どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはコリドラス・セプテントリオナリス。
体側の濃色斑紋が特徴的なロングノーズ系のコリドラスです。
ロングノーズ系コリドラスは一般的なコリドラスに比べると入荷が少なく、入手性にやや難があるものが多いです。
しかし本種はブリード個体の入荷も見られ、比較的入手しやすい部類に入ります。
コリドラス・セプテントリオナリスとは
生物学的情報 | |
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名前 | コリドラス・セプテントリオナリス |
学名 | Corydoras septentrionalis |
分類 | ナマズ目カリクティス科コリドラス亜科 |
食性 | 雑食 |
ノーズ | ロングノーズ |
柄 | 単色系 |
分布 | ベネズエラ、コロンビア ― オリノコ川 |
飼育要件 | |
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飼育しやすさ | ★★★★☆ 容易 |
入手しやすさ | ★★☆☆☆ やや珍しい |
混泳しやすさ | ★★★★★ とても混泳向き |
最大体長 | 6cm程度 |
適正水温 | 22~26℃ |
pH | 生存可能:5.5~8.0 適正範囲:6.5~7.0 |
備考 | 導入時の水質変化と高水温に注意 |
コリドラス・セプテントリオナリスはベネズエラ・コロンビアのオリノコ川原産のコリドラスです。
南米大陸の北方に位置する河川であり、コリドラスとしてはかなり北に分布します。
種小名の「septentrionalis」とは「北の」を意味するラテン語で、本種が北方系の種であることをうかがわせます。
本種は基本的に体側の濃色斑紋が特徴とされますが、状態良く飼育された個体は頭部が橙色に発色し、体側の濃色斑紋がメタリックグリーンに輝きます。
ブリード個体は別種?
本種は東南アジアで盛んにブリードされており、ロングノーズ系コリドラスとしては珍しく安定的な入荷が見られる部類に入ります。が、流通量の割に謎も多いコリドラスです。
本種のブリード個体は体側の濃色斑紋がメタリックブルーに染まり、グリーンに染まるワイルド個体とは異なる印象を受けます。
海外ではこのタイプは「Corydoras cf. “stenocephalus“」といわれているものの、他にも地域変異や別種などさまざまな説があります。
日本ではどちらも「セプテントリオナリス」として流通します。アイバンドや尾ビレの模様の有無にも差が見られることから、別種でないかと推測されるのですが、詳細についてはよくわかっていないのが実情です。
セプテントリオナリスに関しては、特に幼魚・若魚ではアイバンドや尾ビレの斑紋が成長段階で現れたり消えたりすることがある点も、同定をややこしくしている理由の一つと思われます。
ワイルド個体の成魚には、安定して見られるようです。
ワイルド個体がおそらく本物の「セプテントリオナリス」と思われますが、こちらは混じりで流通する程度となり、単独での入荷はまれです。
今後、詳細が明らかになったらまた続報をお届けしようと思います。
ブリード個体については今のところ「セプテントリオナリス」として扱われていますが、将来的に変わるかも?ということを頭の片隅に置いておくと、どこかで役に立つかもしれません。
飼育要件に関しては、どちらもほとんど同等です。
ロングノーズは一味違う
コリドラスの飼育環境は一般に比較的寛容と言いますが、ロングノーズ系に関してはひと味違います。
ロングノーズ系は溶存酸素量の要求が多いので、エアレーションには気を使いましょう。
つまるところ、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えた上で、強めのエアレーションをかけるのが理想的です。
また、可能であれば水流も多少あった方が良いでしょう。
フィルターの水流は弱めない方が良い結果が得られます。
底砂には砂粒の細かいものを採用しておきましょう。
pHもどちらかといえば弱酸性を好みますが、そんなに気にしなくてOKです。
少しぐらいアルカリ性に傾いても平気です。
割と水質には寛容ですが、古い水は好みません。
また、北方系ということもあってか高水温も苦手です。水温は22~26℃の範囲が理想となります。
1週間に1回程度を目安に、定期的な換水で水質の維持に努めると、良い結果が得られるでしょう。
有用なアイテム
ロングノーズ系のコリドラスは、流速のある渓流のような河川を好むといわれます。
一般的なコリドラスとの大きな相違点です。
このような環境を飼育下で再現するためには、基本的なコリドラスの飼育方法に加え、
「溶存酸素」
「水流」
「低水温の維持」
の3点を押えるよう意識します。
溶存酸素
ロングノーズ系コリドラスが理想とする飼育環境は、プレコに近いところがあります。
コリドラスの中でも、プレコのような急流域を好む形へと進化を遂げたものが、このグループである と言えるでしょう。
溶存酸素を高めるための最善の手段は、エアーポンプの導入です。
一般的なコリドラスの場合、飼育数が少なければエアレーションは不要なこともあります。
しかし、ロングノーズ系のコリドラスに関しては優先度が高いと言えます。
他にも、外部式フィルターを使用の場合は「ディフューザー」のようなオプションパーツがあればぜひ採用したいところです。
ディフューザーは取り付けるだけで、外部式フィルターの排水口に空気を取り込む機能を付加できます。
つまるところ、酸素を水槽内に取り入れ水中の溶存酸素を増やします。
外部式フィルターを採用している場合は、ぜひ導入したいアイテムです。
水流
渓流のような環境を再現するためには、水流も重要です。
排水を壁に押し当てることで水流を弱めるテクニックがありますが、ロングノーズ系のコリドラスに関してはむしろそのまま勢いよく排水させた方が良いです。
お使いのフィルターの種類によっては水流が弱い場合もあります。
その場合はサーキュレーターの導入を検討してみると良いでしょう。
高水温が苦手
ロングノーズ系のコリドラスは一般的なコリドラスに比べると高水温が苦手です。
22~26℃程度の範囲になるよう、水温を維持します。
ヒーターとクーラーを併用して、最適な水温を維持できるとなお理想的と言えるでしょう。
コリドラス全般に共通する基本的な性質については、コリドラス共通ページをご覧ください。
底砂の厚さ
ロングノーズ系のコリドラスは、底砂に粒が細かいものを使用するだけでなく、水槽底から何cmくらい敷き詰めるかの“厚さ”も重要です。
底砂が薄いとノーズが水槽の底に当たってしまい、自慢のノーズが伸びにくくなってしまいます。
本来の生態を観察するためにも、底砂はしっかり深めに敷いてノーズが入るようにすると良いでしょう。
目安として、底から3cm程度の厚みになるように敷くと良いです。
底砂を厚く敷くということは、それだけ汚れもたまりやすくなります。
水が汚れたら、プロホースでしっかり底砂内の汚れも掃除しましょう。
管理面を重視する場合は、逆に薄く敷くのも手です。
底砂が薄すぎるとノーズを砂に入れなくなるので、本来の習性は見られなくなります。
代わりに、底砂の汚れによる急な水質悪化が発生しにくくなり、残り餌にもすぐ気づけるので処理が容易になります。
メンテナンス性を重視するのであれば、水槽底が見える程ごく薄く敷くことも選択肢となります。
混泳について
セプテントリオナリスは混泳向きと言えますが、混泳させる場合は前述のロングノーズ独自の環境に合わせられる種である必要があります。
強い流れと溶存酸素に加え低水温を好むという性質から、コリドラス以外ではプレコ、ヒルストリーム・ローチ(タニノボリ系ドジョウ)、ボウズハゼ類と相性が良いです。
混泳相手 | 混泳相性 | 備考 |
---|---|---|
グッピー | △ | ロングノーズ系コリドラスは水流を好みます。 水流が苦手な種との混泳は相性が良くありません。 |
プラティ・卵胎生メダカ | ◎ | 多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。 |
カラシン・小型テトラ | ◎ | |
コイ・ラスボラ | ◎ | |
ローチ・ボーシャ・タニノボリ | ◎ | ローチ、タニノボリ系は好相性です。 ボーシャ系の攻撃性を持つ種では注意が必要です。 |
フライングフォックス/アルジイーター | ◎ | |
ドワーフシクリッド | △ | ロングノーズ系コリドラスは水流を好みます。 水流が苦手な種との混泳は相性が良くありません。 |
アフリカンシクリッド | × | |
エンゼルフィッシュ | △ | ロングノーズ系コリドラスは水流を好みます。 水流が苦手な種との混泳は相性が良くありません。 |
ディスカス | △ | ロングノーズ系コリドラスは水流を好みます。 水流が苦手な種との混泳は相性が良くありません。 |
ベタ・グラミー・アナバス | △ | ロングノーズ系コリドラスは水流を好みます。 水流が苦手な種との混泳は相性が良くありません。 |
コリドラス | ◎ | |
オトシンクルス・ロリカリア | 〇 | 大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。 サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。 ※一般的なオトシンクルスやオトシンネグロは特に問題はありません。 |
プレコ | 〇 | 大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。 サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。 ※タイガー、ブッシープレコ系はトラブルを起こしにくいでしょう。 ※セルフィン、ロイヤルプレコ系は力関係を要観察です。 |
レインボーフィッシュ | ◎ | |
ハゼ・ゴビー | 〇 | 遊泳層がかぶるため、攻撃性の高い種では注意が必要です。 |
フグ・パファー | × | |
エビ・ビーシュリンプ | 〇 | 稚エビは食べられる可能性があります。 |
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとは言えません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。
基本的には、コリドラスに対し攻撃を仕掛ける生体でなければ、ほとんどなんでも混泳可能です。
コリドラスがトラブルの火種になることは少ないですが、ロングノーズ系コリドラスであることに配慮した組み合わせの必要があります。
例えばロングノーズ系コリドラスが要求する強い水流を苦手とする種は、お互いに攻撃しないとはいえ混泳相性は良いとは言えません。
加えて、コリドラス以外の生体間での相性にも、留意しましょう。
繁殖について
ロングノーズ系のコリドラスは、一般的なコリドラスに比べ繁殖の難易度は高いといわれています。
しかし、本種に関しては繁殖例が知られており、水槽内繁殖も可能なものと思われます。
具体的な繁殖方法は一般的なコリドラスとそう大きく変わらないものとは思われますが、詳細については不明です。
コリドラス・セプテントリオナリス まとめ
コリドラス・セプテントリオナリス。
ワイルド個体の入荷はまれですが、ブリード個体はロングノーズ系コリドラスの中では比較的入手しやすい種類です。
また、コリドラスとしては北方系の種類である点も見逃せません。
状態良く仕上がった個体のメタリックカラーは、大変美しいものです。
ワイルドとブリードでもしかしたら別種かも……?という珍しい関係性にある種類ですが、どちらも飼育自体はほぼ同様です。
ロングノーズ系コリドラスの飼育にチャレンジする際は、
- 「溶存酸素」・・・エアーポンプの優先度高め!
- 「水流」・・・必要ならサーキュレーターを導入!
- 「低水温の維持」・・・夏場はクーラー必須!ヒーターとの併用がオススメ
上記3点を押さえた上で、「ふつうのコリドラスとはちょっと違う」気持ちで飼育してみましょう。
飼育環境を少しプレコに寄せたつもりで飼うと、良い結果が得られると思います。
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