きれいなグリーン色にまんまるの形。
ただそれだけなのに、なぜか癒しを感じてしまう……マリモには不思議な魅力があります。
マリモは低水温に強く、お世話も手がかかりません。
ボトルに入れてマリモだけでも楽しめますが、お世話が簡単な生き物と組み合わせれば楽しみも倍増!
そんなマリモの育て方について、Q&Aを交えながらやさしく解説します。
マリモの正体って?
マリモって動かないけど大きくなるといいますが、
マリモの正体って何ですか?
マリモは藻の仲間。光合成で育つのでエサもいらず、フンもしません!
もとは糸状で互いに絡みやすく、環境によって風や波で集められたものが
ボール状になることがあります。成長スピードも非常にゆっくり。
ちなみに流通しているマリモは人工的に丸めたものなんですよ。
マリモはアオミソウ科の一種で、学名をAegagropila linnaeiといいます。近年までシオグサ科とされていましたが、研究が進んだことでまったく別のグループであると判断されました。
主な産地は北半球の高緯度のエリアで、日本を中心とした東アジアおよびバルト海周辺の北ヨーロッパです。研究ではこの2つの地域のマリモは同一種であることがわかっています。
マリモと聞けば阿寒湖、ボールのような丸い形を思い浮かべるでしょう。実は、はじめからボール状の形をしているわけではありません。本来の姿は糸状で、水中を漂うタイプ、岩石や貝殻に付着するタイプ、風や波で集められてボール状になっていくタイプとわかれます。
特に、こぶし大の10cm以上にまでボール状に成長するものはとても珍しく、世界中でも日本の阿寒湖とアイスランドのミーヴァトン湖、エストニアのオイツ湖に限定されます。そうとはいえ、ミーヴァトン湖はほぼ消失、オイツ湖も数はあまりないといわれています。
なお、日本国内においてマリモは意外と広範囲(北海道~東北、富士五湖、琵琶湖ほか)に分布しています。阿寒湖のマリモが際立って有名なのは、世界的にも希少な大きなボール状のマリモが群生していること、国の特別天然記念物であるためです。
2022年に国内で3種目のマリモを発見
2022年11月、国内で3種目となるマリモが山梨県甲府市で発見されたというニュースがありました。それまでは「マリモ」または「タテヤママリモ」のみが存在するとされていたのです。驚くべきことに、新たなマリモが発見されたのはなんと民家の水槽でした。タイリクバラタナゴの産卵用に本栖湖で採取した二枚貝を水槽に入れたところ、マリモが大発生したのだとか……。やがて博物館に持ち込まれたマリモは新たな品種と認められて「モトスマリモ」と名付けられました。
(追記)2024年3月、再び民家で2例目となる「モトスマリモ」を発見!
民家の水槽で発見されたマリモが第3のマリモとなる「モトスマリモ」となったわけですが、2024年3月に神奈川県川崎市の民家の水槽で見つかったというニュースがありました。
今度はコリドラス水槽に発生したもので、約3年前に多摩川の河川敷から拾った石を水槽に入れたところに発生したとのこと。なお、甲府の民家で見つかったマリモとは、顕微鏡下での形態や遺伝子が異なることから、由来は別にあって直接的な関係はないと考えられている点も興味深いですね。
もしかしたら、まだ未知のマリモが存在しているのかもしれません。
社内でも「うちでよく出ていた緑色のヒゲゴケがこれにそっくりでした。」との声が。
あなたの水槽に生えているヒゲゴケ、実は珍しい種類かも⁉
マリモが育つ環境は?
マリモを育てるのって簡単ですか?
育てるのに何が必要ですか?
マリモを育てるのは簡単!マリモだけなら水道水でも育ちます。
容器もなんでもOK、ワイングラスなどお好きなものにどうぞ。
週に一回、水を取り替えるだけでほかにお世話はいりません。
水温・水質について
国内で流通しているマリモは、北海道のシラルトロ湖で採取されたものを人工的に丸めたものです。
自生地は寒冷地のため低水温には強い一方、高水温に弱い特徴があります。
育成には5~25℃が適しており、水温が約35℃を超えると枯れてしまいます。
小さい容器で飼育する場合は、水が温まりやすい点に注意しましょう。
マリモだけを育てるのであれば水道水でも大丈夫です。
光量
水草用ライトは特にいりません。日陰またはカーテン越しの薄い日光で十分です。
CO2
成長が遅いため、なくても育成可能です。
底床
どの底床でも育成可能です。白系の砂や石ならマリモが美しく映えます。
肥料
肥料は不要です。
マリモの導入とメンテナンス
マリモを育てるのに気を付けることはありますか?
光合成をする上で光は必要ですが、直射日光に当てないでください。
また、夏場は高水温にならないよう気を付け、3日に1度のペースで
水を取り替えてください。……このくらいです。
水を入れた容器に購入したマリモを入れます。
日陰やカーテン越しの薄く光が差す場所が成長に最適です。
直射日光には当てないでください。
通常は1週間に1回のペース、夏場は3日に1度のペースで水換えを行ってください。
水温が35℃を超えると枯れてしまいます。夏場は高水温に注意しましょう。
成長はとてもゆっくりで、そのペースは1年で10mm前後です。
マリモが割れた、形が崩れたときの対処方法
ある日、大切にしていたマリモが割れちゃった!
その姿にきっと驚くことでしょう。でも大丈夫です。
マリモ本来の姿はバラバラの糸状をしています。観賞用のマリモはバラバラのマリモを人工的に丸めたものなので、割れたり崩れたりしても丸めなおせば問題ありません。ただ、枯れたり変色したりした部分は成長に影響を及ぼすので取り除いてください。ハサミでカットしても構いません。ちなみにマリモはミキサーにかけても大丈夫、細胞が生きていれば成長します。
マリモは巻いても使える
マリモは互いに絡み合う性質があります。それを利用してウィローモスのようにプレートや流木、石などに巻いて使うこともできるんです。
ウィローモスと比較すると、マリモのほうが密集していますね。モコモコとビロードのようなじゅうたんを目指せますよ。
マリモは飾っても楽しい
マリモをオシャレに飾ってみたいです。
かわいいビンやうつわに白い砂や石を敷けばそれだけでオシャレ。
アクセントに鉱石を入れるのもオススメ!
石次第で雰囲気がガラリと変わります。
マリモが映える!白い砂・石
パワーストーンでマリモをロマンチックに……
マリモと相性の良い生き物は?
ボトルに入ったマリモとエビを見かけます。
あれってボトルのまま飼育できるんですか?
ボトルのエビはホロホロシュリンプといい、もともと閉鎖水域に棲んでいます。
だからボトルの中でも平気。シュリンプはマリモをつまんだり、水中のバクテリアを
食べたりするので基本的にエサやりは不要です。汽水性のエビのため、水換えには汽水(淡水と海水がまじり合った塩分の少ない水)を用意してください。
マリモとホロホロシュリンプが暮らすかわいい世界をのぞいてみましょう。
こちらの動画をご覧ください。
ホロホロシュリンプ(ピクシーシュリンプ)
最大体長:1.5cm
ハワイを原産とする汽水性の小型エビ。自然下では陸封型の潮だまりに生息し、赤く美しい体色と短い額角が特徴です。飼育は容易で水質の悪化にも耐えることができます。 水換えには汽水が必要です。また、飼育に適した水温は20~26℃と冬はヒーターを用意してください。
マリモとの好相性ポイント「汽水」
マリモはもともと海の緑色藻類が湖に閉じ込められて進化した経緯があります。そのため、汽水でも暮らせるうえ、真水よりも成長スピードが速まるようです(海水はNG)。
水換えや水温維持にあると便利
アカヒレ
最大体長:4cm
中国原産のコイの仲間で、コップなどの小型の容器で飼育できます。生餌としても扱われますが、赤く染まるヒレと体側のブルーのラインは観賞価値も十分です。低水温に強く、エサもなんでも食べ、繁殖力も旺盛と飼育は容易な点でオススメ。
マリモとの好相性ポイント「低水温に強い」
飼育に適した水温はマリモが5~25℃、アカヒレが10~27℃と低水温に強い共通点があります。アカヒレの飼育に水道水を使う場合はカルキを抜いてください。
マリモ&生体入りボトルセット
ミナミヌマエビ
最大体長:3cm
コケ取り要員として人気の小型のエビ。マリモにコケが生えても食べてくれることから、青々ときれいな状態を保てます。日本にもいる種のため低水温への耐性もバッチリ、色彩のバリエーションも豊かです。
マリモとの好相性ポイント「低水温に強い」
飼育に適した水温はマリモが5~25℃、ミナミヌマエビが10~28℃と低水温に強い共通点があります。ミナミヌマエビの飼育に水道水を使う場合はカルキを抜いてください。
カノコ貝の仲間
こちらもコケ取り要員として人気。ミナミヌマエビとの違い、カノコ貝の仲間はボトル表面につく茶色いコケを食べます。そのため、ボトルはいつもピカピカに。カノコ貝にはいろいろな種類がいますが、カラフルで小さい点でカラーサザエやカラー石巻貝がオススメです。
マリモとの好相性ポイント「汽水」
カノコ貝の仲間はマリモと同様、汽水に耐性があります。つまり、汽水であればマリモ、ホロホロシュリンプ、カノコ貝は一緒に飼育が可能というわけです。
ボトルで飼育する場合、ミナミヌマエビもカノコ貝の仲間も1~2匹程度が良いでしょう。
ただし、チャームでは匹数販売になってしまいます。あらかじめご了承ください。
まとめ
デスクの癒しとしてもおすすめのマリモ。
眺めるだけで気分転換になるでしょう。
プレゼントにもオススメです。
コメント