こんにちは、5分でわかる!のスズキです。
メダカを飼う感覚で熱帯魚らしい観賞性が手に入り、
繁殖も容易で品種改良や品評会へのチャレンジ精神をかきたてる……。
グッピーはまさに、熱帯魚飼育がはじめての方にもピッタリな入門種。
「グッピーの教室」は、グッピー飼育初心者向けのなるほどシリーズです。
今回の授業は、グッピーの飼育の基本とNGについて。
飼育の始め方からに初心者にありがちな失敗について解説します。
グッピーってどんな魚?
アクアリウム界には、「グッピーに始まりグッピーに終わる」という格言があります。グッピーから熱帯魚飼育を始めてさまざまな魚種の飼育経験を積んだ後、最終的にグッピーの奥深さに惹かれて再び戻ってくる……そんな人も多くいるほどです。
グッピーは、ベネズエラを中心とした中南米出身の熱帯魚。体長はオスが3~4cm、メスが5~6cmと小型で、分類上はカダヤシ科に属します。原種のグッピーは尾も短く、発色も鮮やかではありません。人の手によって改良が加えられていった結果、鮮やかな色彩と大きく優雅な尾ビレを持ったグッピーが流通するようになったのです。
寿命は1~2年程度と短め。飼育から繁殖まで容易なこともあって、より美しさを求めて数多くの品種が作り出されてきました。国内でもグッピーの美しさを競い合う品評会が盛んに行われています。
知っておきたいグッピーの特徴
グッピーは適応力が高く、水質に慣れてしまえばとても丈夫です。はじめて飼育する熱帯魚がグッピーだったアクアリストも珍しくありません。
そんなグッピーを飼育するうえで、知っておきたい特徴をご紹介します。
メダカとの違い
グッピーはよくメダカと比較されるようです。
体型やサイズがなんとなく似ているようでも、実はまったく違います。
グッピー
分類 :カダヤシ科
原産 :中南米
繁殖形態:卵胎生
オスとメスの区別:オスのほうが鮮やかでヒレが大きい、サイズはメスのほうが大きい。
メダカ
分類 :メダカ科
原産 :日本を含むアジア
繁殖形態:卵生
オスとメスの区別:サイズはほぼ同じ。ヒレで見わける。
カラフルなのはオス、地味なのはメス
グッピーはオスとメスの違いが明確です。グッピーらしいカラフルなものはオス、メスはメダカのような体型で色彩も控えめ。尾ビレも小さめで地味な印象を持ちます。
混泳相手に気を付ける
グッピーと混泳させる場合、ヒレをかじる魚種は避けましょう。
泳ぎが速い魚種はグッピーにとってストレスとなります。
国産グッピーと外国産グッピーの混泳はNG
グッピーには「グッピーエイズ」という特有の病気があります。主に外国産グッピーがキャリアの可能性が高く、抗体を持たない国産グッピーを混泳させると国産グッピーが高確率で発症、全滅してしまいます。
繁殖力が旺盛である
グッピーは熱帯魚の中でもとりわけ繁殖の容易な魚種です。
繁殖を狙わなくても勝手に殖えていきます。
また、グッピーは卵胎生といって子を直接出産する繁殖形態です。
初産は数匹程度でも成熟すると最大で50~100匹程度を出産することがあります。
一度の交尾で2~3回出産できること、卵胎生のため稚魚の生存率が高いことも特徴です。
稚魚は約3カ月で成熟するためどんどん次の世代が誕生していきます。
1~2ペアから飼育を始めたのに、いつの間にか100匹を超えることも珍しくないようです。
改良品種を作りやすい一方、「殖えすぎて困った」ということにもなりかねません。
計画性を持って飼育するようにしてください。
グッピーの飼育を始めるなら国産or外国産?
グッピーは国産グッピー、外国産グッピーに大別されます。
それぞれにメリット、デメリットがあるため、ご自身に合ったものを選ぶと良いでしょう。
<入手しやすさ>
国産グッピー :取り扱いは基本的に専門店に限られる。
外国産グッピー:ホームセンターでも取り扱っていて入手しやすい。
<価格>
国産グッピー :高い(外国産の2倍)ペアで安価なものは1000~2000円程度
外国産グッピー:安い(国産の半額)
<飼いやすさ>
国産グッピー :輸送による当たりはずれがなく品質が安定している。日本の水に慣れているため失敗しにくい。品種ごとにきちんと管理されており、品種改良に向いている。
外国産グッピー:輸入状態によって当たり外れがある、日本の水に慣れていない点で病気にかかりやすいリスクがある。品種ごとの管理が厳密でないことが多く、品種改良には不向き。
まとめると、外国産グッピーは安価で入手しやすい、国産グッピーは外国産に比べて価格は高いが品質が安定していて失敗しにくいといえます。外国産グッピーでも導入から2週間を無事に過ごせれば、そこからはグッピーらしい丈夫さを発揮するでしょう。
国産グッピーの一例
外国産グッピーの一例
グッピーを迎える準備をしよう
グッピーの飼育に必要なもの
グッピーの飼育には、①水槽②フィルター③ライト④底床⑤エサ⑥カルキ抜き剤⑦水温計⑧ヒーター⑨水草を用意しましょう。用品選びが大変なら、初心者向けのセットをどうぞ。生体、水草以外がそろった飼育セット、フィルターとLEDがそろった水槽セットがあります。
グッピー飼育セット
①水槽
フィルタ―が設置できればどのサイズでも飼育できます。1ペアであれば30cm水槽で十分です。
②フィルター
フィルタ―には、フンなどのごみを取りのぞく、ろ材にバクテリアを定着させて有機物を分解させるなど、ニオイや濁りを抑え、水をきれいに保つ役割を果たします。
フィルタ―には、外掛け式、上部式、外部式と3タイプあります。水槽サイズに合ったものを選んでください。長期飼育と管理のしやすさから見ると、小型水槽では外掛け式、60cm以上の水槽では上部式、外部式フィルターがオススメです。
③ライト
グッピーの飼育に適した水質・水温
好む水質:中性~弱アルカリ性
適性水温:23~26℃
水道水を使う場合、カルキを抜いてください。基本的にグッピーは適応能力が高く、低水温にも水質悪化にも強いようです。そうはいっても熱帯魚であるため20℃以上ないと冬は越せません。低水温が苦手な水草もいるため、冬季のヒーターは欠かせません。
グッピーを水槽に導入しよう
初心者が失敗しがちなのが「水合わせ」です。水合わせの失敗はグッピーが調子を崩す原因に直結します。グッピーを迎えた際に、いきなり水槽に入れてはいけません。グッピーがそれまで暮らしていた水温や水質とは違うからです。環境が急に変われば、グッピーに大きなダメージが加わります。
水槽の水に少しずつ慣らす「水合わせ」を必ず行いましょう。水槽飼育の第一関門です。
水合わせ(簡易版)の手順
①グッピーを袋のまま(入手した状態)で水槽の水に15~30分(冬季は1時間)ほど浮かべます。
②水温を合わせたら①の袋の水を1/3ほど捨て、捨てた分と同じ量の水槽の水を入れ、
15分ほど水槽の水に浮かべます。このとき、袋が水槽の中に落ちないよう固定してください。
③②の作業を3~4回ほど繰り返します。
④グッピーだけをすくって水槽に入れて完了です。
エサやりと水換え
水槽に導入したばかりのグッピーは、環境変化によるストレスで食欲も落ちています。
導入して2~3日間はエサを与える必要はありません。
通常のエサやりは1日2回、それぞれ食べきれる量を与えてください。
グッピー向けのエサなら顆粒、フレークのどちらでもかまいません。
与え過ぎはは水質悪化や病気の原因となります。
食べ残しは水を汚す原因となるため、取り除きましょう。
水換えは、2週間に1回のペースで行います。
水換えの手順
①カルキを抜いた水道水を用意します。
②全体の1/3の水程度の水を入れ替えましょう。このとき、グッピーを取り出す必要はありません。
③新しい水をゆっくりとやさしく入れます。ザバーッと入れるとグッピーに負担がかかってしまいます。
掃除や水換えにあると便利!
グッピーの水槽は、定期的に掃除や水換えを行う必要があります。
便利なアイテムがこちらです。
初心者あるある?グッピーの飼育でNGなこと
グッピーは丈夫と聞きました。それならヒーターなしでも飼えますよね。
適応力が高いグッピーですが、あくまでも熱帯魚です。飼育に適した水温である23~26℃より大幅に下がる環境ではヒーターを使用してください。
いろいろなグッピーを集めたいのですが、みんな一緒の水槽でも大丈夫ですか?
グッピー同士の混泳は大丈夫ですが、外国産と日本産のグッピーを混ぜないように気を付けてください。というのも、外国産はグッピーエイズのキャリアの可能性が高い一方で、国産は抗体を持っていないためです。国産同士でもブリーダーが異なる、出身が異なる場合は入念にトリートメントを行うなど対策が必要です。
殖えすぎて困っています。川のほうが広いし暮らしていけますよね?
グッピーに限りませんが、一度飼育したものを自然下に放流することは生態系の破壊につながります。絶対に放流しないでください。グッピーは現在、生態系被害防止外来種リストにおいて「その他の総合対策外来種」に指定されています。里親や買い取り、引き取りをしているショップを探しましょう。
グッピーについてさらに詳しく知りたい方はこちら
まとめ
今回は、グッピーの飼育の基本とNGについてお届けしました。
国産、外国産のグッピーの違いを理解しておくことはとても重要です。
それでは次の授業をお楽しみに!
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