どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはアークレッド・ペンシルフィッシュ。
燃え上がるような深紅に染まる体色が魅力的なペンシルフィッシュの仲間です。
鮮やかな赤い色彩は水草水槽によく映えます。
水草を十分に植え込んだ水槽で、水草の緑と本種の赤が織りなすコントラストが楽しめるでしょう。
飼育は容易ですが、その魅力を最大限に発揮させるにはペンシルフィッシュの基本に加え、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
今回はそれらのポイントも合わせて紹介していきます。
アークレッド・ペンシルフィッシュとは
生物学的情報 | |
---|---|
名前 | アークレッド・ペンシルフィッシュ |
学名 | Nannostomus mortenthaleri |
分類 | カラシン目レビアシナ科 |
食性 | 雑食 |
分布 | ペルー ― ティグレ川 |
飼育要件 | |
---|---|
飼育しやすさ | ★★★★☆ 容易 |
入手しやすさ | ★★★☆☆ ふつう |
混泳しやすさ | ★★★☆☆ ふつう |
最大体長 | 4cm程度 |
適正水温 | 22~27℃ |
pH | 生存可能:5.5~7.5 適正範囲:6.0~7.0 |
備考 | 発色には条件あり |
アークレッド・ペンシルフィッシュはペルー原産のペンシルフィッシュです。
比較的入荷の見られるペンシルフィッシュの中では最も派手な色彩をしており、燃え上がるような深紅の体色が魅力です。
画像の個体もまだまだ発色は完全でなく、さらに赤くなる途上の表現です。
このように、ペンシルフィッシュの中でもとりわけ派手な色彩を持ちますが、必ずしも最初から深紅に染まっているわけではありません。
発色にはいくつかの条件があります。
発色が強いのはオス個体となり、メスはオスに比べると発色は弱くなります。
またオスであっても、若い個体は発色が弱いこともあります。
それでもワンラインペンシルや、エクエスと比べると赤いので区別は可能です。
また本種は複数匹で飼育したほうが発色しやすくなります。
先述の通りオスの発色が強くなるのですが、オスが複数匹いると、最も強いオスが赤く染まる傾向があります。
本種の美しさが最高潮に引き出されるのは、オス同士の闘争の瞬間でしょう。
水質のコンディションが良く、同じくらいの力関係を持つオス同士がヒレを広げて争うタイミング(フィンスプレッディング)に、最も色彩が強く表現されやすいです。
なお力関係の強弱がはっきりしている場合、弱いほうのオスは発色が薄くなることもあります。
本種の飼育に関しては、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていれば、それでOKです!
飼育だけならpHもどちらかといえば弱酸性を好みますが、そんなに気にする必要はありません。
少しぐらいアルカリ性に傾いても平気ですが、その場合になると発色はくすみます。
導入してすぐには、発色がそれほど赤く表現されないことが多いです。
ですが適切な環境で飼育すると、その後しばらくして赤い発色が引き出されます。
じっくりと時間をかけて飼い込むことで、徐々にその真価を発揮します。
飼育するだけであれば割と水質には寛容なので、あまり小難しく考えなくとも基本さえ押さえれば問題なく飼育できます。
ただし、導入直後はやや水質に神経質な面を見せます。
高水温や水質の悪化にも注意しましょう。
もう一つ、本種の特徴としてペンシルフィッシュの中では最も気が荒い点が挙げられます。
ペンシルフィッシュは一般に温和で混泳もしやすいグループですが、本種は気が強く、特に同種間での闘争は激しい傾向があります。
本種は単に飼育するだけであればさほど難しい魚種ではありません。
発色を最大限に引き出すためには、やはり弱酸性の軟水環境での飼育がおすすめです。
本気の発色を引き出すにはオス同士の闘争は欠かせないものですが、水草を十分に茂らせた広いスペースがないと、負けた個体が逃げる先がありません。
「十分に広いスペース」と、「水草を繁茂させた環境」の2点が重要なため、60~90cm程度の水草レイアウト水槽への導入がおすすめです。
また、ペンシルフィッシュの仲間なので、若干ながらコケを食べてくれます。
コケ取りの主力としては期待しすぎないほうが良いですが、水草やガラス面に生える糸状の藻類を多少食べます。
ペンシルフィッシュの仲間は斜めに泳ぐものが多い中、本種はまっすぐに泳ぎます。
このような性質の違いも、興味深い特徴ですね。
有用なアイテム
アークレッド・ペンシルフィッシュは一般的なペンシルフィッシュの飼育に加え、「弱酸性の水質」と「色揚げ」を意識した管理が重要になります。
ソイルで飼育する
水質への適応範囲は広いため、中性~弱アルカリ性の水質でも生存自体は可能です。
特徴である赤い発色を最大限に引き出すためには、弱酸性の軟水環境での飼育が欠かせません。
底床には「ソイル」の使用がおすすめです。
またこの性質上、水草水槽との相性も良好です。
pH6.0~6.5の範囲を維持するように心がけると、鮮やかな赤い発色が期待できるでしょう。
定期的にpH測定を行うことで、本種にとって理想的な環境かどうかの確認ができます。
pH調整を利用する
すでに大磯砂などを底床に敷いた水槽で飼育している場合は、pH調整剤が有効です。
弱酸性の水質に整える調整剤を利用することで、本種が要求する弱酸性の水質を実現することが可能です。
調整剤の他に、pH降下作用のあるろ材を採用するという方法もあります。
例えば同じ水槽にコリドラスを入れたい場合など、混泳相手がソイルとの相性が良くない場合は、こちらの手段で解決することもできます。
▼詳しくこちらも参考
色揚げ飼料を与える
本種の赤い発色を引き出すには、色揚げ成分を含んだエサを与えるのが有効です。
具体的には「アスタキサンチン」を含んだものが良いでしょう。
原材料に「オキアミ」や「シュリンプミール」が入っていれば、アスタキサンチンも一定程度含まれていると考えてよいでしょう。
本種は口が小さいので、フレークフードがおすすめです。
混泳について
ペンシルフィッシュは一般的には温和で混泳に向くグループですが、同種に対しては若干の注意が必要です。
本種が属するナノストムス属の中でも、本種は最も気が強いです。
このためスペースを十分に広くとった水槽か、水草を十分に植え込んだ水槽での飼育が理想でしょう。
本種の発色を最大限に引き出すには複数匹での飼育が有効です。
しかし、オス同士での力関係の強弱がはっきりしていると、狭い水槽や水草などの隠れ家がない水槽では、弱い個体はいじめられてしまいます。
一方で、同種や近縁種以外には温和です。
ペンシルフィッシュではないグループの魚種との組み合わせに関しては、一般的なペンシルフィッシュに準じ混泳は可能です。
なるべく、ペンシルフィッシュとは体形が全く異なる魚種を選ぶようにしましょう。
例としてテトラ類や、ラスボラ、コリドラスなどが混泳相手として良いでしょう。
弱酸性の水質が発色のカギとなるので、同じく弱酸性の水質を好み、赤系の発色を持つ魚種と組み合わせると相性が良いかもしれません。
熱帯魚の例
弱酸性の水質で赤い発色が引き出される魚種を集めました。
混泳相手 | 混泳相性 | 備考 |
---|---|---|
グッピー | △ | グッピーは弱アルカリ性を好みます。 水質の相性がやや悪いです。 |
プラティ・卵胎生メダカ | △ | 多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。 水質の相性がやや悪いです。 |
カラシン・小型テトラ | ◎ | 問題なく混泳可能です。 ※ペンシル系は注意が必要です。 |
コイ・ラスボラ | ◎ | 問題なく混泳可能です。 |
ローチ・ボーシャ・タニノボリ | 〇 | 問題なく混泳可能ですが、弱酸性の水質と相性が悪いものがいます。 |
フライングフォックス/アルジイーター | 〇 | 体形が似ているので、サイズが同程度の場合は要注意。 フライングフォックスのほうがサイズが大きければ問題ありません。 |
ドワーフシクリッド | △ | サイズ差に注意。 シクリッドに食べられる恐れがあります。 |
アフリカンシクリッド | × | ペンシルがアフリカンシクリッドに攻撃されてしまいます。 |
エンゼルフィッシュ | △ | サイズ差に注意。 エンゼルフィッシュに食べられる恐れがあります。 |
ディスカス | △ | サイズ差に注意。 ディスカスに食べられる恐れがあります。 |
ベタ・グラミー・アナバス | ◎ | 問題なく混泳可能です。 |
コリドラス | ◎ | 問題なく混泳可能です。 コリドラスを入れる場合、底床は砂系がおすすめです。 |
オトシンクルス・ロリカリア | ◎ | 問題なく混泳可能です。 |
プレコ | ◎ | 問題なく混泳可能です。 |
レインボーフィッシュ | 〇 | 多くのレインボーは中性付近を好みます。 |
ハゼ・ゴビー | △ | サイズ差に注意。 弱アルカリ性を好む種が多く、水質の相性がやや悪いことが多いです。 |
フグ・パファー | × | ペンシルがフグに攻撃されてしまいます。 |
エビ・ビーシュリンプ | 〇 | 稚エビは食べられる可能性があります。 |
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
基本的には、本種に対し攻撃を仕掛ける生体でなければ混泳可能です。
加えて、本種が体形の似た魚種に対して攻撃する場合があるので、ペンシル系の魚種と混泳させる場合は注意が必要です。
一方で、発色を引き出すにはある程度は闘わせたほうが有効です。
水草を多く入れておくなど、隠れ家が多ければそこまでひどい争いにはなることは少ないです。
アークレッド・ペンシル まとめ
アークレッド・ペンシル。
燃え上がるような深紅の発色が魅力的なペンシルフィッシュです。
赤くなるのはオス個体で、メスの発色はやや淡くなります。
しかし、それでも他のペンシルフィッシュに比べれば赤みが強い種となります。
またオス個体であっても、発色を引き出すには飼育環境が重要です。
「複数匹で飼育」「弱酸性の水質」「色揚げ飼料の給餌」の3点を意識して飼育することで、発色が引き出されやすくなります。
一般的なペンシルフィッシュの魅力に“発色を仕上げる楽しみ”が付加されたのが本種です。
ぜひ、他のペンシルにはない深紅の体色を目指して飼い込んでみましょう!
コメント