参考

▼一度飼育をはじめた生き物は放流してはいけません!

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

コメント

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