コリドラス・アガシジィ<熱帯魚解説>

コリドラス
コリドラス種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するのはコリドラス・アガシジィ。

流通量も多く、入手しやすいセミロングノーズ系コリドラスです。
体側のスポット模様と目の途中まで入るアイバンド、頭部にやや明るい褐色~オレンジ色、背ビレの根元が黒く染まる点、尾ビレにスポット模様が入る点が本種の特徴です。

コリドラス・アガシジィとは

生物学的情報
名前コリドラス・アガシジィ
学名Corydoras agassizii
別名あれば記載
分類ナマズ目カリクティス科コリドラス亜科
食性雑食
ノーズセミロングノーズ
アイバンド系
スポット系
分布ブラジル、ペルー ― アマゾン川
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★☆☆☆
やや珍しい
混泳しやすさ★★★★★
とても混泳向き
最大体長6cm程度
適正水温22~27℃
pH生存可能:5.5~8.0
適正範囲:6.0~7.0
※あまり気にしなくてOK
備考特になし
標準的なコリドラスです。

コリドラス・アガシジィはブラジル、ペルー、アマゾン川原産のコリドラスです。
「目にかかる黒帯(アイバンド)」「体側に斑点模様」「頭部に褐色~やや明るいオレンジ色」「背ビレが黒く染まる」「尾ビレに模様が入る」の5点が特徴です。
しかし、その特徴の個体差は大きく、結構ばらつきが見られます。

さらに、よく似た種が数多く存在することから、判別が困難な種とされています。
特徴が無い種と評されることも・・・。

アガシジィ固有の特徴としては

「アイバンドが目の半分までにしか入らないこと」
「背ビレが黒く染まるのは根本だけ」
「体側のスポットが比較的大きく、まばらに入ること」

アイバンドは目の途中まで。
背ビレのは付け根だけ黒く染まる
スポットは大きくまばら
※個体差あり

の3点に着目すると良いでしょう。

本種はセミロングノーズ系コリドラスとしては流通量が多く、入手性は良いです。
セミロングノーズ系コリドラスを初めて飼育する際にもおススメできる、丈夫で飼いやすい種です。

本種の飼育に関しては、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていれば、それでOKです!
注意点があるとするとしても、底砂に砂粒の細かいものを採用するぐらいです。
(大磯でも飼育は可能です。)

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pHもどちらかと言えば弱酸性を好みますが、そんなに気にしなくてOKです。
少しぐらいアルカリ性に傾いても平気です。
割と水質には寛容なので、あまり小難しく考えなくとも基本さえ抑えれば問題なく飼育できます。


アガシジィ似のコリドラス

「アイバンド」「体側にスポット」「頭部にオレンジ」「背ビレが黒」

この4点の特徴を満たすコリドラスは数多く存在します。
モブ柄・・・もとい、ポピュラーな柄と言えるかもしれません。

このタイプは体側に斑点模様が入る「スポット系」でありながら、目に黒帯がかかる「アイバンド系」でもある2つの模様パターンに属するコリドラスと言えます。
このタイプのコリドラスは、数ある種の中でも判別が最も大変なグループと言われています。

比較的入荷が見られるものを、いくつかピックアップして紹介します。

アガシジィ似の柄を持つコリドラスはとにかくよく似ているので、識別は大変難しいです。
各種の相違点は次の通りです。

コリドラス・アガシジィ “コロンビア”

学名:Corydoras agassizii?

コロンビア産のアガシジィです。
一般的に流通するアガシジィに比べ、背ビレの黒い面積が広いこと、スポットがより密に入ること の2点が特徴です。

コロンビア産のパンクに混じる形で、少数入荷が見られます。

コリドラス・アガシジィ “プルス”

学名:Corydoras sp.

ブラジル・プルス川産のアガシジィ似のコリドラスです。
アガシジィとは別種と考えられています。

模様はアガシジィによく似ますが、背ビレの黒斑が目立ちません。また、アイバンドがやや薄いです。
ノーズの形状が独特で、先端がすぼむ個性的な形をしています。

以上から、ぱっと見はアガシジィによく似ていますが、よく見ると相違点の多い種です。

ノーズの形状に注目
独特な形状のセミロングノーズ。

一般的なセミロングノーズ系コリドラスは頭からノーズにむかってなだらかな曲線を描きますが、アガシジィ”プルス”に関しては先端がすぼむような独特の形状をしています。

シルエットで区別ができるので、一緒に飼育しても面白いかもしれませんね。
ぜひ、行動の違いも比較してみると良いでしょう。

コリドラス・パンク(レウコメラス)

学名:Corydoras leucomelas

ペルー、パカヤ川原産のコリドラスです。
アガシジィに似た柄のショートノーズ系コリドラスです。
従ってノーズの形状で区別できます。

このタイプの柄を持つコリドラスとしては最も一般的で、流通量も多く飼育しやすいです。セミロングノーズとの比較対象として、最高の混泳相手かもしれません。

コリドラス・アムビアクス

学名:Corydoras ambiacus

ペルー、アムビアク川原産のコリドラスです。
流通量の多いセミロングノーズ系コリドラスと言う点までアガシジィと一致し、識別が難しい相手です。

アガシジィとの相違点としては、「体高が比較的高いこと」「斑点がさらに大きくまばらなこと」の2点が挙げられます。

コリドラス・デルファックス

学名:Corydoras delphax

コロンビア、オリノコ川原産のコリドラスです。
こちらも流通量の多いセミロングノーズ系コリドラスと言う点までアガシジィと一致し、識別が難しい相手です。

アガシジィとの相違点としては、「斑点模様の密度」が挙げられます。本種のほうがスポットが細かく密集して入る傾向があります。
尾ビレのスポットが繊細な点にも注目です。

本種にはスポットが細かいタイプと大きいタイプが知られますが、それでもアガシジィ程は大きくなりません。画像の個体でも、スポットが大きいタイプ となります。

コリドラス・ロブスタス

学名:Corydoras robustus

ブラジルのプルス川、イピクスナ川、ペルーのタピチェ川原産のコリドラスです。

模様こそアガシジィ似ですが、最大体長は10cm程度と非常に大型に成長するコリドラスです。成長すると背ビレの棘条が白く染まり長く伸長する点で識別は比較的容易です。

風格のある見事なフォルムが人気を博し、迫力のある大型種として知られます。


セミロングノーズのポピュラー種
アガシジィ
アムビアクス
デルファックス

「アガシジィ」似のコリドラスは数多く存在しますが、その中でも「アムビアクス」「デルファックス」は柄が非常によく似ている上に流通量も多く、シルエットもそっくりです。

主な関係性は次の通りです。

種名アガシジィアムビアクスデルファックス
原産地ブラジル
アマゾン川
ペルー
アムビアク川
コロンビア
オリノコ川
スポット大・まばら大・密小・密

おそらくこの3種は共通祖先を同じくし、それぞれブラジルで進化を遂げたものがアガシジィ、そのペルー版がアムビアクス、コロンビア版がデルファックスなのではないか と推測されます。

ざっくり分布傾向

しかしながら・・・。
実際の流通に当たっては、ペルー産の個体がコロンビア便で入荷することもあり得ます。
国境付近の個体は判断が曖昧です。
このため産地についての詳細は、一概に言えないのが実情です。

主な傾向としては上述の通りなのですが、例えばアムビアク川はアマゾン川本流と繋がる支流の一つです。
したがって、厳密に言うとアガシジィと産地が全く重ならないかと言えば、これは採集者にしか分からない というのが実際のところです。

タバチンガ
アマゾン川沿いの町です。
アガシジィはこの近郊産の個体が模式標本として記録されています。

アムビアク川
アマゾン川の一支流です。
アムビアクスの主要な産地と言われています。
タバチンガとの距離は約200km離れています。

タバチンガはブラジルとペルーの国境付近の町となり、川の対岸はペルーです。
このことからも、”具体的にはブラジル産”なのか、”ペルー産”なのか、判断が難しいところです。

そもそも生物の分布において国境は関係が無く、国境は人間が決めたものです。
このため、生物の分布が国境をまたぐことも、ふつうに起こり得ます。

分布状況によっては”〇〇産”と明確に区別できないこともあり得るため、必ずしもアガシジィ=ブラジル便 の図式が成り立つとは限らないことは、留意しておきましょう。


有用なアイテム

アガシジィはほとんど教科書通りのコリドラスであるため、これと言って特別有用なアイテム はありません。

コリドラス全般に共通する基本的な性質については、コリドラス共通ページをご覧ください。

コリドラスの世界
熱帯魚界の「ソコモノ」代表、コリドラスの情報サイト。コリドラスの飼育に必要な全ての基礎知識と、厳選した人気種をピックアップして紹介しています。

混泳について

アガシジィは非常に混泳向きのコリドラスです。
コリドラス同士であれば基本的に問題ありません。

グッピー、プラティ、テトラ、ラスボラ・・・。
人気の小型熱帯魚とも混泳相性は抜群です。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
グッピーは弱アルカリ性を好みます。
プラティ・卵胎生メダカ
多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。
カラシン・小型テトラ
コイ・ラスボラ
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
ローチ、タニノボリ系は好相性です。
ボーシャ系の攻撃性を持つ種では注意が必要です。
フライングフォックス/アルジイーター
ドワーフシクリッド
アフリカンシクリッド
×
エンゼルフィッシュ
ディスカス
ベタ・グラミー・アナバス
コリドラス
オトシンクルス・ロリカリア
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※一般的なオトシンクルスやオトシンネグロは特に問題はありません。
プレコ
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※タイガー、ブッシープレコ系はトラブルを起こしにくいでしょう。
※セルフィン、ロイヤルプレコ系は力関係を要観察です。
レインボーフィッシュ
ハゼ・ゴビー
遊泳層が被るため、攻撃性の高い種では注意が必要です。
フグ・パファー
×
エビ・ビーシュリンプ
稚エビは食べられる可能性があります。
コリドラス・アガシジィの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとは言えません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

基本的には、コリドラスに対し攻撃を仕掛ける生体でなければ、ほとんどなんでも混泳可能です。
コリドラスがトラブルの火種になることは少ないですが、コリドラス以外の同居魚同士の相性はよく考えてあげてくださいね。

コリドラス以外の生体間での相性関係はあるので、留意しましょう。


コリドラス・アガシジィ まとめ

コリドラス・アガシジィ。
ポピュラーで比較的入手しやすい、セミロングノーズ系コリドラスです。

アガシジィと非常によく似た柄・体型を持つコリドラスは多数おり、判別の難易度は高めです。
その中でも「アムビアクス」「デルファックス」は特に酷似します。

見た目だけで判断すると、彼らはただのそっくりさんかもしれません。
しかし、彼らがそれぞれの原産地でどのような進化を遂げたのか、そこに思いを馳せてみると・・・。
また一つ掘り下げた飼育の楽しみを見いだせると思います。

アガシジィはよく似た柄のコリドラスが多いため、「特徴のない柄」と扱われることもしばしばあります。
しかし、コンディションを整え状態良く大事に飼育すると、エラブタをはじめ体側に輝きが現れます。
ぜひ育ててみて、アガシジィの真の魅力を堪能してみてくださいね。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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