今回ご紹介するシュリンプは、観賞用シュリンプの中でも
レア&ユニークさで人気の「アジアロックシュリンプ」です。
ヌマエビ科の仲間でもコケを食べず、水中のエサを
特徴的な脚で摂取するしぐさがとってもチャーミング。
そんなアジアロックシュリンプの魅力から飼育方法まで解説します。
生物学的データ
学名:Atyopsis moluccensis
分類 | ヌマエビ科・Atya属 |
体長 | 8~10cm |
食性 | 雑食 |
原産地・分布 | 東南アジア |
アジアロックシュリンプは、東南アジア原産です。丸みのあるフォルムはアフリカンロックシュリンプに似ていますが、こちらの方が少しスリム。体長は8~10cm位です。
小さいうちは半透明ですが、成長と共に背中に太いライン細かな模様が入ります。赤・茶・褐色とカラーバリエーションもあり、温厚な性格から混泳も可能です。
第1・第2胸脚の細かい毛が特徴的で、胸脚の毛をアンテナのように広げて微生物などを摂取します。
水槽内では水流がある方を見つけ、綿毛のような脚を伸ばし、水中をかく姿が愛らしいですよ。
別名には、「オニヌマエビ」「ロックシュリンプ」「バンブーファンシュリンプ」「バナナシュリンプ」「スラウェシミニロックシュリンプ」などがあります。
曲者からか流通があまりなく、一般のアクアショップではお目にかかることが少ない品種です。
もちろんCharmでは、この希少価値の高いアジアロックシュリンプを取り扱っていますよ。
一般的に入荷時は3cm程度から5cm超まで個体サイズにばらつきがあります。
※CharmではSサイズ・Lサイズとサイズ別に販売しています。
近縁種もいるよ
アフリカンロック・シュリンプ
学名:Atya gabonensis
西アフリカ原産で、ずんぐりむっくりしたフォルムのロックシュリンプです。
重戦車なみの存在感がありますが、温厚な性格で混泳にも向いています。
大食漢で、人工飼料以外に第1・第2胸脚の毛を広げて水中を漂う有機物や微生物をキャッチして食べます。淡水エビの環境で飼育が可能です。
ロックシュリンプの中では多く流通していますが、取り扱うショップは限られているようです。
ミナミオニヌマエビ
学名:Atyoida pilipes
南西諸島からインド原産で、成長と共に体色が褐色になるシュリンプです。
最大全長は8cm。アジアロックシュリンプよりずんぐりむっくりしたフォルムを持ち、
ヤマトヌマエビのように体側にスポット状の模様が入ります。
性格的に”隠れる”性質が強いようです。
南西諸島、台湾などのほか、沖縄など日本国内にも生息している希少なロックシュリンプですが、
人気も流通もないみたいです。
ロック・シュリンプsp.ホワイトリング
学名:Australatya obscura(Atyoida sp.)(Atyopsis sp.)
台湾(東海岸)・フィリピンのパナイ島の小川に生息しているロックシュリンプです。
2009年に一度だけ台湾からCharmに入荷があり、当初は正体不明だったようです。2015年に正式な学名「Australatya obscura(オーストララティア オブスキュラ)」がつきました。ロックシュリンプの中でも美しい模様を持つ種です。
輸入当初は美しい方がオスと思われていたようですが、現在はバンド模様が1本でライン模様の地味な方がオス、バンド模様が2本の美しい方がメスであるとされています。現地でも非常に生息数が少ない希少な種です。
カリビアン ドワーフ フィルター ・シュリンプ
学名:Camaroncito de Rio (Sp.)
Micratya poeyi (Sci.)
大アンティル諸島原産(キューバ、ジャマイカ、プエルトリコ)原産のロックシュリンプです。全長1~2.5cmと小柄で、体色は赤味が強い茶色に白・黒のバンド模様が入ります。
夜行性ではあるものの、日中に森の水たまりや小川で見ることができるようです。
微細な藻類や分解物質を食べて生息しており、有機物のリサイクルを助け、周囲の水をきれいにする役割をはたしています。
サイズも小さく、ビーシュリンプのようなバンド模様のとても魅力ある種ですが、日本にはまだ流通していないようです。シュリンプ好きの筆者としては、ぜひ自分の目で見てみたいものですね。
給餌方法が特殊?
自然環境下でのロックシュリンプは、特有の第1・第2胸脚に密集している毛をアンテナのように広げ、流れてくる植物性プランクトンや有機物をキャッチして食べています。
飼育下であれば、水槽内に舞う細かい人工飼料や底に落ちた餌もわずかながら食べています。
大食漢であることから餌不足によりロスしてしまうケースが多いようです。
水槽内では充分な量のプランクトンが確保できないこともあるため、インフゾリア(ゾウリムシ)や人工飼料を併用すると水質悪化を防げて餌不足も解消されるでしょう。
給餌方法
1.人工飼料などを細かく砕きます。(固形の餌はほぼ食べません。拾いやすく、食べやすくするため)
2.容器に水を入れ、砕いた餌を沈ませます。
3.沈んだ餌水を水槽内に投入します。
4.水質悪化を減らすため、ゾウリムシも投入します。
食べ方も特徴的で、口に含んで吐くという動作をくりかえします。しっかり餌を与えるために、スポイトを使いロックシュリンプの近くでエサをまいてあげると良いです。
量が少なく感じるかもしれませんが、一度に多くの量を与えず1日数回あげましょう。
水質にも気を配って餌を与えてください。(与えた分だけ食べてしまいます。)
飼育環境
水槽サイズ
体長が大きく、水を汚しやすいという点、水質・水温の急激な変化を抑えることを考えると、オススメのサイズは60cm水槽です。
飼育数にもよりますが、アジアロックシュリンプの単独飼育であれば30cm~45cm水槽で飼育できます。
フィルター
フィルターはろ過能力の高いものを選ぶと良いでしょう。
選ぶサイズの1個上のサイズや、スポンジフィルターなど入れ、2つのフィルターでろ過能力を高める方法もあります。
水温・水質
水温は20℃~26℃、phは弱酸性~弱アルカリ性が適しています。
急な水質悪化・水温の変化に弱い繊細なシュリンプです。
底床(ソイル)
ロックシュリンプ飼育のオススメはベアタンクです。(餌がソイルの隙間に入って無給餌になる可能性があるため)
水質適応力は幅広く、底床を使った飼育も可能です。水草などを入れたレイアウトでの飼育は、ソイル、メンテナンス面を考慮して大磯や田砂を選ぶと良いでしょう。
水草・流木・石
水槽内レイアウトには、オブジェクト・水草・流木・石などが使えます。隠れ家となって生体へのストレス軽減につながります。
チャームでは無農薬の国内栽培品の水草を販売しております。ご安心ください。
種類によっては、残留農薬処理済み品もございます。ご購入の際は注意ください。
組織培養も徹底した管理の下で行っています。他の無農薬の水草と同様に安心してご使用いただけます。
混泳
大人しく温厚な性格であり、混泳は可能です。
ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビ・ビーシュリンプ・チェリーなどのエビや、同種複数匹での飼育も可能ですが、肉食の大型種や攻撃性の高い熱帯魚は注意が必要です。
熱帯魚との混泳の際は、水草や流木などで隠れる場所を多く作ってあげると良いでしょう。
繁殖
小卵型といわれるように非常に小さな卵をたくさん産みます。
ヤマトヌマエビ・トゲナシと同様に、ゾエア幼生を経て、成長過程で汽水が必要となるため、
一般飼育での繁殖は難しいとされています。
まとめ
タンクメイトでなじみ深い、ミナミヌマエビやヤマトヌマエビ、ビーシュリンプとは違い、アジアロックシュリンプは観賞用シュリンプとしての位置づけになります。
大きい割には大人しい性格のため、混泳向きです。単独飼育としても、給餌方法がユニークであること、胸脚の毛をアンテナの様に広げている姿は見ていて飽きず、かわいらしく思います。
飼育・環境を考えると曲者感もありますが、大きく成長した姿はとてもきれいな種です。
少し背伸びし、生体と共にアクアリストとしてワンランク上へのチャレンジをしてみませんか。
コメント