どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介する水草はハイグロフィラ・ポリスペルマ。
ライトグリーンの美しい葉を展開するハイグロフィラ系水草の代表種であり、育成の容易な有茎草として古くから知られています。
明るい環境を好む水草ですが、育成には特にCO2の添加を必須としません。
また、根張りも良いので立ち上げ用の水草としても良く使われます。
水草レイアウトにはもちろん、生体メインの水槽にも、また種類によっては生体の繁殖にも。
とにかく多用途で有用、便利な水草です。
有茎草の定番として初心者から上級者まで、幅広い層に支持される人気種です。
ハイグロフィラ・ポリスペルマとは
生物学的情報 | |
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名前 | ハイグロフィラ・ポリスペルマ |
別名 | ハイグロフィラ |
学名 | Hygrophila polysperma |
分類 | キツネノマゴ科 |
分布 | 東南アジア |
育成要件 | |
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主な用途 | 後景草 |
水温 | 20~28℃ |
pH | 5.0~7.0 |
光量 | 30cm水槽:800lm 60cm水槽:2400lm 90cm水槽:3200lm |
CO2添加 | 不要 |
ハイグロフィラ・ポリスペルマは、ハイグロフィラの定番種として初心者から上級者まで幅広く人気のあるキツネノマゴ科の水草です。
流通量も多く入手もしやすく、ライトグリーンの美しい葉を展開する有茎草です。
レイアウトでは基本的に後景草として利用されます。
陽性水草としては珍しく、育成にはCO2添加を特に必要としません。
ただし添加したほうが成長は良くなります。
光量も60cm水槽で2400lm程度あれば十分育ち、根張りも良い水草です。
はじめて育てる水草として、最もおすすめできる種の一つと言っても過言ではありません。
初心者向け陰性水草のおすすめがアヌビアスなら、陽性水草でのおすすめはこのハイグロフィラ・ポリスペルマが最適と言えるでしょう。
柔らかな葉の印象と明るい葉色で美しく、しかも入手しやすく、極めて育てやすい水草です。
ポリスペルマのバリエーション
本種にはいくつかの改良品種と、産地違いで流通するものが知られています。
バリエーション | 育成時の備考 |
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ポリスペルマ | ライトグリーンの美しい葉を展開する原種です。 最も入手しやすく、最も育成が容易です。 |
ロザエネルヴィス | 葉脈が赤く染まるタイプの美しさ際立つ改良品種です。 赤系水草としては流通量も多く、入手しやすいのもうれしいところです。 単に育成するだけなら容易ですが、特徴である赤い発色の維持は難易度高めです。 ポリスペルマと同様の管理では、特徴である赤い発色が消えてしまいます。 赤い発色を維持するには、CO2を添加し液肥主体で管理すると良いでしょう。 |
ゴールドブラウン | 葉の全体が黄色く染まるタイプの改良品種です。 流通量は少なめですが、育成は容易です。 |
サラワクローズ | 匍匐性のある、産地違いのポリスペルマです。 ある程度光量が強いと這うように育つので、前~中景草として利用できます。 また、ほんのり赤く色づきます。 光量が弱い場合は、通常の有茎草のように立ち上がって育ちます。 |
セイロン | 大型になる、産地違いのポリスペルマです。 有茎草の中では大型になる種類で、節の間隔も広く、密度はそれ程高くなりません。 通常のポリスペルマに比べて赤みが強く、葉が細長くなる傾向があります。 90cm以上の大型水槽には、こちらが向いているかもしれません。 |
レイアウトのコツ
ポリスペルマは基本的に後景草として利用します。
密生させて主役としても良し、ワンポイントにまとめ植えしても良し。
使いどころを選ばない、汎用性の高い水草です。
あらゆるレイアウトにマッチするでしょう。
高光量でCO2を添加している場合など、育成環境が適切であれば成長は速いです。
用意するアイテム
ハイグロフィラ・ポリスペルマを用いたレイアウトを作り上げる上で、必要となるアイテムを紹介します。
ソイル
お勧めの底床素材は「栄養系」ソイルです。
「水草用」と記載のある製品が良いでしょう。
ポリスペルマは栄養吸収能力が高く、条件が良いとぐんぐん成長し数を増やします。
ソイルの量は30cm水槽で最低3L、60cm水槽で9L用意します。
ソイルは水洗いする必要はありません。
そのまま直接、水槽内に敷いてください。
石or流木
石組レイアウトにも、流木レイアウトにも、どちらにも良くマッチします。
ピンセット・ハサミ
石組みまたは流木の設置が終わったら、飼育水またはカルキを抜いた水を水槽の高さ2/3程度まで静かに注ぎます。
適当な長さにカットし、ピンセットで根元を底床に埋め込みましょう。
植えるときに根がなくとも、いずれ生えてきます。
一度根付くと根張りは良いです。
植え込みやトリミング時に草体を抑えるピンセットと、カット用のハサミがあると大変作業が捗ります。
成長は速いので、積極的にトリミングしてかまいません。
頻繁にトリミングを行うと小型化する傾向があるので、この性質を利用すれば成長が速い種でありながらも、小型水槽で維持可能です。
逆に大きく育てたい場合はトリミングはあまり行わず、ある程度放置したほうが良い結果が得られます。
照明
ポリスペルマの育成には、そこまで強い光量を必要としません。
一般的な水草が要求する光量より1ランク下げても大丈夫です。
60cm水槽では2400lm程度の光束が必要量の目安となります。
もちろん、一般的な水草に適する高光量のライトを採用すると、成長スピードが速くなります。
光束だけでなく波長にも着目し、680nm付近の赤い波長を含むLEDを選ぶようにしましょう。
CO2添加システム
ポリスペルマの育成には、CO2の添加を必要としません。
極めて成長スピードの速い水草であるため、CO2を添加すると非常に大きく成長します。
結果、節と節の間が長く間延びするなど、添加量を調節しないと草体が格好悪くなってしまうことがあります。
小型水槽でコンパクトに育てる場合は、むしろCO2の添加や液肥の投入などは控えたほうが美しい姿に仕上がります。
もし、大型水槽で大きな茂みを作りたい場合は、CO2添加は大変有効です。
フィルター
CO2を添加する場合は、外部式フィルターがおすすめです。ろ過能力の高さも魅力です。
肥料
液体肥料を与えると成長が早まりますが、添加量は控えめにしたほうが良いでしょう。
スターティングプランツとしての有用性
ポリスペルマは新しく水槽を立ち上げる際に最初に植える水草(スターティングプランツ)として最適です。
ポリスペルマは水草の中でも成長が速いことで知られており、特に水槽立ち上げ初期は水中の養分を素早く吸収します。
根張りも良く、一度根付けばその成長速度はさらにアップします。
この性質によりコケの発生をなるべく抑えつつ、底床バクテリアの繁殖を促進できます。
水草レイアウトを立ち上げる上で最初に要求されるコケの抑制とバクテリアの定着促進を同時に行えるうえ、それができる水草の中では最も入手しやすいので、ポリスペルマがよく使われます。
生体との相性
コケ取り生体について
ポリスペルマは葉が柔らかく、草食性の魚やエビから食害を受けやすいです。
コケ取りとしてよく用いられる生体としては、ヤマトヌマエビには葉ごと食害される傾向があります。
とはいえ環境が適切なら成長が速いので、あまり気にならないこともあるかもしれません。
コケ取りとしてエビ類を入れる場合、どちらかといえばミナミヌマエビのほうが安心できます。
食害する生体
ポリスペルマは葉が柔らかいため、草食性の魚やエビには好んで食べられてしまいます。
例えばモンクホーシャ属のカラシンの仲間や、バルブの仲間は柔らかい水草を好んで食べる傾向があるため注意が必要です。
逆に言えばレイアウトよりも生体飼育がメインの場合、エサとして機能すると捉えることもできます。
成長が速いのも、食べられてもすぐに供給ができるという点で有用です。
繁殖水槽にも有用
ポリスペルマはレイアウトのみならず、繁殖を狙っている水槽にも使えます。
葉が柔らかく成長が速いので、水草を好んで食べる生体の隠れ家兼エサとしても最適です。
繁殖をメインとする水槽では高光量やCO2の添加は好ましくないことがありますが、ポリスペルマはこれらを必須としない点もうれしいところです。
グッピー水槽では稚魚の隠れ家、シュリンプ水槽では稚エビの足場兼エサとして活躍します。
稚魚や稚エビの水槽は生体を吸い込んでしまうリスクがあるのでなかなか水換えが難しいところですが、ポリスペルマは余剰栄養分の吸収能力が高いので、水質の維持にも役立ちます。
単体でも十分有用ですが、マツモやナヤスなどと組み合わせるとさらにブリードが捗るでしょう。
どちらも余剰栄養分の吸収能力が高く、稚魚や稚エビの隠れ家や足場として機能します。
マツモやナヤスは浮かべておくだけで育ち、ポリスペルマは一度根付けばどんどん増えるので、理想的な水草の茂みを作り上げることができます。
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