こんにちは、スズキです。
今回取り上げるのは、アフリカ河川産シクリッドの代表種、ペルヴィカクロミス・プルケール。
ペルマトの通称でもよく知られる本種は、国内でも古くから愛好家が多くいます。
安価で入手しやすいながらも飼い込むと極彩色の美しい婚姻色を見せてくれるのが魅力的。
ただし、仕上げるにはちょっとしたポイントを知っておかなければなりません。
アフリカ河川産シクリッドの魅力を知る上で本種ほど基本を学ぶのに適した種は他にいないでしょう。
ペルヴィカクロミス・プルケール(ペルマト)とは
生物学的情報 | |
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名前 | ペルヴィカクロミス・プルケール |
学名 | Pelvicachromis pulcher |
別名 | ペルマト |
分類 | スズキ目シクリッド科 |
食性 | 雑食 |
分布 | ナイジェリア、カメル―ン |
飼育要件 | |
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飼育しやすさ | ★★★★ まずまず容易 |
入手しやすさ | ★★★★ まずまず見かける |
混泳しやすさ | ★★★ 比較的混泳しやすい |
最大体長 | 9cm程度 |
適正水温 | 20~28℃ |
pH | 5.0~7.5 |
備考 | 特になし |
プルケールが属するペルヴィカクロミス属はアフリカ河川産シクリッドのグループの一つです。
アピストグラマに似た習性を持ち、飼い方や楽しみ方もよく似ていることから“アフリカ版アピスト”といった位置づけのグループといえるでしょう。水草が育っている水槽なら簡単に繁殖まで楽しめるため、アピストグラマを飼育するよりもハードルが低いのが本種の良いところです。
ペルヴィカクロミスは地域変異などがあることもアピストグラマの分野と近い空気感があります。ペルヴィカクロミス専門で集めている人もいますが、プルケール以外の流通量は少なめです。
ペルマトという通称は旧学名に由来します。東南アジアでブリードされた若魚が流通する他、時折アフリカからのワイルド個体が輸入されています。ブリード個体は若魚だとオスメスの判別が難しいものの、成熟すると上の画像のように区別が容易になります。オスは背ビレと尻ビレは伸張して尾ビレはスペード状に、メスはやや丸みを帯びた体形になって発情した個体は腹部がピンクに発色するのが特徴です。
なお、オスメスともに色彩変異も多く、背ビレや尾ビレのスポットの数が多い個体やまったく見られない個体、背ビレ付け根が黒く染まる個体、オスでも腹部や顔にメスのような赤い発色を見せる個体が見られます。
アピストグラマに比べると水質にうるさくない、ケンカをしてもタフという点で飼育は簡単です。また、ペアで状態良く飼育していれば繁殖も容易です。ペアは絆が深く子育ても仲良く行なうため、繁殖はペア任せで問題ありません。流木などで隠れ家を十分に用意してあげると良いでしょう。
若干の草食性があり、流木や底砂を食む性質があることから多少のコケ取りを期待することはできますが過信は禁物です。
ワイルド、アルビノとの比較
ワイルド
ワイルド個体は流通が少なくて希少です。大きなサイズで入荷することが多く、若魚のブリード個体に比べて迫力があります。
アルビノ
赤い目と白い色彩、模様が入り独特な美しさを持ちます。ノーマル個体と比べてペアの判別が付きづらいのでじっくり観察することが必要です。
有用なアイテム
ペルヴィカクロミス・プルケールの飼育は、熱帯魚飼育の基本を押さえていれば、比較的容易です。
水質は弱酸性~中性できれいな水を保つことで状態良く飼育できるでしょう。強い水流は好みません。
水槽 | フィルター | 底床 | 餌 |
---|---|---|---|
45cm | 外掛け、上部、外部 | ソイル、砂、砂利 | 人工飼料、生餌 |
底床も特に選びません。
水草レイアウト水槽に採用される関係上、ソイルが理想的といえるでしょう。
大磯砂や砂利、砂なども使えます。
サンゴ砂など、極端にアルカリ性に傾けるものを除けば何を敷いても構いません。
エサは生餌でも人工飼料でもなんでもよく食べます。
稚魚は自由遊泳を開始するとブラインシュリンプを食べることができます。
オススメの水草
ペルヴィカクロミス・プルケールの水槽には、丈夫で育てやすい水草でおなじみのアヌビアスがオススメ。本種と同じアフリカ原産の水草です。流木付きはメンテナンスが楽なうえ、本種の産卵スタイルにも適しています。
流木付き アヌビアス
繁殖について
ペルヴィカクロミスプルケールは、流木やシェルターなどの陰に産卵するケーブスポウナーです。
発情したメスは腹部が紫に発色し、オスメス共にテリトリーを主張するようになります。ペアが十分に発情していれば、シェルターなどに産卵をしペアで卵を保護します。
産卵前は発情したオスに追いかけられるメスがボロボロにされることがあるため、必要に応じて隔離をする必要があります。また、混泳魚も追い回されることがあります。
卵がふ化して稚魚が自由遊泳後しばらくはペアが稚魚を保護をします。自由遊泳を開始した稚魚はブラインシュリンプを食べることができます。親魚は稚魚を連れて水槽内を泳ぎ、稚魚を食べてしまうことも少ないので親魚に子育てを任せて問題ありません。
ちなみにペアは、相性が良ければ繁殖時でなくても仲良く一緒に行動することが多いようです。仲睦まじい姿に癒されるのも本種の人気のひとつでしょう。
混泳について
アピストグラマやペルヴィカクロミスといったドワーフシクリッドは、シクリッド系にしては比較的混泳がうまくいきやすい部類に入ります。ただし、個体の性格差が他の魚種より大きいことに留意する必要があります。また、本種を他の魚と混泳させる場合、重要なのは、“水槽内で一番強い”ポジションとなるようパワーバランスに留意することです。これが、発色の良い仕上がりになるかどうか関係してきます。もし、本種が攻撃したり、されたりすることがあればただちに隔離してください。
混泳相手 | 混泳相性 | 備考 |
---|---|---|
グッピー | △ | ペアが繁殖行動に入り攻撃がひどい場合は隔離が必要です。 |
プラティ・卵胎生メダカ | 〇 | 卵胎生メダカの多くが弱アルカリ性を好む点は多少配慮します。 |
カラシン・小型テトラ | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
コイ・ラスボラ | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
ローチ・ボーシャ・タニノボリ | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
フライングフォックス/アルジイーター | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
ドワーフシクリッド | × | シクリッドの仲間とはケンカに発展しやすいため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
アフリカンシクリッド | × | シクリッドの仲間とはケンカに発展しやすいため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。弱アルカリ性を好む種とは水質も合いません。 |
エンゼルフィッシュ | × | シクリッドの仲間とはケンカに発展しやすいため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
ディスカス | × | シクリッドの仲間とはケンカに発展しやすいため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
ベタ・グラミー・アナバス | △ | 同種と認識され攻撃されてしまう可能性があります。 |
コリドラス | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
オトシンクルス・ロリカリア | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
プレコ | 〇 | 小型種とは混泳できます。 |
レインボーフィッシュ | ◎ | 基本的に安心して混泳できます。 |
ハゼ・ゴビー | △ | 攻撃性のある種の場合は注意が必要です。 |
フグ・パファー | × | 攻撃性を示すため、混泳は不可能と考えたほうが良いでしょう。 |
エビ・ビーシュリンプ | × | 稚エビに限らず食べられてしまう可能性があります。 |
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとはいえません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。
ペルヴィカクロミス・プルケール(ペルマト)まとめ
国内でも古くから愛好家のいるアフリカ河川産のドワーフシクリッド、ペルヴィカクロミス・プルケール。
安価で入手しやすいアフリカ河川産シクリッドの魅力を知ることのできる基本種です。
弱酸性~中性のきれいな水と強い水流に気を付ければ、調子良く飼育でき、本種ならではの美しい姿を見せてくれることでしょう。ペアとの絆も深く、仲良く子育てする様子もぜひお楽しみください。
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