色柄豊かなバリエーションや美しい水景の演出など、エビの飼育は楽しみが満載。
コツをつかめばエビの飼育は初心者からも始めることができます。
『Shrimp Style』は、初心者に向けたエビ飼育のハウツー記事です。
エビの飼育を始めたいとき、エビの飼育で迷った、困ったときのヒント集としてご活用ください。
第2回目はエビ飼育のマストアイテム、フィルターの選び方について解説します。
(断りがない限り、本シリーズはビーシュリンプやチェリーシュリンプをはじめとした観賞用エビを対象にしています)
フィルター選びのポイント
エビは非常にデリケートな生き物です。水質悪化に敏感なことから水質の安定は欠かせません。当然、ろ過能力の高いフィルター選びを求められますが、飼育する水槽のサイズによっては使用できないものがあります。また、稚エビは1mm程度と極めて小さく、フィルターによっては吸い込んでしまう点にも注意が必要です。
エビ飼育に適したフィルター
エビ飼育でのフィルターは、以下の条件を満たしているものが適しています。
飼育目的が観賞でもブリード(繁殖)でも変わりません。
①ろ過能力が高い
②稚エビを吸わない
③エアレーション(酸素供給)効果が高い
こちらでご紹介するフィルターは、小型水槽(30~60cm以下)での使用を前提にしています。
フィルタ―ごとにどの条件を満たしているか見てみましょう。
スポンジフィルター
△ | ①ろ過能力が高い |
◎ | ②稚エビを吸わない |
◎ | ③エアレーション(酸素供給)効果が高い |
エビ飼育においてベストな選択はスポンジフィルターです。
ストレーナー部分が目の細かなスポンジタイプのために稚エビが吸われる心配がありません。
また、エアーポンプで動かすためにエアー量も十分確保できる点がエビ飼育に適しています。
ただし、ろ過能力がやや弱いため小型水槽(30~60cm以下)向けです。
底面フィルター
◎ | ①ろ過能力が高い |
◎ | ②稚エビを吸わない |
◎ | ③エアレーション(酸素供給)効果が高い |
底面フィルターもエビ飼育で多く使われるフィルターです。
底床の下に隠れるので稚エビが吸われる心配も少なくなります。
水量が減るとエアーが出なくなるので水量に注意する点、ソイルなどの底砂の定期的な掃除が欠かせません。
フィルタ―自体、他のフィルタ―より低価格な点も魅力的です。また、底砂も部分的に隠す程度で使用できるため、底砂のコストも抑えられます。
エビ飼育には“対策が必要な”フィルター
外掛け式フィルター
△ | ①ろ過能力が高い |
× | ②稚エビを吸わない |
◎ | ③エアレーション(酸素供給)効果が高い |
水槽周りをすっきりさせたい方におすすめのフィルターです。
飼育水槽のワンランク上を選ぶことでろ過能力も期待できますが、基本的にろ過能力はやや弱く、小型水槽向けです。吸い上げた水を上から落水させる構造でエアレーション効果も得られます。
なお、稚エビの吸い込み対策としてストレーナースポンジが必要です。
外部式フィルター
◎ | ①ろ過能力が高い |
× | ②稚エビを吸わない |
◎ | ③エアレーション(酸素供給)効果が高い |
ろ過能力においては最強のフィルタ―です。ただし、稚エビの吸い込み対策としてストレーナースポンジ、外部式フィルターはエアレーションしない構造につきディフューザーが必要です。
他のフィルタ―と比較すると高価で、複数の水槽に設置するにはコストがかさんでしまいます。
ブリード目的の場合、小型水槽をたくさん使ってブリードするには向いていませんが、60cm水槽以上の大きな水槽でまとめ飼いするには管理がラクになる点で有力な選択肢となるでしょう。エビの品質にはこだわらずとにかく数を殖やしたい方に向いています。
外部フィルターを採用する場合、エアレーションのためにディフューザーが必要です(別途エアレーションをしていれば不要)。
上部式フィルター
◎ | ①ろ過能力が高い |
× | ②稚エビを吸わない |
◎ | ③エアレーション(酸素供給)効果が高い |
底面式フィルターと直結させることで強力なろ過を実現するのが上部式フィルターです。
エアレーション能力もあって魅力的ですが、スペースを取ってしまうため、小型水槽をたくさん使ってブリードするには向いていません。60cm水槽以上にオススメです。
なお、稚エビの吸い込み対策としてストレーナースポンジが必要です。
ストレーナースポンジが有効
ストレーナーがむき出しのままでは稚エビが吸い込まれてしまうため、ストレーナースポンジで対策が必要です。使用しているうちにスポンジがへたってきたら交換をおすすめします。
スポンジの目が粗いと稚エビは侵入することがあります。スポンジが付属している場合でも、目が粗い場合は目の細かなスポンジに交換したほうが良いでしょう。
なぜエアレーションによる酸素供給が大切なのか?
エビは魚以上にアンモニアと亜硝酸に弱い面があります。酸素が豊富にある環境ではアンモニアと亜硝酸の硝化が進みやすく、エビにとって安全な水質を維持しやすくなるためです。
バクテリアによる硝化は酸素を大量に消費します。酸素が足りなくなると酸欠になる上にアンモニアと亜硝酸が残りやすくなります。
エアー不足回避!
水中の酸素が不足するとエビの成長にも影響が出てきます。必ずエアレーションを行うようにしましょう。
集中ろ過は厳禁!
エビ飼育を始めると、小さい水槽が増えがちになります。そうすると、「集中ろ過で一括管理したほうが良いのでは?」と考えられそうです。
集中ろ過は、プレコやベタ、メダカなどでもよく見かけます。管理の手間が減って水質も安定しますが、エビ飼育に集中ろ過は向いていません。
エビ飼育で大事なのは水質です。すべての水槽がひとつなぎになると、病気や水質の急激な変化が起こった際にすべての水槽に影響します。
集中ろ過で失敗するとどうなるのか?最悪の場合、すべての水槽が全滅してしまいます。
再度飼育にチャレンジするには、全水槽をリセットし、水作りからやり直しというという苦労が待ち構えています。こういったリスクを回避するためにも、集中ろ過はおすすめできません。
また、エビ水槽の厄介者であるプラナリアが集中ろ過で発生しても大変です。プラナリアが発生すると駆除が追い付かず手に負えなくなる点でもおすすめできません。
プラナリアについてはコチラ
まとめ
今回はエビ飼育において重要なフィルター選びについて解説しました。
くり返しになりますが、フィルター選びでは①ろ過能力が高い、②稚エビを吸わない、③エアレーション(酸素供給)効果が高いことが基準です。
飼育目的が観賞またはブリード(繁殖)のどちらでもこの基準は変わりません。
稚エビの吸い込み対策用のストレーナースポンジは、目の細かなものを取り付けましょう。
小型水槽をたくさん使うブリードでは、場所を取ってしまう上部式フィルターと高価な外部式フィルターは不向きです。
水槽が増えてもエビ飼育に集中ろ過は厳禁であることに留意してください。
コメント