アクアラシックファンの皆さんこんにちは、Tです。皆さんの周りには「クセが強いな~」「キャラが濃いなぁ」「個性的だなぁ」と感じる人はいませんか?なんて、記事を書いている筆者こそ周りからそんな言葉をよく浴びる人間ですが……。
さて今回は、世界各国に生息している熱帯魚の中でも、さまざまな視点からちょっと変わった種類を紹介していきます。飼育していたら周りに驚かれること間違いなし!
はじめに
熱帯魚の飼育。それは成長を楽しみ、色彩を楽しみ、動きを楽しむことです。世界各国にはさまざまな熱帯魚が生息していますよね。種類によって飼育メインで楽しむのか、はたまた水草レイアウトとともに楽むのかが変わってきます。
まずはそれぞれの視点から代表的な種類を挙げてみました。一度は名前の聞いたことのある種類が並んでいるのではないでしょうか?
飼育メインで楽しめる代表的な種類
大型プレコの仲間
シクリッドの仲間
大型魚・古代魚の仲間
水草レイアウトと共に楽しめる代表的な種類
小型カラシンの仲間
コリドラスの仲間
ベタ・グラミーの仲間
魚なのに肺で呼吸!?ハイギョの仲間
多くの魚はエラから水中の酸素を取り入れるエラ呼吸ですが、中には私たちに似た器官を備え肺で呼吸を行うグループがいます。これらはハイギョと呼ばれ、デボン紀に出現したといわれている種類です。幼魚には両生類のように外鰓(がいさい)が備わっており、成長するとハイギョの名のとおり肺呼吸が可能になります。視力が弱いため胸ビレ触覚のように変化し、嗅覚がよく発達しました。とぼけた顔とは裏腹にしっかりとした奥歯を持っていて貝などの固い殻も噛み砕くことができます。また、現地では乾期になると地中に潜って“まゆ”のようなものを作り、雨季までの期間を過ごすことが知られいます。通常の淡水魚とは異なる生態がたくさん見られることが魅力的な種です。
プロトプテルス・アンフィビウス
学名:Protopterus amphibius
プロトプテルス・アンフィビウスはグループ内最小として知られる東アフリカ沿岸域原産の肺魚です。やや寸詰まりなかわいらしい体形から人気の種です。「最小」といっても最大45cmほどに成長するのでなかなかの迫力があります。シーズンになると幼魚が僅かに輸入される程度で、他の肺魚に比べ希少性が高くなっています。一時は輸入が途切れたことが本種の人気をさらに押し上げた要因の一つとなっています。
プロトプテルス・ドロイ
学名:Protopterus dolloi
プロトプテルス・ドロイはアフリカ中央部、コンゴ川原産の肺魚です。肺魚の中でも細長い体型を持ち、60cm級の比較的小さな水槽で飼育できることからポピュラーな種です。飼育は容易で水質の悪化や低水温にも強いです。エサは肉食性でメダカ等の小型の生餌を好みます。水槽から飛び出すことが多いのでフタを必ず使用する必要があります。
海では有名だけど…淡水にもいるんです!
海にいるのは知っているけれど実は淡水にもいるんです!という種類をご紹介します。ウツボやヒラメ、なんとあの種類まで!?
淡水ウツボ
ヤマウツボ
学名:Gymnothorax polyuranodon
ヤマウツボは西太平洋の島々に広く分布しています。黄色い体に、レオパード模様が美しく純淡水で飼育ができるので人気があります。20cm前後の若魚が稀に輸入される程度と希少性は高めです。環境に慣れ、落ち着いた個体は頭部付近が鮮やかな濃いオレンジの発色を見せ迫力と美しさを兼ね備えます。
自然界では成長と共に河口の汽水域から海水域へとその生活を変化させることもあります。両側回遊魚のような性質を持つので、淡水から海水へとゆっくり慣らせば幅広く順応可能です。
淡水カレイ・淡水ヒラメ
ニューギニア淡水カレイ
学名:Leptachirus sp.
Leptachirus robertsi?
Leptachirus klunzingeri?
淡水カレイは水槽内では活発に泳ぐことは少なく、砂に潜っていたり壁面に吸着していることが多いです。腹側だけでなく眼のある側でも壁面に吸着できる非常にユニークな特徴を持ちます。本種は卵胎生であるともいわれていますが、情報が少なく詳細は不明です。水質にもうるさくなく塩分を必要としないため飼育は容易な一方、スレに弱く注意が必要です。
南米淡水ヒラメ
学名:Citharichthleri uhler
アマゾン河口域原産の淡水ヒラメの仲間です。淡水ヒラメや淡水カレイは数種知られ、独特の体型から人気の種です。体色こそ地味ですが、左側についた2つの大きな瞳はとても愛嬌があります。菱形の体や四角い尾ビレ、大きな口が特徴的でこの仲間の中では動きが活発で底砂に潜ることも少ないです。飼育時は若干の塩分を入れるとよいでしょう。
淡水タツノオトシゴ
ブラックライン・パイプフィッシュ
学名:Microphis retzi?
Microphis leiaspis?
ブラックライン・パイプフィッシュは東南アジアの沿岸域に広く生息するタツノオトシゴの仲間です。細長いユニークな体型からパイプフィッシュ、ヨウジウオと呼ばれます。本種はブラックライン・パイプフィッシュのインボイスで輸入され、やや短い口が特徴的な種です。個体によって色彩の変異が大きく明褐色~暗褐色の個体が多く、中には腹部が赤く染まる個体も見られます。飼育は難しく餌と混泳魚に注意が必要です。非常にゆったりと泳ぐためできれば単独飼育が望ましいでしょう。人工飼料はほとんど口にせず、わかしたてのブラインやミジンコなどの微小な生餌を必要とします。水質には広く適応します。
レッドライン・パイプフィッシュ
学名:Microphis brachyurus brachyurus
レッドライン・パイプフィッシュは東南アジアの沿岸域に広く生息するタツノオトシゴの仲間です。パイプフィッシュの中でも流通量の多い種で、頭部から体側にかけての赤いラインと赤い尾ビレが特徴的な種です。よく見るとブラックライン・パイプフィッシュより口が長いですね。
パラドックス・フィッシュ
学名:Indostomus crocodilus
パラドックス・フィッシュはタイ原産のトゲウオの仲間です。近年までタツノオトシゴの仲間と考えられていましたが、研究が進んだ結果トゲウオに近い仲間として再分類されたようです。成魚で3cm程度と小型でユニークな外見から人気を博しています。ミャンマーのインドージ湖で発見され、1属1種の奇妙な種として記載されましたが、現在ではミャンマー産、タイのメコン川産、タイ南部からマレーシア産の3種に分けられました。飼育はやや難しく水槽内では物陰に隠れがちで、他の魚に追い回されたりかじられたりされないように、できれば単独飼育が望ましいでしょう。人工飼料は全く口にせず、わかしたてのブラインやミジンコなどの微小な生餌を必要とします。
淡水フグ
淡水フグというグループにはとても有名なアイドル的な存在がいますよね。そう、「アベニーパファー」です。小型でスネールを食べてくれるなど、コミカルな動きで愛されている種類ですが今回は出場しません!もっとクセの強いフグたちの登場です!
テトラオドン・ミウルス“レッド”
学名:Tetraodon miurus
テトラオドン・ミウルスはコンゴ、コンゴ川に上流域に生息している中型のフグです。砂に潜る習性を持ち、色彩変異が多くユニークな生態から人気の種です。体色のバリエーションが多い中でも特にこのレッドは人気が高く、フグの中でも異彩を放つ存在といえます。突出した目と口で砂に潜って待ち伏せして獲物を狙います。導入時に白点病になりやすい傾向があるので、塩浴で白点病を予防しておくと良いでしょう。エサは生餌を好み若魚ではエビやアカヒレ、赤虫、成魚では小赤などが良いでしょう。人工飼料はクリルに餌付かせることも可能です。性格はフグの中でも特に荒く単独飼育が適しています。
テトラオドン・ファハカ
学名:Tetraodon lineatus
テトラオドン・ファハカは中央アフリカから西アフリカに広く生息し、淡水フグの中でも大型になる種として有名です。成魚では40cm近くまで成長し、美しい体色から人気を博しています。幼魚では赤いスポットと褐色の体色が特徴ですが、成長とともに体側のラインが明瞭になり、美しい黄色の体色と尾ビレが魅力的なっていきます。飼育は純淡水で問題ありませんが、大型になる種なので将来的には90~120cm水槽が必要です。若魚ではエビや赤虫、成魚では小赤など生餌を好みます。また、歯の伸びすぎを防ぐためにも定期的にタニシやシジミなどの貝類や甲殻類を食べさせると良いでしょう。人工飼料のクリルに餌付かせることも可能です。底砂に潜る習性があり、水草自体をかじることから水草は入れない方がよいでしょう。
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どうしてこんな見た目に?なぜこんな行動を?そんな一風変わった外見や習性を持つ個性豊かな種類をご紹介!
泳ぐゾウ!? カンピロモルミルス・ヌメニウス
学名:Campylomormyrus numenius
まず皆さん、この種名を5回連続で言えますか?筆者は言えません。この早口言葉のような名前のカンピロモルミルス・ヌメニウスはコンゴ原産のモルミルスの仲間で、扁平で幅の広い体形に大きく翼のように発達する胸ビレが特徴的です。同属の中でも長い口を持ち、60cmを超える大型種であることから、「スーパーロングノーズエレファント」とも呼ばれるグループに属しています。この象の鼻のような器官は微弱な電流を発します。レーダーとして泥の中の餌などを探すのに使い、夜行性で視力が弱い本グループの生活に欠かせない機能を果たしています。水槽内でもこのかわいらしい動作を見ることが可能です。流通量は極めて少なく、ごく稀に数個体のみが国内に輸入される程度で入手は非常に困難です。
黒い亡霊!? ブラックゴースト
学名:Apteronotus albifrons
ブラックゴーストはベネズエラ・ペルー原産のナイフライクフィッシュです。漆黒のボディにナイフのような体型・丸みを帯びた頭部が特徴的で、東南アジアで養殖された幼魚が多く流通します。臆病で物陰に隠れるのを好みます。お化けに例えられるユニークな泳ぎ方や高速でバックできる特異な動きが魅力的です。夜行性でエサや障害物の探知にレーダーとして微弱な電気を発することが知られています。飼育は容易ですが、白点病に若干かかりやすいので水温をやや高めにすると良いでしょう。本種は性質も比較的温和なことから、他魚との混泳も可能です。ですが夜間に他の魚に突付いたり、ヒレをかじったりといった行動が見られます。ナイフライクフィッシュ同士では激しく争うため注意が必要です。
忍者のようにこっそりと リーフフィッシュ
学名:Monocirrhus polyacanthus
リーフフィッシュは枯葉のような姿をもつアマゾン原産の種類です。現地でも水草や落ち葉等が多いところにおり植物に擬態して小魚を捕食します。水槽内でも枯れ葉などを多く入れてやるとその様子を見ることができます。忍者のようにエサに近づき一気に捕食する様子がユニークで、他の肉食魚とは違った雰囲気を楽しむことができます。飼育はやや難しく、人工飼料に餌付けるには根気が必要です。基本的には小型の活餌を用意してあげると良いでしょう。また、アマゾン川・ネグロ川出身の熱帯魚のためブラックウォーターで飼育すると調子が崩れにくいといわれています。
透明魚の中でもピカイチの美しさ ローズフレームグラス・エンゼル
学名:Gymnochanda verae
Chanda vera
ローズフレームグラス・エンゼルは、カリマンタン島の北西に位置するナトゥーナ諸島原産のグラスフィッシュの仲間です。2011年8月に突如輸入された本種ですが、それ以前から存在は知られており、その美しさから輸入が待ち望まれていました。オスは各ヒレが伸長し、その名の通り真紅に縁取られた姿は非常に優雅な美しさを見せます。飼い込まれた個体は他のグラスフィッシュ同様に体色がややライムグリーンに色付きます。本種に関する情報は少なく詳細は不明な点が多いです。性質も温和で環境に一度なじむと非常に丈夫で飼育も容易ですが、導入初期は人工飼料に餌付きにくく痩せやすいためブラインシュリンプ等を与えると良いでしょう。
同じ仲間なのに!ギャップが激しい魚たち
「◯◯の仲間といえば小さい」や「◯◯の仲間といえば細長い胴体」というように、同属間ではある程度似た特徴を持っていますよね。ですが、なんにでも例外はあるものです。
メダカなのにデカい! ランプリクティス・タンガニカヌス
学名:Lamprichthys tanganicanus
ランプリクティス・タンガニカヌスはタンガニィカ湖原産の卵生メダカです。メダカの仲間では珍しく湖に生息する大型になる種で、成長した個体では10cmを超えます。アフリカンランプアイが3.5cm程度なのでその差は約3倍以上!青い体色に黄色の模様が美しく、抜群の存在感を放ちます。現地では群れで行動しているようです。水槽内でも群泳させると、活発に泳ぐ姿やその体色がより映えることでしょう。飼育は容易で繁殖も可能です。岩や流木の裂け目に産卵するクラック・スポウナーであることが知られているので、産卵場所に溝を掘ったコルクやスポンジを用意してやると良いでしょう。
カラシンなのにいかつくてデカい! ペーシュカショーロ
学名:Hydrolycus scomberoides
ペーシュ・カショーロはアマゾン川に生息する大型のカラシンです。アマゾンの牙魚としてピラニアと共にポピュラーな種で、大きな口に2本の牙やスレンダーな体型が特徴的な種です。最大約40cmになるのでネオンテトラの約10倍……!大きな牙と相まって相当の迫力があります。中層域でじっとエサを待ち伏せて捕食する姿は圧巻。凶暴そうなイメージとは裏腹に神経質な性格です。エサが不足すると痩せやすく、大きな個体に育てるにはしっかりとした給餌が必要になります。。
かわいい顔に騙されるな! ブラウンカンディル
学名:Hemicetopsis candiru
ブラウン・カンディルはペルー、アマゾン川原産のナマズの仲間です。かわいい顔をしていますが、南米の人喰い魚として恐れられています。しかも摂食方法のクセが強すぎなんです。カンディルの仲間は他の魚やエラや動物の肛門から体内に侵入し内部から肉を食べるのです。この事実が1番恐ろしい。
本種はカンディルの中でも大型で、現地では30cmほどの個体が見られるといいます。遊泳性が強く他魚や動物の死肉に泳ぎながら噛み付いて摂食することが知られています。また、美しい色彩とネズミのような丸い顔つき・薄い皮膚で覆われた眼など特異な外見からカンディルの中でも人気です。飼育下では導入時に白点病になりやすい、十分な溶存酸素を確保するが必要なことに注意してください。人工飼料も食べますがアカムシや肉片などが好物です。
まだまだいる「珍魚」たち
クリムゾンレッド・ペンシル
学名:Nannostomus sp.
クリムゾンレッド・ペンシルはペルー原産のペンシルフィッシュです。2022年に紹介された新しいペンシルフィッシで、クリムゾンレッドの名の通りオスは全身が真っ赤に染まります。飼育は比較的容易で、性格も比較的温和ですが同種間では若干小競り合いをします。複数匹混泳させた場合は一番強いオスだけが発色するようになります。隠れ家を多くして、鑑賞性を高めるために水草を十分植え込んだ水槽で飼育すると良いでしょう。
チャンナバルカ(旧アンフィビウス)
学名:Channa barca
チャンナ・バルカはインドに生息するスネークヘッドです。エメラルドグリーンの体色に細かいブラックスポットが入る美しい種です。他のスネークヘッドの大型と比べて大きなヒレを持ち、中層を優雅に泳ぎます。以前からチャンナ・アンフィビウスの名称で流通していましたが、本物のチャンナ・アンフィビウスは国内未入荷であるといわれています。年間に数匹しかない年も流通量の少なさとその美しさからスネークヘッドの最高峰・幻のスネークヘッドと称されており、スネークヘッドマニア憧れの種といえるでしょう。
大型になる種なので飼育設備は余裕を持って準備をしましょう。他のスネークヘッド同様に飼育は容易で、餌も人工飼料に餌付かせやすく飼育は容易です。
飼育者にも懐きやすく魅力的な種ですが、僅かな隙間からでも水槽から飛び出すのでしっかりとフタを用意する必要があります。
アフリカンマッドフィッシュ
学名:Phractolaemus ansorgii
アフリカンマッドフィッシュはアフリカ、ニジェール川・コンゴ川原産の1属1科の魚です。
褐色のスレンダーな体型に奇妙な顔つきを持つユニークな種で、ひょっとこのような口が特徴的な魚です。この口は微生物などの微細なエサをとるために進化したといわれ、飼育下でもユニークな摂餌行動を見ることができます。地味な体色から決してポピュラーとは言いがたい種ですが、流通があまりなく飼育がやや難しいことから珍重されています。飼育は水質の変化やスレに弱く導入時とエサに注意が必要です。国内でも繁殖に挑戦している方もいるようです。珍魚を繁殖させてみるのも面白そうですね。
AQUALASSICではクセの強い水草もご紹介しています。水草も他の人とかぶりたくない!という方はこちらも覗いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。かなり個性的な種類をご紹介しました!今回ご紹介した種類の中には、飼育難易度の高いものもありますが、手に入れられれば自慢できること間違いなし!ぜひ一度、飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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