こんにちは、5分でわかる!のスズキです。
飼いやすく人によく懐く身近な観賞魚、金魚。
カラフルな色彩や優雅なヒレなど、絵になる美しさを持つ金魚には奥深い魅力があります。
「金魚の教室」は、金魚のいる生活を楽しみたい初心者向けのなるほどシリーズです。
今回の授業は、金魚のフンについて。
フンは水を汚す原因になる一方で、金魚の健康状態がわかる指標にもなるんです。
どういうことなのでしょうか……。
金魚はとにかくフンをする
胃の無い金魚は、起きている間は常に食事タイムといってもいいほど、とにかくエサをよく食べます。食べた分だけフンになっていると思って良いでしょう。金魚のフンの多さはよく知られているところですね。ただ、エサのあげすぎは水を汚し、金魚の消化不良を招きます。エサをねだってきても、我慢しましょう。金魚は数日間、エサを食べなくても平気なくらい。1回につき5分で食べ切れる量を1日1~2回与えていれば大丈夫です。
フンの放置で水質悪化の原因に
エサをあげる量に比例して増えるフン。フンは美観を損ね、水質を悪化させる原因となります。
フンを掃除しないままでいると以下のことが起こります。
アンモニアの発生源となる
フンは有機物であり、有毒なアンモニアの発生源となります。通常、アンモニアはバクテリアの働きによって段階的に分解され、無害化(硝酸)されるものです。バクテリアが少なくても、フンが多すぎても分解されずに残ってしまうフンが出てきます。
病原菌の栄養源になる
また、フンの有機物は病原菌を増殖させる栄養源となります。尾腐れ病(ヒレがボロボロになり死ぬことも)や穴あき病(筋肉や内臓が飛び出す)、松かさ病(ウロコが逆立つ)は、水質悪化によって感染しやすくなる代表的な病気です。水換えを怠っていると硝酸が蓄積していき、水質は酸性に傾きます。金魚は酸性の水質を好みません。ストレスのかかった状態では病気にもかかりやすくなります。
コケの栄養源になる
金魚の飼育で大変なところといえばコケ掃除ではないでしょうか。フンの有機物は病原菌だけでなく、コケの栄養源にもなります。金魚の水槽にコケが生えやすい、あっという間に緑色になるという理由も、これなら納得ですね。
以上のことからフンを放置しないこと、定期的な水換えの必要性がお分かりいただけたことでしょう。なお、アンモニアを分解するバクテリアは酸素を好み、バクテリアが増えるほど多く消費します。もちろん金魚も酸素を必要とします。特に水温が上がる時期は、生き物が活発になって多くの酸素を消費するため、酸欠に注意してください。酸欠は金魚も苦しいですし、バクテリアの減少につながります。
食べ残しも水質悪化の原因となるので取り除いてください。
フンの掃除・分解に活躍
バクテリアについて詳しい解説はこちら
金魚のフンは健康のバロメーター
「あの人は〇〇の金魚のフンだ。」
“金魚のフン”とは、コバンザメ同様に力のある人に付いて回る人のことを揶揄する表現。
確かに金魚はフンをくっつけたまま泳ぐ姿を見かけます。でも、そんなときこそが金魚の健康状態をチェックするチャンス。ぜひ、フンの太さ、長さ、色、気泡の有無を観察してみてください。また、フンが浮くか沈むかもチェック対象です。
健康な金魚のフン
・太い
・長さは3cm程度
・気泡が入っていない
・色が濃い(赤茶~黒っぽい)
・底に沈む
こんなフンは消化不良のサイン
金魚は消化不良を起こしやすく、フンを見ればそれがわかります。
消化不良は体力の低下とともに、免疫力の低下を招き、病気にかかりやすくなります。特に転覆病(逆さまになって泳ぐ)は消化不良を原因とする病気として有名です。
細すぎるフン
健康な金魚のフンはある程度の太さがあります。細すぎるフンは便秘のサインです。便秘の場合、消化に時間がかかって腸への負担が大きくなります。
長すぎるフン
金魚は自分の意志でフンを切ることはできません。笑ってしまうような長いフンも、実は笑いごとではないのです。フンが長すぎるのは正常に排出されていないサイン。消化吸収しにくい植物質の硬い部分、生餌などの硬い部分が引っかかることで便秘となり、お腹にたまり過ぎたフンがまとまって押し出されたと考えられます。
無理やりフンを出させることで解消できることもありますが、リスクを避けるためにも人工飼料を中心としたエサを与えることをおすすめします。
白っぽいフン、透明なフン、ゼリー状のフン
これらの色のないフンは、消化不良による下痢の状態にあるサインです。下痢の状態にあっては、栄養が吸収できていません。
水面に浮くフン
健康な金魚のフンは底に沈みます。フンが浮いてしまうのは、腸内細菌の異常により発生したガスが混じってしまうためです。
また、浮上性のエサは沈降性のエサに比べて空気をたくさん含んでいます。何らかの理由でうまく消化できず、フンに空気がたくさん含まれている場合もフンが浮いてしまいます。浮上性のエサを与えている場合は沈降性のエサに切り替えることで解消されることがあります。
消化不良を改善するために
フンに消化不良のサインが現れたら、絶食または水換え、水温を上げると良いでしょう。
また、飼育環境にストレスとなる原因はないか見直し、必要に応じて改善してください。
3~5日絶食する
絶食とは、エサを与えないことです。たとえ目が合って「エサをちょうだい」とおねだりされても、心を鬼にしましょう。絶食の期間は3~5日程度です。これは一般的な絶食期間であり、腸を休ませて回復にあてる時間と思ってください。たまっていたフンも出し切ることができるでしょう。
水換えを行う
飼育水が汚れているような場合は水換えを行いましょう。新しい水の刺激によって、たまっていたフンが出てくることもあります。
ただし、過度な水換えは消化不良の原因となるので注意してください。また、水換え後の新しい水に金魚が慣れるためにも、水換え当日のエサやりは控えると良いでしょう。
水温を上げる
金魚は変温動物です。水温が低くなると泳ぎが鈍るだけでなく、腸の動きも鈍くなります。ヒーターを使わない無加温飼育や屋外飼育の場合、水温が低い時に大量のエサをあげても消化不良を起こすばかりです。水温が低くなったらエサの量は控えるようにしてください。
ヒーターなどを使って水温を20℃程度まで上げると泳ぎだけでなく腸の動きも活発になり、消化吸収をスムーズに行うことができます。
丸手や外国産の金魚は要注意!
琉金やピンポンパールといった丸手の金魚は、寸詰まりの体型にギュッと腸が収まっているので特に消化機能の低下に注意が必要です。低水温の時にエサを多く与えると消化不良を起こし、体内にガスがたまって転覆病になってしまいます。
特に水温の低い時期は浮上性のエサや高たんぱくのエサは控えると良いでしょう。
高たんぱくのエサを控えるのは?
粗たんぱくが40%以上の高たんぱくのエサは、金魚を早く育てる、肉瘤を大きくするのに有効ですが、消化する際に腸への負担が大きい一面もあります。フンの様子から消化不良を起こしているようであれば、一旦たんぱく質の少ないエサに切り替えてください。健康的なフンをしているようであれば、高たんぱくのエサに戻していくと良いでしょう。
飼育環境を見直す
飼育環境は金魚に適していますか?
金魚の消化不良は、直接的・間接的なストレスによって起こります。
次のような状況にあてはまるものは改善しましょう。
・騒音に囲まれている
・一日中明るい環境にある
・混泳相手と相性が悪い
・隠れる場所がない
・過密飼育をしている
・水流が強すぎる
・水質・水温が変わった
・水温が低い
・水換えを怠っている
・酸欠の状態にある
・エサを与えすぎている
・エサが古い
消化の良いエサ選びも大切です
低水温用のエサもおすすめ
細菌の病気による消化不良には免疫維持のサポートが大切
隠れ家に。人工水草なら食べられない&手入れ不要
まとめ
今回は、金魚のフンについてお届けしました。
金魚の体調管理は、金魚だけではなくフンまでチェックを。
それでは次の授業をお楽しみに!
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