どうも、ほにゃらら sp.です。
今回は意識しておきたい「ヒーター設置のチェックポイント」についてお送りします。
ヒーターは熱帯魚を飼育する上で欠かせないアイテムですが、誤った使用による事故率が高いアイテムであることも事実です。
昨今のヒーターは安全装置が組み込まれており、かつてのような火災にまで発展することはまれですが、全くないわけではありません。
ヒーターは正しく使用している限り、事故は発生しないのでご安心ください。
それでは正しい使い方を見ていきましょう。
ヒーター設置の向き
一般に、ヒーターの設置は横向きが基本です。
正しい向きで設置しないとどうなるの?
正しい向きで設置しないと水温が正しく制御できなくなります。
縦置きしてしまうと水が蒸発した際にヒーター本体が水面より上に出てしまうことがあります。
そのままでは火災になりかねないため安全装置が作動します。
安全装置が作動するとそのヒーターは以後通電しなくなり、使用不可となります。
ヒーターは正しい向きで設置してください。
縦置き可能な「スタンディ」シリーズ
一部、縦置き設置OKな製品も存在します。
「GEX スタンディ」シリーズはその一例です。
縦横どの向きにも設置できるため、特に小型水槽ではすっきり配置ができて便利ですね。
サイズ展開が豊富な点も、うれしいところです。
底床に埋めて使わない
ヒーターの外観が目立つからと言って、底床に埋めてはいけません。
故障の原因になります。
ヒーターを底床に埋めてしまうと、設定した水温に水槽全体が温まりません。
底床周辺だけが温まってしまい、狙った温度にならないためです。
逆に、温度センサーが正しい温度を検知できないことで、温まりすぎてしまう可能性も考えられます。
ヒーター周辺だけ局所的に温度が上がることは、ヒーターの故障、破損の原因にもなります。
吸盤でしっかり固定し、底床に埋まらないよう設置しましょう。
サーモスタットとセンサーの接続
ヒーターの事故で他に知られるのが、サーモスタット、センサー周りの誤った使用方法です。
まず、ヒーターには大きく分けて下記の3種に大別できます。
- オートヒーター(温度固定式)
- 温度可変式ヒーター
- サーモスタット接続用ヒーター
オートヒーター
温度可変式ヒーター
サーモ接続用ヒーター
このうち「サーモスタット接続用ヒーター」は単体で温度制御機能がないため、使用にあたっては必ずサーモスタットへの接続が必要です。
「サーモスタット接続用ヒーター」を「サーモスタット」に接続せずに使用してしまった場合、温度調節機能がないため際限なく温度が上昇してしまいます。
温度調節がなければ40℃以上に上昇しますので、当然生体や水草は死滅してしまいます。
「サーモスタット接続用ヒーター」を使用する場合には、注意が必要です。
サーモスタットのセンサーも意識しよう
サーモスタットのセンサー周りも事故が起きやすいポイントです。
このセンサー部を水槽内に入れることで水温を測定し、設定温度以下になるとスイッチON、接続したヒーターが作動する。
……というのが基本的なサーモスタットの仕組みです。
このセンサーを水槽内に入れ忘れてしまうと、空中の温度を測定してしまうため、いくら水槽内の水温が上昇しても設定温度より高くなりません。あるいは、低くなります。
結果、生体を煮てしまう、あるいは、水温が低くなり亡くなってしまうという事故が起こります。
サーモスタットを設置の際は、センサー部も水槽内に正しく設置できているか確認が必要です。
「温度可変式ヒーター」の場合でも、センサー部がヒーター内蔵でない場合は同様の注意が必要です。
また、センサーはヒーターの近くに設置してしまうと、水槽全体の水温より高く検知してしまいます。
なるべくヒーターより離して設置すると良いでしょう。
警報付きサーモスタット
一部、設定温度に一定値以上/以下の差が発生した時、アラームでお知らせしてくれる製品もあります。
温度異常を検知してくれるタイプのサーモスタットでは、例えばヒーターが故障して水温が一定値以下になってしまった際にアラームで警告してくれます。
大切な高額生体が暮らす水槽や、とことんこだわった本格派のレイアウト水槽では、このような警報付きサーモスタットは重宝することでしょう。
オートヒーターのセンサー
オートヒーターのうち、管が2つあるタイプ のヒーターは、短い方の管にセンサーがあります。
このタイプのヒーターは、実は横置き設置でも「正しい向き」があります。
「センサー部が下に来るように設置」が正解となります。
左の配置だと、ヒーター部よりセンサーが上にあるため、水温を正しく検知できません。
本来の水温よりも高くセンサーが認識してしまうため、設定温度よりも水温が低くなってしまう可能性があります。
大型水槽でのヒーター設置
大型水槽でヒーターを設置する際は、水量が多いので1本よりも2本設置したほうが安心です。
例えば、90cm水槽であれば300W程度の出力が最適となります。
では、これを300Wのヒーター1本での運用と、150W程度のヒーター2本での運用の
どちらがおすすめかと言えば、後者のほうです。
理由は2つあります。
理由1.万が一の故障に備えて
大型水槽で飼育する以上、生体や水草も高価なものだったり、量が多かったりするでしょう。
万が一、ヒーターが故障してしまった場合、最悪の場合水温低下による全滅のリスクがあります。
その点、ヒーターが2本あることで片方が故障しても、もう片方が正しく動作していればいきなり水温低下することはありません。
設定温度よりやや低くとも死滅してしまうほど下がることはないでしょう。
生体全滅のリスクを軽減できるのが、2本使いをおすすめする理由の一つです。
理由2.温度ムラ対策
総水量100Lを超えるような大型水槽の場合、水量が多いためヒーター1本ではどうしても水温にムラが生じてしまいます。
ヒーターに近いところは暖かく、ヒーターから離れたところでは冷たい……という状況が水槽内で発生してしまうのです。
水温の変化はどんな生体にとっても大敵です。状態を崩してしまう原因にもなりかねません。
この対策としてヒーターを2本使うことで、温度を安定させることができます。
水槽の両端に、離して設置すると良いでしょう。
ロータイプの水槽への設置
カメ水槽のような、背丈が低いタイプの水槽へ設置の際も注意が必要です。
設置したときには水没していたとしても、水が蒸発した際にヒーター管が水上へ出てしまうことがあります。
また、カメなど力の強い生体の場合、生体が動かしてしまうこともあるでしょう。
使用する場合は、
- 生体が動かすことのないよう固定できているか
- ヒーター管全体が水没しているか
- 水が循環しているか
この3点を必ず確認の上、ご使用ください。
特に冬場は蒸発が早くなり、水位低下が早まります。
低い水槽でヒーターを使用する際はこまめに水位を確認してください。
夏場は設置をやめるべき?
結論から言うと外す必要はありません。
ヒーターは、設定温度以上の状況では動作しないためです。
設定温度よりも外気温が下がることはない夏場は、あってもなくても意味はありません。
従って、外しても外さなくても構いません。
秋にはまた必要になりますので、設置が面倒であればそのままでも良いと思います。
温度固定式なのに設定温度にならない?
温度固定式のヒーターを使用しているにもかかわらず、設定温度にならないことがあります。
大抵夏か冬によく起こるので、よくある事例を紹介します。
製品の故障であることは非常にまれで、大抵の場合は誤った知識や使い方によるものがほとんどです。
夏の場合
26℃固定式と記載のある製品であっても、周囲の外気温が26℃以上であれば水温がそれ以上になることはあり得ます。
ヒーターは水を温める製品であり、水温を上昇させる機能はあっても下降させる機能はありません。
水温を下降させたい場合には、別途クーラーや冷却ファンが必要です。
外気温がヒーター設定温度よりも高いことが明白な状況の場合、ヒーターは動作しません。
動作しないことが分かりきっている場合は、吸盤やセンサーコード部のゴム部分の劣化を防ぐにも、
取り外すことでヒーターの製品寿命が少し長くなります。
冬の場合
水槽を設置している周辺の外気温が15℃以下の場合、推奨W数のヒーターでも出力不足となり、水温が上がりきらないことがあります。
この場合には設置個所を見直すか、推奨されたW数よりも大きいヒーターをお使いください。
その他のチェックリスト
フタを設置しない場合、熱が逃げますので目的水温まで温まらないことがあります。
水槽フタから水位まで空間が開いている場合も同様です。
フィルターやポンプで水を攪拌しない場合、ヒーターの周りだけ温まってしまい、水槽全体が温まらないことがあります。
水の淀みは生体にも悪影響がありますので、必ず水槽内に水の循環を作ってください。
水槽以外への設置について
ヒーターは基本的に屋内の観賞魚水槽での使用を想定しています。
水槽以外の容器での使用は思わぬ事故を招く恐れがありますので、使用しないでください。
他にもペットボトルや衣装ケース、フィルター内などでの使用も考えられますが、熱で変形しやすい容器で使用してはいけません。
ガラス水槽以外には設置しないでください。
アクリル水槽への設置について
アクリルは熱に弱い素材です。
吸盤を介して設置するなど、アクリル面とヒーター部が直接密着しない状態であれば使用はできます。
しかし、万が一吸盤が劣化して外れるなどしてヒーター管が直接密着してしまった場合、アクリルを溶かしてしまうことがあります。
アクリルが溶けると、水漏れの原因に繋がります。
アクリル水槽は一般に大型水槽に採用される傾向がありますが、大型水槽での水漏れは大惨事になることが多いです。
このことから、リスクの高い使用となる点に留意する必要があります。
ヒーターの安全装置について
一昔前は、ヒーターの誤った取り扱い=火事のイメージがありました。
実際、水槽用ヒーターは水槽内での使用を前提としているため、空気中で通電すると異常加熱から発火してしまい、火災へとつながってしまうことがあります。
でもご安心ください。
現在市販されている製品では安全装置の搭載が標準となっており、
異常加熱が発生した場合は自動的に通電を遮断し発火を防ぐ
という仕組みになっています。
溶解したヒューズは元に戻りません。
通電が遮断された場合、以後そのヒーターは使用できません。
しかし、そのおかげで異常加熱をストップするので火災にまでは至ることはまれです。
(※ヒーターの周囲にある可燃物の状態により100%絶対に止めてくれるわけではありません。)
ヒーターの電源を切った直後はまだヒーター管は熱いです。
水槽から取り出す場合、電源を切って15分くらい冷ましてから取り出しましょう。
早く取り出してしまうとヒューズにヒーターの余熱が加わることで劣化し、思わぬ形でヒューズが発動してしまうことがあります。その場合、再使用不可となります。
特に20年近く前の製品など、古い製品には安全装置が搭載されていないため火災の危険が高いです。
現在においてヒーター事故が起きるとすれば、古い製品を長年にわたり使用し続けた上で、水面に出した状態で通電するなど誤った使用をしてしまったケースが多いのではないかと思われます。
これを踏まえると、仮に動作するとしても古い製品の使用は避けるべきです。
「まだ使えるから……」と思うかもしれませんが、事故のリスクに比べれば安いものです。
この理由から、中古品のヒーターもおすすめできません。
ヒーターの製品寿命は通常1年ほどですので、安全のためにも時期が来たら交換を推奨します。
オートヒーターや温度可変式のサーモスタット内蔵型ヒーターの場合は、本体ごと買い替えなければなりません。
一方で、サーモスタット接続型のヒーターの場合、ヒーター部だけ交換すればよいので経済的です。
ヒーター設置のチェックポイント まとめ
全部クリアできているなら大丈夫です!
ヒーターは誤った扱いをすると大変危険ですが、正しく扱えば全く危険はありません。
こちらも参考
ヒーターは観賞魚飼育用品のなかでも、特に消費電力の大きい機材です。
電気代も気になる要素となりますので、ぜひ合わせて読んでみましょう。
ヒーター設置クイズに挑戦!
ヒーターの設置にまつわるクイズです。
ここまで読んでいただけたのであれば、きっと全問分かるでしょう。
正しくヒーターを設置して、安全で楽しいアクアリウムライフを送りましょう。
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