今回は、プレコの中でもユニークなフォルムで大人気の大型種、「ロイヤルプレコ」についてご紹介したいと思います。
ロイヤルプレコとは
生物学データ
学名:Panaque nigrilineatus
Lナンバー:L-190
分類 | ナマズ目・ロリカリア科・パナクエ属 |
最大体長 | 40cm |
食性 | 草食性 |
分布 | コロンビア、ベネズエラ |
ロイヤルプレコは南米はコロンビア・ベネズエラの川に生息します。体長は最大で40cmと大きく、中には70cmほどになった個体もいるそうです。
体色は灰褐色に黒いラインが入り、特徴的なユニークなフォルムをしています。成長すると模様の形状が変化し、ハーフスポット・フルスポットなどと区別されます。
食性は草食性のエサを好み、水草・コケ類・倒木や流木などを食べています。
成長すると気性が荒くなり、木を削るほどの口で魚の体を齧る事があるので注意が必要です。
Lナンバー
プレコは非常に種類が多く、「Lナンバー」という番号がついてます。詳しくは下記の内容になります。
南米に生息するプレコは非常に多くの種類が知られ、そのほとんどが未記載種(学術的に分類されていない種)です。そのため、たくさんの呼び名や流通名が存在し、輸出業者、輸入業者、飼育者の間で混乱が生じていました。そこでドイツの観賞魚雑誌『DATZ』を出版するウルマー社が、提唱したのが「Lナンバー」です。また、同じくドイツの観賞魚雑誌『Das Aquarium』を出版しているブリギット・シュメットカンプ社が提唱したのが「LDAナンバー」です。
https://www.shopping-charm.jp/info/faq/category/fish
このLナンバー、 LDA ナンバーにより、多くのプレコの判別が簡便になり、世界共通で使われるようになりました。しかし、同種であっても新たな産地から発見されたことにより、新しいLナンバーがつけられたり、新しいLナンバーを付けたら実は別種の幼魚だったりと、複数のLナンバーが付いていることも少なくありません。また、新種が年々見つかっているためLナンバーもさらに追加されています。
あくまで便宜上のものなので、完璧ではありませんが、種類の判別に非常に参考になるものとして利用されています。
模様の変化
スポットの形状も細かい物や、大きな物、丸味が強い物とさまざまです。個体ごとに表現が変わることから、コレクション性が高く人気があります。
全身にきれいにスポット模様が入る『フルスポット』『ハーフスポット』タイプは、成長過程でどのような模様になるか分からないため、模様がしっかり出た大型個体はさらに希少性が高くなります。
ロイヤルプレコの仲間
グリーン・ロイヤルプレコ
学名:Panaque sp.
Lナンバー:L-191
ブラジル・コロンビアに生息。他のロイヤルプレコには見られない独特なグリーンの色彩が美しい個体です。
※幼魚サイズでもグリーンの色彩がでるので判別も容易。
別名:「ブロークンライン・ロイヤルプレコ」
オレンジエッジグリーン・ロイヤルプレコ
学名:Panaque nigrilineatus
Lナンバー:L-418
ペルーに生息するロイヤルプレコ、グリーン・ロイヤルプレコより後に流通がはじまり、背ビレや尾ヒレの先にオレンジの配色が入る種です。
ペルーから入る個体はオレンジエッジとなっていましたが、コロンビアからも輸入されています。
※近年コロンビアからも『オレンジエッジグリーンロイヤル』が輸入されますが、同じくコロンビアからくる『グリーンロイヤル』との関係は分かっていません。
別名:「ペルーグリーン・ロイヤルプレコ」「シャンパー・ロイヤルプレコ」「シャンパーグリーン・ロイヤルプレコ」
プラチナ・ロイヤル
学名:Panaque cf.armbrusteri
Lナンバー:Lナンバーなし
ブラジルはシングー川に生息。他のロイヤルプレコと比較すると少し体高が低く、顔が長めです。体色は白く各ヒレがやや茶色くなります。
「ロングスナウト・ロイヤル」ともいわれています。
オレンジ・ロイヤルプレコ
学名:Panaque cf.armbrusteri
Lナンバー:L-027
ブラジルはトカンチンス川に生息。幼児期は体色に少しオレンジ色が入り、成長するとオレンジというよ黄色味が強くなります。色彩の鮮やかなゴールデンタイプもいます。
ゴールデンロイヤル・プレコ
学名:Panaque cf.armbrusteri
Lナンバー:L-027
ブラジルはアラグアイア川に生息。灰褐色に黒の模様のロイヤルプレコのゴールデンタイプ。体色は黒く黄色のラインが入ります。成長してもラインは乱れずきれいなラインのままです。
ゴールデンサンダーロイヤル・プレコ
学名:学名:Panaque armbrusteri
Lナンバー:L-027b
ブラジルはシノッピ川・タバジョス川・テレスピレス川に生息。体色は黒く黄色いラインは成長すると乱れて複雑なライン模様となるのが特徴的です。
「シノッピロイヤル・プレコ」「リアルゴールデンサンダーロイヤル・プレコ」「元祖ゴールデンサンダーロイヤル・プレコ」という別名も持ちます。
「オレンジロイヤル」「ゴールデンロイヤル」「ゴールデンサンダー」は流通量が増えたことで細かく分類されるようになってきました。産地やラインの太さ口の多きさ、歯の数など区別されています。
パナクエ属
黒の体色に目やひれに特徴を持つ同属のご紹介です。
ロイヤルプレコの仲間達のご紹介になりますが、産地や成長により全体的なフォルム、色味・模様など唯一無二の個体が多く見られます。
流通される個体の多くが10cm以下の個体が多いですが、大きい個体も少なくはありません。
飼育について
ロイヤルプレコ、グリーンロイヤルの幼魚は意外に弱いです。
輸入直後は突然死が多く、導入時には水質の変化や水温の変化には注意が必要です。
水槽
体長も大きく体が硬いので奥行も余裕を持った水槽を選びましょう。
単独での飼育で90cm以上の水槽、混泳や複数匹の飼育であれば120以上の水槽がオススメです。
※成長のスピードは遅いので、成長と共に水槽のサイズを変えてあげる方法もあります。
プレコは水槽の壁面に吸盤のような口をつかいくっつきます。
ロイヤルプレコのような、流木を削る力を持つ種にはアクリル水槽は向かず、ガラスの水槽を選ぶようにしましょう。
フィルター
適応水質:弱酸性~中性
水質の変化には強い種です。大型になり、成長するとエサの量も増え水を汚します。水質悪化を防ぐためにもフィルターを設置しましょう。
外部式フィルターはレイアウト邪魔にならず、水槽を広く使用できて良いですが、
フルサイズのプレコは排せつ量が多いため、オーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。
ロイヤルプレコは水流を好みます。エアポンプやディフューザーを使い水流を作ってあげましょう。
ヒーター
適性水温:20~28℃
水槽サイズにあったヒーターを選べば問題はありません。サーモスタットなどと一緒に使用すると温度の設定もできて安心です。
フルサイズになると、ヒーターを割るくらいの力があります。やけどの防止も兼ねてカバーの装着をおすすめします。可能であればオーバーフローで濾過槽にヒーターを設置した方が安心できます。
白点病になりやすい
プレコは白点病になりやすいですが、体表に出ないことが多く、気づいた時には末期ということが多いです。
対策として、小型のカラシンなどを数匹一緒に泳がせて、カラシンに白点病が出ていないか細かくチェックすることで早期発見につながります。
ヒーターの設定温度もやや高めに設定をした方が良いです。
※特に導入初期
エサについて
ロイヤルプレコは草食性の強いエサを好んで食べます。野生下では流れのある川の流木や石などにくっついて、コケや流木などを食べています。
体内に流木を分解できる微生物がいるので流木を食べることができます、腸もまた他の種より長く繊維質を消化するのに適しています。
流木もかじりますが、人工飼料にも餌付きやすく食べてくれます。大きくなればエサの量も増えるので栄養バランスを考え与えるようにしましょう。
※現地の食性生活の再現をしてみたい!という方におすすめアイテムが、クワガタの産卵木になります。浮いてしまうので沈めるのに工夫が必要になります。
混泳
幼魚期
同サイズ程度の魚なら混泳は可能です。
小型の魚・シュリンプ・低層魚のコリドラスなどは避けるようにしましょう。
※5cm以上の熱帯魚類
成魚期
成長すると性格が変わり気性が荒くなり、ほぼ混泳はできなくなります。
遊泳層が違う大型の種なら可能ですが、水槽のサイズは大きく余裕がないと、ひれや体を削ってしまうことがあるので注意が必要です。
同種のロイヤルプレコの混泳は、幼魚のうちは可能ですが、シェルターが必要になります。
※ケンカを多くしている場合は1匹での飼育に切り替える必要があります。
ロイヤルプレコは成長をすると気性が荒く縄張り意識が強くなります。死に直結するようなケンカはしませんが、ケガをしてしまうので、様子を見ながら混泳させるようにしましょう。
同種のロイヤルプレコの混泳は困難で、フルサイズだと舐めあい、激しいケンカをしてしまいます。
繁殖方法
水槽内繁殖の成功例がありません。繁殖が難しい種です。
オス・メスの判別について
オスもメスも比較できるほどの差異がありません。
まとめ
ロイヤルプレコは、ユニークな体型に多様な模様のバリエーションを持ちコレクション性が強い種です。
丈夫なので、アクアリウムがはじめての方でも安心して飼育ができます。
コケ取りだけではない、目で見て楽しめる大型のプレコの飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
コメント