ネオランプロローグス・ブリチャージ<熱帯魚解説>

シクリッド
シクリッド熱帯魚

こんにちは、スズキです。
今回取り上げるのは、アフリカ・タンガニィカ湖原産のアフリカンシクリッドの代表種、
ネオランプロローグス・ブリチャージ。

英名では「フェアリー・シクリッド」と呼ばれるように上品な美しさを持ち、ペアで仲良く繁殖して、親子で群れて泳ぐ姿は非常にほほえましいものです。
アフリカンシクリッドらしく、弱アルカリ性の硬水を好みますが飼育自体は難しくありません。
そんな本種について特徴を見ていきましょう。

ネオランプロローグス・ブリチャージとは

生物学的情報
名前ネオランプロローグス・ブリチャージ
学名Neolamprologus brichardi
別名ランプロローグス・ブリチャージ
ランプロローグス・ブリシャールディ
分類スズキ目シクリッド科
食性雑食
分布アフリカ ― タンガニィカ湖
飼育要件
飼育しやすさ★★★★
まずまず容易
入手しやすさ★★★★
まずまず見かける
混泳しやすさ
混泳に不向き
最大体長10cm
適正水温20~25℃
pH7.5~9.0
備考特になし

ネオランプロローグス・ブリチャージは、アフリカ大湖沼を構成するタンガニィカ湖を原産とするアフリカンシクリッドです。タンガニィカ湖は地球上に現存する湖のうち、ロシアのバイカル湖に次いで世界で2番目に古く、地球上でもっとも固有種の多い湖として知られています。250~300種いるとされるシクリッドもそのほとんどが固有種といい、本種もその一つです。

ブリチャージはネオランプロローグス属の一種で、自然下では岩礁地帯に大群で生息しています。古くから親しまれており、英名では「フェアリー・シクリッド」と呼ばれるように上品な美しさが魅力的です。地域変種も数種存在しています。

弱アルカリ性の硬水を好みますが飼育自体は容易です。多少のケンカはするものの複数匹飼うこともできます。ペアで仲良く繁殖し、親子で群れて泳ぐ姿は非常にほほえましいでしょう。なお、本種は先に生まれた兄弟の魚が親の子育てを手伝う特徴があります。これにより親魚は次の繁殖に向けて早く準備できると考えられているようです。

このように、タンガニィカ湖原産のアフリカンシクリッドにおいて本種は美しさと繁殖の両方を楽しめるスタンダードな種として位置づけられています。

ネオランプロローグス属の仲間

ブリチャージが属するタンガニィカ湖のアフリカンシクリッド、ネオランプロローグス属の仲間をいくつかご紹介しましょう。
ネオランプロローグス属はアフリカンシクリッドの中では比較的温和な性格を持つ傾向があり、種によっては混泳が可能です。巻貝の殻に産卵する「シェルブリーダー」が見られます。

ネオランプロローグス・オケラータス“ゴールド”

Neolamprologus ocellatus var.
最大体長:4cm

巻貝産卵型の人気小型種、オケラータスの改良品種です。原種は茶褐色の体色のところ、こちらは鮮やかな黄色の美しい体色が特徴。尾ビレを上にした体勢で威嚇する姿などはなかなか愛嬌があります。

大きな巻貝の空殻内に産卵するシェルブリーダーで、ペアで産卵し、子育てをします。

ネオランプロローグス・カングエンシス

Neolamprologus kungweensis
最大体長:6cm

スレンダーな体型と黄色く染まる体側が美しい小型種です。オスメス共に背ビレに入るアイスポット模様は、成熟するとオスのアイスポット模様は消えてしまうか、薄く残る程度になります。

大きな巻貝の空殻内に産卵するシェルブリーダーで、ペアで産卵し、子育てをします。

シェルブリーダー種にオススメ!「ネオタウマの貝殻」

実際にタンガニィカ湖の湖底に転がっている貝殻です。タンガニィカ湖はアルカリ性のため貝殻が溶けずに堆積していることで知られています。シェルブリーダー種にイチオシのアイテムですが、チャームでも今後輸入される見込みは不明です。
今回は画像のみの紹介になりますが、入手できる機会があればぜひ導入をおすすめします。

タンガニィカ湖の湖底を再現するならこちらもオススメ

次の2点はレイアウト素材、産卵床として使えます。シェルコレクションは、ネオタウマが入手できない現在、ネオタウマ風の貝殻としてどうぞ。フジツボはタンガニィカ湖には存在しませんが、ネオランプロローグスの隠れる素材として優秀です。

ネオランプロローグス・グラキリス

Neolamprologus gracilis
最大体長:10cm

ブリチャージ同様、古くから親しまれている種です。白や灰色の体色に目の周りやヒレ先が鮮やかな青色になる上品な美しさを持っています。

やや気が荒く、多少のケンカはしても複数匹飼うことは可能です。メスが卵をくわえて育てるマウスブルーダーと呼ばれる産卵形態を取ります。

ネオランプロローグス・トレトケファルス

Neolamprologus tretocephalus
最大体長:12cm

5本のバンドと各ヒレが透明感のある青の輝きを持つ美しい種です。成長が遅いため、じっくり色彩をあげてみるのも良いでしょう。縄張り争いをするため、岩を複雑に組むと良いでしょう。

ネオランプロローグス・レレウピィ

Neolamprologus leleupi
最大体長:12cm

スレンダーな体型に全身がイエローに染まる美しい種です。ペア形成に時間がかかるため、じっくり育成する必要があります。

やや気が荒いため同種間ではよく争います。レイアウトを複雑にしてあげると良いでしょう。

ネオランプロローグス・ブリチャージ“アルビノ”

Neolamprologus brichardi var.
最大体長:10cm

ブリチャージの改良品種としてアルビノ個体も数多く流通しています。元々淡い色彩と伸長するヒレが美しい種ですが、アルビノ個体ではさらに白く幻想的な印象を与えます。

ブリチャージと比べるとペアの形成、繁殖がやや難しいこともあるようです。それ以外については、繊細そうな見た目の割に安くて丈夫なので初心者にもオススメです。

有用なアイテム

ネオランプロローグス・ブリチャージの飼育は、弱アルカリ性の水質を好むという点に気を付ければ、飼育自体は難しくありません。熱帯魚飼育の基礎を押さえていれば飼育でき、繁殖にも挑戦しやすいです。
複数匹での飼育、あるいは繁殖を考えているなら水槽サイズは最低でも60cm水槽での飼育をおすすめします。

おすすめの組み合わせは次の通りです。

水槽フィルター底床
60cm外掛け、上部、外部サンゴ砂、砂人工飼料、生餌

多少底砂をむので、底砂を敷かないベアタンクよりは、薄くても良いので底砂を敷いてあげたほうが良いです。特に繁殖を狙う場合は、魚がしっかり落ち着けるよう底砂は必ず敷くと良いでしょう。

サンゴ砂は弱アルカリ性に傾けて、かつ硬度を上げる作用がある点で有用ですが、水草も植えたいなら砂は珪砂の細かいものがオススメです。

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弱アルカリ性の水質維持をするために

ネオランプロローグス・ブリチャージを含むアフリカンシクリッドは、弱アルカリ性の水質を好みます。pHを上げるろ材もしくは水質調整剤を使うと良いでしょう。

メインろ材としてオススメ

補助ろ材としてオススメ

普通のリングろ材などと併用するタイプです。大粒のサンゴ砂も使用できます。

水質調整剤

ろ材に頼らない水質調整として、水換え時などに水質調整剤を使う方法があります。


オススメの水草

ネオランプロローグス・ブリチャージを含むアフリカンシクリッドの水槽には、KH(炭酸塩)を好む水草が良いでしょう。中硬水を好み、砂地の水槽と相性の良い水草には以下のものが挙げられます。

中硬水を好み、砂地の水槽と相性の良い水草

ヒロハノエビモ
中硬水を好むポタモゲトンならヒロハノエビモ以外もOK

6045または90cm水槽以上にはこちら

初心者の方には丈夫で育てやすい水草でおなじみのアヌビアスがオススメ。本種と同じアフリカ原産の水草です。石付きはメンテナンスが楽なうえにケンカの防止にも役立ちます。流木付きもありますが、タンガニィカ湖原産とあって雰囲気や水質面から石付きのほうがマッチします。ただし、溶岩石については流木と同様にpHを下げたい魚向けです。

石付き アヌビアス

コケ対策について

湖産アフリカンシクリッド系は共通してエビを食べてしまうため、コケ取り要員にエビは導入できません。コケ取り要員としては貝類がおすすめです。石巻貝やフネアマ貝などが良いでしょう。

繁殖について

ネオランプロローグス・ブリチャージの繁殖は容易ですが、幼魚や若魚の間はオスメスの判別が難しいため、複数匹で飼育しながら性成熟するまで育てましょう。1~3匹のように少ない匹数で飼育すると、立場の強い・弱いができてしまいます。できれば5匹程度から飼育をスタートするのが理想です。やや過密にするほうが攻撃の対象を分散し、ケンカを和らげることができます。また、飼育するにあたっては隠れ家を十分に用意してください。

ペアになれば一緒に行動し、他魚を追い払ってテリトリーを主張するようになり、やがて底砂の窪みや平らな石の上に産卵します。産卵後はペアで産卵と子育てを行うため、親魚に任せておいても問題ありません。子育てに関しては兄弟も手伝うユニークさも本種ならではの特徴です。

混泳について

基本的にはスペースが十分にあって岩組で隠れ家をしっかり作ってあげれば、水質が合うものに限り混泳は可能です。
ただ、生まれたての稚魚や卵があると他の魚に食べられてしまうこともあるのでファミリーでの飼育を楽しみたいのであればブリチャージのみが良いでしょう。

6045~90cm水槽が用意できれば、他のネオランプロローグスと混泳させるのは大丈夫です。
小型のシノドンティスなどもOKです。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
×本種から攻撃を受けることがあり、混泳は困難です。
プラティ・卵胎生メダカ
本種から攻撃を受けることがあります。サイズ差が小さく、十分なスペースがあれば混泳が可能な場合もあります。
ただし、稚魚は食べられてしまう可能性があります。
カラシン・小型テトラ
×弱酸性を好む種類とは混泳できません。
コイ・ラスボラ
×ブラックウォーターを好むものは混泳不可。中性付近を好むバルブなら可。
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
本種から攻撃を受けることがありますが、十分なスペースがあれば混泳は可能です。岩組をしっかり作って隠れ家を作ってあげましょう。
フライングフォックス/アルジイーター
本種から攻撃を受けることがありますが、十分なスペースがあれば混泳は可能です。岩組をしっかり作って隠れ家を作ってあげましょう。
ドワーフシクリッド
×弱酸性を好む種類とは混泳できません。
アフリカンシクリッド
十分なスペースがあれば近いサイズの小型種に限り可能。大型種や魚食性の強い種(フロントーサなど)とは不可。
エンゼルフィッシュ
×好む水質が異なるため混泳できません。
ディスカス
×好む水質が異なるため混泳できません。
ベタ・グラミー・アナバス
×好む水質が異なるため混泳できません。
コリドラス
×好む水質が異なるため混泳できません。
オトシンクルス・ロリカリア
×好む水質が異なるため混泳できません。
プレコ
本種から攻撃を受けることがありますが、十分なスペースがあれば混泳は可能です。岩組みによる隠れ家をしっかり作ってあげましょう。
レインボーフィッシュ
小型種は混泳は不可能です。中型のメラノタエニアの仲間であれば、本種から攻撃を受けることがありますが、十分なスペースがあれば混泳は可能です。
ハゼ・ゴビー
×好む水質が異なるため混泳できません。
フグ・パファー
×フグにかじられてしまう可能性があるため、混泳は避けたほうが無難です。
エビ・ビーシュリンプ
×小型のエビは本種に食べられてしまいます。
ネオランプロローグス・ブリチャージの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとはいえません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

岩組みレイアウトについて

アフリカンシクリッドの飼育において、隠れる場所や産卵場所として岩組みのレイアウトが重要になってきます。ネオランプロローグス・ブリチャージも自然下では岩礁地帯で生活しているため、岩組みレイアウトによって自然な姿を見せてくれることでしょう。
レイアウトの参考として、ぜひ下記のページをご参照ください。

チャームなら、化石サンゴや仙礁石などアフリカンシクリッド向けレイアウト素材も充実しています。

https://www.shopping-charm.jp/category/2c2c2c2c-2c2c-3231-3230-393030303030

ネオランプロローグス・ブリチャージまとめ

ほんのりピンクがかった体色に印象的な目元、美しく伸びた尾ビレなど、パーツそれぞれを見ても気品を感じさせるネオランプロローグス・ブリチャージ。

タンガニィカ湖原産のアフリカンシクリッドにおいて、観賞から繁殖まで気軽に楽しめるスタンダードな種です。

アフリカンシクリッドらしく弱アルカリ性の水質を好み、やや気が荒い点はありますが飼育自体は容易です。繁殖がうまくいけば、家族一丸となっての子育てを見せてくれるでしょう。

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