飼育している魚には健康で長生きしてほしいもの。
毎日同じ人工飼料を旨い旨いと食べてくれるかわいいお魚たち。なんていい子たちなんだ……。
しかし、中には全然フードに見向きもしない子をお迎えしてしまうこともあります。
アナタ、何なら食べてくれるのーーー!!
分かってはいるけど、活き餌のハードルがアクロのハイタイプ水槽よりも高い!!
今回は、そんな活き餌にためらいのある方に活き餌の世界をご案内しましょう。
フードを食べてくれない
海水魚ではよくある話ですが、淡水魚、特にワイルド個体の中には人工飼料への反応がすこぶる悪い個体もいます。観賞魚として流通している以上、流通過程での飼養にはほとんど人工飼料が用いられていますが、環境の変化や流通のストレスで餌食いが低下し、痩せてしまうという個体もいます。
中でも活き餌じゃないとなかなか食べてくれない淡水魚をご紹介します。
スカーレットジェム
レインボー・パイプフィッシュ
ベロネソックス
大型魚・古代魚
大型魚・古代魚の中には活き餌でなければ食べてくれない個体がいます。同じ種類でも、個体差によって人工餌でも問題ない個体、活き餌じゃないと絶対に無理な個体などさまざまです。サイズや種類によって与える活き餌も異なりますが、できれば栄養が偏らないように人工飼料に餌付かせることに注力してくださいね。
また、今まで問題なく人工餌を食べていたのにふとしたことから拒食になってしまった際は、活き餌を試してみることも重要です。
活き餌にチャレンジしてみよう
活き餌については、「普段のごはんに嗜好性の高いものをプラスしたい」という飼い主心(かいぬしごころ)から、活き餌を買ってみようかなという方もいらっしゃるかと思います。人工飼料よりも栄養の偏りが出てしまうため、時々ご褒美的に活き餌を与えてもいいかもしれません。
活き餌をためらう理由として、活き餌のストック(飼育)がネックだという方も多いでしょう。
確かに、長期的に活き餌をストックするために専用の飼育ケース、活き餌のためのエサも用意するとなると、なかなか大変になる場合もあります。
そんなときは、使い切りの最低ロットを試しに購入してみればいいのです!
活き餌と生餌の違い
活き餌と生餌は違います。混同して用いられていることがほとんどですが、ここではわかりやすいようにあえて以下のように分けて説明します。
活き餌=生きている餌
生餌=冷凍や真空パック・缶詰などで生の状態で保存された餌
さまざまな活き餌
活き餌用活き餌・稚魚・小型魚向け
ブラインシュリンプ
ブラインシュリンプは塩水湖に生息する小型の甲殻類でアルテミアと呼ばれることもあります。乾燥して休眠した状態の卵を塩水に入れると24時間でふ化します。ふ化後のサイズは0.4mm程度。ふ化直後のものが小さく栄養価が高いため、稚魚用の餌の場合は毎日わかさないといけません。
<この活き餌を与えるのは>
- グッピーの稚魚
- プラティーの稚魚
- メダカの稚魚
- その他稚魚
ゾウリムシを含むインフゾリア
ゾウリムシは無性生殖・有性生殖で増殖する単細胞生物です。最大体長0.1mm程度。カルキ抜きされた水を定期的に容器に継ぎ足し、人用栄養補助食品のプレーン味のものをほんの少し入れれば、増殖させることができます。
ちなみにインフゾリアは動物性プランクトンのうち、ゾウリムシのような原生生物のことを指します。
<この活き餌を与えるのは>
- ベタの稚魚
- グラミーの稚魚
- ブラインシュリンプを食べることが困難な極めて小さな稚魚
タマミジンコ
北半球に広く分布するミジンコの一種で最大体長は1.5mm程度。育成が軌道に乗れば、ほぼ放置で管理可能といわれています。ムックリワークやクロレラの添加で増殖します。生体への給餌も簡単で網ですくって生体の水槽に入れるだけでOKです。
<この活き餌を与えるのは>
- メダカの若魚
- 金魚の稚魚・若魚
- イモリの幼体
オオミジンコ
国産のミジンコ種より低水温に強く、冬場でも10℃以上と飼育環境が整えば繁殖が可能です。最大体長が5mmと微生物の中では大きい部類。餌としてグリーンウォーターや少量の鶏糞を与えてください。高温に弱いので30℃を超えないように注意が必要です。
<この活き餌を与えるのは>
- 金魚の若魚
- イモリの若体
クロレラ
淡水性単細胞緑藻類のクロレラは最大0.01mm程度。湖沼や河川などに生息しています。動物プランクトンの餌として用いられることが多いです。植物につき、増殖は植物栄養剤等を培養水に混ぜ、日の当たる場所に置いておきます。
<この活き餌を与えるのは>
- タマミジンコ
- オオミジンコ
- ワムシ
グリーンウォーター
グリーンウォーターは生体名ではありません。植物プランクトンを豊富に含んだ飼育水を指します。濃度が濃すぎると生体が酸欠になる可能性があります。濃くなりすぎないよう定期的な水換えとエアレーションが必要です。ちなみにグリーンウォーターは藍藻類が増えて緑に澱んだ悪い水とも異なります。
<この活き餌を与えるのは>
- タマミジンコ
- オオミジンコ
- ワムシ
- 金魚
- メダカ
ミジンコウキクサ
直径1mm程度の世界最小の種子植物です。水質変化に強く、太陽光、弱酸性、十分な栄養下では一面を埋め尽くすように増殖します。高水温や栄養不足になると白化してしまいます。秋の終わりに冬芽が形成され水底で越冬し、温かくなるとまた水面に浮上してきます。
<この活き餌を与えるのは>
- 小型の金魚
- メダカ
アオウキクサ
日本の在来種で直径5mm程度の小型の浮き草です。ミジンコウキクサ同様に繁殖力旺盛で、太陽光、弱酸性、十分な栄養下では一面を埋め尽くすように増殖します。増えすぎてしまったら定期的に間引いてください。ミジンコウキクサと同様に水底で越冬します。
<この活き餌を与えるのは>
- 中型~大型の金魚
イトメ
あらゆる淡水魚・両生類に超重宝するイトメ。いわゆるイトミミズとは異なり、ゴカイ科の一種で、汽水から淡水の浅瀬の泥の中に生息します。病気後の体力回復や繁殖時の体力増加に高い効果を発揮します。水道水をかけ流すかエアレーションをして1日1回の換水で1~2週間の保存が可能です。
<この活き餌を与えるのは>
- 淡水魚全般
(特にコリドラス・ローチの大好物です) - 両生類全般
中型魚向け
アカヒレ
ぱっと見はカージナルテトラ風ですがテトラの仲間ではなく、中国原産の小型のコイの仲間です。どんな餌もよく食べ、水質にもうるさくなく、低温に強く屋内での無加温越冬が可能です。繁殖する場合は産卵箱を利用すると良いでしょう。メダカを食べられないサイズの肉食魚に与えます。
<この活き餌を与えるのは>
- 肉食魚の幼魚
- バタフライフィッシュ
- クロコダイルフィッシュ
- リーフフィッシュ
メダカ
エサ用で流通しているのは主にヒメダカです。手に入りやすく、繁殖も容易のため、小魚を食べる肉食魚を飼育している方は、別途水槽を用意して繁殖させていることが多いです。エサ用の金魚のようにビタミン破壊酵素を持たず、栄養価に優れた活き餌です。
<この活き餌を与えるのは>
- 小型の肉食魚
- 小型肉食上層魚
- アロワナ
- スネークヘッド
- ツノガエル
大型魚向け
小赤
肉食魚のエサとして最も一般的でポピュラーな活き餌です。赤い色は水槽内でも確認がしやすく、餌を食べたのかどうかの確認が容易というメリットも。サイズ順に小赤→別下→小和金→大姉金と呼び名が変わります。エサ用の金魚はビタミン破壊酵素を持つため、一般的に単食は良くないといわれています。他の餌と組み合わせて与えましょう。
<この活き餌を与えるのは>
- 大型の肉食魚
※イカリ虫やチョウ等の寄生虫を持ち込む原因にもなるので、飼育魚に与える前に駆虫薬で駆虫してから餌として与えることをお勧めします。
ドジョウ
肉食魚のエサとして小赤とともに用いられます。栄養価に優れているため、特に飼育生体を早く太らせたい場合におすすめ。底砂を敷いた水槽に入れると、隠れて出てこなくなるので注意が必要です。輸送に弱く、スレによる病気、白点病になりやすいので注意してください。
<この活き餌を与えるのは>
- 大型肉食低層魚
- ポリプテルス
- 大型ナマズ
巻貝
モノアラガイ、サカマキガイ、ラムズホーンなど、一般にスネールと呼ばれています。水槽の厄介者ですが一部の魚にとっては大事な食料になります。特に淡水フグは歯の伸びすぎを防ぐため、定期的に硬い貝などの活き餌を与える必要があります。
<この活き餌を与えるのは>
- アベニーパファー
- ミドリフグ
- 八の字フグ
- トーマシー
スジエビ
日本の在来種のエビです。エビに植物性のエサを与えることで、肉食魚にも間接的に植物質を摂取させることができ、色揚げ効果も高いです。
<この活き餌を与えるのは>
- 大型魚
- スネークヘッド
- オスカー
- 中型以上シクリッド
- ダトニオ
- テトラオドン
(大型淡水フグ) - 水棲亀
エビの額角(頭部の角の部分)が魚の喉に引っ掛かることがあるので口が小さくエビを丸呑みできない種は必要に合わせてエビの額角を折って(ハサミ等で切って)から与えてください。
レッドワーム
中南米原産のゴミムシダマシ科の昆虫の幼虫であるビッグミルワーム(ジャイアントミルワーム)に、色揚げ効果の高いアスタキサンチンをたっぷりと含んだ餌を与え、色揚げ効果を狙った餌にしたのがレッドワームです。衣装ケースなどの容器に餌となるふすまを入れてストックします。
<この活き餌を与えるのは>
- アジアアロワナ
- ピラニア
- 水棲亀
ミミズ
釣りの餌としてもつかわれるミミズです。餌食いが悪いときなどに重宝されますが、ルンブロフェブリン、ライセニンといった毒性のある物質を含むため、たまに与える程度でとどめる必要があります。他の餌との組み合わせが重要です。
<この活き餌を与えるのは>
- 肉食魚
- 両生類
- 水棲亀
ウキガエル
東南アジアに生息するアカガエル科のカエルで、最大体長は3cm程度。普段は水面に浮いた状態で生活しています。熱帯魚と同様の飼育設備で飼育でき、人工飼料も食べてくれます。
<この活き餌を与えるのは>
- 肉食魚
- アロワナ
活き餌がストックできないときは……
活き餌の最大の問題はストックしておくことに手間がかかることです。活き餌が用意できないときのために、代用品として生餌をストックしておきましょう。生餌は衛生的で小分けになっているので、1食ずつ使いやすいというメリットもあります。
冷凍餌
困った時の冷凍生餌です。再冷凍をしないように使いましょう。
真空生餌
冷凍よりもさらにストックしやすい真空パックの生餌もあります。
まとめ
さまざまな飼育の生き物の用途に合わせて、さまざまな趣向を凝らした活き餌が用意されています。
飼っているペットには栄養のあるものをしっかり食べて、健康で長生きしてほしいですよね。
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