まだ空気は冷たさが残るものの、日差しは春らしくなってきた今日この頃。
ハスやスイレンの植え替えにもってこいの季節ですね。
でも、「ハスの植え方っていろいろあるけどどれがいいの?」と思われる方も少なくないでしょう。
今回はハスの花までしっかり楽しめるセッティングをご紹介します!
ハスを植え込むのに必要な資材
まずは植え込むのに必要な資材をそろえましょう。
植え替えを行う方は既に鉢をお持ちかと思いますので用土の項目からご覧ください。
栽培容器【ハスを大きくしっかり育てるために】
これがないと始まらない。
そんな基本のアイテム、栽培容器からご紹介しましょう。
まずはサイズから。
円形の鉢や容器であれば「直径40cm以上のもの」を用意してください。
理由として、比較的小型とされる茶碗バスでも他の水辺植物と比べれば大型の部類に入ります。
茶碗バスはコンパクトに育てられる品種として紹介されることが多いのですが、サイズ的には熱帯睡蓮や温帯睡蓮の大型種と同じくらい、あるいはそれ以上のスペースを必要とします。
鉢や容器が小さすぎてしまうと、早々に根詰まりを起こして花の上がりも悪くなってしまいます。
そのため、なるべく広めの栽培容器を選ぶことが花を楽しむためのコツのひとつです。
十分なスペースを取ることができれば、形状はお好みのもので問題ありません。
メダカなどの小さな魚と一緒に楽しみたい場合には深さのある容器を選んでください。
用土と肥料の組み合わせ【花を楽しむためのツボはここにあり】
ハスの花を楽しむためには用土と肥料の組み合わせが重要です。
ここが1番の肝と言っても過言ではありません。
「肥料を活かせる性質の用土」+「肥料焼けを起こしにくい肥料」の組み合わせが大切なのです。
それぞれをしっかり解説すると長くなってしまうため、ここでは簡単な紹介に留めます。
用土と肥料についてはそれぞれ独立したエントリーで解説しています。
「もっと詳しく知りたい!」という方はこちらも併せてご覧ください。
「お手軽な組み合わせが知りたい!」という方にはこちらを。
ハスを育てるのも初めてという方にもおすすめの組み合わせですよ!
ステップアップしてみたい方は用土のブレンドにも挑戦してみましょう。
ハスの植え方
用品が手元に揃ったらハスを植えましょう。
ポイントを押さえれば難しいことは何もありません。
植え替えを行うときの注意点
ハスの植え替えを行うときに最も神経を使うのは間違いなくここでしょう。
ポットの中でとぐろを巻いた蓮根をほぐしていくのは大変な作業です。
始めて植え替えする方はどこから手を付けて良いか迷ってしまうかと思います。
ですがポイントを押さえてしまえば難しくはありません。
押さえておくポイントはこちら↓です。
黒くなった細い根は切り取ってOK
古くなった黒い根や枯れ茎は切り落として大丈夫です。
このとき普通のハサミではなく園芸用の剪定鋏を使うとザクザク切り落としていけるのでとても楽です。
経験上、剪定鋏はスチール製だとすぐ錆びてしまうのでステンレス製のものがおすすめですよ。
切り落とすのはモジャモジャした部分のみで大丈夫です。
新芽まで切り落とさないよう注意しましょう!
蓮根の節から出ている新芽は折らないように注意
ここが一番大切なところです。
蓮根をほぐしているときに新芽を折ってしまわないよう優しく扱いましょう。
筆者は植え替えの時にうっかり新芽を折ってしまったことが何度もあります……。
新芽は手がぶつかったりした際にポキッと簡単に折れてしまいます。扱いにはくれぐれも注意してください。
蓮根を分けるときは節(新芽が出ているところ)が3~4くらいになるよう切り分ける
新芽を伸ばすためのエネルギーは蓮根にあります。
蓮根が短か過ぎると根付く前に体力を使い果たして枯れてしまうことがあるため、なるべく長めに取りましょう。
太いところほど「体力がある」ため、植え替えに使う蓮根は1番太いところを使ってください。
蓮根が乾かないようにする
乾いてすぐにダメになることはないのですが、植え付け後に傷んだ個所から腐敗が始まってしまうことがあります。水に浸け置くか濡れたキッチンペーパーをかけておきましょう。
楽です
経験上、蓮根を一時置きする容器は大きめのトレーやトロ船など平たいものがおすすめです。
バケツなど「縦に入れることになる容器」では入れた際に新芽を折ってしまうことがありますので注意してください。
植え付けの仕方
これでセッティングは終了です。
メダカを一緒に飼う場合のセッティング
「せっかくならメダカも一緒に飼ってみたい!」
そんな場合は大きめのビニールポットに植え付けるようにしてください。
ビニールポットに植え付ける理由は一言で「管理が楽になるから」です。
メダカを一緒に入れた場合、植え替え時に中にいるメダカも全て取り出す必要があります。
ハスの枯れ茎が出ている+水が濁った状態でメダカを一匹残らず掬い出すのはとても大変です……。
ハスの成長を優先に考えると、広くて大きい容器に用土を入れて直接植え付けるのが望ましいのですが、メダカと一緒の育成の場合は「取り出しやすさ」を考慮すると後々楽になります。
さらにメダカの冬越しを考えると水深があったほうが良く、ビニールポットを使うことでスペースを確保できるようになります。
※この管理方法を取る場合は根詰まり防止のために必ず1年に1回は植え替えてください。
セット後にビニールポット周りへ中粒~大粒の赤玉土を入れても良いのですが、経験上メダカをすくうときに濁ったり網に入って邪魔になったりするので入れなくても問題はありません。
また、チャームでは鉢からメダカ、浮草までそろったオールインワンのセットもあります。
どんな組み合わせで行くか迷ってしまった方はこちらからスタートしてみてください。
ハスの置き場所
ハスは明るい日なたを好みます。
そして水辺植物の中でも背丈が大きくなり、成長も早い分だけ栄養の供給が必要です。
ハスが成長するために必要とする栄養は主に光合成によって作られるものの割合が多く、特に代謝に使うエネルギーとなる炭水化物はそれによって得ています。
肥料分とは例えると体を作る材料のようなもので、それだけではハスは健康な体を維持できません。
明るい太陽光を浴びて体力をしっかりつけることで、ハスは体を大きく作るための材料として肥料分を使うことができます。
光合成で得られる栄養と根から吸い上げる肥料分、これがバランス良くそろってハスは立派な花を見せてくれるのです。
薄暗い日陰に置いてしまうと、栄養不足でひょろひょろとした姿になり、花も上げにくくなってしまいます。必ず明るい日なたに置いてあげるようにしてください。
植え付け後にあると便利なもの
ハスを植えてしばらくするとアブラムシが付いてしまうことがよくあります。
立派に育っていれば少し付いたくらいでは問題ないのですが、新葉を出し始めた頃にたくさん付かれてしまうとハスが一気に体力を失い枯れてしまうことが何度もありました。
アブラムシによる枯死を防ぐためには速やかな対応が必要です。
見つけたらすぐにアブラムシ駆除ができるよう薬剤などをあらかじめ準備しておきましょう。
注意点:ハスの侵略性について
ハスはとても美しく日本人にもなじみ深い植物です。
一方で実は高い侵略性も備えているということはご存じでしょうか?
ハスはその植物体の大きさと成長の速さから水域における優占種となりやすい種類でもあります。
群落の密度も高く、アレロパシー(他感作用)による影響も無視はできません。
密生すると水中に届く光が大幅に減って小さな水草が育ちにくい環境にもなってしまいます。
魚や水辺の動物たちにとってはハスの群落が隠れ家となるので悪いことばかりではありません。
しかし、絶滅が危惧されている水辺植物に対しては自生地を圧迫し、独占してしまう面があります。
他の水辺植物への影響が非常に大きいという問題もあります
現在、日本の水辺植物は一部の強健な種類をのぞいて壊滅的ともいえる状況に置かれています。
そこにハスが与える影響は決して小さいものではありません。
園芸スイレンについても同じです。
そのため、野外の湖沼やため池などへの安易な植栽は絶対にしないでください。
ハスの性質をしっかりと知って野外へ逸出させないように楽しみましょう。
ハスの植え方 まとめ
ハスの植え方について筆者の経験も踏まえて解説させていただきました。
失敗しないためのポイントは次のとおりです。
【根詰まり防止】
・植える容器は直径40cm以上の大きめのものを使う
【大きく育てるためのポイント】
・肥料の効きを良くする性質を持った用土を選ぶ
【肥料焼け防止】
・セット時に入れる肥料は緩効性のものか強すぎないものを使う(水草用が安心)
・蓮根と肥料は離して入れる
【植え込み時の取り扱い】
・植え込む蓮根は1番太い個所を選び、節も長め(3~4以上)に取る
・蓮根は新芽を折らないように優しく取り扱う
・作業中に蓮根を乾かさないようにする
【メダカを一緒に飼うときの注意点】
・ハスだけ取り出せるようビニールポットを使用して植え込む
・管理重視の場合ビニールポットの外には用土を入れない
【ハスの置き場所】
・光合成がしっかり行えるよう明るい日なたに置く
【アブラムシ対策】
・見つけたら速やかに対処できるよう薬剤を準備しておく
これらを押さえてもらえれば大きな失敗は避けられるかと思います。
今の時期から植え付ければ初夏を迎える直前くらいには蕾を上げ始めるかと思います。
日当たりも重要なので、梅雨が長引く場合は少し遅れるかもしれませんが、いずれにせよ真夏を迎える頃には立派な花が見られるでしょう。
水辺植物の女王ともいえる存在感のある花をぜひ楽しんでくださいね!
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