どうも、ほにゃらら sp.です。
このコーナーではアクアリウムの森羅万象、あらゆる関連製品・生体について、
コリドラス飼育目線
での、見解・感想なんかを紹介していきます。
第13回では、ブラックウォーターで有名なブラジルの大河、「ネグロ川」に分布するコリドラスについて焦点を当てたいと思います。
ネグロ川に住むコリドラス
ネグロ川に分布しているコリドラスのうち、チャームに入荷したことがある種は以下の通りです。
主な該当種
アドルフォイ似の種が多い!?
ここまでのラインナップを見た時に、なんだかアドルフォイに似た柄を持つ種が多いことにはお気づきでしょうか。
コリドラスは河川ごとにお互い擬態し合っていると考えられており、ここネグロ川の場合ではアドルフォイに似た柄の種が多く見受けられます。
このような現象はミューラー型擬態と呼ばれ、近縁種全体で外敵から身を守る上で役に立っているようです。
ふつう近縁種内では共通して類似する表現を持つことが多いのですが、コリドラスの場合はこの柄が河川ごとに似た柄でまとまりやすい傾向が見られます。
ネグロ川では、アドルフォイ系の柄が「イケてる」流行り柄なのかもしれません。アイバンド×オレンジトップの組み合わせが、きっとトレンドなのでしょう。
ネグロ川の場合、白い砂が広がっている流域が多いことが知られています。
腹側を白砂に、背側を黒い水に擬態することで、外敵から身を守っているのかもしれません。
▼こちらも参考
ネグロ川出身の熱帯魚
コリドラス以外の熱帯魚で、コリドラスとの混泳が可能なネグロ川出身の熱帯魚。
例えば以下の種が挙げられます。
現地の水景の再現をテーマにしたい場合は、これらの魚種と混泳させるとより“らしく”仕上がるかもしれません。
ちなみに「ネグロ」とつくものの、オトシンネグロはブラジルのネグロ川出身ではなかったりします。
ネグロ川の水質
ネグロ川といえば、豊富な腐植酸の影響により河川そのものがブラックウォーターに染まっていることで有名です。
現地名では“Rio negro”。この名前は“黒い川”を意味します。
日本語に無理やり翻訳するなら、“黒川”が相当する名前となるでしょうか。
ちなみに黒川という名前の川は、日本全国に少なくとも10本以上あるようです。
日本版Rio negroとも言えるかもしれません。
ブラックウォーターということで腐植酸の影響を強く受けているわけですが、ネグロ川のpHはなんと4.0~5.0台。
一般的な水道水に比べても、かなり低いことが特徴です。
(参考:日本の水道水の多くはpH7.0~7.5程度)
ネグロ川と同じく、腐植酸(タンニン)が水中に溶出するためです。
それゆえに、ネグロ川出身の熱帯魚は、日本の水道水にカルキ抜きを入れただけの水では飼いにくいものも多く知られています。
ブラックウォーターを再現
ネグロ川原産の熱帯魚は、ここまで紹介したような水質上の特性から弱酸性・低硬度の水質を要求する種も多いです。
ネグロ川の象徴であるブラックウォーターを再現するためには、下記に紹介する製品を使用すると良いでしょう。
ブラックウォーターの素
水質調整剤タイプのブラックウォーターの素です。
飼育水に添加するだけで簡単・お手軽にブラックウォーターを再現することができます。
主成分の天然ピート抽出液が水道水を熱帯魚の故郷アマゾンの豊かな水質に調整します。
とりあえずブラックウォーターを再現したい!という時には、最もお手軽な選択肢となるでしょう。
入れるとすぐにブラックウォーターを作り出すため、はじめて水槽を設置するときか、水換え時の使用がおすすめです。
マジックリーフ
古くからブラックウォーターの作成に用いられる枯葉です。
葉っぱの1枚1枚が大きく、1枚でも十分な腐植酸の溶出が狙えます。
サイズにもよりますが、目安として60cm水槽で2枚程度が適量です。
調整剤と違ってじっくりと時間をかけて溶出するため、水質の変化はゆっくりです。
基本的には60cm以上の水槽ではこちらを使うと良いでしょう。
ちぎって使えば小型水槽でも使えます。
量の調整は、加減が少し難しいかもしれません。
やしゃぶし
やしゃぶしの実そのものです。
小さいながらも腐植酸であるタンニンをたっぷり含んでいます。
マジックリーフに比べると小型水槽向きで、45cmに1~2個程度投入するとちょいどよい濃度のブラックウォーターを作ります。
こちらも調整剤と違って、じっくり時間をかけて溶出します。
さらに一粒当たりの溶出量は少ないので、そのまま入れても変化が小さく、生体に負担をかけにくい点がポイントです。
水量が多いと必要量が多くなるため不向きですが、アピストグラマやベタといった小型水槽での繁殖をメインに考えている場合は、使い勝手が良い素材です。
コリドラス水槽に用いる場合は、小型水槽の時に使うと良いでしょう。
ピートモス
腐食した苔や水生植物が蓄積して形成された泥炭を乾燥させたものです。
腐植質をたっぷり含んでいるため、pHを下げる作用を強く持ち合わせます。
古くから園芸用の土壌改良剤として用いられており、アクアリウム用としては繊維の長いタイプが好まれます。
特に卵生メダカやカラシン類の繁殖を狙う場合には、産卵床としても使えるので重宝されています。
コリドラス水槽で使う場合、適量をネットに詰めてフィルター内に入れておくのが良いでしょう。
pH測定試薬
pHを低下させるアイテムを入れただけでは、実際にどのぐらいまで水質が変化したのかを目視することはできません。
目的の水質になっているかどうかを確認するためには、測定試薬が必要です。
これらのアイテムを投入することにより、pHが目標値よりもたかれば追加投入が必要ということになります。
逆に下がりすぎてしまう場合もあり、この場合は投入量を減らす必要が出てきます。
このような判断を行う上で、測定試薬は必須とも言えるでしょう。
RO浄水器
ここまで紹介したアイテムを投入すれば、多くの場合弱酸性の軟水に水質を調整できます。
しかし、水道水原水の硬度がもともと高い地域の場合、いくら調整剤を使用しても目標値まで下がりきらない場合があります。
このような場合には、RO浄水器を導入することで水道水原水の硬度を下げることができます。
高価な製品ですので安易な導入は難しいかもしれませんが、どうしてもうまくいかない時は導入を検討してみるのもよいでしょう。
▼こちらも参考
ネグロ川を再現する「こなれた水」
「こなれた水」といわれる水はpH、GHが低く、硝酸塩が高い水を指します。
これはろ過バクテリアのサイクルが完成している水槽で、長期間水換えが行われない場合にできあがります。
ネグロ川のような弱酸性に偏った水質に暮らす生体には、有効な水です。
一方で、ネグロ川産であっても上流域に暮らす種に関しては硝酸塩も低く保つ必要があるため、この管理方法は向いていません。
硝酸塩を下げるためには水換えする必要がありますが、原水のpH、GHが高いと水換えのたびにそれらの数値も上がってしまいます。
このため、pHやGHを低減させる水質調整剤や、RO水などの有効性が発揮されるのです。
なお、pHの低い環境下では生物ろ過の肝となるバクテリアの繁殖にも時間がかかります。
上部式または外部式など、フィルターにも強力なものを使用しましょう。
導入時の注意点
ブラックウォーターの作成にあたって、一つ相性の悪いアイテムがあります。それは「色素吸着材」。
特に、活性炭はせっかくブラックウォーターの添加により溶出した色素を強く吸着してしまうため、相性が良くありません。
ブラックウォーターを作成する場合は、フィルターに活性炭は入れないようにしましょう。
活性炭はフィルターの初期ろ材として付属していることも多いです。
ネグロ川のようなブラックウォーターの水槽を目的とする場合は、あらかじめ抜いておきましょう。
▼こちらも参考
ネグロ川の底床
水質だけでなく、コリドラスにとって底砂は重要な項目の一つです。
ネグロ川の底砂は、白~ベージュといった明るい色の砂が広大な流域の一面に広がっているようです。
コメント