どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはドワーフ・グラミー。
オレンジとメタリックブルーのコントラストが魅力的な温和で飼育しやすいグラミーです。
本種は小型グラミーとしては最もスタンダードと呼べる位置づけにある種です。
加えて、配色のバランスに変更が加えられた改良品種もたくさん作出されています。
それらも併せてご紹介します。
ドワーフ・グラミーとは
生物学的情報 | |
---|---|
名前 | ドワーフグラミー |
学名 | Colisa lalia |
分類 | スズキ目キノボリウオ科 |
食性 | 雑食 |
繁殖生態 | 泡巣 (バブルネストビルダー) |
分布 | パキスタン、インド、バングラデシュ |
飼育要件 | |
---|---|
飼育しやすさ | ★★★★★ とても容易 |
入手しやすさ | ★★★★★ よく見かける |
混泳しやすさ | ★★★★★ とても混泳向き |
最大体長 | 6cm程度 |
適正水温 | 20~28℃ |
pH | 生存可能:5.5~8.0 適正範囲:6.0~7.0 ※あまり気にしなくてOK |
備考 | 特になし 標準的なグラミーです。 |
パキスタン、インド、バングラデシュに分布するグラミーの仲間です。
オレンジとメタリックなブルーの縞模様が特徴で、美しい上に安価で入手しやすく、飼育も容易とあって、ビギナー向けのグラミーとして古くからアクアリウムではおなじみの種です。
細長いアンテナ状に変化した腹ビレで周囲の様子を探ったり、仲間同士でコミュニケーションを取ったりする様子が確認できるのもこのグラミー類の見どころです。
本種は雌雄判別も容易で、オスは鮮やかな色彩を見せるのに対し、メスは全体的に銀色がかった発色を示します。
単純に観賞目的の場合はオスのみでの購入がおすすめです。
しかし、グラミーは特徴的な腹ビレを使った行動もユニーク。
行動や生態も楽しみたい場合はペアでの購入がおすすめです。
本種の飼育に関しては、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていればそれでOKです!
特にグラミー類の中では、基本中の基本という位置づけにある魚種と言えるでしょう。
バリエーション
ドワーフ・グラミーには多くの改良品種が作出されています。
元々の特徴であるオレンジとメタリックブルーの配色バランスを変更したもので、青みが強い「ネオン」「コバルトブルー」、逆に全身がオレンジに染まる「サンセット」といったタイプなどが知られます。
いずれも配色の変更のみで、飼育に関しては特に変わりません。
どの品種も丈夫で飼いやすく、初めての飼育にもおすすめできるグラミーです。
体色の変異の他には、バルーンタイプという体形が縮まったタイプの品種も見られます。
こちらはころころとした体形が愛らしい品種です。
サンセット・ドワーフ・グラミー
オレンジとメタリックなブルーの縞模様を持つ原種から、通常よりもオレンジ部分の面積を大きく改良したのが本タイプです。
鮮やかなオレンジの色彩は、水槽内でもひときわ目立ちます。
30cm以下の小型水槽では主役にふさわしい存在感があります。
ネオン・ドワーフ・グラミー
オレンジとメタリックブルーの縞模様を持つ原種から、オレンジのラインを残しつつメタリックブルーの発色を大きく改良したのが本タイプです。
こちらは打って変わって涼やかな印象があります。
オレンジを少し残したことで、原種とはまた対照的なコントラストが水槽内でもひときわ目立ちます。
こちらも30cm以下の小型水槽では主役にふさわしい存在感があります。
コバルトブルー・ドワーフ・グラミー
ネオン・ドワーフ・グラミーから、さらに青の発色を強く改良したのが本タイプです。
「パウダーブルー・ドワーフ・グラミー」とも呼ばれます。
極限まで青を強めたタイプで、オレンジのラインは尾ビレの縁の他、痕跡的に見られる程度になりました。
さらに青の発色を強めたことで、より涼やかな印象が増しています。
ネオン・ドワーフ・グラミーに比べると、流通量はやや少なめです。
タイガー・ドワーフ・グラミー
変則的なラインが入る形に改良されたタイプです。
ネオン・ドワーフ・グラミーと同程度の配色バランスで青がやや強いですが、オレンジのラインに乱れが見られる点が特徴です。
他のタイプに比べると流通量はかなり少なく、希少なタイプと言えます。
有用なアイテム
おすすめの組み合わせは次の通りです。
水槽 | フィルター | 底床 | 餌 |
---|---|---|---|
30~90cm | 外掛け、上部、外部 | ソイル、大磯砂、砂利、砂、セラミック | 顆粒、フレーク |
30cm水槽以下であれば外掛け式、それ以上のサイズの場合は上部式か外部式がおすすめです。
グラミー類は「強い水流を嫌う」点に配慮し、排水は壁に当てるなどして弱めましょう。
サンゴ砂以外であれば、何でも使えます。
ソイルが最もおすすめです。極端に硬度を上げるタイプの底床は好みません。
フレークまたは顆粒がおすすめです。
基本的には選好みせず、よく食べる個体が多いです。
ドワーフ・グラミーの飼育に関しては教科書通りの飼育で十分対応できるため、初心者の方でも飼育しやすいグラミーです。
グラミー全般に共通する基本的な性質については、グラミー・アナバス共通ページをご覧ください。
混泳について
ドワーフ・グラミーは非常に混泳向きのグラミーです。
本種よりも小さく温和で、腹ビレをかじらない魚種とであればどんな魚種とも混泳可能です。
グラミー同士は数を多く入れると、小競り合いしやすくなるので注意しましょう。
グッピー、プラティ、テトラ、ラスボラ……
人気の小型熱帯魚とも混泳相性は抜群です。
青やオレンジが映える熱帯魚いろいろ
混泳相手 | 混泳相性 | 備考 |
---|---|---|
グッピー | 〇 | 性格上の相性は問題ありません。 グラミーが弱酸性を好むのに対し、グッピーが弱アルカリ性を好む点は多少配慮します。 |
プラティ・卵胎生メダカ | 〇 | 性格上の相性は問題ありません。 グラミーが弱酸性を好むのに対し、卵胎生メダカの多くが弱アルカリ性を好む点は多少配慮します。 |
カラシン・小型テトラ | ◎ | ヒレをかじらない種であれば問題ありません。 |
コイ・ラスボラ | ◎ | ヒレをかじらない種であれば問題ありません。 |
ローチ・ボーシャ・タニノボリ | 〇 | ボーシャ系以外は問題のない組み合わせです。 ボーシャ系はグラミーとの力関係に注意しましょう。 |
フライングフォックス/アルジイーター | ◎ | 幼魚は問題ありません。 成魚になると気性が荒くなるので、グラミーを襲う場合は隔離しましょう。 |
ドワーフシクリッド | △ | ヒレをかじる種類の場合は注意が必要です。 |
アフリカンシクリッド | × | 攻撃性を示すため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
エンゼルフィッシュ | △ | エンゼルフィッシュがヒレをかじってしまう可能性があります。 あまりおすすめできない組み合わせです。 |
ディスカス | △ | ディスカスがヒレをかじってしまう可能性があります。 あまりおすすめできない組み合わせです。 |
ベタ・グラミー・アナバス | △ | グラミー同士は混泳可能です。 ベタは体形が似ているため、攻撃されてしまう可能性を考えると避けたほうが無難です。 |
コリドラス | ◎ | お互いに干渉しないため、基本的に安心して混泳できます。 |
オトシンクルス・ロリカリア | ◎ | お互いに干渉しないため、基本的に安心して混泳できます。 |
プレコ | 〇 | お互いに干渉しないため、基本的に安心して混泳できます。 ただし、グラミーは止水を好むのに対し、プレコは溶存酸素が多く流れのある環境を好む点に注意します。 |
レインボーフィッシュ | ◎ | お互いに干渉しないため、基本的に安心して混泳できます。 |
ハゼ・ゴビー | △ | グラミーのヒレをかじってしまう可能性が高く、混泳はあまりおすすめできません。 |
フグ・パファー | × | 攻撃性を示すため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
エビ・ビーシュリンプ | 〇 | 稚エビは食べられる可能性があります。 |
基本的には、グラミーに対し攻撃を仕掛ける生体でなければ、ほとんどなんでも混泳可能です。
グラミー同士は数が多いとトラブルに発展することがあります。
60cm水槽の場合、多くても3~4匹程度にとどめたほうが良いでしょう。
▼こちらも参考
繁殖について
ドワーフ・グラミーの繁殖方法はグラミーの中では最もスタンダードと言えます。
グラミー類は雌雄判別が難しい種が多いですが、本種に関しては容易にオスメスの判別が可能な点も嬉しいところです。
色彩が鮮やかなものがオスで、全身銀色がかって色が薄いのがメスです。
一目瞭然なので、ほぼ間違えることはないでしょう。改良品種でも同様です。
繁殖難易度としては、産卵までは容易です。
オスが水面に泡を吐き出し、これを集めて巣を作ります。
これは“泡巣”とよばれる、グラミーをはじめとしたアナバス類特有の産卵生態です。
ここに卵を産み付け、卵が孵るまで親が保護します。
この段階までであれば、比較的容易に観察できるでしょう。
一方で、稚魚育成の難易度は高いです。
これはふ化した稚魚のサイズがあまりに小さく、生まれたてではブラインシュリンプの幼生を食べることができないためです。
ふ化した稚魚には最初はインフゾリアを与え、ある程度のサイズまで成長したらブラインシュリンプの幼生を与えます。
産卵させるまでの手順
- グラミーの基本的な飼育設備を整えます。
泡巣が作りやすいように、水流の弱い部分を作るのがポイントです。 - 浮草を浮かべます。
- 繁殖させたいグラミーのペアを導入します。
- 冷凍赤虫を中心に、栄養価の高いエサを多めに与えます。
- 調子良く飼育を続けると、オスが水面付近に泡を吐き出すようになります。
これを集めて巣を作り始めます。 - オスがメスを泡巣に誘い込み、その中で産卵が行われます。
- 泡巣の中に産み付けられた卵は、オスがふ化するまで守ります。
現地では浮草の周りに巣を作るようです。
このためか、浮草を浮かべていると巣を作りやすくなります。
背丈が低く、屋内の水槽で維持しやすい浮草としては「フロッグビット」か「サンショウモ」の仲間が良いでしょう。
産卵後の育成
ふ化した稚魚は非常に小さく、ブラインシュリンプの幼生を食べることができません。
このためふ化して数日は、より小さいインフゾリアを与えます。
稚魚の初期飼料のハードルが高いため、グッピーやメダカに比べると育成難易度は上がります。
インフゾリアを与える期間は長くはありません。
最長で1週間程度でしょう。この時期をいかに乗り切るかが、成否を分けます。
インフゾリアを与えてブラインシュリンプの幼生を食べられるサイズまで成長してきたら、主食をブラインシュリンプの幼生に切り替えましょう。
ドワーフ・グラミー まとめ
ドワーフ・グラミー。
グラミー類の中では基本中の基本とも言える、飼育しやすいグラミーです。
カラーバリエーションも豊富で、自分好みのものを選べるという点もメリットと言えるでしょう。
「サンセット」「ネオン」は特に入手しやすい品種です。
混泳魚に対しても比較的温和で、小型水槽の主役としても最適です。
大型水槽のワンポイントして数匹導入するのも良いでしょう。
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