どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはアピストグラマ・ボレリー。
アピストグラマとしては珍しく、似た種がおらず本種だけで単独グループを構成します。
入手しやすいながらも唯一無二の個性的な種で、体高があって背ビレと尻ビレが大きく広がる姿は
見栄え抜群です。
他のアピストではよく見られるヒレの一部の伸長が本種には見られず、優しげな印象を持ちます。
美しい上に飼育・繁殖共に容易な種として知られ、入門種としても最適です。
アピストグラマ・ボレリーとは


名前 | アピストグラマ・ボレリー |
学名 | Apistogramma borellii |
分布 | ブラジル ― パラグアイ水系 |
グループ | その他のグループ(所属無し) |
尾形 | ラウンドテール |
最適pH | 6.0~6.5 |
ボレリーは体高のある個性的な体型を持ち、ヒレの部分的な伸長が見られないアピストグラマです。
主に「オパール」「イエローフェイス」「レッドマスク」と呼ばれる3種類のカラーバリエーションが知られますが、これは改良品種ではなく、個体差を選り分けて呼んでいるといわれています。
なお「レッドマスク」は特徴の一つにすぎません。
例えば体側がオパールであっても、レッドマスクの特徴が現れることはあります。
オパールやイエローフェイスといった体側の発色とは別に、レッドマスクという特徴を持つ個体がいる という認識で良いでしょう。
品種名ではありませんが、「レッドマスクの特徴が表れている」個体で「オパールでもイエローフェイスでもない」個体の場合は、単に「レッドマスク」と呼ぶことがあります。
ボレリーは飼育・繁殖が共に容易なこともあり、ブリード個体が数多く出回ります。
「イエローフェイス」は比較的特徴がはっきり表れやすいのですが、「オパール」「レッドマスク」に関してはコンディションを最高潮まで引き出さないと判別が微妙なことがあります。
ワイルド個体の入荷は少なく、ブリード個体に比べると地味めな印象です。
単独での輸入はほとんどありません。
コリドラス・ハステータスなどの同じ水系に暮らす魚種の入荷の中に、まれに混じっていることがあるくらいです。
本種の魅力を最大限に引き出すためには、やはり弱酸性の安定した飼育環境でじっくり飼い込むことが重要です。
有用なアイテム
ボレリーはブラジルのパラグアイ水系原産を主とするアピストグラマです。
パラグアイ水系はペルー産に準じ、好む水質が日本の水道水と比較的近いため、アピストグラマの基本さえ守れば神経質にならなくとも飼育が楽しめる種類となります。
大半がブリード個体で、品質が安定している上に飼育が容易な点は魅力です。
三種の神器
スポンジフィルター、吸着系ソイル、ココナッツシェルター(水草付が理想的)
これらはもはやどんなアピストグラマでも共通する、基本中の基本セットですね。
この組み合わせさえ守っていれば、ボレリーの飼育は容易です。
pH調整アイテム
pH調整の必需品です。
しかし、ボレリーの場合は、必ずしも厳密に測らなくとも飼育できることが多いです。
アピストグラマといえば低pHが重要とされますが、ボレリーはソイルが標準で持つpH低下作用だけでも十分です。ソイルのみの使用で、他に何もしなくともふつう6.0~6.5の範囲になるでしょう。
アピストグラマなので7.0未満にはしたいところですが、中性にほど近い弱酸性が理想となり、下げ過ぎも良くありません。
pHは6.0よりも下げてしまうとベストコンディションにならないことが多いかもしれません。
むしろ必要以上にpHを下げるようなことをせず、安定した環境を維持することの方が、ボレリーを仕上げる上では重要です。
繁殖について
ボレリーの繁殖については、教科書通りなアピストグラマと言えます。
用意するアイテムは、上述の三種の神器(スポンジフィルター、ソイル、シェルター)があれば基本的に十分です。

アピストグラマの中では最もトラブルを起こしにくく、まさに入門魚に適しているでしょう。
ペアの仲も比較的良いことが多いものの、繁殖のスイッチが入るとトラブルが全くないわけではないので注意が必要です。
流木に吸盤を付け、壁面に取り付けられるようにするのも良い工夫の一つです。

(例えばエリザベサエ)
➡
敢えて攻撃させる

ボレリーは比較的大人しく攻撃性の低い性質から、当て馬役としても適性があるといわれます。
当て馬とは、あえて他のアピストからの攻撃対象とさせるテクニックです。
他にコンディションを引き出したい本命のアピストがいる場合に、使用することがあります。
当て馬役にはコンディションを引き出したい本命の個体よりも1~2周り小さく、反撃してこなさそうなオスを選ぶことがポイントです。
本命の個体が自分より弱い当て馬役のボレリーを攻撃しることで、“勝ちグセ”が付きます。
勝ちグセが付くと自分を強くて魅力的だと思い込み、発色やプロポーションが良くなります。
結果、本命の個体のコンディションが最高潮に引き出されることがあるのです。
ボレリーは流通量が多く比較的安価であり、オス単体での販売も他種に比べると良く見られます。性質も温和なので、体格差がある場合はあまり反撃もしないでしょう。
とはいえボレリー自体も、アピストの中では安価とはいえ全体的に見れば高価な部類に入るかもしれません。
トーマシーやバジス、グラミーの仲間といった体形の似たスズキ目の魚種や、他に意外なところでオトシンクルスも当て馬として使えることがあります。
それらを試してみるのも選択肢の一つでしょう。
混泳について

一般的にアピストグラマの仲間は単独飼育が推奨されますが、ボレリーに関しては比較的混泳向きの種類となります。
繁殖を目的とする場合は単独飼育推奨ですが、そうでなければ賑やかに泳がせても良いでしょう。
アピストグラマの中では温和で攻撃性も高くなく、入手性も良いです。
本種と体形が異なる大人しい魚種を選べば、賑やかな混泳水槽のタンクメイトしても活躍できます。






性質が温和で小型のカラシンの仲間、コイの仲間や、コリドラスやローチなどの底生魚とは安心して混泳できるでしょう。
アピストグラマ・ボレリー まとめ

アピストグラマ・ボレリー。
アピストグラマとしては優しげで個性的な容姿でありながら、他のアピストグラマほど神経質でなく飼育・繁殖はアピストグラマとしてトップクラスに容易です。
「オパール」「イエローフェイス」は比較的流通が多く入手しやすい点も、嬉しいところです。
アピストグラマの中では比較的性格も温和なため、繁殖目的だけでなく、混泳目的で楽しむことができる点も本種の魅力と言えるでしょう。
入手の機会がありましたら、ぜひ飼育にチャレンジしてみてくださいね。
初心者向けと言われるABCアピスト(アガシジィ・ビタエニアータ・カカトイデス)よりもさらに飼育は易しく、他のアピストグラマに挑戦する前段階として入門用にも最適です。
アピストグラマ共通事項は、下記ページをご覧ください。