「ミナミヌマエビを通販で注文したはずなのにヤマトヌマエビが届いたんですが・・・」チャームのカスタマーサポートに毎日のように寄せられるお問い合わせです。
そんなことある?!と思うかもしれません。
そのエビ、ヤマトヌマエビではなくて大きなミナミヌマエビってことないですか。巨大なミナミヌマエビの迫力にヤマトヌマエビだと思ってしまっている可能性ないですか。
いいんですいいんです。ミナミヌマエビがちっちゃくて可愛いから注文したはずなのにでっかいの来たらそりゃ驚きますよね。
というか私も正確にヌマエビを見分ける自信ないです!(←ハキハキした口調)
今回はミナミヌマエビとヤマトヌマエビの違いについて探っていきましょう。
コケ取り人気エビ2大巨頭
簡単にヤマトヌマエビとミナミヌマエビをその違いも絡めて説明しましょう。
どちらのエビも水槽を立ち上げた後にコケが出てくると「コケがやばいからエビ入れないとなぁ」という感覚で導入されることの多いエビです。
ヤマトヌマエビ
「ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの違いは何と言ってもサイズ」と言ってしまうと元も子もありません。ミナミヌマエビの最大体長が3cm程度に対しヤマトヌマエビは6cm程度。ただ、生き物には個性というのがあるので、成長途中だったりあまり大きくならなかった個体というのもいるわけで、サイズもまあそうなんですが、むしろ何よりも決定打「体の点々」がヤマトヌマエビの証。
よく見て!!接近してよくよく見て!!点々あるでしょ?一列に並んだ点々が何列も。
そうです。それがヤマトヌマエビ。ミナミヌマエビには点々はありません。
エビエビしい迫力もさることながら、そのコケ取りパワーもなかなかのもので、コケがひどい水槽にはミナミヌマエビよりもヤマトヌマエビを入れることをお勧めします。
ミナミヌマエビ
奥ゆかしいサイズのエビを水槽内の景観を邪魔しないお守り程度の気持ちで導入するならミナミヌマエビで充分です。ミナミヌマエビのオスとメスを水槽に入れておくと、稚エビがフィルターに吸い込まれてフィルター内で知らぬ間に増えているというミラクルも体験できるかと思います。
ミナミヌマエビのヤマトヌマエビとの大きな違いは、飼育水槽で繁殖すること。ヤマトヌマエビは稚エビの成長時に汽水を用意してあげないと繁殖しないので、放っといても絶対に増えてくれません。
また、チェリーシュリンプ系の改良品種はミナミヌマエビまたはその近縁種を改良していったものと言われているので、チェリーシュリンプやベルベットブルーシュリンプやらそのあたりのエビと交雑するのも特徴の一つです。
社員権限をフルに活かして最大個体を探しに行ってみる
それでも似てるもんは似てるんだ。でっかいミナミヌマエビはヤマトヌマエビと見分け付かないんだ。
という皆様の心の叫びを直接脳内で感じましたので、ここは見に行ってみようではないですか。
でっかいミナミヌマエビはどれぐらいでっかいのか。
単純に好奇心から、株式会社チャームの社員としての権限をここぞとばかりに遺憾なく発揮させる時が来ました。
常に数万匹のミナミヌマエビを社内にストックしている(らしい)株式会社チャーム。
筆者、こう見えて(?)入社直後から生体に関わらない部署に配属され続けており、自慢ではありませんが素手でエビを触れない軟弱者。そんな軟弱者が数万匹のエビの中からビッグワンを探し出せるのか。そしてそれを捕まえられるのか。
charmのエビのストック水槽
幻の巨大ミナミヌマエビを探すべくわれわれ取材班は、charmが誇る巨大FRP水槽の立ち並ぶ、エビ育成エリアへの潜入に成功しました。
担当部署のスタッフに、エビ泥棒ではなく調査のためにエビ水槽を覗いている旨を予め説明をし、調査開始。
台風一過で晴れ渡った群馬県大泉町の気温は摂氏33度。いい塩梅の夏日。果たして巨大なエビはいるのでしょうか。
屋外に設置された巨大エビ水槽群。エビだけではなく淡水のタニシやドブガイ・イシガイ・マツカサ貝なども並びます。
いくつもの水槽を覗き込み大きそうな個体が揃うロットから最大サイズのエビを探し出します。
入荷のロットによっては大きめのサイズ群、小さめのサイズ群等ばらつきがあるとのこと。
一番デカいエビはこれだ
網を駆使して巨大なエビを探します。ヤマトヌマエビは活きのいい焦げ茶色。一方ミナミヌマエビは緑の個体が多く、中には目が白いホワイトアイや背中の色が特殊な変わり色も混じり、本来の目的も忘れ大興奮。
エビ水槽に身を乗り出して探し出すこと1時間。
残念ながら今ストックしているミナミヌマエビのロットにそこまで大きいものがおらず、最大サイズのミナミヌマエビは3cmオーバーの個体でした。
ヤマトヌマエビの大きいものは7cmを優に超える大物。ここまで来るとさすがにすごい迫力。
ヤマトヌマエビの出荷に関わっているエビ担当のスタッフに選別方法を聞いてみたところ、さすがにここまで大きい個体はお客様に敬遠されてしまうため必然的にピッキングの際にはじかれてしまうそう。はじかれた大きいエビはそのまま水槽に残り、水槽の主の心優しき巨大エビとしてひっそり暮らし続けるとのこと。
確かにマジマジと観察をすると、この巨大さはオトシンクルスぐらい捕食して食べそうではありますが、実際にヤマトヌマエビが生きた魚を捕食して食べることはなく、弱ったり亡くなったりした魚に取りついて食べているところを「うちのヤマトヌマエビが魚を襲った!」と濡れ衣を着せられることが多いようです。
ミナミヌマエビとヤマトヌマエビはここが違う
実際に同じサイズのミナミヌマエビとヤマトヌマエビがどれぐらい似ているのかを同じバケツに掬い入れて比較してみました。
写真の丸で囲っているのが1匹だけヤマトヌマエビ。それ以外はミナミヌマエビです。
・・・分からない。
画像だと余計にわからない。分かるすべがない。絶望的な気持ちでバケツを覗き込む取材班。ヤマトヌマエビ特有の点々なんて若い個体ではまだ出てきていないし色の差も全くないのです。何ならヤマトヌマエビのほうが薄くて細くて小さいわけなのです。
しかしある事に気づきました。
ヤマトヌマエビはものすごい速さでバケツの底を洗濯機のごとく回っているのです。
一方ミナミヌマエビたちはそんなヤマトヌマエビの多動をよそにバケツの底で放心しております。
ここで結論に至りました。
ヤマトヌマエビはせわしない。じっとしていない。とにかく早い。
そのため2種の見分けは同じバケツで行動を観察すると一目瞭然でした。
違いのまとめ
ヤマトヌマエビ | ミナミヌマエビ | |
体側の 点刻模様 | 有 | 無 |
尾扇の スポット | 有 | 無 |
最大サイズ | 6cm程度 | 3cm程度 |
活動量 | 活発 | おっとり |
本当にわからないのはアルジーライムシュリンプだ
ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビ見分け方問題がやっと収束し、心穏やかに生きていけるかと思いきや本当にやばいやつがいました。アルジーライムシュリンプです。
株式会社チャームにはエビ専属の部署があり毎日エビ漬けのスタッフ達がいます。そのスタッフの中でも研鑽を積んだ一握りのスタッフが「心の目で見れば何となく区別がつく」と宣う程度に見分け方が難しいのがミナミヌマエビとアルジーライムシュリンプの違いです。
筆者のようにエビを素手で触れない程度の軟弱者ですと、寸分違わずびっくりするほど同じエビに見えます。心の目の発動の余地も全くなし。
ここまで同じ外見だったらもう同じエビでいいじゃん、と思いますが当然別種ですので遺伝子解析をすると一目瞭然で別種なのです。何ならミナミヌマエビと交雑しますので、混ぜるな危険。
ミナミヌマエビよりも明るく、淡い緑やライムグリーンの体色が特徴でコケ取り能力はミナミヌマエビよりも上と言われています。
まとめ
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビは一般的に点々のあるなしで見分けられますが、若いヤマトヌマエビには点々はなく非常に見分けづらかったです。ただ、ヤマトヌマエビはとにかくよく動くエビのため同じ水槽に入れたら行動の違いですぐに見分けが付くということがわかりました。
それよりもアルジーライムシュリンプはミナミヌマエビとの見分けが素人ではほぼ無理のため絶対に混泳禁止。混泳したら最後、アルジーライムシュリンプを探し出すことはできないと思ってください。
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