みなさこんにちは、Tです。私たちになじみ深い「○○リウム」という言葉。アクアリウムを筆頭に、テラリウム・ビバリウム・パルダリウムなど、多岐に渡って派生し続けていますよね。そんな中、「自然の循環」に注目したアクアリウムと陸生植物の育成を掛け合わせた「アクアポニックス」をご存じでしょうか。本記事ではそんなアクアポニックスの魅力について迫ります。
自然の循環 アクアポニックスとは
熱帯魚を飼育している容器の水で、同時に植物の水耕栽培を楽しむアクアポニックス。一般的には、農作物の水耕栽培と魚の養殖を組み合わせた生産スタイルのことを指します。
近年ではこのアクアポニックスの考え方がアクアリウムの世界にも浸透してきており、アクアポニックスを応用して観葉植物と一緒に楽しむ方法が確立しています。
アクアポニックスの基本的な原理
野菜などの農作物(植物)を栽培する際、同時に水槽やため池などで魚を飼育して、その栄養豊富な飼育水を農作物の育成に役立てます。ため池側も、魚を飼育しているとどうしても水中にたまってしまう硝酸塩などの成分を植物が栄養として吸収してくれるため、水質を管理しやすくなるという利点があります。また、リン酸も吸収してくれるのでコケ発生のリスクも減らす事ができます。『双方の特徴を活かして自然なサイクルで魚と植物を同時に育てる』。これがアクアポニックスの考え方です。
①生体が飼育されている飼育水を水中ポンプで汲み上げて上部のプランターに送る
②植物に飼育水の栄養が吸収されることにより、浄化された水が水槽内に戻る
アクアポニックスはこのようなサイクルで成り立っています。
アクアポニックスでは水換えは不要?
自然の力で循環させるアクアポニックス。浄化された水が水槽内に戻るのであれば、水換えは不要なのでしょうか?
結論からいうとアクアポニックスであっても水換えは必要です。
水槽内で生き物を飼育していると魚の排せつ物・餌の食べ残しや枯れた水草などがたまり、飼育水の水質の悪化が加速します。これは、定期的な水換えで取り除くのが一般的ですが、水質の悪化が早い水槽の場合は頻繁に水換えしなければなりません。
そこで、アクアポニックスを活用してみましょう。魚と一緒に栽培する植物が、水槽内の硝酸塩を養分として吸収してくれます。その結果、水質の悪化のスピードを抑え、水換えの頻度の低減につながります。
「植物が水を浄化してくれるので水換えはしなくてよい」という意見もあります。
確かに、アクアポニックス水槽では水換えの頻度の低減できます。しかし、水換えというメンテナンスそのものは必要だと考えます。
新環境によっては植物が栄養として吸収するスピードを水質が悪化するスピードが上回ってしまうことがあるからです。飼育水の臭いや濁り、魚の様子に異変がないかなどを確認し、水質が悪化している可能性がある場合は水換えを行いましょう。また、底床はフンやゴミなどの汚れが蓄積しやすい箇所です。水換えだけではなく定期的な底床掃除を行っておかないと魚病などのトラブルにつながることもあります。
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アクアポニックスを始めるには何が必要?
アクアリウムと共に観葉植物を楽しめ、メンテナンスの負担も低減できるアクアポニックス。
アクアポニックスを始めるために必要な用品をご紹介します!
水槽
まずは水槽です。実はアクアポニックス専用の水槽といったものはメジャーではありません。よって、普段のアクアリウムで使用するオールガラス水槽でよいでしょう。サイズもお好みでチョイスしていただいて構いません。おうちに水槽が余っているという方はそれを活用してみてもいいかもしれませんね!
チャームではアクアポニックス専用の水槽はありませんが、アクアポニックスがすぐに始められるようにセットになった商品をラインナップしています。
お手軽アクアポニックスセット ハイドロ苗5ポット付き
水作 アクアテリア メダカ飼育レイアウトセット N190
自分の好きな植物や魚を選んで楽しみたい!というかたはコトブキ工芸からリリースされている「レグラスポニックス」がオススメです。小型水槽なので、お部屋のスペースも取りません。
コトブキ工芸 レグラス ポニックス2030
コトブキ工芸 レグラス ポニックス3040
水中ポンプやバスケットなどのアクアポニックスを始めるために必要な用品が最初からセットになっているので便利です。これならお手軽にアクアポニックスを始められますね!
バスケット
水槽の上部に植栽する観葉植物の受け皿となるのが、バスケット。さまざまな呼び名があるかもしれませんがここでは「バスケット」とします。「水槽は家に余っているから上に乗せるカゴだけ欲しい!」恐らくそう思っている方も多いでしょう。
水槽にかけるだけでアクアポニックスを始められます。水中ポンプも付属しているので安心です。
60cm以上の水槽であれば横に並べていろいろな植物を植栽するのも楽しいかもしれませんね。
ハイドロカルチャー用土
アクアポニックスのような形式の植物の栽培方法を水耕栽培やハイドロカルチャーといいます。この形式で植物を栽培するには専用の用土を使うとよいでしょう。一般的な観葉植物用の用土は水に浸かっている状態が長いと崩れてしまいます。アクアポニックには適していないので注意しましょう。
アクアポニックスにおすすめな観葉植物を紹介!
用品をそろえたらいよいよ植栽する観葉植物を見ていきましょう!丈夫で育てやすく、多湿な環境を好む種類がオススメです!
ポトス
熱帯雨林に生育するツル性の植物で、他の木に張り付きよじ登るようにして生育します。丈夫で栽培しやすく環境の変化によく適応するため、古くから根強い人気があります。ポトスは湿度が高い場所がピッタリ。日光があまり差し込まない場所でも育成できるので、アクアポニックスに最適な観葉植物のひとつといえます。ツルを切って水に浸けておけば発根するので、アクアポニックスにはうってつけの植物です!
モンステラ
熱帯中央アメリカ原産のサトイモ科モンステラ属の植物です。インテリアグリーンとして大変有名で、穴の開いた変わった葉姿と改良品種が豊富なことで昔から大変人気があります。大きくなるイメージを持たれがちですが、モンステラ デリシオーサのような大型品種でなければそこまで大きくはなりません。また、気根(きこん)を伸ばして他の植物に着生する性質を生かし、水槽の外に向かって上に成長させるとダイナミックなレイアウトを作ることができます。
ゼブリナ ペンデュラ
メキシコ、アメリカ原産のツユクサ科の植物です。ラメが入ったような紫がかった葉の発色がとても美しく、成長するとこんもりと密生します。ハイドロカルチャー(水耕栽培)で育てられる植物として有名でアクアポニックスにもピッタリです。一種でも寄せ植えでも存在感を放つ種類といえるでしょう。
食虫植物
ハエトリソウやサラセニアなどの食虫植物もアクアポニックスに最適な種類として挙げられます。食虫植物は湿地に自生しており水が豊富な土で育ちます。種類や品種も豊富で一風変わったアクアポニックスが楽しめそうです。
ビバリウム・パルダリウム 向け植物
ビバリウムプランツ・パルダリウムプランツと呼ばれる種類もアクアポニックスに植栽できる植物として挙げられます。熱帯から亜熱帯にかけて自生するものが多く、多湿な環境を好みます。プランターと水槽を循環している水だけでなく、水槽内の水が蒸発する「天然加湿器」がこの植物たちにピッタリの環境を作り上げてくれます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。自然の循環で楽しむアクアポニックスの魅力が伝わったでしょうか?
最後に、観葉植物を入れる時の注意点を1つ。
観葉植物の多くは農薬が使用されています。エビなどの農薬に敏感な生き物を同時に飼育したい時は、1~2か月ほど水を循環させてから生体を入れると安心です。最初の導入は数匹程度にとどめておき、異常がなければ飼育スタートです。小型水槽からお手軽に始められます。ぜひチャレンジしてみてくださいね!
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