水草を用いて水槽のレイアウトを行う際、水草を植栽する位置によって
「前景草」「中景草」「後景草」と呼び分けます。
今回は「前景草」についての解説と、主な種類とそれぞれの特徴を紹介します。
これから水草レイアウトにチャレンジする方には必見の内容です!
この記事を読めば、基本的な前景草の種類とそれぞれの特徴、使い方が分かります。
前景草とは
前景草とは、水草レイアウトにおいて「水槽の半分より手前側への植栽に適した背丈の低い水草」を指します。
このレイアウトを例とした場合、
赤枠内に植えられている水草が「前景草」となります。
前景草は水槽の手前に植えるため、背丈が高いと後ろの水草が見えなくなってしまいます。
このため、前景草の条件として「背丈は低いこと」が求められます。
育成している環境によっては長く伸びてしまうこともあります。この場合は適切な間隔でトリミング(カット)していくことも必要です。
前景草は「水槽の手前の配置に適した背丈の低い水草」ですが、必ずしも手前に配置しなければならないということはありません。
一面に前景草を植えた例
このレイアウトでは、単一の前景草を一面に植えることで、まるで草原のような爽やかなレイアウトを実現しています。
このように、手前側への植栽向きの前景草を一面に植えても良いでしょう。
自由な発想でレイアウトを楽しみましょう。
主な前景草の種類
水草レイアウトにおいて、前景草として使用される主な種類は次の通りです。
画像をクリックすると解説にジャンプします。
ヘアーグラス
ヘアーグラスは、その名の通り髪の毛のような極細の葉を持つ水草です。
古くから人気の種類で、レイアウトに高原で風になびく草原のような表現を求める場合に最有力候補として挙げられます。
派手さや強烈な印象はない分、組み合わせた他の素材のイメージと干渉を起こしません。
このため、大変使い勝手の良い水草といえます。
代表的な前景草の一種ながら、育成環境が良いと葉が長くなり10cmを超える場合もあります。 長くなるようであれば、定期的に刈り込むことで調整すると良いでしょう。
実は日本にも自生し、和名を「マツバイ」といいます。
ヘアーグラス・ショート
よく似た種類にヘアーグラス・ショートがあります。こちらはより小型で横に這うように成長する点が特徴です。名前の通りヘアーグラスのショートタイプといえる水草で、水中葉では背丈が2cm程度と短くなるのが相違点です。
水上葉はどちらも同様のサイズ・形状に育つため、水上葉では一見同種であるかのように見えます。
水上での育成条件によっては、むしろショートの方が長く育ってしまう場合もあります。
水上葉での区別は難しい2種ですが、水中化することで差が現れます。
背丈を低く維持したい場合は、「ヘアーグラス・ショート」の方がおすすめです。
本種も日本に自生しており、和名は「チシママツバイ」といいます。
ヘアーグラス2種の使い分けについて補足しましょう。作り上げたい景色にもよりますが、一般的には60cm以下の水槽なら「ヘアーグラス・ショート」、それ以上の水槽サイズなら「ヘアーグラス」を採用するのがおすすめです。
育成について
ヘアーグラスの育成には明るい照明と、CO2添加は欠かせません。
ショートの育成も基本的には同様です。
日本にも自生している種類ですので、低温には比較的強めです。
底床はあまり選びません。
ソイル、砂、大磯からの選択であれば、いずれでもよく育ちます。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
ヘアーグラスの育成には底床内に埋め込むタイプの肥料が有効です。
あらかじめ施しておくことにより、順調に育成を始めることができます。
エビはコケ対策として重要です。60cm水槽であればミナミヌマエビ50匹、ヤマトヌマエビ20匹を目安に入れましょう。少し多すぎるかなと感じるぐらいが意外と適量なのです。
ヘアーグラス 動画
ヘアーグラス まとめ
コブラグラス
コブラグラスは、細く筒状の葉を持つ水草です。
水中葉では先端部が軽く曲がる姿が、コブラが首をもたげているように見えるためこの名がつけられたようです。
水上葉はへら型で扁平な葉を持ちますが、これは水中化することで細い筒状へと変化します。
ヘアーグラスが繊細で爽やかな草原の演出に向いているのに対し、コブラグラスはより重厚感や野性的な逞しさを演出できる点が差別化要素といえるでしょう。
一方で、他の前景草に比べると生育は遅めです。
コブラグラスのみで底床を埋め尽くすには、少々時間がかかるでしょう。
その分、トリミングの手間はあまりかからないというメリットと捉えることもできます。
成長が遅いためコケの対策も重要で、あらかじめミナミヌマエビを投入しておくと良いでしょう。
南米原産の水草になります。
コブラグラス・モーリシャス
よく似た種類にコブラグラス・モーリシャスがあります。マダガスカル島原産とするコブラグラスの近縁種で、区別する目的で、普通のコブラグラスを「ブラジリアン」と呼ぶこともあります。
コブラグラスに比べると細身の葉を持ち、ヘアーグラスよりは太く、コブラグラスよりは細いといった中間的な太さの葉を展開します。
作り上げたいレイアウトによって、お好みで使い分けると良いでしょう。
コブラグラスに比べると育成要件がやや緩く、育てやすいのもポイントです。
育成について
コブラグラスの育成には明るい照明と、CO2添加、低水温での維持が欠かせません。
また、pHも弱酸性の環境が理想です。
特に水温は25℃以下が適切で、それ以上になると成長が鈍化し、コケが生えやすくなってしまいます。
光量が強いとよく成長します。
底床はソイルが良いでしょう。
豊富な肥料分を要求するため、水草育成用の「栄養系」のソイルが有効です。
砂や大磯に植栽した場合は、あまり良い結果が得られない傾向があります。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~25℃ |
pH | 5~6.5 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル |
光量 | 60cm水槽で1600lm以上 (約10L当り260lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
コブラグラス・モーリシャスの場合は、要求される条件が少し緩くなります。
赤文字はコブラグラスが要求する条件との相違箇所です。
育成要件がやや厳しめとなるコブラグラスに対し、モーリシャスでは要求条件が標準レベルとなり、あまり厳しくありません。
コブラグラスに比べると高光量・低水温を要求するわけでもなく、底床もあまり選びません。
pHも、弱酸性~中性環境であれば問題なく育ちます。
コブラグラスの方が太くしっかりとした草原の演出に効果的ですが、迷った場合は育成要件がやや緩く育てやすいモーリシャスを選ぶと良いでしょう。
また、レイアウトの景観上、底床に砂利や砂などの底砂を採用したい場合には、モーリシャスがおすすめです。
ただし、モーリシャスは通常のコブラグラスに比べると在庫の確保が安定的ではないため、入手難易度は高めです。
見かけたときに入手しておくことをおすすめします。
コブラグラス まとめ
キューバパールグラス
キューバパールグラスは小さな丸い葉を密生する水草です。
横に這うように成長し、前景草として大変人気で使い勝手も良い種類です。
適切な環境で育成すると気泡を付ける姿を楽しむことができ、本種の最大の魅力といえるでしょう。
名前の通り、気泡は付けた光景はまさに真珠のような美しさです。
本種はある程度の数をまとめて植えることで真価を発揮します。
草原のように単一種で密生させてもよし、流木や石の周りにスポットで植えてもよし。
どちらの植え方でも見栄えするため、あらゆるレイアウトにマッチします。
北米原産の水草で、比較的低温には強めです。
育成について
キューバパールグラスの育成には明るい照明と、CO2添加は欠かせません。
環境条件が良ければ横に這うように成長しますが、逆に悪い場合は上に伸びてきます。
特に光が弱い場合は上に伸びてしまい、本種の真価が発揮できません。
本種の魅力を最大限に引き出すには、強光をしっかりと当ててあげる必要があります。
CO2の添加も多めが有効です。
本種は環境に慣れて根が十分に張ると成長が早くなり、肥料の要求量も多くなります。
底床内への施肥だけでなく、液肥による追肥どちらも行うのが有効です。
底床はあまり選びません。ソイル、砂、大磯のいずれでもよく育ちます。
完全な弱酸性の軟水環境より、多少の硬度はあった方が調子が良くなるようです。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~26℃ |
pH | 5.5~7 |
GH | 5~10 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
本種は特に単一で植える場合、コケの対策としてエビは多めに投入すると良いでしょう。
60cm水槽でミナミヌマエビ50匹、ヤマトヌマエビ20匹程度が目安です。
換水頻度も多めとし、水草の成長を見ながら週に2回以上を心がけると良い結果が得られます。
キューバパールグラス まとめ
ベトナムゴマノハグサ
ベトナムゴマノハグサはライムグリーンの鮮やかな細い葉をつけ、這うように育つ水草です。
2000年代から用いられるようになった比較的歴史の浅い種類で、初入荷当時は新しい前景草として大変注目を浴びたようです。
アクアリウムで用いられる水草の多くは印象の良い販売名が付けられますが、本種は和名で呼ばれることが一般的になっています。
葉の形状は大きく異なりますが、キューバパールグラスと同じゴマノハグサ科です。
キューバパールグラスと同様に、環境が良ければ横に這うため前景草として高い人気があります。
一度匍匐した後に各節目から脇芽が立ち上がる性質があり、前景~中景にかけて使用できます。
前景草ではありますが、ある程度の高さまで伸ばした方が自然な茂みを表現できます。
名前の通り、ベトナム原産の水草です。
育成について
ベトナムゴマノハグサの育成には明るい照明とCO2添加は欠かせません。
環境条件が良ければ横に這うように成長しますが、逆に悪い場合は上に伸びてきます。
特に光が弱い場合は上に伸びてしまい、本種の真価が発揮できません。
本種の魅力を最大限に引き出すには、強光をしっかりと当ててあげる必要があります。
底床はソイルが良いでしょう。
肥料は液肥で与えると良い結果が得られます。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル |
コケ対策に採用するエビに一つ注意点があります。
本種の葉は柔らかいため、エビが大型の場合に食害を受けてしまう可能性があります。
このため、本種を植えた水槽のコケ対策としてはヤマトヌマエビよりもミナミヌマエビの方が適しています。相性が悪いというほどではありませんが、ヤマトヌマエビを採用する場合は数を控えめに導入すると良いでしょう。
ベトナムゴマノハグサ まとめ
リシア
リシアは本来は水中ではなく水面に漂って育つウキゴケの一種です。
しかしながら水中環境にも適応させることができ、アクアリウムでは専ら水中で栽培されます。
良好な育成環境下では鮮やかな緑に無数の気泡を付ける姿が大変美しく、古くから根強い人気の種類です。
本種の付ける美しい気泡を見て、水草レイアウトに挑戦してみたいと考える方も少なくないでしょう。
浮草として育成する場合は特に意識しなくとも大変容易に育成できます。
一方で、水中環境に適応させて育成する場合は少々押さえるべきポイントがあります。
レイアウトに用いる際は、水中適応は必須になります。
和名を「カヅノゴケ」といい、日本にも自生しています。
野生下では数が少ないようで、あまり見かける機会はありません。
日本産のため、低温には強めです。
育成について
浮草としてのリシアは水面に放置するだけで育成できます。
しかし、これでは見栄えが悪く、水草レイアウトとしては鑑賞面で難があります。
ここでは水中適応させて育成する場合を前提に解説します。
リシアは本来浮草のため、根を張る性質がありません。
レイアウトに使用する場合、「何らかの基質に必ず接着させる必要がある」という点が重要です。 石や流木などの基質に巻き付ける、あるいは水草用の接着剤や専用のネットを用いても良いでしょう。
巻き方については、以前投稿したモスの巻き方に関する記事をご参照ください。
リシアの水中育成には明るい照明とCO2添加が欠かせません。
環境条件が良ければ育成スピードは速く、どんどん成長し、数が増えていきます。
CO2がきちんと添加されていれば鮮やかなライトグリーンに細かな気泡をたくさん付けます。
水換え直後はさらに気泡が増し、思わずため息が漏れるほど美しい光景を見せてくれるでしょう。
リシアの水中育成には液肥の添加が有効です。
成長は早いですが肥料分の要求も多いため、定期的に添加すると良いでしょう。
底床については、本来は浮草であるため特に選びません。
ソイル、砂、大磯のいずれでもよく育ちます。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
本種は流木や石などに接着して用いることが前提となりますが、巻き方や接着が甘いと基質から外れ、本来の浮草として水面に漂ってしまいます。なお、本種は小さな株の集合体であり、きちんと巻き付けていても少数はがれてしまうのは仕方ないことです。
ただし、水面での増殖スピードはとても速く、2、3日放っておくとあっという間に水面を覆ってしまいます。水面に漂ってしまったリシアはなるべく早めにネットで回収しましょう。
回収したものを石や流木などに巻き付けての再利用は可能です。
リシアネットという専用品を用いることで、浮いてしまう株の発生を低減しつつ、なおかつ簡単に設置することもできます。
手先の器用さに自信がない方は、リシアネットを使用すると安心です。
(※リシアネットを使用した場合でも、はがれてしまうことを100%完全に防げるわけではありません。)
コケ対策としてヤマトヌマエビを採用する場合、力が強いためせっかく巻き付けた本種を引き抜いてしまうことがあります。コケ対策要員としてはミナミヌマエビの方が適します。
リシア まとめ
グロッソスティグマ
グロッソスティグマは明るい緑の丸い葉を持つ水草です。
底床一面を這うように育つため、他の前景草に比べて高さが出ません。
この性質を活用することで、一面鮮やかな緑に覆われた広々とした空間を演出できます。
単一種で密生させてもよし、流木や石の周りにスポットで植えてもよし。
あらゆるレイアウトにマッチする万能な水草です。
緑の絨毯と形容される、一面をグロッソスティグマで覆ったレイアウトは前景草を活用したレイアウトの王道といえるスタイルの一つです。
キューバパールグラスと同じゴマノハグサ科で、キューバパールほどではないものの、本種も調子が良いと気泡を付けることがあります。
オーストラリア原産の水草です。
育成について
グロッソスティグマの育成には明るい照明と、CO2添加は欠かせません。
照明・CO2・肥料のバランスが重要で、どれかが過不足していると上手く育ちません。
最低ラインを満たしつつ、バランスが整えられていれば成長は早いです。
環境さえ整えば育成は容易でどんどん増殖します。
成長を始めると一気に加速する性質があり、肥料分の要求も多めです。
底床内の栄養分をハイペースで消費します。
このため、液体肥料と固形肥料の併用がおすすめです。
底床に埋め込むタイプの肥料は特に有効です。
肥料が不足すると葉の色が抜け、黄色みを帯びてきます。
葉に黄ばみが見られたら、施肥が必要なサインです。
底床はソイルか砂が良いでしょう。どちらかといえばソイルの方がおすすめです。
大磯のような粒の大きい砂利はあまり良い結果が得られない傾向があります。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂 |
グロッソスティグマは伸長を続ける方向にランナーを伸ばします。
このランナーに一定間隔で葉が付き、成長していくという構造を持っています。
もし、伸びて欲しくない方向にランナーを伸ばしている場合は、あらかじめカットしてしまえば繁茂する領域をコントロールすることができます。
本種に適した環境に設定した場合、成長の遅い水草にはコケが発生しやすくなります。
コケ対策の生体として、オトシンネグロやヤマトヌマエビなど、単体当たりの除去能力が高い生体を採用するのがおすすめです。
本種は水上葉から水中葉への移行が比較的早く、悩む場合は水上葉を選んでも良いでしょう。
グロッソスティグマ 動画
グロッソスティグマ まとめ
エキノドルス・テネルス
エキノドルス・テネルスは細い葉が密生し繁茂する水草です。本種はテネルスの通称で、古くからなじみ深い前景草として知られています。
別名をピグミーチェーンアマゾンというだけあって、草姿は初心者向け水草の代表の一つでもあるアマゾンソードを小型化させたような姿です。
実際、本種はアマゾンソードの近縁種で、エキノドルス属の最小種となります。
育成環境が良ければ次々にランナーを伸ばし増殖していくため、それぞれの株は鎖で繋がっているようにも見えます。この性質がチェーンの由来なのでしょう。
全体的に育成難易度が高い傾向にある前景草の中では、比較的育成要件が緩く、育成しやすい部類に入ります。はじめての前景草としてもおすすめです。光量の要求度も他の前景草に比べて強くなく、ある程度の明るさがあれば盛んにランナーを伸ばし成長します。
水草レイアウトよりも小型魚やエビなど生体を中心とした水槽でも利用できるのは、本種ならではの利点です。
さらに、生体の数が多い場合は必ずしもCO2の添加は必要ないことがあります。
ただし、その場合成長スピードは落ちますので、鑑賞面を重視する場合はやはり導入した方がおすすめです。
本種単独でも利用できますが、ヘアーグラスやグロッソスティグマなど別の水草と組み合わせて、自然なイメージの茂みを作りたい場合に利用されることが多く見られます。
南米原産の水草です。
育成について
本種は前景草としては珍しく、さほど育成環境にシビアな要求をしてこない水草です。
光量もそこそこの明るさがあれば鑑賞用のライトでも十分で、生体が多ければCO2がなくても育成自体は可能です。
ただし、肥料だけはしっかり必要なため、底床内に固形肥料を与えておくのが有効です。
とはいえ、もし鑑賞面に重きを置きたい場合はやはりそれなりの光量の照明の使用と、CO2の添加を行った方が美しく育ちます。
レイアウトに使用する場合、ランナーで区画を埋め尽くすように育てるのが基本となります。若干でもCO2の添加を推奨します。
底床も特に選びません。
ソイル、砂、大磯 いずれでもよく育ちます。
光量 | 60cm水槽で1600lm以上 (約10L当り260lm換算) |
CO2添加 | 無くても可 (あった方が良い) |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
小型種ながらもエキノドルスの一種であるので、育成環境によってはサイズや色合いが大きく変化することがあります。
ソイル系の底床を使用し、十分なCO2添加と高光量の条件下で育てると大型化し、葉長が10cmを超えてくることもあります。
また、赤みを帯びることもあります。
草体を小さく抑えたい場合は、光量・CO2の添加を抑え気味にし、砂利・砂系の底床で育てると良いでしょう。
エキノドルス・テネルス まとめ
ピグミーチェーンサジタリア
ピグミーチェーンサジタリアは細長い葉を展開する水草です。
エキノドルス・テネルスの別名がピグミーチェーンアマゾンですが、本種はそれよりも一回り大ぶりで、やや緑色が強い特徴を持ちます。
両種の成長の仕方は大変よく似ており、どちらもランナーを伸ばして増殖します。
本種も前景草としては比較的育成要件が緩く、育てやすい種類です。
光と肥料はしっかり要求しますが、CO2は添加しなくとも育成できます。
どうしてもCO2を添加したくない・できない理由があっても採用できる点が珍しく、はじめての前景草としてもおすすめです。
北米原産の水草で、比較的低温には強めです。
育成について
本種は前景草では珍しくCO2が必須の要求ではありません。
ただし、光量と肥料はしっかり要求するので、この2点は適切な環境を整える必要があります。
特に肥料は底床内に固形肥料・液体肥料の定期的な添加のどちらも必要です。
pHも特に選びません。
どちらかといえば弱酸性の環境を好むものの、7.5程度までであれば弱アルカリ性の環境でも育ちます。
底床も特に選びません。
ソイル、砂、大磯 いずれでもよく育ちます。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 無くても可 |
水温 | 20~26℃ |
pH | 5~7.5 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
前景草にしては育成要件が大変緩いことから、はじめての前景草としておすすめできる種類です。
どうしてもCO2を添加したくない場合は、本種一択といえるレベルでしょう。
とはいえ、他の水草と組み合わせる場合は、結局CO2の添加が必要になることがあります。
ピグミーチェーンサジタリア まとめ
ブリクサ・ショートリーフ
ブリクサ・ショートリーフ は細長い葉を密生させる水草です。
前景のワンポイントとしての植栽向きで、流木や石の根元に植えこむことでレイアウトの奥行きがグッと増し、見栄えが大変良くなります。
エキノドルス・テネルスを一束にまとめ、勢いを増したような草体をしていますが、ランナーを伸ばすこともなくポイントでの植栽に最適です。
見た目によらず、よく見ると有茎草で非常に短い茎を持っています。
本種単独でレイアウトを作り上げるにはあまり向いておらず、他の水草と組み合わせてポイントで利用する、前景草の名脇役・引き立て役といったポジションにあります。
90cm以上の大型水槽ではそのまま前景草としても良いでしょう。
ブリクサ・ショートリーフを流木や石の周りにただ添えるだけで自然な印象が3割増します。
セオリーからは外れますが、中景にまとめ植えするスタイルもあります。
この場合、こんもりとした柔らかい印象の緑の茂みを作ることができます。
ワンポイント利用が基本形ですが、アイデア次第でさまざまな活用ができそうです。
和名をセトヤナギスブタといい、日本にも自生しています。
かつては水田のそばで広く見られたようですが、現在では数が少なくなり、自然下ではほとんど見られなくなりました。
低水温には強めです。
育成について
ブリクサ・ショートリーフの育成には明るい照明とCO2添加が欠かせません。
底床内の肥料分も要求するため、固形肥料を与えておくのが有効です。
十分な肥料と光量がある環境で育てた場合、葉が赤みを帯びることがあります。
時間はかかるものの、環境になじめば丈夫な種類です。
多少の水質変化はものともせず、枯れてしまうことはあまりありません。
pHは弱酸性の環境を好みますが、あまり低すぎるのも好みません。
6~7の間が理想的です。
底床はソイルがおすすめです。
栄養系ソイルを利用するのが最も簡単ですが、固形肥料を施すことで砂や大磯でも育成は可能です。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 必要 |
水温 | 20~26℃ |
pH | 6~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、砂、大磯 |
本種は見た目こそエキノドルス・テネルスに似た雰囲気の水草ですが、増殖は株分けで行います。
茎が非常に短いものの有茎草であるため、脇芽として子株が生えてきます。
これを根元から分ければ数を増やすことができます。
ブリクサ・ショートリーフ まとめ
オーストラリアンノチドメ
オーストラリアンノチドメは匍匐しながら繁茂していく水草です。
オーストラリアン・クローバー とも形容されるライトグリーンの葉を付け、前景草の中でもかわいらしい印象があります。
本種は2000年以降に利用されるようになった比較的新しい水草です。
光さえ強ければ育成が容易で、はじめての前景草としてもおすすめです。 光量が強ければCO2添加なしで育てることも可能です。肥料の要求度も高くありません。
細長いつるを絡めていくように成長するため、底床に植えるだけでなく、流木や石などに絡ませて活着系水草のように扱うこともできます。
名前の通り、オーストラリア原産の水草です。
育成について
オーストラリアンノチドメの育成にはとにかく光量が重要です。
採用する照明によって、成否を分けると言っても過言ではありません。
光量さえクリアすれば、育成は前景草の中ではトップクラスに容易です。
CO2に関しては、光量さえ強ければ必須ではありません。
あった方が成長は良くなります。
肥料も要求度は高くなく、水草の生長を見て必要ならば液肥を与えれば十分です。
底床はソイルか大磯がおすすめです。
砂でも育たないことはありませんが、多少根が張りにくいようです。
このような性質から、水草レイアウトよりも小型魚やエビなど生体を中心とした水槽でも利用できるのは、本種ならではの利点です。
光量 | 60cm水槽で2400lm以上 (約10L当り400lm換算) |
CO2添加 | 無くても可 (あった方が良い) |
水温 | 20~28℃ |
pH | 6~7 |
GH | 0~6 |
底床 | ソイル、大磯 |
本種は絡みつくように成長していくその性質から、枝ぶりが複雑な流木に絡ませても独創的なレイアウトを作り上げることができます。
直接植えても、活着水草としても利用できる点から、アイデア次第でさまざまに活用でき、工夫が楽しめる余地があります。育成が容易な点もうれしいところです。
良くも悪くも草姿の個性と主張がやや強いので、水草レイアウトで本種を主役に据えるかどうかは、意見が割れるところかもしれません。
本種を主役にする前提でレイアウトを組む場合は、大いに期待に応えてくれることでしょう。
オーストラリアンノチドメ まとめ
水草レイアウトによく用いられる主な前景草の紹介は以上です。
栽培してみたくなるお好みの前景草は見つかりましたでしょうか?
もし見つかりましたら幸いです!
ズバリ、おすすめは?
ここまでさまざまな前景草を紹介しましたが、どの前景草も大変魅力的ですよね。
その気持ち、よく分かります。
どれを選べばよいか悩んでしまう…という方のために、2つの視点で3種ずつ選んでみました。
王道を行く3選
王道というと正直なところ、グロッソスティグマやエキノドルス・テネルスも加えたいところで、古くから人気の根強い種類はおよそ僅差で横並びです。
しかしそれでは3選の意味がなく・・・。
なので、その中から3種選ぶとなると、上記になるかと思います。
育てやすさ重視の3選
共通点は「CO2がなくても育つ」という点で選んでいます。
あくまでも育つか否かという程度であるため、「前景草で草原を作る」レベルとなるとこれはCO2の添加は必要です。
スポットで少量利用するだけなら、なくてもある程度は育つでしょう。
水草レイアウトを始めるうえで最初の壁は、CO2添加システムを導入するところかもしれません。
CO2を導入しなくとも育成にチャレンジできるのはうれしいですよね。
しかし、水草レイアウトを突き詰めようとすると最終的にはCO2添加システムを導入する形になることがほとんどです。
まずはCO2がなくても育つ種類で感覚を掴み、その後追加したい水草が決まったらCO2を導入すると良いかもしれませんね。
以上、前景草の選び方をお送りしました!
今回紹介したものはよく使われる人気種だけをピックアップしています。
それ以外にも多種多様な水草がアクアリウムには用いられています。 ぜひこちらものぞいてみてください。
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