どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはアピストグラマ・アガシジィ。
“スペードテール”と呼ばれる尾形を持つアピストグラマの代表種です。
本種はアピストグラマの中では飼育しやすく、はじめてのアピストグラマにもまさにうってつけ。
地域変異も改良品種も数多く存在することから、その色彩には数多くのバリエーションがあります。
きっとお気に入りの個体が見つかることでしょう。
アガシジィはアピストグラマにしては比較的丈夫なため、入門種として飼育を始めると、その後のアピストグラマ飼育の経験にきっと活きます。
とはいえ、圧倒的多様なバリエーションを持つアガシジィ自体の魅力も大変に奥深いものです。
一部の間では、アピストグラマはアガシジィに始まり、アガシジィに終わるとも。
さまざまなバリエーションを集めたり、気に入った表現の個体のブリードに注力したりなど、そのままアガシジィの魅力をどっぷりと堪能するのも良い選択だと思います。
アピストグラマ・アガシジィとは
名前 | アピストグラマ・アガシジィ |
学名 | Apistogramma agassizii |
分布 | ブラジル、ペルー |
グループ | アガシジィグループ |
尾形 | スペードテール |
最適pH | 6.0~6.5 |
アガシジィには地域変異と改良品種を合わせるとバリエーションの多さはアピストグラマの中でもトップクラスで、特にヨーロッパで盛んにブリードされています。
各ヒレの赤を強調したダブルレッドやスーパーレッド、黄色変異個体のファイアーレッドなど赤系の改良品種の人気が特に高く、一般に多く流通する個体としてはワイルド個体よりもこれら改良品種のイメージのほうが強いかもしれません。
主にヨーロッパのブリード個体が入荷しますが、ワイルド個体の入荷も時折見られます。
アピストグラマとしては入手性も比較的良く、ポピュラーで気軽に楽しめる種類です。
スペードテールの代表種
アガシジィのオス個体のように先端が突き出す形状の尾ビレを「スペードテール」と呼びます。
アピストグラマにおける、基本的な尾の形態の一つです。
尾ビレに乗る色柄は産地や品種によりさまざまで、コレクションの対象にもなります。
ABCアピストの一角
初心者向けアピストグラマとして代表的な「アガシジィ」、「ビタエニアータ」、「カカトイデス」を3種まとめて、通称「ABCアピスト」と呼ばれます。
このうちAを担うのが本種、アガシジィ(agassizii)です。
「ABCアピスト」にはアピストグラマを飼育する上で、どの種類でも共通で押さえるべき基礎および基本が詰まっています。
水質や飼育環境を整える上で、アピストグラマの基本を押さえていればそうそう失敗することはありません。飼育に関しては教科書通りのアピストグラマといえます。
これが、はじめてのアピストグラマとしてオススメの種と古くからいわれる理由です。
産地によるバリエーション
アピストグラマといえば、やっぱり地域によるバリエーション。
同じアガシジィでも産地により変化が見られます。
改良品種の流通が多く、赤いイメージが強いかもしれませんが、ワイルド個体のアガシジィには改良品種程の赤い発色は見られません。
しかし、その中でも赤い発色を強く背中に出す個体(通称:レッドショルダー)や、背ビレの先端に赤い発色を持つ個体は、ワイルド個体の中でも派手さがあり人気のタイプです。
基本的には、青と黄色が基調となります。
有名産地ピックアップ
産地により色彩表現に傾向が見られるものをいくつか紹介します。
テフェ産
ブラジル北西部のテフェ産は体側のラインに特徴が見られます。
褐色のギザギザのラインが数本入り、比較的わかりやすい表現であるためか人気の産地です。
アレンカー産
ブラジル北部のサンタレン近郊、アレンカー産は腹部の黄色みが強く出るといわれます。
最高のコンディションに仕上がった時の色彩は、まさに極彩色といえるでしょう。
ジャプラ産
ブラジル西部、コロンビアとの国境付近にあたるジャプラ産は、頭の黄色みが強く出るといわれます。
“イエローフェイス”と呼ばれることもあるようです。
黄色みが強く、アガシジィとしては明るく鮮やかな色彩を特徴に持ちます。
リオ・マムル産
ブラジル北部、アマゾニア国立公園付近のマムル川産は、背ビレの赤い発色が強いといわれています。
やや淡い青の発色は被覆面積が広く、鮮やかな背ビレと輝く体側は魅力的です。
最高潮に仕上げることで、極彩色の表現を見せてくれることでしょう。
ティグレ産
ペルー北部 ティグレ川産の地域変異タイプです。
全体的に青の発色が強く、コンディションが最高潮まで仕上がると頭や体側のメタリックブルーがギラギラと輝きます。
ペルー産“フラミンゴ”
ペルー産の地域変異で、ワイルドのアガシジィとしては珍しく淡いオレンジ~赤系の発色を表現するタイプです。
赤みを楽しめるかどうかはコンディションにもよります。
色揚げ効果の高いエサを与えることで、真価を発揮できるでしょう。
いろいろな産地
アガシジィの産地のバリエーションは、まだまだ紹介しきれないほど多種多様です。
過去入荷のあったラインナップを一部紹介します。
ワイルド個体の入荷は不定期ですので、見かけた時が買い時となります。
お見せしているすべての個体が最高潮の発色とは限らないのが残念ですが、もし入手できたら仕上げてみてください。
有用なアイテム
アガシジィはブラジル・ペルーから輸入されます。
広域分布種であり、ワイルド個体はどちらからも入荷します。
産地のバリエーションは、ブラジルのほうが多く見られます。
水質の条件はペルー産のアピストグラマに準じ、アピストグラマの基本さえ守れば神経質にならなくとも飼育を楽しめます。
三種の神器
スポンジフィルター、吸着系ソイル、ココナッツシェルター(水草付が理想的)
これらはもはやどんなアピストグラマでも共通する基本中の基本セットですね。
この組み合わせさえ守っていれば、アガシジィの飼育は容易です。
pH調整アイテム
pH調整の必需品です。
ただし、アガシジィの場合は、必ずしも厳密に測らなくとも飼育できることが多いです。
pHによって発色が変わる傾向があるので、もしこだわりたい場合はそろえておくと良いでしょう。
アピストグラマといえば低pHが重要とされますが、アガシジィはソイルが標準で持つpH低下作用だけでも十分です。ソイルのみの使用で、他に何もしなくとも通常は6.0~6.5の範囲になるでしょう。
アピストグラマなので7.0未満にしたいところですが、中性にほど近い弱酸性が理想となり、下げすぎも良くありません。
最適なpHは産地にもよりますが、pH6.0よりも下げてしまうとベストコンディションにならないことが多いようです。特に、改良品種に関しては6.0より下げないほうが良い結果が得られるでしょう。
必要以上にpHを下げず、安定した環境を維持するほうがアガシジィを仕上げる上では重要です。
繁殖について
アガシジィの繁殖については、教科書通りのアピストグラマといえます。
従って、用意するアイテムは、上述の三種の神器(スポンジフィルター、ソイル、シェルター)があれば基本的に十分です。
性質上の注意を挙げれるとすれば、ややオスの攻撃性が強い点でしょうか。
興奮したオスはメスを激しく追い回すことがあるため、メスが水槽から飛び出してしまうことがあります。この対策として、繁殖水槽にはフタが欲しいところです。
流木に吸盤を付け、壁面に取り付けられるようにするのも良い工夫の一つです。
産卵後もお互いを追い掛け回す場合は、オスを隔離するほうが無難です。
ポピュラーなアピストグラマではありますが、若魚の雌雄判別は意外にも難易度が高めです。
メスの特徴が出ている個体と隠ぺいオスの区別がつきにくいことに留意します。
尾ビレに模様がないのでメスと思って育てていたら成長とともに色が現れ、「実はオスでした。」ということもあります。
餌と色揚げ
アガシジィは本来青色が基調の種ですが、改良品種は赤系の発色を引き出したものが多いです。
赤みを持つ品種の発色を最大限に引き出すには、餌も吟味したほうが良いでしょう。
繁殖の際に利用するブラインシュリンプ幼生を親魚にも与えるのは、大変有効な手段の一つです。
アスタキサンチンやβカロテンを含む人工飼料は、普段使いに良いでしょう。
アピストグラマ・アガシジィ まとめ
アピストグラマ・アガシジィ。
スペードテール系アピストグラマの代表種であり、その上圧倒的なバリエーション。
青みの強いワイルド個体、赤みの強い改良品種のどちらも大変魅力的です。
はじめて飼育するアピストグラマとして、アピストグラマの魅力を味わうきっかけとしても良し。
またそこから、アガシジィに特化して極めてみても良し。
アピストグラマ初心者から往年の猛者にまで幅広く愛される、奥の深い種です。
入手の機会がありましたら、ぜひ飼育にチャレンジしてみてくださいね。
アピストグラマ共通事項は、下記ページをご覧ください。
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