とても丈夫で育てやすく、深緑の葉がレイアウトにとけ込むアヌビアスナナ。
アクアリウム初心者向け水草の代表的な存在です。
そんなアヌビアスナナの育て方について、Q&Aを交えながらやさしく解説します。
アヌビアスナナってどんな水草?
アヌビアスナナはアフリカ大陸に分布するサトイモ科の植物、アヌビアスの仲間のひとつ。
アヌビアスの仲間は丈夫で育てやすいことで知られ、その中でもナナはもっとも流通している種類です。改良品種として葉が全体的に黄色くなるゴールデン、さらに小型化したプチがあります。
アヌビアスナナは丈夫で育成しやすいことに加え、葉が硬いことから食害を受けにくい特徴があります。また、水草のほとんどが弱酸性を好みますが、アルカリ性の水質でも育成できる点でも貴重です。
<アヌビアスナナと相性の良い生体は?>
アヌビアスの特性から、以下の生体との相性もバッチリです。
●コリドラス…石や流木に活着できるため、底床をつつくナマズ系の魚でも心配いりません。
●金魚…雑食性の金魚でも葉が硬いために食害されにくいです。
●アフリカンシクリッド…アルカリ性を好む熱帯魚の水槽でも育ちます。
●古代魚…ポリプテルスのようなアフリカ原産の古代魚ともマッチ。隠れ家の流木に巻き付けて。
アヌビアスナナが育つ環境は?
アヌビアスナナが初心者向けの理由について知りたいです。
アヌビアスナナは丈夫で、最低限の機材で育成できるためです。
具体的には次のことが挙げられます。
・日本の水質によく適応し、暑さにも強い。
・活着する性質のため、レイアウトやメンテナンスも簡単。
・成長が遅く、トリミングの手間がかからない。
・熱帯魚の飼育用ライトがあれば水草専用ライトは不要。
・CO2添加がなくても育成可能。
水温・水質について
アフリカ原産とあって暑さに強く、寒さに弱い性質があります。
水温でいうと20~28℃が適しており、冬は水温を保つためにヒーターが必要です。
水質については、カルキを抜いた水であればあまり気にしなくても良いでしょう。
ただし、真新しいソイルやRO水など極端に硬度が低いと調子を落とすことがあります。
光量
アヌビアスナナは陰性水草と呼ばれ、少ない光量で育成可能です。
60cm水槽でおよそ1000lmの光量があれば十分で、熱帯魚の飼育用ライトがあればそれで足ります。
CO2
成長が遅いため、なくても育成可能です。
ただし、添加したほうが成長が促され、より早くボリュームを持たせることができます。
底床
どの底床でも育成可能です。
ただし、若干硬度がある水質を好む、成長が遅く肥料をあまり吸収しない点を考慮すると、栄養をあまり含まない大磯砂を使用したほうが調子良く育成することができます。
肥料
基本的に不要です。成長が遅く、肥料をあまり吸収しないため、液体肥料などの添加はかえってコケ発生の要因になります。
カリウムに限っては水槽内で不足しがちなため、添加すると葉がシャキッときれいになるでしょう。
アヌビアスナナの活着性について
アヌビアスナナのポットを購入しました。活着ってどういうこと?
活着とは、成長するために根を張ることです。
石や流木に活着させることでさまざまなメリットがあります。
・自然な景観を作り出せる
・メンテナンスの際に移動させやすい
・オリジナルのレイアウトを作れるなど
活着させるには、ポットから取り出してウールをきれいに取りのぞき、古い根や伸びた根をカットしてからテグスやビニールタイで巻き付けます。根茎を傷つけないよう固定させましょう。
巻き付け済みもあります
アヌビアスナナを水槽に導入するには?
魚じゃないし、買った状態で水槽に入れたらダメなんですか?
アヌビアスナナに限らず、輸入された水草ポットはウールやスポンジに農薬がしみ込んでいる可能性があります。ウールやスポンジは必ず外してましょう。上で紹介したような巻き付け済みのアイテムなら手間がありませんよ。
アヌビアスナナを水槽に導入する前に注意したいことがあります。
それは、残留農薬の有無についてです。アヌビアスの仲間はほとんど海外ファームから入荷しているため、農薬が使用されているものと考えてください。
チャームでは、入荷時に残留農薬が検出された水草については数日から30日程度流水に浸け置き、残留農薬処理を行っています。
それでも念を入れて対処したいとき、残留農薬が心配なときはコチラのアイテムがオススメです。
家庭でできる残留農薬処理方法も紹介しています
アヌビアスナナ導入後のメンテナンスは?
カット程度でOK
他の水草に比べると成長はゆっくりのため、トリミングはほとんど行いません。古くなったり傷んだりした葉、コケがついた葉をカットする程度です。もし、コケが大量に付着した場合、新芽部分を残しておけば葉をすべて切っても問題ありません。というのも、根茎部分が健康的であれば、また新たな葉を展開することができるからです。
ただ、初心者の場合はせっかく枯らさずに育ててもコケまみれになるパターンに陥りがちです。
コケが付いた葉をカットするだけではなく、コケ取り生体の導入も検討してみましょう。
(コケ取り生体については、記事の下のほうで紹介しています。)
水草をカットするためのハサミは、水草へのダメージが少ない切れ味の良さが大切です。
水草用ハサミならさびにくさも重視している点でもオススメ。
元気がないときは……
水槽内はカリウムが不足がちになります。カリウムを添加してあげると良いでしょう。
アヌビアスナナを殖やすにはどうするの?
どうやって殖えるんですか?水草って花が咲くイメージがありません。
アヌビアスの仲間は仏炎苞と呼ばれる花を水中でつけることがあります。花らしい花をつける水草は、アヌビアスやブセファランドラ等、サトイモ科の植物だけ見られるんですよ。
でも、水中で咲くために受粉はできません。
「株分け」という方法で殖やします。
株分けによる殖やし方
アヌビアスは「株分け」で殖やせます。根茎(葉と根の間にある芋の部分)から新しい芽が出て来たらその部分をハサミで切り離し、流木や石に巻きつけておくと成長していきます。
葉や根がない状態でも根茎が元気であれば、新芽や根を展開することが可能です。株分けを繰り返し繰り返し行えば、どんどん殖えていくことでしょう。
アヌビアスナナを育てる上での注意点は?
枯れたり病気したりしないか心配です。
これといった特有の病気はありません。
ただし、強すぎる光や冬場の低水温は枯れる原因になります。
導入時に根茎を埋め込まない点にも注意が必要です。
それ以外ではコケ対策が必要になるでしょう。
特に初心者はアヌビアスナナをコケまみれにしてしまい、
そこでやめてしまう人が目立ちます。
冬はヒーターを使用する
アヌビアスナナは寒さに弱い水草です。水温が20℃以上に保てるよう、冬はヒーターを使用してください。
コケ取り生体を導入する
アヌビアスナナの成長はゆっくりなため、葉がコケまみれになりやすくなります。
せっかく水草に挑戦したのに、大量にコケがついて汚いとガッカリした人もいることでしょう。
枯れてはいないけれど、コケまみれになりました。
汚いし、もう捨てるしかありませんよね。
あきらめるのはまだ早いです。アヌビアスナナのコケは、「コケ取り生体」に
掃除してもらいましょう! ぜひ、こちらの動画をご覧ください。
まさにコケまみれのアヌビアスナナが、ミナミヌマエビによって驚きの変化を見せますよ。
ミナミヌマエビの食べっぷりはいかがでしたか?
ご覧の通り、あんなにコケまみれだったアヌビアスナナが見事に復活しましたね。
「もう水草なんてやーめた」なんてあきらめる前にぜひ、コケ取り生体を導入してみましょう。
勝手にコケを食べてくれるので、コケのついた葉をカットする手間もなくなりますよ。
なお、生体によって食べるコケのタイプが異なります。
フサフサしたコケ取りが得意(ミナミヌマエビやヤマトヌマエビ)
表面に生える茶色いコケ取りが得意(オトシンクルスやアルジーイーター、貝)
まとめ
初心者にも育てやすいアヌビアスナナ。コケ取り生体の力を借りれば、より安心ですね。
巻き付けに不安がある人は、流木や石とのセットがおすすめ。
巻き付けに挑戦したい人向けのセットもあります。
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