皆さんこんにちは、Tです。多くの熱帯魚が生息する南米の川。すべての河川がそうではなありませんが、茶色の水の河川が存在します。これはただ汚い訳ではないしっかりとした理由があるんです。この色を飼育環境で再現すれば嬉しい効果も発揮します。今回は「川の色」について一緒に学んでいきましょう!
多くの熱帯魚が生息している「茶色の川」
この「茶色の水」ですが、正式には「ブラックウォーター」といいます。そもそも茶色の川ってどこにあるんでしょうか?少し調べてみました。
国名 | 河川名 |
ブラジル・ベネズエラ | ネグロ川 |
ベネズエラ・コロンビア | オリノコ川 |
チェコ | モラヴァ川 |
オーストラリア・タスマニア | ゴードン川 |
アメリカ合衆国(フロリダ州) | セントジョンズ川 |
ブラジル・ベネズエラのネグロ川は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?調べて初めて知りましたが、南米だけではなく東南アジアやボルネオ島などにもブラックウォーターの河川が流れています。
ブラックウォーターはなぜ茶色?
では、ブラックウォーターはなぜあんな色をしているのでしょう。実は汚れているわけではないんです。
ブラックウォーターである河川は流れが緩く、落ち葉や木の枝が溜まりがちになります。すると長期間に渡り水の中や河川周りに堆積した葉や流木や有機物から「タンニン」という物質がしみだしてきます。
タンニンはフミン酸やフルボ酸という酸性の物質によって構成されており、これらの物質が水中のミネラル成分と結びついて水の硬度を上げるカルシウムやマグネシウムなどの濃度が低下させます。その作用で水質をより酸性へと傾け軟水へと変えるのです。
大きな河川をブラックウォーターにするには多量の有機物が必要です。よって、ブラックウォーターが流れる河川の上流には広大なジャングルが広がっているという事になります。
実は身近なところにもブラックウォーターはあります。紅茶を入れた際のあの透き通った茶色、あの色もタンニンが要因です。※紅茶に含まれるカフェインは魚にとって有害です。観賞魚用のブラックウォーターとして使用するのはやめましょう。
こちらの写真をご覧ください。
写真右側が濁った泥水、左側がブラックウォーターです。支流同士の合流地点ではこのような光景が見られることがあるそうです。お互いに流れが緩やかで水の密度が全く違うため混ざり合うのに時間がかかり、このようなツートーンカラーになると言われています。この写真を見ていただければ、泥水との違いがよくわかると思います。
ブラックウォーターで熱帯魚を飼育するメリット
仕組みはわかったけれどブラックウォーターで熱帯魚を飼育するメリットって何?と思う方も多いのではないでしょうか?そんな声にお応えしてメリットをご紹介していきます!
見た目をより鮮やかに!
「観賞魚」の言葉通り、多くのアクアリストがその見た目に魅了されて熱帯魚を飼育しているのではないでしょうか?ブラックウォーター出身魚に、故郷に近い環境を与えてやるとその発色はより鮮やかになります。魚本来の色味・輝きを再現するにもブラックウォーターはもってこいの代物なんです。
ブラックウォーターで魚を元気に!
自然環境の河川と違い水槽内は完全な閉鎖空間です。1匹の魚が病気にかかってしまうと、健康な魚に感染する可能性が大きいことは言うまでもありません。そこで、ブラックウォーターの出番です。ブラックウォーターを色づける要因のタンニン、その主成分の1つであるフルボ酸には殺菌作用があることで知られています。つまり、病気の蔓延を予防し魚を健やかに飼育する事が期待できるのです。
産卵を促すきっかけに!
魚だけではなくどの動物も繁殖には気温や湿度などの条件が揃った最適な場所を求めます。南米産の魚をブリードしたいと考えている方は繁殖行動を活発にする1つのきっかけとしてブラックウォーターを使ってみましょう。自然に近い環境にしてやることで、成功率の増加が期待できます。もちろんそのほかの産卵に適した水草や採卵用品の用意も忘れないように注意しましょう。
卵の水カビ防止に!
魚の卵に発生する水カビ対して、日本では魚病薬を使うことがあると思います。ですが、海外のブリーダー間では殺菌効果があるとして産卵用水槽でブラックウォーターを使用する事が多いようです。
ブラックウォーターを作るにはどうすればいい?
自然環境に近い環境で飼育すると様々なメリットがあることがわかりました。でもどうやってその環境づくりをしたらよいのでしょうか。日本の水道水は地域差はあるものの中性付近になるように調整されています。けれどphを下げたい!そこで活躍するのが「ピート」です。
ピートとは
ピートとは野草や水生植物などが堆積し、長い年月をかけて炭化した泥炭(炭化のあまり進んでいない石炭)のことです。園芸に使われたり、「ヒース」という植物が豊富なスコットランドでは乾燥させいぶすことでウイスキーの香りづけなどにも使われています。
ピートは原材料となる植物の産地によって少しずつ効果が変わってきます。一般的に緯度が高く寒冷な国で育った植物でできたピートはタンニンが多く酸性が強くなります。アクアリウム用ではその特性を利用して、ヨーロッパやカナダ産のピートが使われることも少なくありません。園芸用に使われる長繊維ピートは寒冷諸国より緯度の低い北海道産のものが使われることが多いようです。
ピートを選ぶ時の注意
ピートには園芸用とアクアリウム用が存在します。園芸用はアクアリウム用に比べて安価です。しかし、中には粉末状の製品もありアクアリウム用としては使いづらいもの存在します。園芸用のピートを使いたい時は「ph無調整」と書かれたものを使用しましょう。phが調整されているピートには石灰が含まれており、この石灰が魚には有害です。
ブラックウォーターの作り方
それではピートを使ったブラックウォーターの作り方を解説します。状況によって使い方が変わってきます。
ゆっくりと効果を出したい時
ゆっくりと効果を出したい時はピートをろ材ネットに入れてそのまま水槽に投入しましょう。水槽内の景観が気になる方は外部式フィルターの中に入れても構いません。水中にカスが漂いますが、このカスは微生物のエサになるので取り出さない事をオススメします。
濃いブラックウォーターを作りたい
濃いブラックウォーターを作りたい時はピートを15分ほど煮沸します。煮沸後の色のついたお湯をしっかりと冷ませば完成です。こちらを使う時は一度に大量に入れるとphが想定以上に変動してしまう可能性があるので、少しずつ添加するようにしましょう。
チャームで取り扱いのあるピート
チャームで販売しているピート関連商品をご紹介していきます。
ブラックウォーターの素 100g 約10,000L分
つぶつぶピート 500g ネット付き
セラ スーパーピート 500g
国産 ph無調整 長繊維ピートモス 3L
ph無調整ピートモス 長繊維タイプ 200g
ピート以外でブラックウォーターを作りたい!
マジックリーフを使用する
アンブレラリーフとも呼ばれるのマジックリーフ。マジックリーフの原料は「モモタマナ」と呼ばれる植物の落ち葉です。1枚が大きくちぎって使いやすい上に、タンニンもよく出ます。何とも怪しい名前とは裏腹にその便利性は魔法級です。水槽に入れておくだけで、じんわりと飼育水をブラックウォーターに近づけてくれます。ベタのブリーダーがよく使っていたことから普及したと言われています。
国産アンブレラリーフ 1袋 約20g
国産アンブレラリーフ ちぎりタイプ 約30g
アズー アマゾンのめぐみ (4g×6袋入)
インスタントブラックウォーターパック(3g×3個)
ヤシャブシの実を使用する
ヤシャブシとは1~15mほどに成長するカバノキ科に属する植物です。本州の東北南部(福島県あたり)から西の太平洋側と四国や九州の低山帯・平野部などに分布しています。
特にアピストグラマ、ベタ、ビーシュリンプ等にオススメです。ビーシュリンプの飼育では投入したヤシャブシを”ツマツマ”する姿が観察できます。水槽に入れる時は、あく抜きをするために15分ほど煮沸してから使用しましょう。
やしゃぶしの実 10個
インスタントブラックウォーター作成キット(1個)
添加剤を使用する
規定量入れるだけでOK!手軽にブラックウォーターを再現する事ができます。また、チャームではブラックウォーターそのものの販売もしているので、ぜひチェックしてみてください。
テトラ ブラックウォーター 250ml
アズー トリプルブラックウォーター 120ml
足し水くん ブラックウォーター 0.5リットル(3本セット)
PRODIBIO ブラックウォーター ヒューミックウォーター ナノ 100ml(400L対応)
ブラックウォーターを用いた水槽では、鑑賞性が悪くなるというデメリットがあります。ブラックウォーターを用いると黄ばんだように見え、水が透き通ったレイアウトと比べると汚く見えると感じてしまうかもしれません。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。ブラックウォーターのしくみと使い方について解説しました。南米の熱帯魚の飼育に活用してみてはいかがでしょうか?
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