どうも、ほにゃらら sp.です。
このコーナーではアクアリウムの森羅万象、あらゆる関連製品・生体について、
コリドラス飼育目線
での、見解・感想なんかを紹介していきます。
第10回では、コリドラスの繁殖の基本的な手順と、必要となるアイテムについて紹介していこうと思います。
コリドラスの繁殖方法
繁殖手順の話の前に、まずコリドラスの繁殖生態について知っておきましょう。
前提として、コリドラスの繁殖は熱帯魚の中では比較的難しい部類に入ります。
原産地となる南米には雨季と乾季があり、コリドラスは乾季から雨季に切り替わるシーズンに産卵期を迎えると考えられています。
スイッチさえ入れば、オスがメスをしばらく追いかけた後に、Tポジションと呼ばれる特殊な行動に至り、その後産卵します。
コリドラスであればどの種も繁殖方法自体はおそらく同様と思われるのですが、繁殖モードへのスイッチの入れ方が不明な種が多いというのが実情です。こればかりは試行錯誤してみるほかありません。
おそらく、種ごとに繁殖のスイッチが入る条件は異なるものと推測されます。
一方で、一部の種では普通に飼育していても比較的繁殖のスイッチが入りやすく、繁殖させやすい種も知られています。
繁殖難易度で言えば、アエネウスが一番成功しやすいと思います。
ブリード個体が数多く出回る種ほど、繁殖させやすいものが多いです。
一方で、アークアタスは流通量の多いポピュラー種であるにも関わらず、全くといってよいほど繁殖例を聞きません。
ワイルド個体の流通が主流となる種は、繁殖が難しいものが多いです。
情報が少ない種類の場合、一筋縄ではいきません。
さまざまな工夫と試行錯誤を求められるという点では、挑戦しがいがあると言えるでしょう。
このように、コリドラスの種によっても繁殖難易度は大きく変わります。
本記事では、アエネウスやアドルフォイなどの比較的繁殖させやすいとされるショートノーズ系の種を対象とした繁殖方法について紹介していきます。
基本的な手順は次の通りです。
用意する道具
コリドラスを繁殖させる際に、水槽やフィルターといった基本的な設備以外に必要になる道具は、次の通りです。
▼コリドラス飼育の基本事項から知りたい方はこちらを参照
産卵基質
コリドラスは野生下では流木や石、水草などの基質の物陰に産卵します。
「シェルター」「流木」「水草」いずれかを用意しましょう。
なかでも、「土管型シェルター」、「水草付き流木」、「アマゾンソード」は特におすすめです。
産卵ができる場所であれば何でも良いので、どれを選ぶかはお好みで構いません。
複数入れておき、気に入ったものに産んでもらうという形が一番成功率が高いでしょう。
シェルター
産卵基質としては最も扱いやすいのがシェルターです。
単独で隠れ家にもなり、その中で産卵を行えるのでよりコリドラスが落ち着いて産卵に集中できます。
形は製品によってさまざまですが、土管型のものが特に良いでしょう。
シェルターのサイズが大きい場合、産卵が確認できたらはがして隔離ケースに入れましょう。
産卵直後であれば、比較的容易にはがせます。
水草付き流木
水草付きの流木は自然な雰囲気を演出し、自然に近い状態での産卵を促せます。
卵は流木に産み付けることも、水草に産み付けることも両方あります。
小ぶりなものを選んでおくと、はがさずにそのまま隔離ケースに入れられる点がメリットです。
アマゾンソード
アマゾンソードも卵が産み付けられやすいものとして、古くからコリドラス愛好家の間で用いられる水草です。
比較的丈夫で育てやすく、葉に産卵した場合は葉ごと切り取れば卵を傷つけずに回収できる点がメリットです。
冷凍アカムシ
産卵を目的とする場合は主食として与えます。
人工飼料に比べるとコストはかかりますが栄養価が高く、いかに食べさせ、いかに水を換えるかが繁殖成功の秘訣です。
ただし、アカムシのみを長期間単用すると、栄養バランスに偏りが生じ状態が悪くなることがあります。
基本的にこちらを与えるとして、1週間に2~3回程度は人工飼料も与えましょう。
ブラインシュリンプ孵化キット
ふ化後の稚魚に与えるブラインシュリンプ幼生をふ化させるためのキットです。
はじめてふ化させる場合は、意外と加減が難しいので専用容器やキットを使用した方が失敗しづらいのでおすすめです。
ある程度仕組みを把握し、慣れてきた方であればペットボトルで自作すると安上がりに済ませることができます。
▼こちらも参考
スポイト
こし器
ブラインシュリンプを沸かしている飼育水は塩分が含まれています。
塩分を稚魚水槽に入れないようにするためには、一度こしてから与えるのがベストです。
スポイトで吸い取ったブラインシュリンプをこし器にあけ、塩水を捨てて残ったブラインシュリンプを稚魚に与えます。
隔離ケース
卵や稚魚を隔離するケースです。
親と一緒にしておくと誤って食べられてしまうリスクがあるため、得られた卵や稚魚はケース内に隔離するのがベストです。
隔離ケースにはさまざまなタイプがありますが、中でも「サテライト」シリーズは水温をメイン水槽と同じ水温に維持ができ、エアーの供給もできるので人気の高い製品です。
セッティングについて
基本的には一般的な熱帯魚のセッティングに、細かい底砂を敷けばOKです。
フィルターはお好みのもので構いません。
コリドラスの繁殖に重きを置く場合、殖やしたいコリドラスを一種類に絞り、オス2匹に対しメス3匹ほど泳がせておくと良いでしょう。水槽サイズは最低でも45cm以上あると良いです。
コリドラスの場合、1ペアだけでは必ずしもペアが成立し産卵に至るとは言えません。
複数匹いたほうが成立しやすくなるようです。
繁殖水槽の管理
一般に魚が繁殖モードになる条件として、水温、水質、日照の変化がきっかけとなることが多いです。
それぞれの種ごとに適した水温、水質、日照などの値があるのでしょう。
これらの条件が狭い種ほど繁殖が難しいとされ、逆に条件が広い種ほど繁殖が容易とされます。
水温・水質
比較的繁殖が容易とされるコリドラスの多くは、24~26℃程度が適温となるようです。
pHは6.0~7.0、弱酸性の水質環境であることが望ましいです。
日照条件に関してはそれほど重要ではないようです。
コリドラスは基本的に水温・水質の変化をきっかけに産卵するといわれています。
水換えを行った翌日朝に産卵することが多いです。
このため、通常の飼育管理よりも水換えの頻度を増やすことで、産卵する確率を高められます。
特に抱卵が確認できたら、水換えの頻度を増やしてみてください。
繁殖水槽でのエサの与え方
繁殖を目的とする場合は、通常の飼育よりも動物性たんぱく質を多めに与えます。
活イトメが最良ですが、長期間の給餌は管理が難しい上にコスト面で難があるため、冷凍アカムシが良く使われます。
冷凍アカムシ単品で長期間与えると栄養バランスが偏るので、時々人工飼料を与えましょう。
栄養価の高いエサは食べ残すと水を汚すので、この観点でも高頻度での水換えは重要です。
産卵したら
状態良く飼育を続け、個体が十分に成熟すると、オスがメスをしきりに追うようになります。
この状態でpHの変動や水温などの変化を与えると産卵行動に至ることが多いです。
水換えがそのきっかけとして有効です。
卵は粘着性が非常に高く、水槽面やパイプ、流木などに数個ずつまとめて産卵します。
この産卵時にはTポジションと呼ばれるユニークな行動が見られます。
産卵直後の卵は簡単にはがせます。
卵は隔離ケースなどに移し、十分にエアレーションしてください。
メチレンブルーを少量入れておくことで、水カビの予防にもなります。
無精卵は白く濁ります。
そのまま放置するとカビが生えて他の卵に移ってしまいますので、見つけ次第除去しましょう。
稚魚の育成
回収した卵は水温25度前後であれば、5日前後でふ化します。
種によって多少長さは異なるものの、長くとも1週間以内にはふ化することが多いでしょう。
ふ化後の稚魚はヨークサックが吸収された後、ブラインシュリンプの幼生をふ化させて与え、育てます。
ブラインシュリンプの沸かし方と与え方は、以下の記事を参考にしてみてください。
▼こちらも参考
ブラインシュリンプは1日1~2回与えます。
生きたブラインシュリンプは栄養価が高い反面、水を汚しやすいです。
汚れがたまってきたらスポイトなどで除去しつつ、適切なタイミングで水換えしてください。
1週間に2~3回程度が目安です。
稚魚が2cm以上に育ってきたら、隔離ケースから出して親と合流させても大丈夫です。
2cm程度になってきたら主食をブラインシュリンプから冷凍アカムシに切り替えると、成長が早くなり大きく育ちます。
このとき、アカムシは小さいタイプのものを与えましょう。
稚魚のうちは、太いアカムシはまだ食べることができません。
「ミニキューブ」などがおすすめです。
コリドラスの繁殖 まとめ
コリドラスの繁殖は、数ある熱帯魚の中でも難易度が高い部類に入ります。
詳細な生態が分かっていない種も多いので、試行錯誤が重要です。
あきらめずにチャレンジしてみましょう!
もし報告例の少ない種で繁殖に成功したら、その過程をブログやSNSなどにまとめておくと、将来どこかで誰かの役に立つかもしれませんね。
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