ワイルドとブリードって何が違うの?

生き物系
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どうも、ほにゃらら sp.です。

今回は「ワイルド」と「ブリード」の違いについて説明します。

熱帯魚店で魚を眺めていると、「ワイルド」「ブリード」という表記をよく目にしますよね。
「WD」という表記を見かけることがありますが、これは「ワイルド」の略記です。

違いは何か?結論を言うとズバリ、ワイルドは「天然もの」ブリードは「養殖もの」を表しています。


性質の違いについて

具体例を挙げてみましょう。

例えばカージナルテトラの場合…

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どちらも「カージナルテトラ」ですが、表記はワイルドとブリードで異なりますよね。
カージナルテトラという魚種としての差異は特にありません。
何が違うのかといえば、「天然もの」か「養殖もの」かの差に過ぎないのです。

ワイルドは「天然もの」なので、漁師によって捕獲された個体を指し、
一方でブリードは「養殖もの」なので、人の手で養殖された個体を指します。

外観上の相違点も全くないわけではありませんが、微妙な差異を認識するには           魚種ごとに熟練した識別眼を養わなければできません。                     見た目でワイルド/ブリードを区別できるのは相当な熟練者で、
普通は区別することは困難と考えてよいでしょう。

ワイルド/ブリードのどちらを選んでも種としては全く同じ、外見もほぼ変わらない…        では、性質は何か違うのでしょうか。
あくまでも傾向的なものですが、違いはあります。

一般に、それぞれ次のような傾向があるといわれています。


ワイルド個体について

主に繁殖技術が確立されておらず、野生個体の採集・入荷に頼らざるを得ない種類が「ワイルド」で扱われることが多くあります。

主にワイルド個体での販売が主流となる種類

ヤマトヌマエビ
オトシンクルス
グリーン・ロイヤルプレコ

苔取りとして人気の高いヤマトヌマエビやオトシンクルスは、まだ繫殖技術が確立されておらず、ほとんどすべてがワイルド個体です。

入荷実績が少ない種類も、基本的にはワイルド個体で入荷します。

メリット

  • 現地採集された個体のため、野性味があって発色が良い。
  • 養殖技術が確立されていない魚種は、ワイルドなら入手できる。
  • 大きく立派な外観へと育ちやすい。

デメリット

  • 現地採集された個体のため、輸送に時間がかかってコンディションを整えにくい
  • 人慣れしておらず、餌付けに時間がかかりやすい。個体によっては生餌しか食べないことも。
  • 多かれ少なかれ、野生個体群に負荷をかけている。
  • 雨季・乾季・禁漁期などによって流通する時期が決まっている。安定供給ができない。

ブリード個体について

繁殖技術が確立され、一定の人気と需要がある種類がブリードで扱われることが多くあります。

主にブリード個体での販売が主流となる種類

ネオンテトラ
グッピー
プラティ
コリドラス・アエネウス(赤コリ)
オトシンネグロ
レッド・ビーシュリンプ

いわゆる「ポピュラー種」と呼ばれ、ホームセンターでもよく見かける熱帯魚は大半が繁殖技術が確立し、「ブリード」個体が数多く流通しています。

オトシンクルスの仲間は繁殖が難しいとされるものの、ネグロに関しては繁殖技術が確立されており、ブリード個体が流通しています。

なお、グッピーやプラティーなどの改良品種系は、特に記載がなくとも全てブリード個体です。

メリット

  • 人工飼育下で養殖された個体のため、人慣れしていて餌付けしやすい。
  • 原産地からの輸送に比べると輸送時間が短時間で済み、コンディションを整えやすい。
  • 野生個体群に負担をかけない。
  • 安定的に生産されるため、安価で流通が安定している。

デメリット

  • 野生環境を経験しておらず、発色が甘い傾向がある。
  • 野生個体に比べると小型化しやすい。(※小型水槽の場合はメリットになります。)
  • 奇形が発生しやすい。

余談:ブリードカージナル秘話

カージナルテトラのブリード個体は、今日でこそよく見かけるようになりました。         かつては繁殖難易度が高いとされ、商業的な繁殖はほとんど行われておらず、
もっぱら、現地からの採集個体が大量に輸入されていました。

しかし、自然下のカージナルテトラは生態系において下位にあり、より大型の肉食魚などの重要な餌資源です。カージナルテトラが著しく減少すると、より上位の捕食者の減少につながりかねません。
この状態が長く続けば、アマゾンの豊かな生態系への悪影響も考えられます。

一方で、カージナルテトラは観賞魚としての人気は絶大です。とても大きな需要があります。
需要を満たしつつ、環境へも配慮する。

そこで、この目的を成し遂げるために、2008年以前ははまだほとんど情報がなかったカージナルテトラの養殖が取り組まれるようになったのです。

現在では養殖技術が確立され、東南アジアでの安定生産が可能になりました。
このような経緯からカージナルテトラのブリード個体は安定供給できるようになったのです。

ブリードされた観賞魚が「環境への配慮」「需要を満たす」を同時にクリアできるのも、     さまざまな努力が実を結んだ成果といえるでしょう。


つまりどちらを選ぶべき?

同じ魚種で「ワイルド」と「ブリード」どちらも入荷している場合、どちらを選ぶか迷うことがあると思います。

どちらを選ぶべきかは、何を重視するかによります。

もし、「飼育のしやすさ」を重視する場合は「ブリード」個体を選ぶと良いでしょう。       人に慣れているとあって飼育しやすく、餌付けもしやすいためです。

一方で、「野性味ある色彩や体型」を重視したい場合、こだわりたい場合は「ワイルド」個体を選ぶと良いでしょう。
魚種によってはワイルドでしか表現できないといわれる色彩を持つものもいます。

しかし、ブリード個体の品質も年々上昇してきています。
最終的にその生体のコンディションを決定づけるのは出自よりも飼育環境です。飼育環境を整えればどちらでも素晴らしい発色を望むことは可能でしょう。

ただし、カテゴリによっては、ワイルドかブリードかでガラッと見方が変わるものもいます。
ディスカスエンゼルフィッシュベタがその一例です。これらに関しては、ワイルドとブリードではもはや別ジャンルといえるほど、求められる専門性や世界観が全く異なります。

どのカテゴリも大変奥深いものです。
興味を持たれた方は、ぜひ調べてみてくださいね。

以上、今回はワイルドとブリードの選び方について、簡単な解説をお送りしました。

どっちにしようかな…?と迷った際に、ぜひご参考いただければ幸いです。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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