皆さんこんにちは、Tです。突然ですが、赤い植物ってとても美しいと思いませんか?燃えるような赤、深く濃い赤、目が覚める鮮やかな赤など赤にもさまざまな表現がありますよね。水草に限らず赤色の植物、筆者は結構好きなんです。ところで、どうして植物は赤くなるんでしょうか……?今回は、植物が赤くなる秘訣を探ってみました。
赤系水草Pickup
水草の中には赤くなる水草と赤くならない水草があります。まずは赤系の水草を選んでみましょう。筆者の偏見でいくつかピックアップしてみました。
ルドウィジアsp.スーパーレッド
学名:Ludwigia sp.
非常に鮮やかに赤く染まる美しいルドウィジアの仲間です。斜めに成長していくのでレイアウトのワンポイントなどにも使えます。育成は比較的簡単ですが、成長は遅めです。レイアウトでは、赤系の後景草として群生させるとお花畑のような雰囲気を作ることができます。
ロタラ ロトンディフォリア ベトナム H’ra
Rotala sp.
ロトンディフォリアの一種で、大変美しい赤系ロタラです。
高光量、CO2添加という環境下ではさらに色合いが増し、環境によりオレンジ~黄色のグラデーションから真紅の色合いまで赤みが変化します。赤みの度合いは光量に強く影響を受けるため、高光量下に植栽することでより美しい姿を楽しめます。
アルテルナンテラ レインキー 斑入り(Alex)
学名:Alternanthera reineckii ’Alex’
赤系の水草でおなじみなのがこちらのアルテルナンテラ レインキーです。今回は、斑入りのものをチョイスしてみました。強烈な色合いと葉脈が美しい美種です。ソイルなどが一般的では無かった時代から、大磯砂などで育成できる赤系の水草として紹介されている水草です。比較的大型の水草の部類に入るため、後景草として抜群の存在感を出すことができます。また、光量が低くても赤みを維持できます。
ルブラ ハイグロ
学名:Ludwigia glandulosa
深みのあるワインレッド色の葉がウェーブする姿が大変美しい種類。葉柄は1cm未満、葉幅最大約1.5cm、葉長最大約7cmです。葉縁がウェーブする他、葉がネジれるため、立体感があります。
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葉が緑色なのはなぜ?
葉が赤くなる理由を知る前に、植物の葉がなぜ緑色なのか復習しておきましょう!
葉の中で光を受け取るのは、主にクロロフィル(葉緑素)という物質です。これは、光が当たると青色光と赤色光を吸収し、緑色光を反射・通過させたりする性質を持ちます。太陽や電灯など光は「白色光」といわれます。白色光にはさまざまな色の光が含まれており、大まかに青色光・緑色光・赤色光の3つに分けられます。白色光が当たっている葉を上から見ると、クロロフィルの性質により緑色の光のみが目に届きます。その結果、葉が緑色に見えるというわけですね。クロロフィルに吸収された青色光と赤色光は、葉が光合成する際に有効に使われます。
なぜ赤くなるのか?
では、緑の葉がなぜ赤色になるのでしょうか?
自分の身を守るために葉が赤くなる
実は水草が赤くなるメカニズムは、秋の風物詩である「紅葉」と同じです。葉が紅葉するのは植物自身の光合成の限界を超える量や強さの光から身を守るためです。葉の細胞が破壊されないようにアントシアニンを作り出し、光合成を制御します。
水草を赤くさせるためのカギ
葉の色を真っ赤するカギ① 強い光
アントシアニンを生成させる状況を水槽内で再現するには、水草の育成環境を整えつつ「光を余剰させる」ことがカギです。赤い水草でも植栽直後は赤くありません。水草が成長するとともに照明に近くなると赤みが増していきます。鮮やかに発色させるためには、強い光を長時間当てることがカギです。
葉の色を赤くするカギ② 鉄分(鉄イオン)
アントシアニン生成のきっかけとなる、「クロロフィル(葉緑素)の多量生成」には、鉄イオンが不可欠です。葉緑素が多くなると、光合成が活発になり発生する酸素の量が増えます。
まれに鉄分を補給するために水槽に釘を入れるという話を聞きます。しかし、水草が吸収できる鉄イオンは2価鉄イオン。釘から溶け出す鉄イオンは3価の水酸化鉄(赤サビ)のため、水草は利用できません。水草が吸収しやすくなっている専用肥料を使ったほうが効果的です。
葉の色を赤くするカギ③ 水中の溶存酸素量
水草が赤くなるためには、水中にどれだけの酸素が溶けているかも重要です。少し難しい話になるので、3つにまとめました。
・水草(植物)は鉄イオンを吸収するとクロロフィル(葉緑素)の生成が活発になる。
・クロロフィルが増えると代謝が活発化し、植物体内の活性酸素量が増える。
・活性酸素が過剰に生成されないようにアントシアニンの合成を促進させる
活性酸素はさまざまな成分と反応し代謝活動を助けてくれるのですが、過剰に生成されると細胞を傷つけてしまいます。そこで、アントシアニンの合成量を増やして過剰な活性酸素の生成から身を守ろうとし、その結果、葉が赤くなる というわけです。
CO2を添加すると水中の溶存酸素濃度が上がって光合成が活発になります。先述した理由から、強い光と組み合わせてわざと代謝を上げさせて水草の防衛本能を引き出す方法です。
\出てきた用語を復習!/
クロロフィル(葉緑素)
植物が光合成を行う際に必要になる物質。光が当たると青色と赤色の光を吸収し、緑色の光を反射・通過させたりする性質があるため、葉は人間の目に緑色で見える。
活性酸素
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態のこと。過剰に生成されると、細胞を傷つける障害を引き起こす。
アントシアニン
赤や青紫色の天然色素。ビルベリーやブルーベリーなど青色の果物に多く含まれるポリフェノール化合物の一種。抗酸化作用があることで知られるが、本来は植物を紫外線や寒さなどのストレスから守るために存在している。
鉄イオン
Feで表される金属元素で2価鉄イオン・3価鉄イオンの2種類がある。水草の代謝活動では2価鉄イオンが利用される。3価鉄は赤サビとなるため植物は利用できない。
鉄分を豊富に含んだオススメ肥料
2価鉄を豊富に含んだ肥料をピックアップしました。
Fe Energy(エフイーエナジー) アクア 濃縮タイプ 20mL
アイアンエイド(水草用)100mL
メネデール 水草の活力素 500mL
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
真っ赤な水草は水槽内のアクセントとなりパッと華やかな印象を与えてくれます。「水草が赤くならない!」という方は、ぜひ本記事の内容を意識して育成を行ってみてくださいね!
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