どうも、ほにゃらら sp.です。
今回は「パイロットフィッシュ」についてご紹介します。
パイロットフィッシュといっても、そのような名前の熱帯魚がいるわけではありません。
水槽をはじめて立ち上げるときに少数導入して、ろ過バクテリアの定着までの補助を担う魚を
そう呼びます。
パイロットフィッシュの役割
「パイロットフィッシュ」の“パイロット”とは水先案内人を意味しています。
アクアリウムにおいては、バクテリアの定着を安全に誘導させることがその役割です。
水槽にパイロットフィッシュを導入すれば、魚が暮らしていく上で残飯やフンが生じます。
これらから生じるアンモニアが、バクテリアの定着において重要な役割を果たします。
アンモニア自体は毒性が強い物質ですが、魚の数が少なければ排せつ量も少ないので、薄い場合は魚への毒性は高くありません。
このため、導入時は少数だけ入れるのです。
排せつされたアンモニアを元に、アンモニアから亜硝酸に分解するバクテリアが定着します。
その後、亜硝酸を硝酸に分解するバクテリアが定着し始めます。
これらが一定量増加した時点で、ろ過バクテリアの定着が完了したということになります。
パイロットフィッシュは、その少量のアンモニアを発生させる一番最初のきっかけとなるのです。
また、水槽内にいるだけで、バクテリアの栄養源となるアンモニアを毎日少量ずつ添加(排せつ)してくれるため、バクテリアの定着を図る上ではたいへん有用です。
パイロットフィッシュはあくまでも、少数だけ入れるのがポイントです。
バクテリアの定着のきっかけとなる少量のアンモニアを発生させることが目的なので、魚種に関係なく30cm水槽で1匹、60cm水槽で3匹もいれば十分です。
魚の数が多すぎると、バクテリアの増殖が間に合わずアンモニアを分解できません。
それどころか、アンモニア中毒を引き起こす原因となってしまいます。
これでは、パイロットフィッシュの意味がありません。
▼こちらも参考
パイロットフィッシュの必要性
結論からいってしまうと、水槽の立ち上げにおいて必須ではありません。
ただ、導入したほうが短期間でバクテリアが定着しやすくなります。
必ずしもパイロットフィッシュを導入しなくとも、ろ過バクテリアの定着はいずれ完了しますが時間がかかります。
ポピュラー種には不要かも
元々水質悪化に強く丈夫な魚種の場合、極論を言えばパイロットフィッシュはいらないかもしれません。
パイロットフィッシュの導入やバクテリアの定着には、それほど神経を使わなくても飼育できることが多いです。
高額・レア種にチャレンジするならぜひ
高額な魚種や、入手機会の限られる貴重な魚種の飼育に挑戦する場合に有効といえるでしょう。
これらの魚種を飼育する際は、念入りに水つくりを準備した上で導入したいところです。
少しでもバクテリアの定着を早めたいとき、活躍するかもしれません。
最後まで飼いきろう
バクテリアの定着後も、パイロットフィッシュは飼育を続けなければなりません。
立ち上がったからお役御免……というわけにはいかないのです。
最後まで飼育できる魚種を選びましょう。
どうしても混泳が難しい場合は、バクテリアの定着が完了したら別の水槽に隔離するか、そもそもパイロットフィッシュを採用せずに時間をかけて立ち上げたほうが良いでしょう。
主なパイロットフィッシュ
パイロットフィッシュとして採用されやすい魚種は次の通りです。
パイロットフィッシュには安価で丈夫で水質悪化に強く、入手しやすい魚種を採用するのが基本です。
本命の魚種が理想とする水質と同じ水質を好む魚種を選ぶと、なお良いでしょう。
特別な理由がなければ、ネオンテトラでOKです。
本命の魚種が弱酸性を好むのであれば小型カラシン(テトラ)系、弱アルカリ性を好むのであればアカヒレ系から選ぶと良いでしょう。
パイロットフィッシュとして採用した魚は、最終的に本命の魚種と混泳させることになります。
混泳させたくない場合は、最初から採用しないほうが良いでしょう。
大型魚や古代魚といった大型の肉食魚が本命の場合は、エサ用の小赤やメダカをパイロットフィッシュとして採用すると、最終的にエサとして利用できます。
ろ材にもこだわろう
パイロットフィッシュを用いたバクテリアの定着を図るのであれば、ろ材にもこだわりましょう。
具体的にはバクテリアの定着に優れた多孔質のろ材を多めに採用することで、ろ過の機能を最大限に活かすことができます。
バクテリアの定着確認は必須
パイロットフィッシュを用いた立ち上げを行うのであれば、バクテリアの定着確認は必須です。
最低でも亜硝酸検査試薬はないと、状況の確認ができません。
▼こちらも参考 バクテリア定着までの最短ルート
一度増加した亜硝酸の減少が確認できれば、バクテリアの定着が完了したと判断できます。
しかし、この状態でいきなり多数の生体を追加してはいけません。
いきなり大量に魚を追加すると、急激に増えたアンモニア量に対しバクテリアのキャパシティオーバーを引き起こします。
その結果、せっかくできあがったろ過バクテリアのバランスが崩壊してしまいます。
バクテリアの定着が完了しても、生体の追加は少数を様子見ながら複数回に分けて導入、が鉄則です。
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