かつて栄華を極めた蛍光灯王朝。最強ライトはメタハラ(メタルハライドランプ)と言われていた中央集権国家が滅亡し、時はLEDライトの群雄割拠時代に突入しております。そんな乱世に「おにぎり無双」としてその名を轟かせるLEDライト。そうですアクロのLEDライトです。
しかしアクロのLEDライト、実はいろいろ種類があります。何ならおにぎりじゃない形も……
種類がありすぎて迷うあなたにどのアクロLEDライトを選べば良いのかを解説します。
なぜおにぎりなのか
「おにぎり LED」「おにぎり ライト」で真っ先に検索上位に挙がってくるアクロLED。三角柱を横倒しにしたフォルムはまさにおにぎりです。白ごはんに海苔、中には梅干し。日本人のソウルフード。それがおにぎり。最初に「おにぎり」と言い出したのは誰なのか。褒めたい。称えたい。握手したい。
三角形=おにぎりというその実直で明快なインスピレーションに感服しております。
いつか限定モデルと称して、おにぎりカラーのアクロLEDが限定100台とかを出せばいいのになと思うぐらいです(買う人がいるのかどうかは別として)。
真面目な話、この三角形には理由があります。
超効率高輝度LEDを使用しているため、基板が高温になってしまうためです。三角形の形状にすることで効率的に放熱ができ、回路を保護しメンテナンスをする使用者の安全性を向上させています。水槽周りをできるだけ熱くしたくないというアクアリストの思いが詰まった形状なのです。
そもそも、アクロのLEDライトは「水草水槽用」というコンセプトで作られています。メンテナンスの多い水草水槽において、できる限り上部に物を置かずメンテナンスを少しでも楽にする吊り下げ式にしたかったこと、それには一番安定してかつ調整のしやすい形として三角形が採用された経緯があります。すなわち、おにぎり型こそ水草水槽のための形状だと言えるのです。
アクロのLEDライトは何が凄いのか
さて「おにぎり無双」といわれるアクロのLEDは何がそんなに凄いのか。一言で言うと、「ここまでの性能をこのお値段で!」ということに尽きます。コスパの良いLEDで水草をちゃんと育てたいというワガママから生まれただけはあるアクロシリーズ。アクアリストの抱えるちょっとしたこだわりを具現化させつつ、妥協するところはしっかりと妥協してお値段が抑えられているという、アクアリストならではの旨味をご実感いただけます。
「めっちゃ明るくて水草をもりもり育てたい」
「吊り下げ式のライトってカッコいいよね。メンテナンス楽だし。」
「でも全員が全員そう思わないと思うから水槽の縁に置くこともできればいいよね」
「ぴかーっと明るくてさ、凄いやつ欲しい。水草育てたい。」
「熱とか籠ると地獄だから熱くなり過ぎないようにしてね」
「なんか度肝を抜くぐらい明るい~ウケル~(笑)みたいなLEDって良くない?水草育つやつ。」
「デザインシンプルな感じにしてさ、邪魔なアダプタを無くしたい」
「でも安くないと買わないわ」
たぶんこんな感じの商品開発会議で決定した商品なんじゃないでしょうか……。
内閣府が2010年に閣議決定した「エネルギー基本計画」により、2030年までに照明器具のすべてをLED・有機EL化することを目標に掲げてから、蛍光灯を各アクアメーカーが廃止し、LEDライトの販売にシフトチェンジしました。ところが、当時は明るくて水草が育つLEDライトが少なく、水草アクアリストたちはなかなか蛍光灯離れができずにいたのです。
「LEDでしっかり水草を育てたい」
原点はそこです。
アクロのLEDライトを比べてみる
アクロのLEDライトは大きく分けて4種類です。
- 王道のTRIANGLE(トライアングル)
- その上位機種TRIANGLE Pro(トライアングルプロ)
- コスパ重視形違いの2種OVAL(オーバル)・RECTANGLE(レクタングル)
です。
OVAL以外の機種はライトリフトを使用した置き型方式と、吊り下げ式と2通りから好きな設置方法が選べます。
1.TRIANGLE(トライアングル)~水草育成に本気出したおにぎり~
TRIANGLE GROW(トライアングル グロウ)
GROW は水草の成長に必要な赤い波長を有する、水草を真剣に育てたい人向けのモデルです。
660nm付近の赤の波長が含まれており、育てるのが難しいといわれる「トニナ」系の水草育成に使用した実績もあります。赤・青・緑のLEDチップにも水草育成に優れた最高クラスの品質のLEDチップを採用しています。
色温度(参考値):7200K相当
平均演色性:Ra93
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1000lm |
45cm | 2000lm |
60cm | 3000lm |
90cm | 5000lm |
120cm | 6000lm |
TRIANGLE BRIGHT(トライアングル ブライト)
BRIGHT は明るさ・演出に優れたモデルです。水草育成できる光量を確保しつつ、水槽内部を明るく照らし、見た目にも美しい水槽を演出してくれます。
白色LEDチップには業界最高レベルの発光効率を達成したLEDチップを採用しており、圧倒的な明るさを誇ります。そのため高光量を必要とする水草やサンゴの育成が可能です。そして何よりこの高光量で水草の明るい緑や熱帯魚の美しい色彩を堪能できるのです。
色温度(参考値):7300K相当
平均演色性:Ra81
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1950lm |
45cm | 2800lm |
60cm | 4200lm |
90cm | 7000lm |
120cm | 8400lm |
TRIANGLE VIVID(トライアングル ビビッド)
VIVIDはさまざまな水草の成長、観賞性の試験をして完成をした鮮やかさを重視したモデルです。
BRIGHTが白い光でとにかく水槽内を明るく照らして美しく見せるのに対して、19500K相当の色温度(※参考までに12000Kが晴天の青空)を誇る、20個もの色強化LEDチップで対象物をとにかく色鮮やかに映えさせることを目的としたLEDライトです。450nm(青)、640nm(赤)の波長を含んでいるため、水草の成長や鑑賞性はもちろん、さまざまな熱帯魚の鑑賞性も高めることが可能なのです。
色温度(参考値):19500K相当
平均演色性(参考値):Ra74
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1150lm |
45cm | 2300lm |
60cm | 3450lm |
90cm | 5750lm |
120cm | 商品展開無し |
TRIANGLE MARINE(トライアングル マリン)
MARINEは海水魚・ソフトコーラルの育成を目的に開発されたモデルです。
水草が育成できるライト作れたならサンゴのライトも作れるよね?という恐らくそんな大いなる力が働いて開発されたのがこちらのライト。
海水用ライトらしく、ブルー(深海の光)とブルーホワイト(浅海の光)をスイッチで切り替えが可能です。青色LEDチップには波長450nm、放射パワー450mW/個のスペックのチップを採用しています。
色温度(参考値):20000K相当
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1000lm |
45cm | 1555lm |
60cm | 2000lm |
90cm | 3110lm |
120cm | 3850lm |
TRIANGLE 陸上植物用(トライアングル テラリウムアクアポニックス)
テラリウム アクアポニックスは陸生植物と水草の育成を両立したモデルです。
アクロのライトで普通の植物も育てたい、という一部の声に応える形で作られたのがこのライト。
テラリウムやアクアポニックスといった、陸地と水中の両方の生態系を楽しむ場合に最適です。通常の照明では葉焼けを起こしてしまう植物も葉焼けしづらいことが特徴の一つです。高い演色性で赤系の植物の発色もより美しく表現します。
色温度:11000K
平均演色性:Ra86
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1325lm |
45cm | 1325lm |
60cm | 2650lm |
90cm | 3975lm |
120cm | 商品展開無し |
2.TRIANGLE Pro(トライアングルプロ)~おにぎりを超えるおにぎり~
TRIANGLE GROW Pro(トライアングル グロウ プロ)
TRIANGLE GROWで水草を育てる方が増え、より育成効果を高めるために水槽の上に2灯置きする場合があり、水槽の上のスペースを占領するというケースが散見されます。また、水深のある水槽だとTRIANGLE GROW の光量が足りないという声にも応えるべく、圧倒的に強ぇやつ作ろうぜ!と友情・努力・勝利がテーマの某少年誌のような勢いで作られたのがTRIANGLE GROW Proです。TRIANGLE GROWの上位機種にあたり、色温度や平均演色性はTRIANGLE GROWと同一ながら、全光束がなんと倍(サイズによっては倍以上)というやり過ぎ感すら漂う圧倒的光量!ただ、スペックに比例してお値段はそこそこします。
水槽サイズ用 | GROW全光束 | GROW Pro 全光束 |
30cm | 1000lm | 4450lm |
45cm | 2000lm | 4450lm |
60cm | 3000lm | 8900lm |
90cm | 5000lm | 13350lm |
120cm | 6000lm | 17800lm |
TRIANGLE BRIGHT Pro(トライアングル ブライト プロ)
TRIANGLE BRIGHTで「明るさ・演出」に優れたライトを打ち出し、水槽を照らす明るさにおいて人々に感動を与えたアクロ。水深がある水槽へのニーズや「もっと明るいものを!」というニーズに応えるべく、これまたやり過ぎ感満載、アクロシリーズの集大成とも呼べる凄いやつが作成されました。
TRIANGLE BRIGHTの上位機種、TRIANGLE BRIGHT Pro。これ以上明るくしてどうするの。どうしたいのアクロ。という戸惑いの声すら聞こえてきそうな凶暴な明るさは他の追随を許しません。ただ、もちろんスペックに比例してやはりお値段はそこそこします。
水槽サイズ用 | BRIGHT全光束 | BRIGHT Pro 全光束 |
30cm | 1950lm | 5015lm |
45cm | 2800lm | 5015lm |
60cm | 4200lm | 10030lm |
90cm | 7000lm | 15045lm |
120cm | 8400lm | 20060lm |
3.OVAL(オーバル)~コスパ重視の扁平型~
コストパフォーマンス重視でかつ扁平型という「OVAL」はTRIANGLE BRIGHT シリーズと比較して光量をできるだけ落とさずに、コスパを重視して再調整されたシリーズです。吊り下げることはできずシンプルに置くのみ。ただでさえ抑えられたアクロのお値段をより抑えてアクロの性能を楽しみたい方向けのライトです。
色温度:7300K
平均演色性:Ra81
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1600lm |
45cm | 2750lm |
60cm | 3250lm |
90cm | 5500lm |
120cm | 6500lm |
4.RECTANGLE(レクタングル)~薄さ重視の優れもの~
徹底的に薄さにこだわった「RECTANGLE」は「OVAL」のスペックをベースにデザインを超薄型変更したモデルです。ヤドクガエルなどのパルダリウム水槽や小型水槽を複数持っている人はそれらの水槽を何段もの棚に置いて管理していることが多く、棚の上部にスペースがないためスリムなライトが求められます。本体厚みが1cm以下の薄く平らでスタイリッシュなデザインは、そんなニーズにばっちり応えています。水槽用照明としてではなく棚用の据え付け照明としてもRECTANGLEは重宝されます。
色温度:7300K
平均演色性:Ra81
水槽サイズ用 | 全光束 |
30cm | 1600lm |
45cm | 2750lm |
60cm | 3250lm |
90cm | 5500lm |
120cm | 6500lm |
アクロのライトの比較
実際の見え方を比較してみないと良く分からないですよね。
悩みやすい4製品について同じ水槽、同じ画角で比較してみました。水草の緑や赤の出方、全体的な色味、明るさ。じっくり見比べてみてください。
※水槽のサイズから本来2灯置きを推奨していますが、比較画像のため全て1灯ずつの設置で撮影を行っています。
アクロライトの設置例とcharm中の人たちのイチオシ
【仕入れ担当:Nのイチオシ】
この価格でこの高光量を実現した画期的なライトだと思います。とにかく明るい。この明るさで魚をキレイに見せることができます。もちろん単体で明るさを楽しむこともできますし、TRIANGLE GROWと組み合わせてより立体的なライティングを実現することができるのも魅力の一つだと思います。
【社内アクアリスト:Kのイチオシ】
TRIANGLE GROW Proのハイタイプの水槽でも底の部分まで光を届けられる強さを何よりお勧めしたいです。また、水草そのものの彩度をナチュラルな色味のまま上げてくれるのです。LEDのチップの割合が白32赤2緑2青2と不自然さがなく、非常にきれいで良いなと思っています。目に優しい、温かみのある水景を作り出せるから私は好きです。
【SNS担当:Aのイチオシ】
TRIANGLE VIVIDは何よりも今一番求められている「映え」に特化したLEDライトです。水草の画像をSNSに投稿する際も投稿の際にフィルターを掛けなくてもそのままの写真で水草の発色が良く見えるんです。しかも他のRGBライトに比べて水草がちゃんと育つのが凄いところですね。
【社内アクアリスト:Sのイチオシ】
TRIANGLE MARINEはミドリイシ程度まではちゃんと育てられる青過ぎない海水用ライトです。色だけ青ければ海水用といわれる中でしっかりサンゴが育つ、ちゃんとした海水用ライトはなかなかないです。値段も手ごろで買いやすいのも非常におすすめ。また、使用者の好みで色の切り替えができるユーザビリティの高さもポイントです。
【レイアウト担当:Aのこだわり設置ポイント】
前景草がしっかり横伸びするようにTRIANGLE GROW Proを水槽の手前目に配置。岩組みの関係上、影ができて後方の有茎草が育たないため後方の水草はTRIANGLE BRIGHTで育成するために2台置きしています。
水草の種類やレイアウトの構図、ライティングの意図に合わせた選択ができるのも種類豊富なアクロシリーズの強みですね。
まとめ
アクロのLEDライト違いなんとなく分かりましたか。あなたの水槽にピッタリのライトを探してみてくださいね!
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