どうも、ほにゃらら sp.です。
このコーナーではアクアリウムの森羅万象、あらゆる関連製品・生体について、
コリドラス飼育目線
での、見解・感想なんかを紹介していきます。
第6回では、コリドラスの好む水質と、有用な水質調整剤について。
ロングノーズ系コリドラスの勢いで詳しく掘り下げていこうと思います。
コリドラスが好む水質
コリドラスの多くの種は基本的に適応範囲が広く、一般的に魚が飼える範囲の水質であれば幅広く適応可能です。
したがって、“単に飼うだけ”であれば、さほど水質には気を払わなくとも問題なく飼育できます。
水質に関しては敏感でなく、pH6.0~8.0の間であればあとは割となんでもOKといった種が多いです。
しかし!そのコリドラスの本当のポテンシャル、引き出したくはないでしょうか。
多種多様なコリドラスたちがそれぞれに持つ、発色やコンディションを最大限に発揮するためには……そのコリドラスたちが好む水質について把握する必要があります。
そのあたりを、今回は掘り下げていきましょう!
ざっくりとこの3パターンに分けられます。
さらに、これらの中間形みたいなパターンもあり、どのパターンに属するかは種によってグラデーションがあると捉えましょう。
例えば“青コリ”ことパレアタスは飼育が容易なイメージが強いですが、水質に関してはAとCの中間形のような性質を持っています。
Aのコリドラスに比べて新しい水を好む傾向があるので、水換えは気持ち多めのほうが調子良く飼育しやすいです。
パターンA.水質は気にしない系
水質をほとんど気にしないタイプのコリドラスです。
最も飼いやすいタイプで、特に初心者向けといえます。
ブリードものに多く、安定して入手しやすい種類が多いのも魅力です。性格的にも水質的にも他魚との混泳相性に優れます。
グッピーなどの弱アルカリ性を好む魚のコンディションを優先したい場合も、割と問題なく他の魚の都合に合わせられます。
さほど気にしないとはいえ、どちらかといえば弱酸性を好みます。
もし、コリドラスを中心に考えるのであれば、6.0~7.0の間で飼育すると調子が良いでしょう。
アエネウス、パンク、ジュリーとその近縁種の多くがこのグループに入ります。
ブリードものが流通する種は、多くがここに該当します。
「コリドラスは丈夫で、幅広い水質に適応できる」というイメージは主にこのグループから来ているのでしょう。概ねその通りですが、全種ではない点に注意が必要です。
パターンB.弱酸性が好き系
弱酸性の水質を好むコリドラスです。
腐植酸が多く含まれた、ブラックウォーター系の水を好む傾向があります。なおpHが低く維持できれば、ブラックウォーターにする必要はありません。
「導入時に水質に敏感」といわれるパターンの一つで、ネグロ川やコロンビア産など南米北部原産の種、地肌が褐色系の種はこのパターンに該当するものが多いです。
(通称:茶色系 とも呼ばれます。)
逆に言えばpHを下げてあげれば調子が整いやすいので、ろ材や調整剤で整えれば飼育は難しくありません。
このパターンでは水道水原水のGHが高すぎると、飼育が上手くいかないことがあります。原水の硬度が10以上になる場合は、RO浄水器の採用を検討してみてください。
アドルフォイやメリニに近い模様を持つ種が、このパターンに該当することが多いです。
欲しいコリドラスの産地を見て、「ネグロ川」「コロンビア」「ベネズエラ」「スリナム」というワードに対し、「こいつもしかすると弱酸性好みっぽいな……。」という反応ができると素敵です。
およそ南米大陸北部原産の種がこのパターンに属する傾向があります。
なおパターンBのコリドラスは低pHを好むとはいえ、アピストなどで用いられるような「こなれた水」による硝酸塩の蓄積でpHを下げる手法と相性が良くありません。
コリドラスでは硝酸塩の蓄積が多いと、自慢のヒゲが溶けてしまうことがあります。
定期的な水換えは欠かさずに、pHの低下には腐植酸の添加やGH、KHを低下させるなど、別のアプローチで下げてみてください。
パターンC.新鮮な水が好き系
清浄な水を好む種です。
主に上流域に生息する種が該当し、ラウンドノーズ系、ロングノーズ系が多く含まれます。
このパターンのコリドラスは硝酸塩が蓄積すると調子を崩しやすく、極端な低pHを好みません。また、他の種よりも若干低温を好む(≒高水温が苦手)傾向があります。
新鮮な水が大好きなので、水換えすると調子が良くなりやすいです。
パターンBとはまた別の方向性で「導入時に水質に敏感」「飼育にクセがある」といった要素を持っています。
導入時の水合わせは時間をかけて慎重に行いましょう。
パターンBが茶色系と呼ばれる種が多いのに対し、こちらは白い体色に細かいスポットを持つ種類が多いです。
(通称:ゴマ塩系 とも呼ばれます。)
もしこの体色が擬態に由来するものであるならば、生息地にやや砂利が多い上流域の種の特徴といえるのかもしれません。
水換えは頻度・量とも多めにしてあげると良いでしょう。
ロングノーズ系の種の場合、これに加えて溶存酸素も意識しましょう。
ラウンドノーズ系、ロングノーズ系はまずこのパターンと考えてよいです。
このうち入門種的な扱いをされる種に関しては、AとCの要素を併せ持つ種と考えると良いでしょう。
3パターンの中間形
ここまででコリドラスが好む水質は、A(水質気にしない)、B(弱酸性好き)、C(新鮮な水が好き)の3パターンに大別できることが分かりました。
しかし、これには種によってグラデーションもあり、中間形となるものもいます。
ここまで紹介した例を元に、産地や模様で推測すると良いでしょう。
AとBの中間
水質はさほど気にしないけど、若干弱酸性が好きなコリドラスです。
コリドラスの中でもトップクラスの人気種といえるパンダはまさにこのパターンで、飼育が容易なパターンAに近いものの、若干Bの要素を併せ持っています。ハブローススもこのパターンです。
調子を崩しやすい時は、少しpHを弱酸性に維持してみることを意識すると良いでしょう。
AとCの中間
水質はさほど気にしないけど、新鮮な水が好きなコリドラスです。
青コリの名で入門種として知られるパレアタスは、実はこのパターンです。
同じ括りで人気のある赤コリことアエネウスに比べると、わずかに新鮮な水を好みます。(=水換えを長期間しないと調子を崩しやすい)
基本的にはパターンAに準じるため飼育は容易ですが、若干Cの要素を併せ持っていることを意識して管理しましょう。
ブラジル南部原産の種に多いです。
他に、ロングノーズの中では飼いやすく入門向けとされる種もここに該当します。
基本的にはパターンCでありながら、それほど要求する条件が厳しくないのでAの要素を併せ持っており、ロングノーズにしては比較的飼いやすいといわれます。
BとCの中間
弱酸性を好み、なおかつ新鮮で硝酸塩の少ない水を好むコリドラスです。
このパターンは全てのコリドラスの中で最も要求条件がシビアです。いわゆる「飼育が難しい」と言われるものがここに当てはまります。
基本的には生息地がパターンBと被る、ネグロ川、コロンビア産のロングノーズ系が該当します。
弱酸性の水質維持に気を配りつつ、硝酸塩の蓄積にも配慮します。加えて、溶存酸素も重要です。
このパターンのコリドラスを状態良く長期飼育できるなら、もう立派な上級者といえるでしょう。
コリドラスに有効な水質調整剤
基本的にはカルキ抜きとpH調整剤を用いましょう。
硝酸塩中和剤があると水換えのタイミングを遅らせることができるので、必要に応じて用いると良いでしょう。
カルキ抜き
もはや説明不要ともいえるぐらいの基本アイテムですが、念のため。
カルキ抜きにはさまざまな種類がありますが、コリドラスに関していうとどの製品を使用しても大きな違いはありません。
「アクアセイフ」のような粘膜保護剤配合タイプの製品の場合、導入時のストレスが軽減しやすく若干有利かな、という印象です。
液体タイプと固形タイプとありますが、これはお好みで選んで構いません。
迷ったら液体が使いやすいと思います。
パターンAのコリドラスは、カルキ抜きだけあれば基本的には十分です。
他の調整剤は特に必要としないことがほとんどです。
pH下降剤
弱酸性を好むパターンBのコリドラスは、pH下降剤を用いると調子が整いやすくなります。
水換えの際に、カルキ抜きと同時に適量添加しましょう。
水に着色するタイプとしないタイプの製品があり、これはお好みで使い分けます。
水は透明のままで観賞性を高めたい場合は着色しないタイプ、生息地の環境を再現したい場合は着色するタイプを使用すると良いでしょう。
▼こちらも参考
pHを下げるなら測定も必須
pH調整剤を用いてpHを下げるなら、どれくらい下がったのか確認も必要です。
必要以上に下げ過ぎると逆効果になる場合もあります。
また、急にpHを大きく変動させると、pHショックを引き起こすリスクもあります。
必ず用法・容量を守って使用し、正しく効果が表れているか確認しましょう。
流木レイアウトも有効
実は流木には腐植酸が含まれているため、多少なりpHを下げる効果があります。
コリドラスを中心とした水槽では、底床にソイルを使用しづらいため、流木が腐植酸の添加に有効なアイテムとなります。
これを踏まえるとパターンBのコリドラスは、流木を大胆に用いたレイアウトに適性があるといえます。
しかしBのコリドラスにとっては、
喜ばしい水になります。
そのままではアクの溶出が強すぎるので、いずれにせよアク抜きは必須です。
しかしアク抜き後に多少染み出る程度の着色であれば、パターンBのコリドラスにはむしろプラスに働きます。
(着色が濃すぎる場合は水換えしましょう。)
▼こちらも参考
RO浄水器
エキスパート150
調整剤を使用しても思うようにpHが下がらない場合、原水となる水道水のGHが高すぎる可能性があります。
概ねGH9以下であればパターンBのコリドラスでも問題なく飼えますが、GH10以上になるような高硬度の地域の場合はそうはいかないかもしれません。
この場合、RO浄水器の使用により解決できることがあります。
※水道水原水の硬度がGH10以上になってしまう地域では、パターンAかCのコリドラスから選ぶのも選択肢だと思います。
▼こちらも参考
必要な時だけ添加しよう
pH調整の大前提として、現時点で既に調子良く飼えている場合は不要です。この場合、安定した環境でそのまま続けたほうが長期飼育できる確率が高いでしょう。
なんだか調子が上がらなかったり、発色がいまひとつだったり、繁殖を狙いたかったり……このような何かしら解決したい問題点を抱えている場合に、pHの調整を検討してみてくださいね。
硝酸塩除去剤
新鮮な水を好み硝酸塩の蓄積を嫌うパターンCのコリドラスは、硝酸塩を分解除去する調整剤を用いすると水換えの頻度を低減できます。
こちらは水換え時ではなく、稼働中の水槽に直接添加する形が基本となります。
仕組みとしてはこの調整剤が直接硝酸塩を分解するのではなく、硝酸塩を分解するバクテリアの活性化を促すものであることが多いです。
この性質からバクテリア剤と併用が効果的です。
コリドラスと水質調整 まとめ
コリドラスと一口に言っても、その種類は多種多様。
丈夫な魚なので大抵の水質に適応ができますが、真のポテンシャルを引き出すとなると、理想形はいくらかのパターンに分かれます。
コリドラスにとって理想的な環境を整えるのであれば、できるだけその種が本当に好む水質に整えたいところですね。
また、入荷が珍しいコリドラスの場合、そもそも飼育に関する情報が少ないことも多々あります。
その場合は産地や見た目の特徴をもとに、近そうな種の性質から類推して試行錯誤を重ねると良いでしょう。
例えば「コリドラス・ミラグロ」の入荷は稀ですが、見た目はロレトエンシスやロレトパンダに似ています。
ロレトエンシスはパターンCに該当するので、おそらくCに近い性質を持つ種ではないか、と言った具合に推測ができます。
ところで、コリドラスを買い集めていると、なんだかんだで色々な種類を一つの水槽にまとめたくなってしまうこと、よくあると思います。(ついつい欲が出て過密水槽になる、あるあるですね・・・)
では、ここでちょっと問題です。
もし今回紹介したすべてのパターンのコリドラスを一つの水槽で調子良く飼うとした場合、どのくらいのpHに整えて飼うと共存できるのでしょうか。
少し、考えてみましょう!
答え:pH6.5~6.8
pHを中性に近い弱酸性に整えると、どのコリドラスも調子よく共存できる値になります。
過密水槽になると硝酸塩が蓄積しやすいため、成長の速い水草を入れるか換水頻度を増やすかで対策しましょう。水温はパターンCに合わせて少し低めにすると良いと思います。
水質調整剤の必要性は、水道水原水の水質によって左右されます。
原水のpHが7.5以上の場合にはpH下降剤を、水換えの頻度を低減させたい場合には硝酸塩除去剤を使用すると良いでしょう。
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