アクアリウムをやっていると、実は本当の意味はよく分からないという謎用語に出会います。
まあ何となくこんなことかなって使っているものの、実際はどうなのか?
今回、重い腰を上げて調べてみましたよ!ぜひお友達にも教えてあげてくださいね。
ア行
青水【あお-みず】
植物性プランクトンを豊富に含み、水の色が緑色に見える水のことを青水と呼びます。植物性プランクトンはメダカや金魚にとって、稚魚の時は餌に、成魚になってからは主食ではないにせよ補助餌的な役割を果たすものとなります。そのため、メダカや金魚を屋外で繁殖を行う場合、わざと飼育水を青水にして飼育することがあります。鑑賞水槽という観点では、鑑賞対象が青い水に隠れて見れないのでお勧めはしませんが、繁殖や育成においては非常に良い環境といえます。
RREA【あーるあーるいーえー】
リアルレッドアイアルビノ(Real Red Eye Albino)の略です。グッピーのアルビノ(黒色色素欠乏)には2タイプ知られています。1つは目がブドウ色に見えるルチノーなどと呼ばれるタイプと、もう一つが目が赤く見えるRREAと呼ばれるタイプです。両タイプを区別するため、ルチノー(ブドウ眼)を“アルビノ”、目が赤いほうを“RREA”と呼びます。
遺伝について、詳しくは「グッピーの遺伝基礎講座」を参考にしていただくと分かりやすいかもしれません。
色揚げ【いろ-あげ】
元々、染織において色の褪めた布などを染め直して色を鮮やかにすることをいいます。アクアリウムにおいては、赤や黄色系の体色を持つ魚などの生体の体色をより鮮やかにすることを指します。魚の色揚げのために行うことは、
- 魚そのものの健康状態を上げる
- 環境に十分慣れさせる
- 色揚げ成分の入っている飼料を与える
ということが知られています。
色揚げ成分としてアスタキサンチン、カロテノイド、スピルリナ、クロレラ、ファフィア酵母がなどがあります。
インフゾリア【いんふぞりあ】
インフゾリア=Infusoria(浸滴虫類)。浸滴虫類という分類は旧分類で、今では繊毛虫全般を指します。浸滴虫類という呼び名は使われなくなっていますが、繊毛虫全般のことをインフゾリアという呼び方のみ残っています。
インフゾリアを動物性プランクトン全般としている場合もありますが、動物性プランクトンには各種の動物群(甲殻類やクラゲの幼生・ワムシ・ミジンコなど)が含まれています。0.5cmにもなるオオミジンコがインフゾリアなのかと言われるとそうではないので、動物性プランクトンのうち、ゾウリムシなどの原生生物を指すのが一番しっくりくるかと思われます。
アクアリウムでは、「ブラインシュリンプを食べることができない、サイズの小さなふ化したての稚魚の活き餌」として利用されます。
ブラインシュリンプは卵で保管でき、必要なときに随時簡単にわかすことができます。
そのため、一般的に
・ふ化直後からブラインシュリンプを食べられるサイズで生まれる種→繁殖が簡単
・ブラインシュリンプを食べられないサイズで生まれる種=インフゾリアが必要→繁殖が難しい
といわれています。
sp.【えす-ぴー】
属名まではわかっているものの、種までは特定できないようなものを【○○ sp.】と表現します。
ちなみに「gen.」は、属または属名の特定できないものの意味です。【×× gen. sp.】 は、×× 科の不明属の 1 種を意味します。
「シュードムギルsp.ティミカ」の場合、「シュードムギル属の特定できない種。あだ名はティミカ」という意味になります。まだ発見されて間もない新種で学名がついていない場合や種として同定が難しいものに関してこのように記載されます。
この魚の場合、種の同定がされていないからこそ呼び名も複数あり、「シュードムギルsp.レッドネオン」とも呼ばれることもあります。
F1【えふ-わん】
遺伝子学の分野においてF1とは雑種第1代(Filial 1 hybrid)の略で、異なる二つの系統の種を掛け合わせた1代目のことを指します。この場合、両親から引き継がれた形質のうち、顕性(けんせい)のものだけが表現型として表に出て、遺伝子型としてはヘテロとなります。
ただ、観賞魚のブリードにおいては必ずしも上記のような場合のみこのように呼ばれるわけではなく、同種異種は区別せず同種の異品種交配や、同種交配(同胎交配)の場合でも1代目を全てF1と呼びますので注意が必要です。
その場合、単純に親世代から何世代目を示すことに使われます。
親世代 ⇒ P1
子(1世代目)⇒ F1
孫(2世代目)⇒ F2
また、雑種第1代の形質が両親よりも強健であることを雑種強勢と呼びます。
Lナンバー/LDAナンバー【える-なんばー/えるでぃーえー-なんばー】
南米に生息するプレコは非常に多くの種類が知られ、そのほとんどが未記載種(学術的に分類されていない種)です。そのため、たくさんの呼び名や流通名が存在し、輸出業者、輸入業者、飼育者の間で混乱が生じていました。そこで、ドイツの観賞魚雑誌『DATZ』を出版するウルマー社が提唱したのがLナンバーです。また、同じくドイツの観賞魚雑誌『Das Aquarium』を出版するブリギット・シュメットカンプ社はLDAナンバーを提唱しました。
このLナンバー、LDAナンバーにより、多くのプレコの判別が簡便になり、世界共通で使われるようになりました。しかし、同種であっても新たな産地から発見されたことにより、新しいLナンバーが付けられたり、新しいLナンバーを付けたら実は別種の幼魚だったりと、複数のLナンバーが付いていることも少なくありません。新種が年々見つかっているため、Lナンバーもドンドン追加されています。
あくまで便宜上の番号なので完璧ではありませんが、種類の判別に非常に参考になるものとして利用されている番号です。
追星【おい-ぼし】
金魚や鯉やフナ、またウグイなどのコイ科の魚の頭部で出る小さな白い点々。それが追星です。主に性成熟し、繫殖期に入ったオスの成魚に見られます。特に春先の繁殖期にみられることが多く、繁殖期が終わると白い点々は消滅します。稀に秋でも出ている個体が見られます。追星が出る場所は胸ヒレ前縁・エラ蓋等の頭部です。今まで調子の良かった金魚に、ある日突然白い点々が出たことで白点病と間違えて大焦りする方もいますが、追星の存在を知っているだけで冷静に判断ができます。
カ行
クロレラ【くろれら】
人間の健康食品でも、魚用のフードでも利用されているクロレラは、植物プランクトンの一種である淡水性単細胞緑藻類に分類されます。植物プランクトンの中で、なぜクロレラがここまで重宝されるのかというと、たんぱく質の含量が高いように、極小サイズにも関わらず栄養豊富で与えやすいからです。増殖が容易でミジンコやワムシの餌、植物質を好む魚種、メダカや金魚の餌の原料としても重宝されています。
サ行
Cナンバー【しー-なんばー】
南米に生息するコリドラスは非常に多くの種類が知られ、そのほとんどが未記載種(学術的に分類されていない種)です。そのため、たくさんの呼び名や流通名が存在し、輸出業者、輸入業者、飼育者の間で混乱が生じていました。そこでドイツの観賞魚雑誌『DATZ』を出版するウルマー社が提唱したのがCナンバーです。
このCナンバーにより、多くのコリドラスの判別が簡便になり、世界共通で使われるようになりました。しかし、同種であっても新たな産地から発見されたことにより、新しいCナンバーが付けられたり、新しいCナンバーを付けたら実は同種のオスメスだったり、複数のCナンバーが付いていることも少なくありません。新種が年々見つかっているため、Cナンバーもドンドン追加されています。
あくまで便宜上の番号なので完璧ではありませんが、種類の判別に非常に参考になるものとして利用されている番号です。
日本においてはLナンバーの方がポピュラーです。
タ行
当歳【とうさい】
その年にふ化した魚のこと。 ふ化した年の魚を「当歳魚」、2年目の魚を「二歳魚」と呼びます。生れた月日に関わらず、年明け1月1日に二歳魚、その次の年越しには三歳(三歳以降の魚は親魚と呼ばれる)になります。ただ、流通業者により呼び名や定義が異なったり、地域によって考え方が異なったりと少し複雑です。
金魚はたいてい春生まれですから生まれて数カ月は新仔と呼ばれ、秋ぐらいから冬までが当歳と呼ばれることが一般的のようです。
ちなみに馬の当歳は考え方が異なり、生まれた年が当歳、年を越すと一歳、その翌年に二歳となります。
トリートメント【とりーとめんと】
魚のトリートメントというと、薬浴をしたり粘膜保護剤を入れたり、あるいは塩水浴をしたりと積極的なケアを想像する方も多いでしょう。ところが、どちらかといえば、新たに導入する魚をメイン水槽にいきなり入れず、病気や寄生虫を持っていないかを隔離して様子を見ることの意味合いが強いのです。自分の水槽を守れるのは自分自身です。
トリートメント水槽を用意して、慎重に魚の導入を行うことをお勧めしています。
ナ行
日淡【にったん】
日本産淡水魚の略です。日本の淡水に生息する魚全般を指します。日本の気候で生息していることから、ほとんどの魚は基本的に無加温で飼育可能です。※夏場のクーラーは必要な場合があります。
熱帯魚のような派手さはないにせよ、日本の自然を切り取ったかのような渋さが魅力です。
タナゴ・コイ・ドジョウ・ハゼ・カジカなど、魅力的な種類の魚はたくさんいます。
ハ行
バクテリア【ばくてりあ】
バクテリアは細菌類全般のことを指す場合が多いのですが、そこには微細な原核生物なども含まれます。病気を媒介したり、有機物を分解したりさまざまな働きをします。アクアリウムにおけるバクテリアは主に、有機物の分解をして水質浄化の手助けになる存在として重宝されています。バクテリアがろ材や底床に定着することで水槽の立ち上げがスムーズになり、飼育生体の状態も上がります。そのため、立ち上げ期にはバクテリア剤を投入したり、バクテリアが最初から付着しているろ材を購入したりと工夫が欠かせません。
生物ろ過の要、それがバクテリアです。
ピーエイチ【ぴーえいち】
pH、なんて読みますか?「ペーハー」と読んだあなた。記憶のアップデートが必要のようです。昭和時代に義務教育で理科を習った方々は、当時の先進国だったドイツにならったドイツ語読み「ペーハー」が採用されていました。しかし、現在は国際単位系にならうのが主流です。したがって、今の読み方は「ピーエッチ/ピーエイチ」となっています。
ちなみにpHは水素イオン濃度の略称で、水質が酸性化アルカリ性かを示す数値のことです。
pH7.0が中性、それよりも高いものはアルカリ性、それよりも低いものは酸性となります。熱帯魚の多くは中性から弱酸性を好むものが多いということも覚えておきましょう。
pHショック【ぺーはー-しょっく】
上記で散々「ペーハーは昭和だ。今はピーエッチだ。」と言った舌の根も乾かぬうちに「pHショック」を「ペーハーショック」と読ませることはさておき、pHショックが具体的に何かを説明します。
目には見えませんが、水質というのは地域・環境によって差異があります。同じ日本の水道水だからといって同じ水質とは限らないのです。新たな魚をお迎えする際は、今まで飼育されていた水と、ご自宅の水の水質が異なっていることを前提にお迎えしなければいけません。
魚を迎える際に、その魚が飼育されていた飼育水とのpH差が大きいと魚がショックを受けてしまいます。購入してすぐ水槽に入れた場合に発生しやすく、水槽導入直後に魚が死んだり、弱ったりするのは、このpHショックの場合がほとんどです。
・きりもみ状態になる
・呼吸が荒くなり、水槽の底や隅の方でじっとする
等が見られる場合は、pHショックを受けている可能性が高いです。一度pHショックを受けてしまうと治療は難しいため、慎重な水合わせを行ってpHショックを起こさないようにすることが大切です。
「今飼っている魚たちは病気一つしないで元気だよ!うちの水槽の水はきれいだから大丈夫!」とおっしゃる方がいますが、水がきれいかどうかの問題ではないのです。たとえきれいであっても、水質の差が魚にとっては大きなダメージを与える要因となります。
そのため、慎重な水合わせをして新たな環境に魚の体を慣らしてあげる必要があるのです。
PSB【ぴーえすびー】
PSBは紅色無硫黄細菌(Purple Non Sulfur Bacterla)の略で、光合成細菌と呼ばれるバクテリアの一種です。魚を飼育する上で出てくるフンやエサの食べ残しなどの有機物を分解し、飼育水を浄化する働きを持つありがたいバクテリアで、さまざまなバクテリア剤として商品化されています。
PSBは水槽立ち上げ直後の不安定な環境で効果を発揮してくれます。ただ、ろ材に定着するタイプのバクテリアではないので定期的な投入が必要です。なお、若干ドブのような得も言われぬニオイを漂わせますのでお見知りおきを。
フィンスプレッディング【ふぃんすぷれっでぃんぐ】
性成熟したオスが縄張り争いやメスをめぐって闘うことがあります。その際に、ヒレというヒレを開けるだけ開いて、何ならエラ蓋も全開にして自分を大きく見せる行動を取ります。その行動をフィンスプレッディングと呼びます。
ベタやグラミー、アピストグラマなどで見られる行動ですが、それ以外の魚でも見ることができます。
ベタなどではヒレをきれいに成長させるために、鏡に映る自分自身に対してフィンスプレッディングさせたりしますが、魚にとってはストレスがたまる行動ですので配慮しながら行うべきです。ただ、改良ベタの場合では、まったくやらなくてもヒレが弛みダランとねじれてしまいます。やり過ぎない程度に定期的に行ってあげたほうが、美しいプロポーションを保てます。
ニューギニアレインボーのような温和な小型魚でも、オス同士でヒレを広げてケンカをすることがあります。また、ペルヴィカクロミス・タエニアータスのように、オスに限らずメスも怒ってヒレを広げアピールすることもあります。
ペルチェ式/チラー式【べるちぇ-しき/ちらー-しき】
水槽用クーラーにはペルチェ式とチラー式、2つの種類があることはご存じでしょうか。
ペルチェ式クーラーは、2種類の金属や半導体を電極で繋ぎ、電流の大きさや方向を操作することで、片方を発熱させてもう片方を冷却するというペルチェ効果を利用した冷却方式です。ただ、極端に暑過ぎる環境下では冷却能力が低下します。
一方、チラー式クーラーは環境にやさしい代替フロンを冷媒として循環させ液温を変化させます。冷蔵庫にも採用されている方式で、 安定した温度管理が可能です。その能力は非常に高く、大容量の水槽に適しています。
マ行
水合わせ【みず-あわせ】
新たな生体を導入する際に、水質や水温の違いでショックを起こして生体にダメージを与えないように、輸送時に入ってきた水の水温・水質と新たな水槽の水温・水質を徐々に合わせて行く「水合わせ」を行うことを推奨しています。
ラ行
ラビリンス器官【ラビリンス-きかん】
ベタやグラミーなどキノボリウオ亜目の熱帯魚は、エラの他にラビリンス器官という呼吸器官を持っています。これがあることで、空気中から直接酸素を取り込む空気呼吸が可能となります。高水温の場合、溶存酸素量が低下するため、えら呼吸で取り入れられる酸素が少なくなります。その不足分の酸素を空気中から補うのがラビリンス器官というわけです。エラの上の方にあることから上鰓器官とも呼ばれます。内部構造が迷路のように複雑なことがラビリンス器官の名前の由来とか……。
ベタが小さな容器で飼育できるのは、このラビリンス器官を持つからなのです。
卵胎生【らんたいせい】
魚は基本的には卵を産んでそこからふ化をする卵生という繁殖方法ですが、プラティやグッピー、モーリーなどの一部の魚は、受精後、卵が体外に出ず、体内で卵を孵してから子供が体外に出てくる【卵胎生】という繁殖方法を採用しています。お腹の中で稚魚をかえすため、卵の時期に捕食される心配もなく、繁殖率が非常に良いメリットがあります。これらはアクアリウム初心者でも熱帯魚の繁殖に挑戦しやすい種類です。
まとめ
アクアリウムの世界には謎の単語がまだたくさんあります。なんとなく使っていた言葉も、深掘りして調べてみると新たな発見があるかもしれませんね。
コメント