こんにちは、メダカ担当のスズキです(魚ではありません、人間です)。
世の中のメダカブームに乗ってメダカを飼い始めた人も多いのではないでしょうか。
「メダカの教室」は、そんなビギナー向けのなるほどシリーズです。
今回の授業は、メダカのふ化と稚魚のお世話の仕方について。
赤ちゃんメダカたちのその後の運命は、この時期のお世話で決まります。
メダカがふ化するまで
前回の授業では、メダカが産卵したら採卵をするという話でした。
卵を見つけたら、親メダカのいる水槽とは別の場所に移してくださいね。
あとは、ふ化するのを待ちましょう。
前回の復習はこちら
さて、読者のみなさんも小学校で習ったかもしれません。
メダカがふ化する条件、覚えていますか?
◎水温が約25℃の場合、10日前後でふ化します。
◎水温が低いとふ化までの日数がかかり、水温が低すぎるとふ化しません。
メダカの場合、積算温度250℃がふ化のめやすです。水温20℃の場合は約2週間と考えてください。
卵を観察すると、次のような変化が見られます。(水温25℃の場合)
1日目:泡のような「油てき(油球)」が集まる
3日目:目のようなものが見えてくる
6日目:心臓が動きや血液の流れがはっきりする
8日目:卵の中でときどき動いている
10日目前後:ふ化が始まる
卵の大きさは直径1~1.5mm。観察にはぜひルーペの使用がオススメ。
現在では、小学5年生の理科の単元「メダカのたんじょう」でメダカの飼い方から産卵、ふ化までを学習します。もしかしたら、お子さんの方が詳しいかもしれませんね。
余談ですが、明治~昭和初期まではメダカではなく、フナについて学習していたようですよ。
メダカの稚魚の特徴
ふ化したばかりの稚魚の大きさはなんと4~5mm。すぐに泳ぎ回ることはなく、ふ化してしばらくの間は底でじっとしています。
また、エサもすぐには食べません。ふ化して2~3日はおなかの袋(卵黄嚢=ヨークサック)から養分をとっているからです。
袋が小さくなると稚魚はエサを食べ始めます。このころには、すでにひと回り大きくなっているはずです。
めざせ生存率アップ!稚魚のお世話の仕方
メダカは比較的育てやすいのですが、特にふ化して2週間ほどの稚魚(針子)は育てるのが難しいといいます。何せ、ちょっとしたことで死んでしまうからです。
その原因には次のことが挙げられます。
・親メダカに食べられた
・エサが足りなかった
・フィルターに吸い込まれた
・水流に負けて体力を消耗した
・水質が悪化した、急激に変化した
・水温が急激に変化した
・稚魚同士で共食いが起きた etc.
でも、安心してください。お世話の仕方をちょっと工夫するだけで、グッと生存率が高まります。
ここからはお世話についての解説です。
親メダカとは離そう
卵の時点で別の容器に移しておくのがベストですが、もし水槽内でふ化した場合は
速やかに稚魚を別の容器に移しましょう。体長が1cmを超えるまでは隔離して育てます。
これだけで親メダカに食べられるリスクを回避できます。
日当たりの良い場所に置こう
生き物が成長するには日光に当たることはとても重要です。メダカも日光を浴びることで免疫力を高め、丈夫な骨が作られます。加えて、メダカは日光浴が大好きです。飼育容器は日当たりの良い場所に置くと良いでしょう。
ただし、水温が高温(30℃以上)になると危険です。水草を入れて日陰を作ってあげてくださいね。
メダカの稚魚は20~30℃の水温が育成可能温度とされ、20℃以上あれば問題なく育ちます。
育成にベストな26~28℃に保てれば、順調に育っていく姿を見ることができるでしょう。
エサは小さく、小まめに与えよう
稚魚の間は成長期であるため、多くのエサを必要とします。エサが少なすぎれば餓死のもとに、かといって多すぎると食べ残しが多く出てこれまた水質悪化を招いて死ぬ原因に。なんとも加減が難しい時期なのです。また、針子はエサ選びにいくつか留意点があります。
針子に適しているエサは……
・針子の口はとっても小さい→小さな口でも食べられる粒サイズ
・沈んだエサは食べられない→沈みにくいもの(粉末タイプなら沈みません)
・成長に必要なタンパク質、骨格形成に必要なカルシウムを含んでいる
エサにはさまざまなタイプがあります。針子の時期に配慮しつつ、ご自身の飼育の目的に合わせて選んでみてください。
①粉末エサ
最も普通の選択肢。ちょっと殖やすだけが目的ならこれで十分です。
②グリーンウォーター
ほったらかし飼育をしたい人向け。
緑色の正体は、植物性のプランクトン。適切な濃さを維持できれば、ほとんど世話いらずです。
そのままエサとなるだけでなく、酸素の供給や排せつ物の無害化など多くのメリットがあります。
水換えをしても青水が濃すぎてしまうときはコレ!
アオコ、青水に抜群の効果を発揮する「水草を枯らす除藻剤」がオススメ。アオコ対策のできる除藻剤ですっきり透明にさせることで青水のお困りごとを一気に解決できます。
特に水換えしにくい稚魚メダカの水槽なら、これを入れるだけでOK。水が透明になって稚魚の選別も楽ちんです。
③ゾウリムシ
④ミジンコ
本格的にメダカを強くたくましく、たくさんの数を育てたい人向け。
メダカの数が多い場合に最有力のエサです。ただし、ふ化してすぐは食べられません。
⑤ブラインシュリンプ
ふ化して1カ月過ぎた稚魚の成長を早めたい人向け。
赤系メダカの色揚げにも効果的です。
フィルターは不要、水換えもひかえめに
泳ぐ力がまだ弱い針子は、エアレーションの水流にすら負けてしまいます。当然、フィルターが作り出す水流に勝てるはずもありません。体力を消耗してしまったり、エサにたどりつけなかったりします。フィルターに吸い込まれてしまう危険性も無視できません。よって針子の間はフィルターは不要です。
環境の変化に弱い針子にとって、水換えもストレスの原因となります。
スポイトを使った掃除と足し水で水質の維持に努めましょう。水質悪化を和らげる水草やグリーンウォーターも上手に使ってくださいね。
サイズ差のある稚魚を選別する
稚魚の間で起こる共食い。とてもショッキングな事件ですが、珍しいことではありません。
しかも原因はエサ不足とは限らないのです。
共食いしたメダカの言い分としては「口に入りそうだったから食べただけ」。
メダカは基本的に雑食で、口に入るものは何でも食べてしまいます。
共食いもサイズ差から起きるもので、大きな稚魚が小さな稚魚を食べてしまうのです。
ふ化から数週間するとサイズ差が生じてくるため、大きいものと小さいものは分けてあげましょう。
これ以上、飼育容器を増やすスペースがない場合は、隔離ネットが便利です。
稚魚はとてもデリケート。選別する際はやさしくすくえるアイテムを使ってください。
【やさしくすくえるネット】
【引っ越しせずに隔離するだけ】
まとめ
今回は、メダカのふ化と稚魚のお世話の仕方についてお届けしました。
新しい生命が誕生したら、その感動を忘れずに愛情を注いであげてくださいね。
それでは次の授業をお楽しみに!
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