実は奥深い「水槽」の話<取り扱い時の注意点・水槽の歴史・種類と特徴>

用品解説
用品解説

アクアリウムのみならず、小さな動物たちを飼育するのに欠かせない「水槽」。実はひとくちに水槽と言ってもさまざまです。本記事では身近な水槽について深掘りしていきます。

そもそも水槽の起源は?

諸説ありますが、メソポタミア文明・エジプト文明の頃には食用の魚を生かすために池で魚を飼育していました。この頃はまだ「魚を鑑賞する」という概念はなく、本当に食べるためだけが目的でした。

1700年前の中国ではフナを意図的に選別し繫殖が始まったといわれています。この頃に現在の金魚の原型「緋ブナ」が登場しました。その後、貴族たちが陶器製の容器に入れたフナやコイを屋内に持ち込み楽しみ始めました。アクアリウムの始まりです。

日本に金魚が持ち込まれたのは室町時代。江戸時代に入ると高さのある大きなガラス製の水槽が登場し、お金持ちを中心に水草など共に金魚飼育などが楽しまれるようになりました。

「アクアリウム」がポピュラーに

1851年のロンドン万国博覧会で枠組みのある水槽が展示されたことがきっかけで、アクアリウムはヨーロッパでポピュラーな趣味となっていきました。

一方、日本では室町時代に中国から金魚が持ち込まれ、飼育者数は増えていきました。江戸時代後期から明治時代にかけて金魚飼育が庶民にも浸透し、太鼓を縦にしたような丸型の水槽や小さな金魚鉢を紐で吊るすなど飼育方式も多様化していきました。お祭りの金魚すくいもこの頃からで、当時は「すくい」ではなく「釣り」だったようです。

太鼓を縦にしたような水槽の例。現代では和風な物だけでなく、デフォルメされてモダンでおしゃれなインテリア水槽も多く存在します。
吊るし飼育のイメージはこんな感じ。画像は観葉植物用のポットですが、この位置に小さな金魚鉢を。金魚を1匹入れて楽しんでいたようです。

熱帯魚も持ち込まれていたものの、園芸温室を持つような裕福な家庭でなければ飼育は難しかったといわれています。

水槽は全部同じ?

こんな歴史があって今日ではアクアリウムは世界中で人気となっています。「アクアリウムを始めてみたい」と思っているそこのあなた!水槽はどれでもいい、全部一緒と思っていませんか? もしそうだとしたらそれは違います。

水槽を選ぼう

現在市販されている水槽にはさまざまな種類があります。あなたに合った水槽はどれですか?

タイプで選ぶ

フレーム水槽
「枠あり水槽」ともいわれる、縁や底辺部分を補強されているタイプです。長年愛されている昔ながらのスタイルです。特に生き物の飼育をメインにする場合に向いています。

フレームレス水槽
「オールガラス水槽」ともいわれます。近年人気の水槽で、全面ガラスであることから高い鑑賞性が特徴です。特に水草レイアウト水槽に向いています。

素材で選ぶ

ガラス水槽
水槽の素材の中で最もポピュラーでしょう。透明度が高く、傷がつきにくい上に長期間使用しても素材の劣化が少ないことが利点です。また、他の素材に比べて安価です。一方、割れやすく重量があることがデメリットです。

アクリル水槽
衝撃に強く、ガラス水槽に比べ軽いことが特徴です。加工がしやすく、個性的な水槽も存在する反面、細かい傷がつきやすく紫外線などの刺激に弱いです。経年劣化により、変色することもあります。また、ガラス水槽より高額です。

プラスチック水槽
ビギナーの方にオススメの製品に多く使われている素材です。素材が安価なため、水槽もリーズナブルで手が届きやすい価格帯となっています。また、小型水槽の製品が多く重量も軽いのでお子さんがアクアリウムに挑戦するにはピッタリです。

大きさで選ぶ

規格水槽
サイズ展開が決まっていて、量産向けに作られた水槽です。「30cm水槽」や「60cm水槽」と記載されていることが多いですが、これは水槽の横幅を示しています。お部屋のスペースや飼育したい生き物の大きさなどを考慮して、適切なサイズを選ぶことが重要です。

規格水槽は、30cm・60cm・90cm・120cmが主流ですべて30で割り切れる数字になっていることをご存じですか?これは寸法を測る際「尺貫法」という方法に基づいているからなんです。

江戸時代に、長さを「尺(しゃく)」、質量を「貫(かん)」、体積を「升(しょう)」と表して、物づくりや建築の際に活用していました。1尺は約30cm。その名残で30で割り切れる数字の規格が使われているのです。

一般的な規格水槽の大きさと水量、飼育できる生き物の目安を表にしてみました。

規格大きさ(cm)水量目安
30cm未満~約18L  手ごろな水槽容器。金魚やメダカの飼育に。
30cm幅30×奥行30×高さ30約24L週1~2回の換水でネオンテトラやグッピーが数匹飼育可能。
45cm幅45×奥行24×高さ30約29L中間的なサイズ。着実にステップアップしたい人向け。
60cm幅60×奥行30×高さ36約60L最もスタンダードなサイズ。
90cm幅90×奥行45×高さ45約172Lフラワーホーンなど中・大型魚が飼育可能。小型魚も群泳が楽しめる。
120cm幅120×奥行45×高さ45約230Lアロワナや淡水エイなどの超大型魚を飼育可能。

形で選ぶ

レギュラータイプ

キューブタイプ

ハイタイプ

フラットタイプ

特殊水槽

スリムタイプ

憧れのオーバーフロー水槽

フロー管と給水管の作用で水位を一定に保つことのできる水槽です。水槽内の環境を保ちやすく、大型魚や海水魚などの飼育に向いています。ろ過を行うには、水槽本体以外にろ過槽・ポンプ・水槽台・配管などが必要です。

水槽台内部の様子。この水槽には、ウールマットや生物ろ材やポンプを入れます。
構造解説

飼育水を循環させて水をろ過させます。オーバーフロー水槽はセットになっている製品も多いため、高額になる場合があります。

オーダーメイド

チャームではオーダーメイド水槽のご注文を承っております。

お部屋に水槽を置くときの注意点

重量に耐えられる置き場所かどうか

水槽の大きさによってさまざまですが、水やレイアウト素材が入っても耐えられる規格に合った専用の水槽台を使用しましょう。小さい水槽だからと言って油断は禁物。棚やカラーボックス、メタルラックの上に置くのは絶対にやめましょう

また、大型水槽では、床が抜けてしまわないかどうか事前に確認しましょう。90cm水槽では砂やレイアウト素材を入れると200kg近く、180×60×60cmの超大型水槽ともなれば総重量700kgにもなります。

温度が一定かどうか

部屋の温度が安定する場所に水槽を設置しましょう。直射日光が当たる場所や時間帯によって温度が変化しやすい場所、特に玄関先は避けた方がよいでしょう

設置場所が安定しているかどうか

水平になっているところを選びましょう。床に傾斜があると水槽が割れてしまいます。
水平になっているか確認する時は専用の測定する機器があります。

▽水平器が出てくる動画▽

調べてみたら水平じゃなかった!そんな時にオススメなのが水槽台の水平を調整するスペーサー。ぜひご活用ください。

▽商品は画像をタップ▽

サンスペーサー 80×40×5mm S-5 水平出し

サンスペーサー 80×40×3mm S-3 水平出し

サンスペーサー 80×40×2mm S-2 水平出し

近くに電源があるかどうか

ライトやフィルターなど電源を使用する機材を多く使います。そのため、電源が近くにあることが重要です。

近くに水回りがあるかどうか

給排水が気軽にできる場所がオススメです。水道がない2階の部屋に水が入ったバケツを持って階段を何往復も…..。なんて、想像するだけで疲れてきます。

水槽マットは必ず使う

特にオールガラス水槽は水槽マットの上に設置しないと、水槽を斜めに持ち上げた時などに簡単に水槽の角が欠けてしまいます。そのまま使用しているとこぼれた水が水槽と水槽台の隙間に侵入。わずかな水の膜ができ、水槽が滑ってしまうことがあるので大変危険です。

また、長期間使用している水槽だと経年劣化により歪みが発生している可能性があります。歪みが発生していない水槽でも水槽台の上に砂利が一粒でもあると、水槽を置いて水を張った時に水槽が簡単に割れてしまいます。水槽台の上をしっかりと掃除しておくことが大前提ですが、プロテクションマットを敷くことで事故のリスクを回避できます。

▽商品は画像をタップ▽

30cmキューブ水槽用マット

45cm水槽用マット

60cm水槽用マット

 6045水槽用マット

90cm水槽用マット

120cm水槽用マット

実際に割る実験をしてみた

プロテクションマットと水槽を使って実験をしてみました。

何の変哲もない60cm水槽

今回使用するのは、アクアリウムをやっていればお家にあるであろう普通の60cmオールガラス水槽です。

プロテクションマットを敷きます。
水槽台と水槽の間にある茶色い層。これがプロテクションマットです。

ここにプロテクションマットを敷きます。こうすることで衝撃が吸収され、安全に水槽を置けます。

次は、マットを敷かずに間違った水槽の置き方をするとどうなるのか。実験してみます。

角から置く。ダメ、ゼッタイ。

プロテクションマットを敷いていても水槽は必ず水槽台と水平に置くようにしましょう。写真のように水槽の角から置くと力が一点に集中し、割れてしまいます。ましてや、この状態はマットを敷いていません。

あぁ…..

角が欠けてしまいました…。今回は写真でも分かりやすいように派手めに行いました。実際にはもう少し軽度で済みます。逆に言えば、よく観察しないと割れていることに気づかない可能性も……。

何度も言いますが、「水槽を置く時は必ずプロテクションマットを敷いて水槽台と水平に」ですよ。オールガラス水槽購入時に付属している水槽マットは薄いことが多いです。薄いと水槽保護の効果が弱いです。十分な厚みの製品(プロテクションマット)を選び、事前に準備しておくことが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?これからアクアリウムを始める方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

投稿者
T

1997年10月8日生まれ。愛知県出身。アクアリウムは初心者で、ビギナーの心に寄り添った記事を目指しています。自宅でフトアゴヒゲトカゲを飼育(8歳)趣味のオートバイはかれこれ6年目に突入。

ティーよりコーヒーが好き。

Tをフォローする
Tをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました