ビーシュリンプ系とタイガー(ゼブラ)シュリンプ系を交配した、ハイブリッドシュリンプ人気の先駆けともいえる「ファンシータイガーシュリンプ」。
今から10年ほど前に登場し、当時は一部の愛好家の間のみでの繁殖で、流通量も少なく貴重な品種でした。
現在では流通量が増え、本品種から派生したシュリンプも多く作出されています。
今回は、そんなファンシータイガー・シュリンプを掘り下げてみようと思います。
ファンシータイガー・シュリンプとは
特徴
ファンシーシュリンプは、異なる種同士の交配によって作出されているため、両種の特徴がどのくらい出るかでさまざまな表現が見られます。
腹から尾にかけてのバンド柄は、タイガー(ゼブラ)シュリンプの特徴が出ています。
頭部の模様は、より細かく不規則に入るほど、きれいでグレードが高い個体とされています。
カラーバリエーション
レッドファンシータイガー:赤と白の不規則柄が特徴。
ブラックファンシータイガー:黒と白の不規則模様が特徴。
模様・表現について
ファンシーの作出時、まだ頭部の白い部分が少なく、頭部付近にレッドビーシュリンプの表現と同じマロの特徴のドットが入る程度でした。
また、ファンシーもCRS同様に作出当初は甲殻が透き通り、色の厚みがない個体が多くいました。
より美しい個体の作出を目指して、殻の厚み・色濃さ・模様のパターン(不規則性)からさまざまな交配を繰り返し重ねて今のファンシーのような個体が生まれてくるのです。
ファンシータイガーシュリンプは、新しい表現を生み出しながら選別し、足りない部分は別の品種で補うといった交配を繰り返し行い、固定率を上げてきた品種です。
ファンシータイガーシュリンプの表現のひとつ「スノーフラワー」という模様のパターンがありますが、これはフィッシュボーン(クラウド系)から引き継がれた模様のパターンです。
※スノーフラワーは「表現」・「品種」という二通りの意見があります。今回は表現として書いています。
※ビーシュリンプでいう、「バンド」「日の丸」「モスラ」にあたります。
飼育方法について
飼育方法や環境設備などはこちらの記事でご紹介しています。
飼育に関する注意点
基本飼育方法は同じで、ファンシータイガーシュリンプも特に注意する点はありません。
シュリンプ飼育は水作りが大事になります。約1~2週間かけてバクテリアを定着させ、不安定な水質を安定化させるのがポイントです。
※添加剤・調整剤を使用するときは、先に水のチェックを行うようにしましょう。
交配・繁殖方法
ファンシータイガーシュリンプはハイブリッドシュリンプの一品種です。シュリンプの作出方法は詳細な情報が明かされていません。
ファンシー系シュリンプは各ブリーダーさんごとにさまざまな工夫を凝らしながら繁殖・交配をしています。
レッドファンシータイガーの場合、ベースになっているタイガー・シュリンプ(ゼブラ系)に他のエビと交配させて作出されています。
もとは透明な甲殻のタイガーシュリンプに色・柄をのせて表現をつくるイメージです。
レッド系であれば、白と赤の色を入れる(レッドビー・シュリンプ)色の濃さ深みを出すためにシャドー系シュリンプとの交配を行います。
ファンシータイガー作出も数種類の方法が考えられています。基本的な交配は同じですが過程が少し変わるのでご紹介しましょう。
説1は因子を作ってファンシーシュリンプからの選別交配です。
R と r を掛け合わせた場合にできる因子
「1.R × R =R 2.R × r = Rr 」 となりRrのF1個体ができます。Rrの個体同士を掛け合わせた場合F2個体で、RR・Rr・rr個体が生まれる形になります。
簡単にR,rで表せるほどエビの遺伝子が解明されているわけではありませんが、2世交配させると各系統の特徴がそれぞれ分離して現れます。
この中から、狙った特徴が出ている個体同士を交配し、自分の理想とする模様や発色に近づけていきます。
説2は1とほぼ変わりませんが、ファンシーシュリンプからピントシュリンプ作出中に出た個体の選別交配による方法です。
説3はピントシュリンプ交配で出る個体の選別交配です。多くの血が混ざっていることもあり、多様な表現が出てきます。
ファンシータイガーシュリンプはブリーダーさんによって交配方法が違う場合があります。
まとめ
ファンシータイガー・シュリンプは、多くの血統を持つ品種です。交配方法で自分好みのハイブリッド系品種を作出してみたい方には良い品種でしょう。
多様な表現のシュリンプが生まれるので、ブリードが初めての方から上級者の方まで人気があります。
ぜひ、ファンシータイガー・シュリンプのブリードにチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
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