どうも、ほにゃらら sp.です。
今回のテーマは「化石サンゴ系」の水槽用レイアウトストーンについて。
化石サンゴとは、読んで字のごとく太古のサンゴ骨格が化石化したものです。
石の種類によって見た目が大きく異なりますが、これは採れた地層や年代、変質具合などが異なる結果と思われます。
化石サンゴ系ストーンは一般的なレイアウトストーンにくらべると、pHをアルカリに傾ける性質が強いです。
このため古くから“ややクセがあり、扱いにくい素材”とされています。
しかし、その特性を知って使いこなせば、見た目だけでなく生体にとってもプラスの効果も。
ぜひ、“化石サンゴ系ストーンの使いどころ”を見極められるようになりましょう!
化石サンゴ系ストーンの特性
硬度・pHを上昇させやすい
化石サンゴ系レイアウトストーンは、サンゴ骨格由来のカルシウム成分を含むため、一般的なレイアウトストーンに比べても硬度(GH)を上昇させる性質が強く、pHを上昇させやすいことが知られています。
このため、弱酸性の軟水(低硬度)環境が理想とされることが多い一般的な水草レイアウト水槽には適していません。
化石サンゴ系ストーンはやみくもに使うと水槽の調子が上がらない原因となって悪影響を及ぼすため、見た目だけで選んではいけません。
使う場面は、良く選ぶ必要があります。
「硬度(GH)を上昇させる性質が強く、pHを上昇させやすい」という特性は、水草レイアウト水槽ではデメリットとして働いてしまいます。
しかし、生体の種類によってはこれがメリットになるものもいます。
したがって、この特性がメリットとして働く生体と相性が良いです。
硝酸塩の蓄積による急激な酸性化の対策としても有効です。
相性の良い組み合わせ
化石サンゴ系ストーンと相性の良い生体は、次の通りです。
「硬度とpHを上昇させやすい」という特性が、メリットとして働く生体です。
要は、弱アルカリ性の硬水寄りの環境を好む生体飼育をメインとした水槽に適性があります。
アフリカンシクリッドとの組み合わせ
アフリカンシクリッドと化石サンゴの組み合わせは古くからの定番です。
元々弱アルカリ性・硬水の環境に生息する魚種とあって、化石サンゴの特性と好む水質が非常に噛み合っています。
ベストマッチといえるでしょう。
もはやアフリカンシクリッド専用品のイメージを持つ方もいるかもしれません。
”ブラウンレッド”
メダカとの組み合わせ
実はメダカとの相性も良いことは意外と知られていないようです。
メダカ飼育において、化石サンゴはカキガラと似た役割を果たします。カキガラよりも見た目が良く、レイアウト向きなのは化石サンゴ系独自のメリットといえるでしょう。
ただ入れるだけで効果があるのがうれしいところです。
金魚との組み合わせ
金魚の相性も良いです。
金魚もどちらかといえばアルカリ寄りの水質を好み、水質上の相性がプラスに働きます。
ただし、形状に関しては注意が必要です。
長く優雅なヒレを傷つけないよう、表面が荒々しいものは避けたほうが良いでしょう。
グッピー・卵胎生メダカとの組み合わせ
水質の適応範囲が広いグッピーや、モーリーやソードテールなどを含む卵胎生メダカ類とも相性が良いです。
グッピーや卵胎生メダカは幅広い水質に適応でき、弱酸性でも弱アルカリ性でもどちらでも問題なく飼育できますが、どちらかといえば弱アルカリ性を好みます。
特に繁殖に重きを置く場合は、弱アルカリ性を維持して飼育すると良い結果が得られるでしょう。
原種系の卵胎生メダカ繁殖に重きを置く場合、硝酸塩の蓄積に伴うpH低下の対策として化石サンゴ系ストーンは大変有効です。
汽水魚との組み合わせ
汽水魚とも相性が良いです。
化石サンゴは海産起源の魚とは全般的に相性に優れます。
汽水という性質上、元々弱アルカリに傾いた水質を維持する必要があり、この点でも化石サンゴの性質はマッチします。
「多少の塩分を入れたほうが調子が良い」とされる魚種は、概ね化石サンゴとも相性が良いです。
バリスネリアとの組み合わせ
化石サンゴ系ストーンは全般的に水草との相性は良くないのですが、バリスネリア系の水草は例外です。
バリスネリア系は一般的な水草とは異なり、むしろ弱アルカリ性の硬水環境を好む傾向があります。
このため、化石サンゴ系ストーンをメインのレイアウト素材とする水槽でも使用できる水草です。
相性の悪い組み合わせ
化石サンゴ系ストーンは、弱酸性の軟水環境を好む多くの熱帯魚・水草とは相性が悪いです。
このためクセの強い素材として敬遠する人もいます。
特に南米原産の種との組み合わせは基本的に悪いと考えて良いでしょう。
アジアやアフリカを原産とする種の場合は、種によって相性が良いものもいれば、悪いものもいます。
沼地やブラックウォーターに生息する種とは相性が悪いですが、底床に石が多い流水河川や湖に生息する種とは相性が良い場合もあります。
このように、飼育したい種の生息環境を調べてみると適不適は予想できます。
水草は全般的に相性が悪いのですが、川床が石メインの河川に生える種であれば相性が良いものもいます。
pH低下対策にも有効
化石サンゴは硝酸塩の蓄積によるpHの急激な酸性化を抑える目的でも使えます。
化石サンゴ系ストーンはカルシウム系鉱石の中でも水に溶けやすい性質があり、この点で硝酸塩等の蓄積によるpH低下を緩やかにできる特性があります。
特に排泄の多い大型魚に対しては有効で、水換えのタイミングを少し遅らせることができます。
ただし、水換えはしないと水中のカルシウム濃度が上がりすぎ、内臓に負担をかけることがあります。
このため水換え自体は必須です。
この目的で使用する場合は、少量の使用で十分です。
ボトルアクア用で事足りるでしょう。
化石サンゴ系ストーンの種類
一口に化石サンゴ系ストーンといっても、いくつか種類があります。
基本的な性質は共通しますが、見た目は大きく異なります。実現したい魚種との組み合わせやレイアウトによって使い分けると良いでしょう。
代表的なものを紹介します。
化石サンゴ
化石サンゴは硬度を上昇させるレイアウト素材としては最高クラスの影響力があります。
かつてサンゴ礁を形成していた名残として、表面にサンゴの骨格の一部が構造や模様として見られるものが含まれることもあります。
このくぼみや空洞は魚にとって良い隠れ家になります。
仙礁石
仙礁石は太古のサンゴに由来する海洋性のレイアウトストーンです。
おそらくですが、化石サンゴよりも古い地層より産出したものではないかと推測されます。
一見汚れたサンゴのようですが、複雑なうねりやアーチといった形状が見られるものが多く、南国の磯場や洞窟をイメージしたレイアウトに有効な素材です。
真新しさよりも古びた歴史の重みを表現したい場合には、この石でしか出せない味・雰囲気があります。上手に組むと良いでしょう。
海洋古代石
海洋古代石は大昔のサンゴの骨格や構造が色濃く残る本物の化石を大胆にもそのまま用いたレイアウトストーンです。
おそらく、仙礁石よりもさらに古い時代の地層より産出したものではないかと推測されます。
いわゆる化石サンゴとは見た目が大きく異なります。
サンゴの骨格や構造の痕跡が多く見られ、太古のロマンあふれる逸品です。
形状には個体差が大きいのですが、まるで柱状節理を彷彿させるような構造が見られる場合もあり、レイアウトに神秘的な演出を取り入れたい際には大変有効です。
部分的に石英質に変化している場合もあります。
このためかアルカリに傾ける性質はあるものの、化石サンゴに比べるといくらか穏やかなようです。
化石サンゴ系のレイアウトストーンの中では最も希少な素材であるため、単価はやや高めです。
小型水槽で独創的なレイアウトを作り上げたいときに、有効な素材といえるでしょう。
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