5分でわかる!メダカの形質④ヒレ変化(スワロー、ヒレ長など)<メダカの教室22限目>

メダカ
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こんにちは、メダカ担当のスズキです(魚ではありません、人間です)。
世の中のメダカブームに乗ってメダカを飼い始めた人も多いのではないでしょうか。
「メダカの教室」は、そんなビギナー向けのなるほどシリーズです。

今回の授業は、メダカの形質その④として、スワローやヒレ長などを含むヒレについて解説します。
形質とは、平たくというと生物が持っている特徴のことです。
改良メダカの形質を知っておくことで品種解説の理解が深まるでしょう。
品種改良にチャレンジしてみたい方にも役立つ知識です。

メダカのヒレ

ヒレ変化に関する形質の説明において、さまざまなヒレの名称が登場します。
名称とその位置を確認しておくと良いでしょう。

魚のヒレにはすじのようなものがあり、これを鰭条(きじょう)といいます。鰭条のうち、触ると固く、先端がとがっているものを棘条(きょくじょう)といいます。メダカの場合、弾力性があってしなやかな軟条(なんじょう)を持っています。

特に有名なヒレ形質

ヒレ形質でよく知られているのが、ヒレが伸長するメダカです。人気品種をご紹介します。

ヒレ長(松井ヒレ長)

特に有名なのがヒレ長と呼ばれる、各ヒレが長く伸長するメダカです。作出者の名前から「松井ヒレ長」と呼ばれます。尾ビレが扇形で、各ヒレは根元から先端部分までまっすぐ伸びた個体が多い点が特徴です。その姿はとても優雅で高い人気があります。

ヒレ長は伸長したヒレの先は裂けやすく、裂けていないものが優良個体とされます。

リアルロングフィン

リアルロングフィンは、全てのヒレの大きさ(長さ)が1.5 倍以上になるメダカです。各単語の頭文字を取って、RLFと省略されることも多くあります。

ヒレ長の場合、ヒレの縁は短く中心部が長くなりやすいといったように、伸長の仕方に統一性がありません。その点、リアルロングフィンはヒレの形状を維持したまま伸長します。

スワロー

スワローは、各ヒレの軟条が部分的に突出することで伸長するヒレを表現するメダカです。伸長したヒレの数や長さは個体により大きく異なります。

スワローメダカの語源は、同じようにヒレが伸長するスワローグッピーに由来するものです。

2023年以降に台頭してきたヒレ形質

以下の形質は、2023年になって流通量が増えてきた形質です。特にワイドフィン、モルフォ、フサヒレについては、2023年以降に出現した高級品種とされる品種は、この3つのいずれかを持っていることも多いです。

ワイドフィン

ワイドフィンは尾柄部が幅広く、尻ビレ、背ビレの軟条が多いことが特徴です。

モルフォ

モルフォは尾ビレが扇状になってヒレ先が鋸歯状になるメダカです。尾ビレ以外にも同じような発現があり、特に胸ビレや腹ビレは鋸歯状になりやすい特徴があります。

フサヒレ

フサヒレは、ヒレが伸長するメダカに見られる、軟条が途中で分岐し房状になるメダカです。

知っておきたいヒレ形質

人気度でいうとやや落ち着きますが、いずれも特徴的な形質です。

マルコ

マルコは背ビレのないメダカで、近年になって固定率も高くなってきました。背ビレがなくなったことで特に体外光の場合、途切れることのない一筋の光を発現する品種「流星」の作出に成功しました。

黒流星メダカ

メラー

メラーは鰭膜の成長が途中で止まったことで各ヒレが複数枚に分かれるメダカです。発見当初は尾ビレのみに発現していたものが累代によってすべてのヒレにメラーが発現するようになりました。良質な個体は、軟条の成長が通常のヒレの大きさまで伸長します。

ロングフィン

すべてのヒレが伸長するヒレ長に対して、ロングフィンは背ビレと尻ビレのみ伸長します。軟条のみ伸長するため、伸長した部分に鰭膜はありません。

体外光の場合、伸長した部分に光が発現しやすくなります。

ナローフィン

ナローフィンは、尻ビレの幅が短く、通常の半分しかないメダカです。軟条の数は変わらず密集していることでヒレの形が丸みを帯び、可憐な印象をもたらします。

複数のヒレ変化を合わせることで誕生した品種

複数のヒレの変化を合わせることで誕生した品種として有名な種類です。

エメキン

正式名称をマリアージュキッシングワイドフィンメダカ ”エメラルドフィンタイプ” とし、長いためエメキンと呼ばれています。
ワイドフィンに体外光、一周光を乗せ、光沢を極限まで強めた品種です。

フロマージュ

エメキンとブラックダイヤをかけ合わせて作出されました。この2つをかけ合わせたことで、ブラックダイヤのヒレの縁にエメキンのフサフサしたヒレが乗りました。伸長した鰭の軟条部分が分岐し、白くフサフサとしたヒレになります。

最近はあまり見られなくなったヒレ形質

以下のサムライ(セルフィン)、菱尾の形質については、最近はあまり見られなくなりました。
一部の愛好家の間で継代している人がいる程度にとどまっているようです。

サムライ(セルフィン)

楊貴妃セルフィンダルマメダカ

サムライはヒカリ体型の派生形質で、背ビレの鰭膜、あるいは軟条が欠如することで背ビレが2枚に分かれるメダカです。ヒカリダルマ体型にも発現が見られます。

楊貴妃サムライメダカ

背ビレが3枚なら「W サムライ」、背ビレでなく尻ビレが2枚なら「上下サムライ」と呼ばれます。ヒレの形は個体差が大きいです。

菱尾

菱尾は、メダカ普通種体型またはダルマ体型で尾ビレが菱形になるものを指します。通常、この尾の形はヒカリ体型に発現し、普通種体型には現れません。菱尾同士の交配でも固定率が低い特徴も持ち合わせています。

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まとめ

今回は、メダカの形質のうち、ヒレについてお届けしました。
形質の解説は今回で最終回ですが、新しい形質が追加されたら随時更新する予定です。
それでは次の授業をお楽しみに!

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