動かない。表情もない。ただじっとそこにいるだけのマリモ。
それなのにかわいい、癒されると愛されてやみません。
いったい人はなぜ、マリモに惹かれてしまうのでしょうか。
さて、じっと動かないマリモも不意に変化を見せることがあります。
ある日、マリモが浮いちゃった!
マリモの意志で浮いたの?マリモって泳ぐの⁉
マリモが浮くのはこんなとき
マリモ本来の姿はバラバラの藻です。自然下においてマリモは水中を漂うタイプ、岩石や貝殻に付着するタイプ、風や波で集められてボール状になっていくタイプとわかれます。ペット的な扱いをされるマリモですが、分類上はあくまでも藻の仲間。自分の意志で浮く、泳ぐといったことはありません。
底でじっとしているはずのマリモが浮いてしまう原因として、次のようなことが考えられます。
内部の空洞化が進んだ
マリモはもともと糸状の姿をしており、観賞用のマリモは人工的に丸めたものです。成長にしたがってマリモの内部に光が届きにくくなると内部のあちこちで枯死し、空洞化が起こります。空洞化が大きくなればその分軽くなって浮くと考えられます。なお、高水温でもマリモは枯れやすいことに気を付けましょう。マリモは枯れると茶色くなります。
有名な阿寒湖のマリモはある年、猛暑の影響を受けてか内部が腐敗して見つかったというニュースがありました。腐敗によってガスが発生し、それによって浮いたものもあったようです。夏場に高水温が心配な場合、冷蔵庫で管理したほうが安心できるでしょう。
活発な光合成によりたくさん気泡がついた
マリモは光合成によって成長します。光合成とは、光を利用して二酸化炭素(CO2)と水から必要な栄養を作り出し、酸素を放出する活動のこと。マリモも条件が合えば光合成が活発に行われるようです。水中に溶けきれなかった酸素が気泡となり、それが浮力となって浮くとされています。
水草は水温が高い、光が強いほど光合成が活発に行なわれるといいますが、高水温が苦手なマリモは必ずしもそうではないようです。
ところで水換え直後にもマリモ表面に気泡がつくことがあります。これは水道水に溶けていた酸素が気泡として姿を現したものです。水温が低いほど多くの酸素が水に溶けこんでいますが、マリモの飼育容器内で水温が高くなったことで溶けきれなくなると気泡となります。
マリモが浮いたときの対処方法
ある日、マリモが浮いちゃった!
その姿にきっと驚くことでしょう。マリモは乾燥に弱いもの。水面から顔を出すようであれば何らかの対処が必要です。まずは落ち着いて原因がどこにあるか探してみましょう。
はじめにマリモのまわりに気泡がついているかどうかを確かめてみてください。
気泡の有無で浮いてしまう原因が内側、外側のどちらかにあるのか判断できます。
気泡がない場合(マリモの内側に原因がある)
マリモの内部が空洞化しているかもしれません。割って確かめてみましょう。
割るなんて……と思うかもしれませんが、マリモはもともと糸状の集合体です。ほぐしても大丈夫などころか、ミキサーにかけても細胞が生きていればそこから成長できるもの。心配いりません。
マリモは枯れると茶色くなります。変色した部分はハサミなどで取り除きましょう。
残った緑色の部分でまた成長していきます。残ったマリモを丸く整えてください。
このとき、空洞部分ができないようしっかりと密集させると良いでしょう。
ほぐしたマリモを石やリング状ろ材、プレートに巻き付けて利用することもできます。
マリモは自力で活着しないため、水槽内で分解しないテグス(釣り糸)で巻くのがオススメです。
気泡がある(マリモの外側に原因がある)
マリモにつく気泡は、活発な光合成、または水換えと2パターンあります。
気泡によって浮かんでいる場合、特に何もしなくてもいつの間にか沈んでいることも多いようです。(光合成は光をエネルギーとするため、光がなければ行われません。)
ただし、長時間にわたって水面に浮かぶようであればやさしく洗うなど、気泡を取ってあげましょう。
展示用のマリモが浮いている理由
展示用のマリモが浮いていることがあります。まるでマリモが泳いでいるかのようです。実は水流を当ててマリモを転がすことで丸い形を維持しているのです。マリモはじっとしたままでいると、光の当たらない部分が起こり、その部分から枯れやすくなります。
まんまるのマリモを維持するなら水中ポンプを用いて水流を当てることをおすすめします。水槽やマリモのサイズに適したものを選ぶと良いでしょう。
マリモの変色部分のカットに
切れ味鋭くさびにくい
水中ポンプでまんまるの
マリモの維持をサポート
まとめ
マリモは乾燥に弱いため、浮いて水面から出てしまう事態は避けたいものです。
マリモが浮いたのは、空洞化が進んだ、気泡がたくさんついたなど、マリモの内外部どちらにも原因が考えられます。
気泡がついていない場合は、マリモ内部を確かめてみましょう。変色した部分があれば取り除き、空洞部分ができないよう丸め直すと良いでしょう。
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