アクアリウムを楽しんでいる方なら、だれもが使う底床。この記事は底床にフォーカスして掘り下げていきます。今回は、水草の育成に必須なソイルに注目しました。水槽に合ったソイル選びのためにも、ぜひ最後までお読みください。
ソイルとは
水草レイアウト水槽を楽しんでいる方のほとんどの方は恐らくソイルを使用していることでしょう。
改めてこれから「水草レイアウト水槽を始めたい」方に向けてソイルとは何かを解説していきます。
水草を育てるための「土」
ソイルとは何か。結論を先に言うと土です。観葉植物や野菜を育てる時も専用の土を使うと思います。それと同じ感覚です。ソイルは水の中でも舞ってしまわないように土を焼き固めたもの。なので、水草を育てるための栄養がたっぷりと含まれています。
「砂利ではだめなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。必要な栄養量が少ない水草であれば育つでしょう。しかし、水草レイアウト水槽に使用する水草は必ずしも必要な栄養量が少ないとは限りません。ソイルを使用することで育てられる水草の種類の幅がグッと増えます。
ソイルが水草レイアウト水槽に最適な理由
水質を弱酸性に傾ける
水草が育つための栄養がたっぷり入っていると書きましたが、ソイルが水草レイアウト水槽に最適な理由はそれだけではありません。
ソイルには水質を弱酸性に傾ける作用があります。ほとんどの水草は弱酸性の水質で元気に育つので、この点でもソイルが水草レイアウト水槽に最適なのがよく分かります。
それだけではなく、大半の熱帯魚も弱酸性の水質を好みます。水草と熱帯魚の両者に最適な環境を作ってくれる、それがソイルなのです。
ソイルのメリット・デメリット
水草レイアウト水槽に最適なソイルといってもメリット・デメリットがあります。
メリット
・水草の育成に最適
・熱帯魚の飼育や水草の育成に適した水質に調整してくれる(製品によって特性が異なることがあります)
・熱帯魚飼育においてアンモニア等の有害な物質を吸着してくれる
・ろ過バクテリアの定着が早い
デメリット
・定期的に交換が必要
・長期間使うと形が崩れてくる
・汚れが蓄積すると一気に水槽崩壊レベルの水質悪化を招く
・底床に潜る魚や底床を食む魚の飼育には向かない(ソイル粒が崩れやすくなる)
・底床を舞い上げてしまう可能性がある大型魚の飼育には向いていない(水の白濁等の原因となる)
ソイルの種類
ソイルには大きく分けて吸着系・栄養系があります。それぞれの特徴を解説します。
吸着系
吸着系ソイルは、水槽内の熱帯魚や水草にとって有害な物質(アンモニアなど)を取り除くことに適したソイルです。ソイル自体に含まれている栄養が少ない代わりに、導入してすぐ吸着効果を発揮します。そのことから、バクテリアが少なく水質が安定していない立ち上げ時の水槽にピッタリといえるでしょう。
長く使っているとソイルの吸着効果はだんだんと薄れていくので定期的なソイル交換が必要です。
栄養系
名前の通り、ソイル自体に栄養を豊富に含んでおり、水草の育成に適しています。購入時に最大限に栄養が含まれていますが、時間とともにソイル内の栄養は減少していきます。水槽セット時には、水草への栄養供給と有害物質吸着の両方を担っています。
栄養供給と有害物質吸着の両方を兼ね備えた有能なソイルである一方、しっかりとバクテリアが定着していないとコケが水槽内に爆発的に増えてしまうリスクがあります。立ち上げ直後の水槽では扱いづらいかもしれません。
粒の大きさ・色について
粒の大きさは3種類あります。大前提として、メーカーによって粒のサイズに差異があり同じ粒タイプでも大きさに違いがあります。色は黒や茶色など自然味が強い色の製品が多いです。レイアウト水槽やビーシュリンプ水槽では水槽の水草や生き物が映える黒い粒のソイルが好まれます。お好みで選びましょう。
ノーマルタイプ
3種の中では一番粒が大きいタイプです。水草の育成、弱酸性を好む一般的な熱帯魚を育てたいなど、特にこだわりがなければノーマルタイプで良いでしょう。
パウダータイプ
パウダータイプはノーマルタイプより粒が細かいです。根が短く抜けやすい前景草を植えると根張りが良いといわれているのがこのパウダータイプです。ビーシュリンプの育成では、ソイルの隙間に稚エビが入り込んでしまうのを防ぐために、一面にパウダータイプのソイルを敷くことがあります。目詰まりしやすく通水性が悪いため、水槽底面部が藍藻の温床となりやすいです。
スーパーパウダータイプ
スーパーパウダータイプは、パウダータイプよりさらに粒が細かいです。水草レイアウト水槽では、複雑なレイアウトにおいての石組みの隙間隠しや流木のくぼみなどに水草を植えたい場合に使用することもあります。パウダータイプより細かいのでより目詰まりを起こしやすく、底面フィルターとの相性は悪いです。
一般的には、単体で使うより大きい粒と組み合わせる使い方が良いでしょう。
比較しやすいように3種類の粒を並べてみました。こうしてみると、より違いがよく分かりますね。
オススメのソイル
吸着系
JUN プラチナソイル パウダー 8L
流木などから出る色素を強力吸収し、透明度の高い水を長期間維持します。飼育水の立ち上がりを早めろ過バクテリアを増殖させます。
GEX ピュアソイル ブラック
天然土を無菌の状態で加熱処理する特殊製法により、粒状の底砂が潰れにくく、水草の育成に最適です。天然素材使用で、着色などは一切しておりません。水の脱色能力に優れている他、多孔質なためろ過バクテリアが繁殖しやすく水の立ち上がりを早めるとともに抜群のろ過能力も発揮します。
リーフ プロソイル
水の立ち上がりを早め、ろ過バクテリアを繁殖させます。pH・KHを引き下げて弱酸性の軟水環境を作ります。流木の色素、コケの原因になるリン酸などを強力に吸収し、透明度の高い水を長期間維持します。厳選された国産天然黒土を100%使用。黒いソイルで生体や水草の色を際立たせてきれいに見せます。
栄養系
リーフ プロソイル 水草用 パウダー
厳選された上質の黒土に特殊な天然由来の原料を配合した水槽用高性能ソイルです。濁りづらく、浄化効果の高い黒土が透明度の高い飼育水を作ります。長期間にわたり、ミネラルの供給をします。植物の育成に効果的な有機酸と養分を保持させる特殊な原料を使用しており、水草の成長を促進させます。チャームでも使用しています。
GEX 水草一番サンド 8kg (グリーン)
原料の火山灰土・黒ぼく土を無菌の状態で加熱処理し、さらに扱いやすく改良した自然造粒です。透水性、通気性、保水性を兼ね備えている上、水草育成に必要なヨウリン酸、硫酸カリなどが含まれています。天然素材につき、着色などはしていないのでご安心ください。脱色能力に優れ、流木のアクなどもきれいに取れます。
JUN マスターソイル ネクスト HG パウダー
特殊な加熱処理により、水草に必要栄養素を保持しているソイルです。多孔質透水性、通気性、保水性に優れています。水草だけでなく淡水魚全般に使用でき、シュリンプなどにも使用することができます。
ビーシュリンプ専用ソイル
ビーシュリンプの品種改良・育成をガチでやりたい!そんな方には、ビーシュリンプ専用ソイルがおすすめです。選ぶポイントは以下の通りです。
①ビーシュリンプ育成に必要な栄養素(ミネラル分)が含まれているか
②大容量サイズのラインナップがあるか
③粒の大きさが適しているかどうか
この3点に注目して見てみましょう。
特に①はビーシュリンプ専用ソイルの特筆事項であり、何代も改良を重ねた品種のビーシュリンプは水質面に敏感な個体もいます。製品によっては明記されていない場合もあるのでよく見て選びましょう。
ビーシュリンプの品種改良・育成のガチ勢はブリーディング用に水槽を何本も用意する方も多くいらっしゃると思います。そんな時、少量しかラインナップされていないソイルでは何かと面倒。この際、大容量の物を選んで購入しておくこと。これも一つの手といえます。
粒の大きさは、稚エビ水槽であれば稚エビがソイルの間に入り込んでしまわないよう細かめを、親エビ水槽では稚エビほど気を使わなくてよいため、標準サイズを選びましょう。これも通常のソイルと同じようにメーカーによってばらつきがあるのでよく吟味して選びましょう。
アピストグラマ・ワイルドベタ用ソイル
南米産の水草や熱帯魚、ラスボラなどはより酸性に傾いた水質を好みます。これらを飼育したいときに活躍するのがpHを4.5~5.5に下げてくれるソイルです。
リーフプロソイル pHダウン
弱酸性の軟水を好む熱帯魚やエビ、水草の飼育に適したソイルです。バクテリアの繁殖しやすい環境を作り生物ろ過を促し、水槽内の水質を安定させる働きを持ちます。チャームの生体管理でも使用している実績のある吸着系ソイルです。pHを4.5~5.5に下げる効果があるため、南米産の水草や熱帯魚、弱酸性の水を好むラスボラやワイルドベタの飼育に最適です。
アルカリソイルという選択
通常のソイルは水質を弱酸性に傾ける作用があります。中には水質を中~弱アルカリ性に傾ける作用のあるソイルも存在するので紹介します。
①基本的に吸着系
②グッピー、メダカ向きに作られた製品に多い
③弱アルカリ性だと調子の良い水草を育成したい
使いどころは限定されますが知っておいて損はないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ソイルとひと口にいっても、さまざまな特徴・特性がありますね。あなたの水槽に合うのはどのソイルでしたか?ソイル選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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