どうも、ほにゃらら sp.です。
今回ご紹介する水草は、金魚藻の一種として親しまれるマツモ。
古くからメダカや金魚の水槽でもおなじみのポピュラーな水草ですね。
初心者向けの水草として流通量も多い本種。
おそらくすべての水草の中で、最も育成が簡単といえる種かもしれません。
何せCO2は添加不要、低光量でもぐんぐん育ちます。
生体が入っていれば肥料も特に与える必要はありません。
水質に関しても幅広い環境に適応できます。
本種は生体からの排せつ物を養分としてぐんぐん吸収します。
このため、水質浄化能力が非常に高い水草としても知られています。
一部のアクアリストの間では「マツモ神」とも呼ばれているとか、いないとか……。
マツモとは
生物学的情報 | |
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名前 | マツモ |
別名 | 松藻 金魚藻 |
学名 | Ceratophyllum demersum |
分類 | マツモ科マツモ属 |
分布 | 世界各地、日本 |
育成要件 | |
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主な用途 | 後景草、浮草 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5.0~7.5 |
光量 | 真っ暗でなければ育成可 |
CO2添加 | 不要 |
マツモは金魚藻の名でも知られ、水草や熱帯魚を知らない方でもその姿は見たことがあるであろうなじみの深い水草です。
フサフサとして透明、緑色で尻尾のような姿をしています。
一見柔らかそうな葉は触ってみると意外と硬く、松葉のような印象があります。
育成は極めて簡単で、非常に丈夫な水草です。
金魚のおやつ等として消耗品扱いされることの多い水草ですが、若干のCO2の添加、または水換えを行うと葉一面に気泡をつけます。
気泡を付けた葉は非常に見応えがあり、美しい姿を見せてくれます。
本種は日本にも自生しており、自然度の高い地域のため池や用水路などで見つかることもあります。
低水温から高水温まで、pHも弱酸性から弱アルカリ性まで幅広い環境に適応できます。
淡水魚が暮らせる水槽であれば、ほぼどんな水槽にも対応できるという高い適応能力の持つ種です。
マツモは数ある水草の中でも「圧倒的な成長速度」が特徴です。
余剰な栄養分をどんどん吸収し、毎日ぐんぐん伸びるのでその成長が実感できます。
とにかく成長が分かりやすく、毎日変化があるので、水草がきちんと育つことをすぐにでも実感できる水草と言えるでしょう。
言い換えれば、環境が良いと水面を覆いつくすほど増えてしまう場合があります。
成長が速いのは、それだけ飼育水中の余剰な栄養分を吸収していることの証明です。
実は有茎草じゃなくて浮草
マツモは見た目では、有茎草のような形状をしています。
しかし、本来の生態は浮草に近く、根を持たず水面に漂うように生育します。
このため、底床に植え込んだとしても根を張ることはありません。
底床から生えずに、水面を漂うのが実は本来のマツモの姿なのです。
元々浮いたり何かにひっかった状態で育つ水草なので、ベアタンクへの使用も可能です。
茎を深く底床に差し込んだり、おもりを使用して沈めれば有茎草のように扱うこともできます。
こうすることで、有茎草扱いでレイアウトに使用することも可能です。
とにかく便利!マツモの出番
あらゆる環境に適応し、水質浄化能力が高いその性質からマツモの使い道は実に多用途です。
たとえばこんな場面で活躍します。
- 強い光量もCO2も要らない、とにかく丈夫な水草が欲しい(光量も弱くてOK、CO2添加不要)
- 水換えの頻度を低減させたい(飼育水中の余剰栄養分の吸収能力が極めて高い)
- 魚に植物質を補給したい(金魚などの植物質補給にも最適、食べられてもすぐ増える)
- 水草に産卵する魚の産卵床が欲しい(メダカなどの産卵床にも最適)
- アルカリ性寄りの水質だけど水草を植えたい(アルカリ性寄りの水質で育つ水草は多くない)
- ヒーターがない水槽だけど水草を植えたい(耐寒性があるのでヒーターなしでも育成可)
これらすべての要求に、マツモ1本で応えることが可能です。
マツモの弱点
およそあらゆる環境に適応し、弱点らしい弱点のなさそうなマツモ。
しかし、そんな本種にも弱点はあります。
それは、急激な環境の変化です。
環境適応力は高い種ですが、あまりにも環境の変動が急激すぎると、まれに溶けるように枯れてしまうことがあります。
寒い時期に、保温の効いた屋内の水槽から屋外の池に移した場合や、適温を保たれた水槽から夏の高水温の鉢に移す場合等には注意が必要です。
もう1つ、水道水に含まれる塩素にも弱いです。
特に夏場は水道水の塩素添加量が上がるので、ダメージを受けやすくなります。
塩素によりダメージを受けると、バラバラになってしまうことがあります。
トリミングなどでマツモを一時的にキープしておく際は、水道水に直接入れないほうが良いでしょう。
カルキ抜きで塩素を中和しておくと安心です。
▼こちらも参考
この2点を除けば、およそ弱点らしい弱点のない丈夫な水草です。
類似種との違い
「マツモ」以外のマツモの仲間は意外に希少です。
マツモは非常に流通量が多く安価で入手しやすい水草ですが、それ以外のマツモの仲間はなかなか流通がありません。
めったにお目にかかれない、珍しい水草です。
また、マツモ類の基本的な性質として、育成環境によって少し形態が変わります。
冬季になると赤みを帯び、気温が下がるとごわごわして先端が小さくなる傾向があります。
水深が深かったり、光量が少ない環境では、節と節の間が徒長することもあります。
ゴハリマツモ
学名:Ceratophyllum demersum var. quadrispinum
日本、本州にごくまれに見られるマツモの変種です。
草体では両者を区別することができず、果実を観察することで初めて区別できます。
通常のマツモは果実の突起が3本ですが、ゴハリマツモは5本という点から同定が可能です。
水草としての性質は、通常のマツモと共通します。
流通は非常にまれですが、マツモ同様に極めて丈夫で育てやすい水草です。
イギリスマツモ
学名:Ceratophyllum demersum
「ブリティッシュ・ホーンワート」の名称でも流通する、日本産のマツモよりも肉厚で鋸歯(葉の縁のギザギザ)が顕著に出るマツモです。
一般的なマツモに比べ、ゴワゴワとした感触が特徴です。
種としては日本のマツモと同種のようですが、その流通名にならえばイギリス産の地域変種なのかもしれません。
育成自体は簡単で、一般的なマツモと変わりありません。
ただし、特徴であるゴワゴワした質感を保つには中性~弱アルカリ性を維持して管理することがポイントとなります。
なお、ゴワゴワしている状態では成長速度が遅くなります。
弱酸性の環境下で育成すると、一般的なマツモのような軟らかい草姿になります。
南米産マツモ(レッドタイプ)
学名:Ceratophyllum muricatum australe
Ceratophyllum australe
赤く染まる葉が特徴的な、南米産のマツモです。
一般的なマツモより比べ小型なため、小型水槽でも扱いやすい水草です。
育成はマツモに比べると必要条件が多い上に難しくなり、60cm水槽で1600lm以上の明るい照明と、液肥添加、CO2添加が有効です。
とはいえ、一般的なマツモの育成があまりにも容易すぎるだけで、本種の育成は水草全体から見れば標準レベルといえます。
赤みを増すには高光量で管理し、鉄分などの微量元素を添加すると良いでしょう。
レイアウトのコツ
マツモをレイアウト水槽に用いる場合、基本的には有茎草扱いした上で後景草となるでしょう。
また、その性質上からどちらかといえば水質浄化用として採用されることも多いです。
水質浄化を主目的に、見た目もそこそこきれいというのが主なマツモの採用理由となるでしょう。
CO2の添加が(予算・環境的に)できない水槽でも、そこそこきれいに育つのはうれしいところです。
一方で、環境が良いと成長は極めて速く、水面を覆いつくすほどに増えすぎることがあります。
高光量・CO2添加といった一般的な水草に最適な環境を整えると、あまりにも増えすぎて手に負えなくなる可能性がある点に留意しておきましょう。
レイアウトに用いる場合はとにかく成長が速いので、1~2週間に1回くらいの頻繁なトリミングをおすすめします。
成長が速いのは、それだけ飼育水中の余剰な栄養分を吸収していることの証明でもあります。
用意するアイテム
マツモを用いたレイアウトを作り上げる上で、必要となるアイテムを紹介します。
底床
なんでも使用可能です。
大磯砂かソイルが良いでしょう。
元々浮草に近い生態を持った水草なので、底床はなくても育成可能です。
ただし、レイアウトに使用する場合は浮かせたままでは見栄えが悪いです。
この場合は重りを付けて底床に埋め込む必要があります。
埋め込む底床は何でも構いません。
重りを付けて沈めた場合、マツモが伸びてくると痛んだ茎部分から重りが外れることがあります。
外れた場合は、付け直せばOKです。
元々底床を必要としていない水草なので、重りが隠れさえすれば底床の量はお好みでOKです。
ピンセット・ハサミ
マツモは適切な環境であれば成長は速いです。
必要に応じてトリミングしましょう。
生体メインの水槽の場合では、手でちぎってしまったほうが速いかもしれません。
しかし、レイアウトがメインの水槽では、手でちぎると水景が崩れやすくなってしまいます。
このため植え込みやトリミング時に草体を抑えるピンセットと、カット用のハサミがあると大変作業がはかどります。
位置によっては水槽内に手を入れなくても作業できるのが便利です。
また、マツモは有茎草ではありませんが、有茎草と同じように脇芽を出して増えます。
一般的な有茎草と同様に切り取って差し戻せば簡単に増やすことができます。
最低限の光と栄養分さえあれば、特に何もしなくても勝手にぐんぐん伸びていきます。
長期間放置すると水面を埋め尽くすほど増えすぎることがあるので、頻繁なトリミングが重要です。
照明
マツモは弱い光でも十分育ちます。
点灯さえしていれば、安価な製品でも育成には全く問題ありません。
コケ取り生体
マツモの表面には糸状の藻類が映えることがあります。
これはミナミヌマエビやヤマトヌマエビが有効です。
ヤマトヌマエビは数が多いと勢い余ってマツモまで食害することがあるので、どちらかと言えばミナミヌマエビの方がコケの除去を目的とする場合はおすすめできます。
オススメの生体
適応範囲が広いのであらゆる水槽に使えます。
金魚やメダカで使われることが多い水草ですが、特に水質浄化用として熱帯魚でも有用です。
極端に草食性が強い魚種を除けば、ほぼすべての魚種におすすめできる万能な水草といえます。
特に繁殖を重きに置く水槽では、産卵床、稚魚の隠れ家、余剰栄養分の吸収と3役兼ねられるので、大変使い勝手が良いです。
マツモ まとめ
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